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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 243
管理番号 1129393 
審判番号 取消2004-31423 
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-02-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-10-28 
確定日 2005-11-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第524914号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第524914号商標の指定商品「第43類 もち」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第524914号商標(以下「本件商標」という。)は、「ひよ子」の文字を縦書きしてなり、昭和32年6月4日に登録出願、第43類「菓子及び麺ぽうの類」を指定商品として、昭和33年8月1日に設定登録され、その後、昭和54年4月5日、平成元年7月21日及び同10年3月24日の3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、その指定商品中の「もち」について、継続して3年以上日本国内において使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)弁駁の理由
(ア)取消請求に係る商品「もち」について
本件審判の取消請求に係る商品「もち」とは、「糯米を蒸し、臼で搗いて種々の形に作った食物。」(甲第2号証:広辞苑第5版)であり、一般に「おもち」と呼ばれ、いわゆる「切りもち」(甲第3号証の1)、「丸もち」(甲第3号証の2)のように、糯米をついて作り、形を整えた乳白色の食物である。現行の類似商品審査基準(特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準〔国際分類第8版対応〕」)に基づく商品区分に照らせば、第30類の商品「穀物の加工品」(類似群コード:32F03)の範疇に属する商品である(甲第4号証)。
この点につき、被請求人は、本件商標の指定商品中には、平仮名表記の「もち」は存在しておらず、取消しに係る商品は、「餅」であり、商品「餅」の概念には「餅」と「餅菓子」の両方が含まれていたものであると主張する。
しかし、本件商標の商標登録出願時(昭和32年6月4日)において、採用されていた類似商品例集(昭和31年1月改訂「類似商品例集(改訂版)」)の第43類の項によれば、「餅」と並列して「餅菓子」なる商品が掲載されていることから(甲第5号証)、商品「餅」と「餅菓子」が当該出願当時より異なる商品として、明確に区別されていたことは明らかであり、そこに、被請求人が主張するような「餅」と「餅菓子」の概念の上位・下位の関係を見いだすことはできない。
そして、昭和35年6月1日発明協会発行「改正商標法に基づく新商品区分解説」に掲載される「新旧分類対照表案」(前記書籍12頁)及び「索引(新旧分類対照)」(同78頁)の内容より明らかなとおり、上記商品「餅」は、昭和35年4月1日より施行された新商標法施行令及び商標法施行規則に基づき定められた新たな「商品の区分」(いわゆる「日本分類」)により第32類の「もち」と表示される商品に移行した。なお、この改訂により、商品「餅菓子」は、「もち菓子」と表示され、第30類に分類されている(甲第6号証)。
さらに、その後、平成4年4月1日より、「ニース協定に基づく標章の登録のための商品及びサービスの国際分類」(以下「国際分類」という)が我が国でも採用され、上記商品「もち」と「もち菓子」とは、ともに第30類に属する商品となったが、国際分類に基づく商品区分においても、「もち」は、「穀物の加工品」(類似群コード:32F03)の範疇に属する商品として、一方、「もち菓子」は、「和菓子」(類似群コード:30A01)の範疇に属する商品として、非類似の商品として取り扱われている。
このように、商品類別及び商品区分の変遷をたどれば、本件審判の取消請求に係る商品「もち」、すなわち本件商標の指定商品中の「餅」が「穀物の加工品」の範疇に属する商品であることは明らかである。
以上を要するに、現行の商品区分に照らせば、本件取消請求に係る商品「もち」は、「もち菓子」とは非類似の「穀物の加工品」の範疇に属するものであり、甲第3号証の1及び2の写真に見ることのできるような食物である。
したがって、被請求人は、世間一般に「おもち」と呼ばれ、甲第3号証の1及び2に見ることができるような商品について、本件商標の使用を証明しない限り、本件商標は、取消請求に係る商品「もち」について、その登録の取消しを免れない。
(イ)商品「もち」について
(a)広辞苑等の記載
甲第2号証の1のとおり、広辞苑をひもとけば、「もち(餅)」は、「糯米を蒸し、臼で搗いて種々の形に作った食物。」との旨が記載されている。
併せて、広辞苑には、漢字「餅」の使用例として「雑煮-」、「鏡-」、「草-」という記載も見ることができるが、これらは、あくまで「漢字の使用例」であり、「雑煮餅」、「鏡餅」、「草餅」などが「もち(餅)」の下位概念であると社会一般や業界において認識されているということを示すものではない。
なお、広辞苑には、「餅菓子」の説明として、「餅・糯粉・しん粉等を材料として製した菓子。大福餅・柏餅などの類。」との記載があり、「もち」と「もち菓子」が全く異なるものとして説明されている。
また、被請求人が乙第6号証として提出した書籍「百菓辞典」によって、「もち」について調べてみると、「もち 糯(1)もち米。粘り気の多い米。うるち米のデンプンは、アミロースとアミロペクチンとから成っているが、もち米はアミロペクチンのみであり、この成分は粘性が強く、糊化速度が早い。(2)米のほか、粟、黍(きび)などでねばり気が強く、ついて糯にすることができる品種。」と記載されている(甲第7号証の1)。
これに対して、「もち菓子」は、「もちがし 餅菓子 もちを使って作った菓子の総称。」と記載されている。
このように、被請求人が証拠(乙第6号証)として提出した書籍「百菓辞典」においても、「もち」と「もち菓子」が全く異なるものとして説明されている。
さらに、調理用語に関する言葉を多数掲載した「改訂 調理用語辞典」(平成11年4月2日社団法人全国調理師養成施設協会発行)には、「もち」は、「水に浸漬したもち米を蒸し、うすでついたもの。のしもち、きりもち、丸もちなど種々の形がある。もち米のほか、アワ、ヒエ、キビなどのもち種の穀類からも作られる。・・・」と説明されている。
一方、「もち菓子」は、「もち米、もち米粉、上新粉などを材料にした菓子の総称。あべかわもち、おはぎ、切りざんしょう、大福もち等、その種類は多い。」と掲載されており、やはり、「もち」と「もち菓子」を異なる商品として説明している(甲第7号証の2)。
昭和48年に初版本が発行された「新和菓子体系(上巻)」(昭和54年9月25日株式会社製菓実験社発行)には、「餅と餅菓子について」と題する項があり、「もち」について、「糯米を蒸して臼でつき、用途によって、それぞれ整形したもので、お供え、熨斗餅、鳥の子餅、豆餅、誕生餅、小餅、菱餅などがある。」と記載されている。
「もち菓子」については、「糯米または糯米粉、粳米粉(新粉)、砂糖、葛粉その他の粉類、果実類などを使用し、主に餡を包み、品種によって椿、柏、桜、笹葉などを使用して仕上げたものである。」と記載されており(前掲書197頁)、併せて、「もち菓子」に「草もち」が包含されている旨の記載がある(前掲書200頁)。このように、菓子について詳しい内容が記載される書籍においても、「もち」と「もち菓子」とが明らかに異なる商品として詳しく説明されている(甲第7号証の3)。
さらに、本件商標の出願時より、そう遠くない時期(昭和38年頃)に発行されたと考えられる書籍「お菓子の百科」(柴崎勝弥著(昭和38年2月2日にまえがき執筆)株式会社光琳書院発行)には、「菓子分類表」が掲載されおり、それによれば、「餅菓子」は、「和生(菓子)」の下位に分類され、「大福、州浜、団子、磯焼き」といった菓子を包含するものであることが記載されている(甲第7号証の4)。昭和52年に初版本が発行された「お菓子読本」(昭和53年1月1日明治製菓株式会社発行)にも、菓子について、詳しい分類がなされた記述並びに表が掲載されているところ、これによると、「餅菓子」は、「和生菓子」の下位概念に属する商品であり、「餅菓子」には、「大福餅、桜餅、草餅、柏餅」等が含まれていることが明らかである(甲第7号証の5)。
以上を要するに、「もち」は、糯米をついて作るものであり、甲第3号証の1及び2の写真に見ることのできるような食物又はもちの材料として使用する穀物を指し示すこと、一方、「もち菓子」は、もち又はもち米を用いて作られるお菓子であることは、被請求人提出の証拠(乙第4号証及び乙第6号証)及び請求人提出の証拠「広辞苑」(甲第2号証)並びに「百菓辞典」(甲第7号証の1)、さらに、「改訂調理用語辞典」(甲第7号証の2)及び「新和菓子体系(上巻)」(甲第7号証の3)の記載内容より明らかである。そして、「もち菓子」が「もち」の概念に含まれるものではなく、「菓子」に属するものであることについては、菓子について、詳しい記述のある「お菓子の百科」(甲第7号証の4)及び「お菓子読本」(甲第7号証の5)より明らかである。
(b)もちの製造業者及びその取扱い商品(業界の実情その1)
2005年食品マーケティング便覧NO.3(平成16年11月26日株式会社富士経済発行)によれば、平成15年度の包装もちの市場規模は、約480億円であり、売上の上位6社が市場全体の78.4%を占有している(甲第8号証)。
上記もち製造業者のうち、業界最大手の佐藤食品工業のインターネットのホームページ(甲第9号証)によれば、同社は、「鏡餅」と「切りもち」を主たる商品として取り扱っているが、「大福」、「草餅」、「よもぎ餅」等の「もち菓子」は取り扱っていないことが明らかである。
また、請求人が上記各社の取扱い商品について調べる限りにおいても、各社は、「もち」を製造販売するものであるにもかかわらず、「もち菓子」を販売している事実を確認することができなかった。
かかる事実は、「もち」と「もち菓子」とが異なる製造業者によって、製造販売される別異の商品であることを示す証左にほかならない。
(c)商品「もち」の商品表示に関する法規に基づいた分類(業界の実情その2)
加工食品品質表示基準(平成16年9月14日農林水産省告示第1705号)第3条第5項に照らせば、「もち」は、「対象加工食品」であり(甲第10号証の1)、平成16年5月26日付けの「加工食品品質表示基準改定案別表2に掲げる加工食品の範囲の考え方(案)」(農林水産省 商品・安全局 表示・規格課)には、上記基準における「もち」の範囲について、「もち米又はもち米と米粉、とうもろこしでんぷんを主原料として製造、包装したまるもち、のしもち、切りもち、鏡餅等を対象とします。・・・(中略)・・・みたらし団子、白玉団子、大福もち、さくらもち、かしわもちのような和菓子については、対象に含まれません。」と明記されている(甲第10号証の2)。この農林水産省案についてのパブリックコメントを踏まえて同省が最終的にまとめた「加工食品品質表示基準改正(原料原産地表示等)に関するQ&A」(http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/new_jas/kako_shokuhin_qa.pdf)には、「もち」の範囲について、さらに詳しく「・・・みたらし団子、白玉団子、大福もち、さくらもち、かしわもちのように砂糖などで調味してあるものやあんを入れたものは、和菓子と認識されるため対象に含まれません。」と明記してあり、さらに、「あんを入れた草もちに原料原材料表示は、必要ですか。」という問いについて、同省は、「草もちにあんを入れたものは和菓子の範囲に考えられるので、原料原産地表示の義務は、ありません。」と回答している。また、「砂糖が入ったもちに原料原産地表示は必要ですか。」という問いについては、「砂糖が入ったもちについては、和菓子の範囲と考えられるので、原料原産地表示の義務は、ありません。」と回答している(甲第10号証の3)。
加工食品品質表示基準は、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)第5章(品質表示等の適正化)の19条の8(製造業者等が守るべき表示の基準)の規定に基づき定められた基準であり、甲第10号証の2及び3は、当該基準の具体的な運用指針を示すものであるところ、これらより、食品の品質表示を管轄する官庁においても、「もち」と「和菓子」を異なる商品として取り扱っていること、そして、「あんを入れた草もち」及び「砂糖を入れたもち」は、「和菓子」の範囲に含まれるものであると認識していることが明らかである。
そして、これらの基準等より、食品業界において、「もち」と「もち菓子」とが異なる商品として理解・認識され、「草もち(よもぎもち)」は、「生和菓子」と認識されていることが理解できる。
現実に、甲第3号証の2の写真に見ることのできる「丸もち」は、「生もち」の名称で販売されており、その原材料は、「もち米」のみである(甲第10号証の4)。
(d)一般消費者の認識(業界の実情その3)
書籍「和菓子入門」(平成15年6月13日株式会社主婦と生活社発行)の「もち菓子」の項には、「うぐいすもち」、「大福もち」、「道明寺桜もち」、「桜もち」、「わらびもち」、「つばきもち」、「栗もち」、「ゆずもち」、「梅が枝もち」等の「もち菓子」の製法や写真が掲載されている(甲第11号証)。
書籍「新・お菓子の基本 あこがれの洋菓子と和菓子」(平成16年10月15日株式会社SSコミュニケーションズ発行)の「四季の和菓子」の項には、「草もち」、「桜もち」、「うぐいすもち」、「柏もち」、「いちご大福」、「わらびもち」、「ごまもち」、「花びらもち」等の「もち菓子」の製法や写真が掲載されている(甲第12号証)。
書籍「手作りお菓子大事典」(平成17年1月7日株式会社インデックス・マガジンズ発行)の「和菓子」の項には、「桜もち」、「うぐいすもち」、「くずもち」、「黒砂糖入りくずもち」、「わらびもち」、「ごまあん大福」、「梅干し大福」等の「もち菓子」の製法や写真が掲載されている(甲第13号証)。
これらの一般消費者向けの書籍に、「草もち」、「桜もち」、「大福もち」、「いちご大福」、「栗もち」、「花びらもち」が「もち菓子」又は「和菓子」のカテゴリーに含まれる商品(食べ物)として、その製法や写真が掲載されていることより、一般消費者をして、「桜もち」、「大福もち」、「いちご大福」、「栗もち」、「花びらもち」等は、商品「もち菓子」であって、「もち」とは明らかに異なる商品であると認識されているということができる。
(e)業種の違い(業界の実情その4)
甲第9号証に見ることのできる佐藤食品工業株式会社のインターネットのホームページに掲載されている同社の会社概要によれば、同社の「事業の種類」は、「1.包装餅製造販売」、「2.包装米飯製造販売」、「3.即席白玉及び白玉粉製造販売」、「4.その他」であり、「和菓子」の製造販売は、含まれておらず、同社は、現実に「和菓子」を販売していない。
これに対して、被請求人が頒布する同社の会社案内(甲第14号証)に掲載されている「会社概要」によれば、被請求人の事業内容は、「菓子の製造販売」、「喫茶店の経営」、「あんの製造販売」、「冷菓の製造販売」、「パン、ケーキ類の製造販売」、「飲食店の経営」、「キャラクターグッズの販売」、「その他」であり、そこに「もちの製造販売」は、含まれていない。また、会社案内に「・・・現在では全国規模の菓子メーカーへと成長を遂げています。」(同2頁「ごあいさつ」の項)、「・・・業界屈指の菓子メーカーまで成長したのも、・・・」(同「初心とフロンティア精神で挑戦。」の項)とあるとおり、被請求人は、「菓子メーカー」である。
甲第9号証から明らかな佐藤食品工業株式会社の取扱い商品と、本件審判において明らかとなった被請求人の取扱い商品とは、全く異なるものであり、それぞれの業種・業界が異なるものであることを容易に推測することができる。
古来より、「餅は餅屋」というように、「もち」は、もち製造業者の取り扱いに係るものであり、一部の例外を除き、「和菓子」を「もち」と同程度の規模で取り扱うもち製造業者は、存在しない。そして、砂糖やあんを用いた美味しいお菓子を世に送り出すことを信念とする和菓子の製造業者中には、糯米をついただけの、いわば未加工の状態ともいえる「もち」を和菓子と同程度の規模で取り扱う者はいないと思われる。
以上のとおり、一般的に、「もち」は、「もち製造業者」によって、製造販売されるものであり、和菓子製造業者の取り扱いに係る商品ではない。
つまり、「もち」と「もち菓子」とは、異なる業種の製造業者の取り扱いに係る商品であり、「もち菓子」に含まれる「草もち」や「よもぎもち」は、主として和菓子の製造業者によって、取り扱われている。
(f)特許庁における商品「もち」の取り扱い
甲第4号証(特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準〔国際分類第8版対応〕」)に明示されているとおり、商品「もち」は、第30類の商品「穀物の加工品」(類似群コード:32F03)の範疇に属する商品であり、「もち菓子」は、「和菓子」(類似群コード:30A01)の範疇に属する商品であることは明らかである。また、「もち」と「もち菓子」は、備考類似の関係にもない。
さらに、特許庁は、商品「草もち」、「あんころもち」、「わらびもち」、「桜餅(チョコ入り)」、「草餅(チョコ入り)」、「羽二重餅」、「大福もち」、「本よもぎを使った大福餅」等の「もち菓子」について、30A01の類似群コードを付与している(甲第15号証の1ないし8)。
このような商品「もち」と、「草もち」及び「もち菓子」とを明らかに異なる商品とした特許庁の取り扱いは、上記(b)ないし(e)で詳述した業界の実情に合致しており、極めて妥当な内容であると考えられる。
(g)まとめ
以上のとおり、商品「もち」は、広辞苑や菓子用語に関する辞典や書籍などにおいて、「草もち」や「もち菓子」とは異なる商品として説明されており、食品の表示方法に関する法規により、「もち菓子」と明確に区別される商品であって、かつ、「もち」を主な取扱い商品とする、もち製造業者によって、製造販売され、一般消費者間においても、「もち菓子」とは明確に区別されているものである。さらに、特許庁も、「もち」と「もち菓子」を全く異なる商品として取り扱っている。
したがって、被請求人は、世間一般に「おもち」と呼ばれており、甲第3号証の1及び2に見ることができるような商品について、本件商標の使用を証明しない限り、本件商標は、取消請求に係る商品「もち」について、その登録の取り消しを免れない。
(ウ)被請求人の立証に係る商品について
以上を前提に、被請求人が本件商標を使用していると主張する各商品について検討する。
(a)商品「あっぱれひよ子の博多もち」
被請求人は、乙第9号証の1ないし3、乙第21号証の1、乙第22号証ないし乙第23号証の2、乙第49号証及び乙第50号証に見ることのできる商品「あっぱれひよ子の博多もち」について、本件商標を使用していると主張するが、当該商品は、もち生地であんを包んだ「もち菓子」であり、本件審判の取消請求に係る商品「もち」ではない。
(b)商品「花びら餅」
被請求人は、乙第21号証の1、乙第22号証、乙第23号証の1及び2に見ることのできる商品「花びらもち」について、本件商標を使用していると主張するが、当該商品は、被請求人自身が「お正月の和菓子」として宣伝していること、及び甲第12号証(書籍「新・お菓子の基本 あこがれの洋菓子と和菓子」)に「花びらもち」が掲載されていることから明らかなとおり、「和菓子」であり、本件審判の取消請求に係る商品「もち」ではない。
(c)商品「花衣餅」及び「花見餅」
被請求人は、乙第21号証の1に見ることのできる商品「花衣餅」及び「花見餅」について、本件商標を使用している旨主張するが、当該商品は、被請求人自身が「お正月の和菓子」として宣伝していること、及び乙第24号証の2の写真において、これら商品の台紙に「生菓子」と被請求人自身が表示していることから明らかなとおり、「和菓子」又は「生菓子」であり、本件審判の取消請求に係る商品「もち」ではない。
(d)商品「白大福」等の「大福もち」
被請求人は、乙第24号証の2より、「白大福」、「よもぎ大福」、「ごま大福」、「栗大福」、「芋大福」等の「大福もち」を販売しているものと思われ、これらについて、本件商標を使用している旨主張するが、これらの商品は、台紙に「生菓子」と被請求人自身が表示していることから明らかなとおり、「和菓子」又は「生菓子」であり、本件審判の取消請求に係る商品「もち」ではない。また、被請求人は、乙第38号証に見ることのできる商品「苺大福」及び「たまご大福」についても本件商標を使用している旨主張するが、これらの商品も、被請求人自身が「和生菓子」として宣伝していることから明らかなとおり、本件審判の取消請求に係る商品「もち」ではない。
(e)商品「ミニうぐいす餅」、「ミニ桜餅」及び「桜餅」
被請求人は、乙第38号証に見ることのできる商品「ミニうぐいす餅」、「ミニ桜餅」及び「桜餅」について、本件商標を使用している旨主張するが、これらは、いずれも書籍「和菓子入門」、書籍「新・お菓子の基本 あこがれの洋菓子と和菓子」又は書籍「手作りお菓子大事典」(甲第11号証ないし甲第13号証)に掲載されている「もち菓子」又は「和菓子」であり、また、被請求人自身が「和生菓子」として宣伝していることから明らかなとおり、本件審判の取消請求に係る商品「もち」ではない。
(f)その他
被請求人の提出に係る乙第23号証の2(被請求人の取扱い商品を掲載したカタログ「ひよ子百菓」)及び乙第27号証(平成16年12月20日付けの「和菓子売上年度比較表(餅・饅頭抜粋)」を調べてみても、「もち」に該当する商品は、見当たらない。
なお、被請求人は、登録第3313700号商標「あっぱれひよ子の博多餅」を所有しているところ、その指定商品は、「もち菓子」である(甲第16号証の1及び2)。かかる登録商標の存在は、被請求人が登録商標「あっぱれひよ子の博多もち」を使用する商品を国際分類第30類の和菓子の範疇に属する「もち菓子」であると認識していることの証左にほかならない。
また、被請求人は、商標の構成中に「餅」の文字を含む登録第3313679号商標「博多蔵餅」、登録第3313699号商標「あっぱれ博多餅」、登録第4388235号商標「あっぱれけいききがんもち/天晴景気祈願餅」も所有しているが、これらの登録商標に係る指定商品も「もち菓子」又は「餅菓子」である(甲第17号証の1ないし甲第19号証の2)。
上記4件の登録商標は、いずれも、商品「もち」と「もち菓子」とを明確に区別している国際分類に基づく商品区分に従って、商標登録出願されたものである。これらの登録商標の存在よりすれば、被請求人自身も、自己の取り扱いに係る商品について、「もち」ではなく、「和菓子」の範疇に属する「もち菓子」であると認識していると考えられる。
(エ)小 括
以上のとおり、本件審判の取消請求に係る商品「もち」は、世間一般に「おもち」と呼ばれ、甲第3号証の1及び2に見ることができるような商品であり、現行の商品区分に照らせば、第30類の商品「穀物の加工品」の範疇に属するところ、被請求人が本件商標を使用していると主張する商品は、いずれも砂糖やあんなどが入った「和菓子」、「もち菓子」又は「生菓子」の範疇に属する商品であり、本件取消請求に係る商品「もち」ではない。
すなわち、被請求人は、取消請求に係る商品「もち」について、本件商標の使用を証明していない。ゆえに、本件商標は、その指定商品中の「もち」について、その登録を取り消されなければならない。
(3)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア)商品「あっぱれひよ子の博多もち」に使用する商標について
被請求人は、乙第9号証の1ないし3及び乙第17号証に見ることのできる商品「あっぱれひよ子の博多もち」の写真をもって、本件商標を商品「餅菓子」について、使用していることを主張する。
しかし、乙第9号証の各写真は、いずれも撮影年月日、撮影者及び撮影場所等が不明であり、また、乙第17号証は、本件審判請求の予告登録日より3年以上前に撮影されたものと思われるので(写真の右下部に表示される日付けは、「‘01 3 24」である。)、これらは、いずれも本件審判の証拠として採用されるべきでない。
乙第18号証は、乙第17号証の写真中に確認することができるプライスカードとのことであるが、上述のとおり、そもそも、乙第17号証は、本件審判請求の予告登録日よりも3年以上前に撮影されたものと思われるので、該プライスカードも本件審判の証拠として採用されるべきでない。
したがって、これらの書証をもってしては、本件商標を商品「もち」について、使用していることは認められない。
乙第22号証、乙第23号証の1及び2の商品カタログ並びに乙第49号証の新聞広告には、商品「あっぱれひよ子の博多もち」の写真等が掲載されているところ、それらの写真等には、「あっぱれ」、「ひよ子の」、「博多もち」の各文字が商標的に使用されている例を見ることはできるが、本件商標と同一又は社会通念上同一と判断し得る「ひよ子」の文字は、見当たらず、また、上記カタログ全体を詳しく見ても、該商品の識別標識として本件商標を使用していることが確認できる記載は、見当たらない。
また、被請求人は、商品「あっぱれひよ子の博多もち」の使用実績について、売上実績表(乙第10号証)及び商品別売上月報(乙第11号証の1ないし4)を提出しているが、これらは、いずれも任意に作成することが可能な内部資料であり、その客観性は、必ずしも担保されていないので、これらは、いずれも本件審判の証拠として採用されるべきでない。
乙第12号証に掲載されている事業所及び店舗は、商品「あっぱれひよ子の博多もち」を取り扱う店舗とのことであるが、該事業所及び店舗における該商品の販売実績は、提出された証拠からは、一切明らかでない。
さらに、被請求人は、商品「あっぱれひよ子の博多もち」の包装用紙等の受発注実績を示す証拠(乙第13号証ないし乙第16号証)及び該商品の包装紙を変更したことを示す書面(乙第19号証)を提出しているが、これらは、本件商標が商品「もち」について、使用されたことを明らかにするものではない。
(イ)商品「花びら餅」に使用する商標について
被請求人は、乙第21号証の2及び3に見ることのできる商品「花びら餅」のチラシ及びプライスカードをもって、本件商標を商品「餅菓子」について使用していると主張する。
しかし、それらには、「ひよ子本舗吉野堂」の文字を見ることはできるが、本件商標「ひよ子」は、表示されていない。なお、被請求人は、チラシの頒布日が平成13年12月である旨主張するが、そのことを客観的に明らかにする証拠は、見当らない。
(ウ)その他の商品(よもぎ大福等)に使用する商標について
被請求人は、乙第21号証の1、乙第22号証、乙第38号証、乙第51号証及び乙第52号証に見ることのできる各種「よもぎ大福」、「花見餅」、「花衣餅」等の「もち菓子」について、本件商標を使用していることを主張し、それら商品の包装用箱(乙第24号証の1)並びに該箱を封印する際に使用するというシール(乙第25号証の2)、それらの商品の包装用の透明なパック容器(乙第26号証)、前記箱及び前記パック容器に詰めた商品を販売する際に使用するというショッピング袋(乙第39号証ないし乙第43号証)の写真を提出しているが、これらの写真は、いずれも撮影年月日、撮影者及び撮影場所等が不明であり、かつ、前記各商品について、本件商標の使用を明らかにするものではない。乙第24号証の2の写真には、商品の製造販売者としての「株式会社ひよ子」の表示を見ることはできるが、本件商標は、表示されていない。
なお、被請求人は、前記各商品を乙第12号証に掲載されている事業所及び店舗において、継続的に販売しているとのことであるが、該事業所及び店舗において、前記商品が販売された実績は、提出された証拠からは明らかでない。
(エ)包装容器、包装用袋について
被請求人は、乙第39号証ないし乙第43号証の写真に見ることのできる袋類に「あっぱれひよ子の博多もち」を表示し、各種「大福餅」等の「もち菓子」を入れて販売していると主張しているが、そのことを示す客観的な証拠は、提出されていない。
なお、前記袋類のごとく、様々な商品を入れることのできる汎用性のある袋に表示される標章は、取引者・需要者をして、特定の商品を識別するための標章とは把握し得ないものというべきであり、前記袋類に表示される標章をもって、被請求人が商品「もち」についてはもちろん、「もち菓子」についても、本件商標を使用したということはできない。
また、前記袋類に関する取引書類(乙第44号証ないし乙第47号証)は、商品「もち」について、本件商標の使用を証明するものではない。
(オ)以上に詳述したとおり、本件審判請求の取消請求に係る商品「もち」は、国際分類第30類の商品「もち」に該当する商品である。本件商標の指定商品中には、「餅」と「餅菓子」が包含されていると考えられるところ、両者は、本件商標の出願時より異なる商品として取り扱われており、その後の商品区分の変遷により、現行の国際分類に照らすと、「餅」は、「もち」(類似群コード:32F03)に、「餅菓子」は、「もち菓子」(類似群コード:30A01)に移行している。
したがって、被請求人は、本件商標の指定商品中「餅」、すなわち国際分類第30類の「もち」について、本件商標を使用していることを証明しなければ、その登録の取消しを免れないところ、被請求人が答弁において、本件商標の使用を証明するとした商品は、辞書・辞典その他の書籍の内容、業界の実情、一般消費者の認識、類似商品審査基準の内容を総合して勘案すれば、いずれも「もち菓子」、「和菓子」又は「生菓子」と呼ばれる商品に該当するものであるから、被請求人は、取消請求に係る商品「もち」について、本件商標の使用を証明していないといわざるを得ない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第97号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)使用事実の立証に係る時期的要件について
本件取消審判の請求日は、平成16年10月28日であり、その登録は、同年11月16日である。
したがって、以下、被請求人が本件審判請求の登録前3年以内(平成13年11月16日から3年以内)に本件商標を取消請求に係る指定商品「もち」に使用していること、また、上記使用がいわゆる駆け込み使用(商標法第50条第3項)に該当しないこと、すなわち、被請求人の使用が本件審判請求前3月である平成16年7月28日から本件審判請求の登録の日である同年11月16日までの間の使用ではないことを証明する。
(2)請求に係る指定商品「もち」について
(ア)本件商標の指定商品は、大正10年法における第43類「菓子及び麺ぽうの類」であり、その内容は、「干菓子、蒸菓子、掛け物、ビスケット、カステーラ、ドロップス、アイスクリーム、飴、餅、砂糖漬、炒豆等」となっており(旧商標法施行規則(大正十年農商務省令第三十六号)第15条の規定による商品類別)、かかる指定商品中には、本件審判の請求に係る指定商品である平仮名表記の「もち」は、存在しない。
しかしながら、本件審判請求の趣旨は、本件商標の指定商品中の「もち」について、その登録の取り消しを求めるものであるから、当該取り消しに係る指定商品「もち」は、本件商標に係る第43類の指定商品中の「餅」であると判断せざるを得ない。
そこで、本件商標に係る指定商品である第43類の「餅」について、以下、検討する。
(イ)大正十年法の施行当時の商品類別の第43類には、「餅」のみの記載があり、その後、昭和三十二年十一月再訂の類似商品例集(再訂版)(乙第3号証の第303頁)を見ると、第43類には、「干菓子類、蒸菓子類、西洋菓子類、炒栗、茹栗、麺麭」の下位概念として、「餅」と「餅菓子」の表記が存在している。かかる経緯からすると、大正十年法の施行当初の「餅」の概念には、「干菓子類、蒸菓子類、西洋菓子類、炒栗、茹栗、麺麭」の下位概念として「餅」と「餅菓子」の両方が含まれていたものと考えざるを得ない。
そこで、第43類の「餅」の概念中に含まれる「餅」と「餅菓子」には、具体的に、いかなる商品が含まれるのかについて、以下、検討する。
(ウ)第43類の「餅」と「餅菓子」について
(a)「餅」について
広辞苑の「餅(もち)」の項目には、「もち米を蒸し、臼でついて種々の形に作った食物。多く正月・節句や祝事につく。「雑煮-」「鏡-」「草-」とあるから(乙第4号証)、「穀物の加工品」としての「餅」、すなわち「もち」の概念には、少なくとも「雑煮餅」「鏡餅」「草餅」が含まれることがわかる。
また、「食の百貨辞典」(乙第5号証)の「餅」の項目を見ると、「丸餅、鏡餅、勾餅、沓形餅、切餅、慰斗餅、菱餅、草餅、大豆餅、小豆餅、粟餅、その他、粽、団子など」との記載があり、「餅」、すなわち「もち」の概念には、少なくとも「草餅、大豆餅、小豆餅、粽、団子」等が含まれることがわかる。
ここで、「百菓辞典」(乙第6号証)の「草餅」の項目をみると、「もち草と呼ばれるヨモギ(モグサ)や、ハハコグサなどの葉を入れてついたもち。また、このもちであんを包んだもの。・・・関東では草餅、関西ではよもぎ餅と呼ばれるという。」との記載、及び作り方として「(a-1)蒸したもち米とヨモギをつきまぜて作る。切りもちやあんもちにする。(a-2)白米粉をこねて蒸し、ゆでて刻んだヨモギを混ぜて、普通のもちのようにつく。あんころもちなどにする。」との記載があり、「草餅」には、いわゆるあんを包んだものと、あんの無いものが含まれることがわかる。ちなみに、「草餅」をインターネットの検索エンジンで調べると、例えば、乙第7号証に示されるように、あん入りとあんなしのいずれも「草餅」といわれていることがわかる。
そうすると、いわゆる「餅(もち)」の概念中には、「あん入り草餅」あるいは、「あん入りよもぎ餅」等のように、一般に「餅菓子」とみなされているものも含まれていると解される。
さらに、インターネットのホームページ「全国名菓探訪」の「知」のページ(乙第8号証の1)によると、「餅」の説明として、「水分や砂糖を加えると柔らかくなるので、餅菓子のバリエーションは数限りなくあります。」とあり、かかる説明は、「餅」の概念中に「餅菓子」が含まれることを前提としている。
以上の検討結果からすると、いわゆる「餅(もち)」の概念中には、鏡餅や切餅のほかに、少なくとも「あん入りの草餅」、「あんなしの草餅」、「あん入りのよもぎ餅」、「あんなしのよもぎ餅」等の餅菓子とみなされるものが含まれていると考えられる。
(b)「餅菓子」について
広辞苑の「餅菓子」の項目(乙第4号証)には、「餅・糯粉・しん粉などを材料として製した菓子。大福餅・柏餅などの類」との記載があることから、「餅菓子」の概念には、少なくとも「大福餅」「柏餅」等が含まれ、さらには、「餅」、すなわち「もち米を蒸し、臼でついて種々の形に作った食物」を材料として製した菓子も「餅菓子」であるから、当該「餅菓子」の概念中には、「あん入り草餅」、「あん入りよもぎ餅」等も含まれるものと考えられる。
(c)以上の検討によると、「餅(もち)」の概念中には、「鏡餅」、「切餅」等が含まれ、一方、「餅菓子」の概念中には、「大福餅」、「柏餅」等が含まれ、さらに、「餅(もち)」と「餅菓子」のいずれにも含まれる概念として、「あん入り草餅」、「あんなし草餅」、「あん入りよもぎ餅」、「あんなしよもぎ餅」等が存在することがわかる。
(エ)取消請求に係る指定商品「もち」について
上記(ウ)の検討結果を踏まえて、本件取消請求に係る指定商品「もち」に含まれる具体的商品について検討すると、取消請求に係る「もち」には、「鏡餅」、「切餅」等のいわゆる「餅(もち)」と認識される商品が含まれることは明らかである。また、第43類「餅」には、「餅菓子」が概念的に含まれることからして、取消請求に係る「もち」には、「大福餅」、「柏餅」等のいわゆる「餅菓子」と認識されるものも含まれると考えられる。
加えて、上記(ウ)で検討したように、いわゆる「餅」ともとらえられるし「餅菓子」ともとらえられる「あん入り草餅」、「あんなし草餅」、「あん入りよもぎ餅」、「あんなしよもぎ餅」等も、当然の帰結として、本件取消請求に係る指定商品「もち」に含まれるものと考えられる。
そうすると、被請求人は、本件取消請求に係る指定商品「もち」の概念に含まれるこれらの商品中、いずれか一について、使用を証明すれば、当該取消請求に係る指定商品「もち」について、取消しを免れることになる(商標法第50条第2項)。
以上の検討結果に基づいて、以下、使用の事実を証明する。
(3)被請求人が使用している商標について
本件商標は、縦書き毛筆体の「ひよ子」であり、これに対して、被請求人の使用に係る商標は、乙第17号証の「あっぱれひよ子の博多もち」についての包装の前面に付された縦書き丸ゴシックの「ひよ子」、乙第18号証の「あっぱれひよ子の博多もち」のプライスカードに付された横書き丸ゴシックの「ひよ子」、乙第20号証の新聞広告の「あっぱれひよ子の博多もち」中の横書き毛筆体の「ひよ子」、乙第9号証の1及び3の「あっぱれひよ子の博多もち」の包装紙の中央に付され、多少デザイン化された縦書き文字の「ひよ子」、同包装紙の左下に付された「ひよ子本舗吉野堂」における多少デザイン化された縦書き文字の「ひよ子」、乙第9号証の2の「あっぱれひよ子の博多もち」の個装紙の中央に付された多少デザイン化された縦書き文字の「ひよ子」、同個装紙の中央左下に付された「ひよ子本舗吉野堂」における多少デザイン化された縦書き文字の「ひよ子」、乙第23号証の1に示すカタログの表紙に付された縦書きゴシック体の「ひよ子」、乙第24号証の1の留めシールに付された多少デザイン化された縦書き文字の「ひよ子」、乙第38号証のちらしに掲載された多少デザイン化された縦書き及び横書き文字の「ひよ子」、乙第39号証ないし乙第43号証の包装袋に付された文字商標であって、多少デザイン化された横書き文字であり、かつ、各文字が四角で囲まれた「ひよ子」、乙第39号証、乙第40号証及び乙第42号証の包装袋の側面に付された「ひよ子本舗吉野堂」における多少デザイン化された縦書き文字の「ひよ子」等である。
このように、被請求人が実際に使用している商標「ひよ子」は、本件商標「ひよ子」とは書体が多少異なり、同一とはいえない。
しかしながら、上記使用商標と本件商標との関係は、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」(商標法第50条第1項)に該当し、需要者・取引者において、上記使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められるものである。
(4)被請求人の使用事実について
(ア)使用に係る商品について
(a)「あっぱれひよ子の博多もち」の商品について
被請求人は、平成7年4月2日から「あっぱれひよ子の博多もち」(乙第9号証の1ないし3)の製造販売を開始し、現在に至るまで継続的に製造販売している。この商品は、餡を餅で包んだ商品であり、通常の餅を用いた「しろ餅」(赤い個装紙)(乙第9号証の2の3段目の写真)と、餅によもぎを混ぜた「よもぎ餅」(緑の個装紙)(乙第9号証の2の2段目の写真)の2種類がある。これらの商品は、本件取消請求に係る「もち」の概念に含まれる「餅菓子」に該当する。
(a-1)「あっぱれひよ子の博多もち」についての本件商標の使用について
「あっぱれひよ子の博多もち」5個入り箱の掛紙(乙第9号証の1の写真の上段)の中央及び左下に「ひよ子」の商標が付されている。また、「あっぱれひよ子の博多もち」10個入り包装紙(乙第9号証の3の包装紙)の中央及び左下に「ひよ子」の商標が付されている(乙第17号証も参照)。
「あっぱれひよ子の博多もち」の個装紙(よもぎ餅、しろ餅のいずれも)の中央及び中央左下に「ひよ子」の商標が付されている(乙第9号証の2の写真の中段及び下段参照)。
「あっぱれひよ子の博多もち」のプライスカードに「ひよ子」商標が上下2箇所に付されている(乙第18号証)。なお、乙第17号証からは、当該プライスカードを展示している状況が確認できる。
乙第20号証の新聞広告、乙第22号証のちらし広告、乙第23号証の1及び2のカタログ等において、「あっぱれひよ子の博多もち」の広告に「ひよ子」の文字が使用されている。
(a-2)「あっぱれひよ子の博多もち」の販売実績
商品「あっぱれひよ子の博多もち」の平成7年から同16年までの売上高と生産数量を乙第10号証に示す。乙第10号証によると、被請求人は、商品「あっぱれひよ子の博多もち」を少なくとも本件審判において証明すべき使用期間である平成13年から同16年までの間において、製造販売を行っていたことがわかる。ちなみに、乙第10号証によると、平成13年度は、「あっぱれひよ子の博多もち」単独で約1億円の売上、生産数量は、118万2,000個であった。なお、「あっぱれひよ子の博多もち」の2001年度(平成13年度)ないし2004年度(平成16年度)の年間売上データを乙第11号証の1ないし4に示す。ちなみに、2002年(平成14年度)の純売上は、7,803万2,581円であった。
(a-3)販売店舗
乙第12号証には、被請求人の平成14年1月1日現在の販売店舗の所在地の一覧が示されている。被請求人は、「あっぱれひよ子の博多もち」を飯塚地区ベーカリー「サンミッシェル」を除いて、乙第12号証に掲載された全ての販売店舗において、販売していた。また、被請求人は、現在も上記販売店において、「あっぱれひよ子の博多もち」を継続的に販売している。
(a-4)「あっぱれひよ子の博多もち」の外装紙等の仕入実績
乙第13号証には、「あっぱれひよ子の博多もち」に関連する包装資材関連の仕入実績が示されている。なお、乙第13号証には、各種包装資材について、本件審判の使用証明期間である平成13年から同16年までの実績が示されている。
(a-5)個装紙について(乙第13号証の第1頁参照)
被請求人は、「あっぱれひよ子の博多もち」の「しろ」と「よもぎ」の2種類の個装紙(乙第9号証の2の写真に示す個別包装紙)について、平成13年から同16年までの間、村上コーポレーション株式会社より乙13号証の第1頁に示す数量を仕入れた。例えば、「しろ」と「よもぎ」について、平成14年5月1日に各々18巻(1巻/1,000m)、金額各201,600円の仕入実績があり、その請求書(写)を乙第14号証の1に示す。
なお、個装紙については、1巻1,000mのロール状で納品され、包装機械にてカッティング及び個別包装が行われる。また、「しろ」と「よもぎ」について、平成15年5月1日に各々計15巻の仕入実績があり、その請求書(写)を乙第14号証の2に示す。このように、被請求人は、商標「ひよ子」の付された「あっぱれひよ子の博多もち」の個装紙を平成13年から同16年までの間に大量に仕入れ、同「あっぱれひよ子の博多もち」の販売に使用していた。
(a-6)外装紙について(乙第13号証の第2頁参照)
被請求人は、「あっぱれひよ子の博多もち」の5個入り「掛紙」(乙第9号証の1に示す掛紙)と10個入り「包装紙」(乙第9号証の3に示す包装紙)について、平成13年から同16年までの間、サガシキ印刷株式会社より乙第13号証の第2頁に示す数量を仕入れた。例えば、5個入り掛紙及び10個入り包装紙について、平成15年4月12日に各20,000枚、5個入り掛紙56,000円、10個入り包装紙144,000円の仕入れ実績があり、その請求書(写)を乙第15号証の1に示す。また、上記掛紙について、平成15年12月1日の請求書(写)を乙第15号証の2に示す。
このように、被請求人は、商標「ひよ子」の付された「あっぱれひよ子の博多もち」の掛紙及び包装紙を平成13年から同16年までの間に大量に仕入れ、同「あっぱれひよ子の博多もち」(5個入り、10個入りの箱詰商品)の販売に使用していた。
(a-7)5個入り箱及び金丸ゴム(乙13号証の第3頁及び第6頁)
被請求人は、「あっぱれひよ子の博多もち」の5個入り「箱」(乙第9号証の1の写真の上段及び中断に示された箱)について、平成13年から同16年までの間、株式会社フクショクより乙第13号証の第3頁に示す数量を仕入れた。当該箱の平成15年5月1日付けの請求書(写)を乙第16号証に示す。また、同「もち」の5個入り包装に使用する「金丸ゴム」(乙第9号証の1の写真の上段及び中段に示す金色ゴム)について、平成13年から同16年までの間、株式会社丸善より乙第13号証の第6頁に示す数量を仕入れている。このように、被請求人は、平成13年から同16年までの間に上記箱及び金丸ゴムを仕入れ、上記掛紙とともに乙第9号証の1に示すパッケージを構成して、当該「あっぱれひよ子の博多もち」を販売していた。
(a-8)店頭の販売状況
「あっぱれひよ子の博多もち」の平成13年(2001年)3月24日当時の店頭の販売の様子を乙第17号証に示す。この写真は、ひよ子ランド本店(福岡市南区向野在)のものである(乙第12号証参照)。当該写真は、本件商標の使用期間外のものであるが、使用証明期間である平成13年11月17日以降も同様に各店舗にて販売されている。当時の店頭販売用のプライスカードを乙第18号証に示す。「あっぱれひよ子の博多もち」の外装紙及びプライスカードのいずれにも本件商標が付されている。
なお、「あっぱれひよ子の博多もち」の包装紙は、乙第17号証に示す旧デザインから乙第9号証の1に示す現在のものに変更されており、現在のデザインの「あっぱれひよ子の博多もち」が販売された時期は、平成15年4月中旬頃以降である。当時の包装紙リニューアルに関する立案書(平成15年4月10日付け)、その他関係書類を乙第19号証として提出する。
(a-9)その他、広告、ちらし等
被請求人は、平成13年(2001年)12月28日付けの西日本新聞に「あっぱれひよ子の博多もち」の広告を掲載した(乙第20号証)。さらに、被請求人は、平成13年12月及び同15年に「あっぱれひよ子の博多もち」の広告の掲載されたちらしを新聞折り込み広告として頒布した(乙第21号証の1及び乙第22号証)。また、被請求人は、「あっぱれひよ子の博多もち」の広告の掲載されたパンフレット(乙第23号証の1及び2)を作成し、2003年(平成15年)6月に当該パンフレットを頒布した。
これらの広告には、いずれも「あっぱれひよ子の博多もち」のパッケージ写真が掲載されており、該写真中の包装紙には、本件商標「ひよ子」の文字が付されていることが確認できる。さらに、これらの広告には、写真とは別に商品名「あっぱれひよ子の博多もち」が掲載されており、さらに、本件商標「ひよ子」の文字が商標的態様で付されている。
(b)「大福餅」等の商品について
被請求人は、よもぎ大福餅、栗大福餅、白大福餅、その他の餅(乙第24号証の1の第2頁目の写真参照)を永年にわたり、販売してきており、これらの餅を販売する際は、乙第24号証の1に示す白い包装箱に、これらの餅を入れて、当該包装箱を乙第25号証の本件商標「ひよ子」の付されたシールにより封印して販売している(乙第24号証の1)。あるいは、これらの餅を透明のフードパック(乙第26号証)に入れて、これらのフードパックを本件商標「ひよ子」の付されたショッピング袋(乙第39号証ないし乙第43号証)に入れて販売している。
被請求人が販売している餅は、上記乙第27号証の和菓子売上表にあるように、大福餅(苺大福、栗大福、ごま大福、大福、よもぎ大福、芋大福、豆大福)、花見餅、五月餅、花衣餅(乙第21号証の1のちらし参照)、たまご大福(乙第38号証のちらし参照)、甘栗大福、わらび餅等であり、これらの餅菓子中、少なくとも「よもぎ大福」は、いわゆる「よもぎ餅」であるから「餅(もち)」とも解され、よって、本件取消請求に係る指定商品「もち」に含まれる商品である。
(b-1)「大福餅」等についての本件商標の使用について
乙第24号証の1に示すように、これらの餅の包装箱に、本件商標「ひよ子」の付されたシール(乙第25号証)を貼着して販売している。
フードパック(乙第26号証)に餅を入れて販売する際は、餅の入ったフードパックを乙第39号証ないし乙第43号証に示すショッピング袋に入れて販売している。これらの袋には、本件商標「ひよ子」が前後面及び両側面、あるいは、前後面のみに付されている。
(b-2)広告、ちらし等
「大福餅」等については、乙第21号証の1及び2、乙第22号証、乙第38号証等のちらしに広告を掲載し、当該ちらしにおいて、各商品の写真、価格とともに、本件商標「ひよ子」が商標的態様にて付されている。また、花びら餅については、乙第21号証の3に店頭販売用のプライスカードが示されている。該プライスカードにも商品名、価格並びに本件商標「ひよ子」が付されている。
(b-3)「大福餅」等の販売実績
大福餅等の餅類の平成14年から同16年までの売上高と生産数量を乙第27号証に示す。同号証によると、被請求人は、商品「大福餅」等を本件取消請求に係る証明すべき使用期間である平成14年から同16年までの間に製造販売していた。例えば、苺大福の平成14年における売上金額は、828万9,276円であることがわかる。
また、乙第27号証に掲載された餅を含む和菓子全体の2001年(平成13年)から2004年(平成16年)までの純売上データを乙第11号証の1ないし4に示す。例えば、被請求人の2002年(平成14年)の和菓子の純売上高は、1億6,539万6,557円となっている。
(b-4)販売店舗
被請求人は、上記「大福餅」等を含む餅菓子を飯塚地区ベーカリー「サンミッシェル」を除いて、乙第12号証に掲載された全ての販売店舗にて販売していた。また、被請求人は、現在においても上記販売店において、上記餅菓子類を継続的に販売している。
(b-5)「大福餅」等の包装資材の仕入実績
乙第13号証の第4頁及び第5頁に、上記大福餅等のフードパックの平成13年から同16年までの被請求人の仕入実績を示す。仕入先は、いずれも有限会社包装の江島屋である。乙第28号証ないし乙第30号証にフードパックの請求書(写)を示す。このように、被請求人は、平成13年から同16年までの間に、「よもぎ大福」等の販売のためのフードパックを大量に仕入れていた。
(b-6)台紙(乙第24号証の2)
「よもぎ大福」等の底部に敷かれる丸型台紙の平成13年から同16年までの被請求人の仕入実績を乙第13号証の第10頁ないし第13頁に示す。
仕入れ先は、光紙工株式会社である。乙第31号証ないし乙第37号証に大福(白)及びよもぎ大福、ごま大福、栗大福、芋大福、苺大福、花衣餅、花見餅の各台紙の請求書(写)を示す。このように、被請求人は、「大福餅」等の販売のための丸型台紙を使用証明期間中に大量に仕入れており、これらの台紙を使用して各種餅を販売していた。
(b-7)留めシール(乙第25号証)
乙第13号証の第14頁に「ひよ子」の商標の記載された留シール(乙第25号証のもの)の平成13年から同16年までの間の被請求人の仕入実績を示す。仕入先は、大日本印刷株式会社である。また、乙第48号証にシールの平成14年4月分の請求書(写)を示す。このように、被請求人は、平成13年から同16年までの間に、留めシールを大量に仕入れ、「よもぎ大福」等の販売に使用していた。
(b-8)その他、ちらし等
被請求人は、平成14年3月に乙第38号証のちらしを作成し、新聞折り込み広告として頒布した。この乙第38号証のちらしには、ミニうぐいす餅、ミニ桜餅、桜餅、苺大福、たまご大福、花衣餅等の餅菓子の商品の写真、それらの価格とともに、本件商標「ひよ子」が付されている。乙第22号証(平成15年頒布)の「ひよ子/冬の贈り物」のちらしには、花びら餅の商品の写真、その価格とともに、当該ちらしの表紙に、「ひよ子/冬の贈り物」とのタイトルが記載されており、本件商標「ひよ子」が商標的態様で表示されている。乙第21号証の1(平成13年12月配布)のちらしにも、「花びら餅」、「花衣餅」、「花見餅」の各商品の写真、それらの価格とともに、本件商標「ひよ子」が商標的態様にて表示されている。なお、乙第21号証の2に毎年年末年始に販売している「花びら餅」のちらし、乙第21号証の3に「花びら餅」の店頭販売用のプライスカードを示す。
(イ)包装袋関係
(a)ショッピング袋等による使用実績について
被請求人は、「あっぱれひよ子の博多もち」(5個入り箱、あるいは、10個入り箱)、「よもぎ大福餅」等の餅類(紙包装箱、フードパック入り)を需要者が購入した場合、乙第39号証のショッピング紙袋(大)、乙第40号証のショッピング紙袋(小)、乙第41号証のショッピングポリ袋(大)に上記各箱を入れて販売している。上記ショッピング紙袋(大小)には、前後面及び両側面に、本件商標「ひよ子」が表記されており、上記ショッピングポリ袋の前後面には、本件商標「ひよ子」が付されている。よって、これらのショッピング袋に、「あっぱれひよ子の博多もち」、あるいは、「よもぎ大福」等を入れて販売することは、指定商品「もち」についての本件商標の使用に該当する。
また、被請求人は、需要者が「あっぱれひよ子の博多もち」や上記「よもぎ大福」等の餅をバラで購入した場合は、乙第42号証のサービス紙袋、乙第43号証のショッピングポリ袋(小)に各商品を入れて販売している。上記サービス紙袋には、前後面及び両側面に、本件商標「ひよ子」が表記されており、ショッピングポリ袋には、その前後面に、本件商標「ひよ子」が付されている。よって、これらの袋に、「あっぱれひよ子の博多もち」、「よもぎ大福」等を入れて販売することは、指定商品「もち」についての本件商標の使用に該当する。
(b)ショッピング袋の仕入実績について
乙第13号証の第7頁にショッピング紙袋(大)(小)(大は乙第39号証、小は乙第40号証に写真を示す。)の平成13年から同16年までの間の仕入実績を示す。仕入先は、ザ・パック株式会社である。また、乙第44号証にショッピング袋(大)(小)の平成14年4月分の請求書(写)を示す。このように、被請求人は、平成13年から同16年までの間に、ショッピング紙袋を大量に仕入れており、上記各商品の包装袋として使用していた。
乙第13号証の第8頁にショッピングポリ袋(大)(小)(大は乙第41号証、小は乙第43号証に写真を示す。)の平成13年から同16年までの間の被請求人の仕入実績を示す。仕入先は、ポリ袋(大)がザ・パック株式会社、ポリ袋(小)は川添石油株式会社である。また、乙第45号証にショッピングポリ袋(大)の平成15年4月分の請求書(写)を示す。乙第46号証にショッピングポリ袋(小)の平成14年4月分の請求書(写)を示す。このように、被請求人は、平成13年から同16年までの間にショッピングポリ袋を大量に仕入れており、上記各商品の包装袋として使用していた。
(c)サービス袋
乙第13号証の第9頁にサービス袋(乙第42号証に写真を示す。)の平成13年から同16年までの間の被請求人の仕入実績を示す。仕入先は、株式会社ネクスタである。また、乙第47号証にサービス袋の平成15年4月分の請求書を示す。このように、被請求人は、平成13年から同16年までの間にサービス袋を大量に仕入れており、上記各商品の包装袋として使用していた。
(ウ)その他
その他、使用証明期間外(平成13年11月16日以前)であるが、被請求人が本件取消請求に係る指定商品に、本件商標を使用していた事実を参考までに、以下、明らかにする。これらの事実は、被請求人が以下の使用時期から上記使用証明期間内に至るまで、本件商標の使用を引き続き行っていたことの間接的な裏付けになるものと思料する。
(a)被請求人は、平成13年7月20日付け及び同12年12月28日付けの西日本新聞にて「あっぱれひよ子の博多もち」の広告を行った(乙第49号証及び乙第50号証)。
(b)被請求人は、平成13年2月及び同11年10月頒布の新聞折込ちらしにおいて、本件商標「ひよ子」を付して、大福餅等の餅類の広告を行った(乙第51号証及び乙第52号証)。
(5)結語
以上のように、被請求人は、本件取消審判に係る使用期間である平成13年11月17日以降において、本件商標をその指定商品「もち」について、使用していた。また、その使用期間は、いわゆる駆け込み使用期間である平成16年7月28日から本件審判請求の登録日までの期間に該当しない。すなわち、上記使用事実からすると、被請求人は、本件商標を本件取消審判請求に係る指定商品について、上記所定の時期に使用していたことは明らかである。よって、本件取消審判は、明らかに認容されないものである。
(6)請求人の弁駁に対する再答弁
(ア)取消請求に係る商品「もち」についての請求人解釈に対する反論
(a)取消対象商品の不明確性
請求人は、本件審判における取消請求の対象となる指定商品が平仮名表記の「もち」であるとする。
しかしながら、本件商標の指定商品である第43類「菓子及び麺麭の類」には、請求人が主張する「もち」なる指定商品は存在しない。
したがって、本件商標が適用される大正10年商標法において、取消請求に係る商品「もち」が、いかなる商品を意味するのか、及び当該商品「もち」が、いかなる商品を包含するのかは不明であるといわざるを得ない。
(b)請求人解釈の不当性
請求人は、本件取消請求に係る商品「もち」が「もち菓子」とは非類似の「穀物の加工品」の範疇に属するものであり、甲第3号証の1及び2の写真に見ることのできるような食物であるとする(以下、取消請求に係る商品についての請求人による、かかる解釈を「請求人解釈」という)。
しかしながら、当該請求人解釈における「もち菓子」と非類似の「穀物の加工品」の範疇に属する食物なる概念は、現行法における、いわゆる「国際分類」(平成4年4月1日施行)における概念であるから、上記請求人解釈は、大正10年商標法における商品類別が適用される本件商標の「取消請求に係る商品」の解釈として不適切である。
(c)請求人解釈の根拠の不当性
請求人は、このような請求人解釈の根拠として、第1に「本件商標の商標登録出願時において採用されていた類似商品例集の第43類によれば、「餅」と並列して「餅菓子」なる商品が掲載されていること」(以下、これを「理由(1)」という)を挙げるが、この理由(1)が、なぜに、大正10年商標法の商品類別が適用される本件商標の商品を、上記請求人解釈のように、大正10年商標法における商品解釈を経ることなく、直接に現行「国際分類」に基づいて解釈し得るとする根拠になるのか不明である。
本件商標の指定商品の特定は、「菓子及び麺麭の類」との上位概念で行われており、被請求人は、当該上位概念に含まれる個々の商品について、何ら指定していない。よって、昭和31年1月改訂「類似商品例集」(甲第5号証)にも存在していない平仮名表記の「もち」なる商品を、国際分類に基づいて直接判断する上記請求人解釈は、その論理が飛躍しているし、根拠を見いだし難い。
請求人は、上記請求人解釈の根拠として、第2に、商品「餅」は、昭和35年4月1日より施行された新商標法施行令及び商標法施行規則に基づき定められた新たな「商品の区分」により、第32類の「もち」と表示される商品に移行したこと(以下、これを「理由(2)」という)を挙げるが、該理由(2)は、大正10年法の第43類の「餅」が、いわゆる昭和34年法において、第32類の「もち」に移行したことを示すのみであり、本件審判請求における平仮名表記の商品「もち」についての解釈を示すものではない。
すなわち、本件審判の取消請求の対象となる商品は、あくまでも、平仮名表記の「もち」であるから、まずもって、本件商標の指定商品の適用法令である大正10年商標法の商品類別において、当該取消請求に係る平仮名表記の「もち」が、いかなる商品であるか、いかなる商品を包含するかを検討すべきである。
よって、そのような検討を一切経ることなく、本件取消請求の対象となる商品を解釈すべきでない。
請求人は、上記請求人解釈の根拠として、第3に、平成4年1月1日より採用された国際分類において、「もち」と「もち菓子」が非類似の商品として取り扱われていること(以下、これを「理由(3)」という)を挙げるが、大正10年商標法が適用される本件商標の指定商品の解釈を、該理由(3)のように、直接的に現行法における「国際分類」で行うことは、不適切であるし、上記理由(3)を根拠として、なぜに、上記のような請求人解釈が成り立つのか、その根拠が不明である。
(d)被請求人の解釈
本件商標の指定商品が適用される大正10年商標法の類別表には、施行当初の商品類別(乙第2号証)においても、本件商標の出願時の改訂された商品類別(甲第5号証)においても、平仮名表記の「もち」なる商品は、存在しないため、当該平仮名表記の「もち」が大正10年商標法施行当初の商品類別における「餅」に相当するのか、あるいは、その後改訂のあった昭和31年1月改訂の類似商品例集における「餅」に相当するのかを特定することは不可能である。
また、大正10年商標法施行当時の商品類別には、「餅」のみの表記があり、その後の改訂において「餅」と「餅菓子」の表記がなされた改訂経緯からすると、施行当初の「餅」の概念には、下位概念として、「餅」と「餅菓子」の両方が含まれていた。すなわち、施行当初の「餅」には、下位概念として「餅菓子」が含まれていたと考えざるを得ない。
そして、本件商標の指定商品は、「菓子及び麺麭の類」という上位概念でのみ特定されているため、第43類の商品類別からすると、当該指定商品中には、下位概念として、漢字表記の「餅」が含まれているといえるが、このことをもって、直ちに、本件取消請求の対象である平仮名表記の「もち」が「餅菓子を含まない餅」であると断定することもできない。
以上の検討結果からすると、被請求人としては、本件取消請求に係る平仮名表記の「もち」が大正10年商標法の施行当初の商品類別である第43類「菓子及び麺麭の類」中の商品「餅」に対応するもの、すなわち下位概念として「餅」と「餅菓子」の両方を包含しているものと解さざるを得ない。
(イ)請求人の商品「もち」についての解釈の不当性について
(a)商品「もち」の解釈
請求人は、先述した請求人解釈を行った上で、さらに、商品「もち」についてと題して、辞典等の記載、業界の実情、農林水産省告示に基づく加工食品品質表示基準、業種等の現状に基づいて、各種主張を行い、取消請求に係る商品「もち」についての解釈を行っている。
かかる請求人解釈は、要するに、「本件取消請求に係る平仮名表記の商品『もち』は、(a-1)『もち菓子』、『餅菓子』と認識される『大福餅』『柏餅』『あべかわもち』『おはぎ』『切りさんしょう』『椿、柏、桜、笹葉などを使用して仕上げたもの』『団子』『磯焼き』『草餅』『よもぎ餅』『桜餅』等は含まれない。(a-2)『みたらし団子』『白玉団子』『大福もち』『さくらもち』『かしわもち』のような和菓子は含まれない。(a-3)『みたらし団子』『白玉団子』『大福もち』『さくらもち』『かしわもち』のように砂糖などで調味してあるものやあんを入れたものは含まれない。(a-4)『草もちにあんを入れたもの』は含まれない。(a-5)『砂糖が入ったもち』は含まれない。(a-6)原材料は『もち米』のみのものに限られる。」というものである。
しかしながら、「請求の趣旨」には、平仮名表記の商品「もち」としか記載されておらず、かかる商品「もち」は、大正10年商標法における商品類別に存在しない商品なのであるから、被請求人としては、いかに善意に解釈しようとも、当該「請求の趣旨」の記載のみから、取消請求の対象となる商品が上記(a-1)ないし(a-6)のような商品であると解釈することは、不可能というほかない。
請求人は、本件取消審判の請求の趣旨における平仮名表記の商品「もち」という不明瞭な記載をあえて行い、当該不明瞭さに乗じて、上記(a-1)ないし(a-6)に示すような根拠のない解釈を恣意的に行っているといわざるを得ない。
(b)請求人の商品「もち」の解釈の不当性
次に、上記(a-1)ないし(a-6)の解釈の基礎となった請求人主張について、その真偽を検討する。
請求人は、広辞苑等の辞書において、「もち」と「もち菓子」が異なる商品として説明されていることを繰り返し強調し、あたかも「もち」と「もち菓子」が完全に区別し得る商品であるかのような主張を展開するが、請求人主張とは全く異なる解釈がなされている文献は、以下のように、多数存在する。
(b-1)「簡明 食辞林」(乙第53号証)の「もち(餅)」の項には、「混合材料から:草餅、豆餅、のり餅、着色餅、ごま餅、しそ餅、ゆず餅など。・・・食塩・砂糖などで味付けしたもの、・・・」との記載があり、かかる記載からすると、「もち(餅)」の概念には、少なくとも「草餅」や「砂糖で味付けしたもの」が含まれ、上記請求人解釈と明らかに異なる。
(b-2)「飲食小事典」(乙第54号証)の「もち 餅」の項には、「江戸時代には、ヨモギ、ゴマ、ダイズ等を入れて保存食、携帯食として重宝がられた」との記載があり、「もち 餅」の概念には、江戸時代から「ヨモギ」をいれたものが含まれていることがわかる。かかる解釈は、上記請求人解釈と明らかに異なる。
(b-3)「菓子の辞典」(乙第55号証)の「2.3 もち類」の項には、「もち」の説明として、「鏡もち」「菱もち」「丸もち」等の説明とともに「砂糖もち」が挙げてあり、砂糖を混ぜ合わせたものも、「もち類」の概念に含まれる説明がなされている。これは、上記請求人解釈と明らかに矛盾する。
(b-4)「図説 江戸時代 食生活辞典」(乙第56号証)の「もち 餅」の項によると、「『日葡辞書』(慶長八年 一六〇三刊)にみえる餅の名は、カガミモチ、エンキャウ、アズキモチ、アンモチ、アブリモチ、クサモチ、クズモチ、クリコモチ、シロモチ、・・・」等の記載があり、古くから「もち 餅」の概念中には、「あんもち」や「くさもち」が含まれていることが記載されている。これは上記請求人解釈と明らかに異なる。
(b-5)「食品工業総合辞典 日本食品工業学会編」(乙第57号証)の「もち(餅)」の項目によると、「かきもちは、もちをなまこ形に伸ばし、端から薄切りにして乾燥したもので、豆、砂糖、ごま、青のりなどを加えて色や味をつけたものもある。」と記載され、「もち(餅)」の概念中に、砂糖等で味をつけたものが含まれることが記載されている。これは上記請求人解釈と明らかに異なる。
(b-6)「’95図説・日本の食品工業」(乙第58号証)の「和菓子の製品分類の一覧表」によると、「和菓子」の下位概念として「生菓子」があり、その下位概念として「もち物」があり、その概念中に「もち」が含まれている。すなわち、かかる一覧表によると、「もち」は、生菓子、和菓子の一種ととらえられている。かかる一覧表の概念は、「もち」は、概念的に和菓子に包含される概念として説明されており、「もち」と「もち菓子」が明確に異なる商品であるとする請求人主張と明らかに矛盾する。
(b-7)「日本国語大辞典」(乙第59号証)の「もち(餅)」の項によると、「そのまま食したり、餡(あん)や黄粉(きなこ)をつけて食べたり・・・。」「また、艾(よもぎ)の若芽をつき込んだりするものもある。」等と記載されており、餡入りのもちや黄粉入りのもち、あるいは、よもぎを混ぜたものも、「もち(餅)」の概念に含まれるものとして説明されている。これは上記請求人解釈と明らかに矛盾している。
また、「日本國語大辞典 第十九巻」(乙第60号証)の「もち(餅)」の項にも同様の説明がある。
このように、「もち」に関する請求人主張は、請求人独自の恣意的見解であり、何ら客観性のあるものではない。
(ウ)請求人の主張「業界の実情その1」の不当性について
請求人は、2005年食品マーケティング便覧No.3の資料(甲第8号証)に基づいて、平成15年の「包装もち」の売上上位6社を挙げ、各社は、「もち」を製造販売するものであるにもかかわらず、「もち菓子」を販売している事実を確認することはできなかった。かかる事実は、「もち」と「もち菓子」が異なる製造業者により製造販売される別異の商品であることを示す証左にほかならない等と主張する。
しかしながら、上記売上上位6社中、第3位の「株式会社きむら食品」のホームページによると(乙第61号証参照)、同社は、「あんサンド」という商品名で「小倉つぶあん」、「黒ごまあん」、「黒糖もち」の3種のあん入りもちを販売しており、これらの商品は、請求人主張によると、「もち菓子」の範疇に該当する商品である。
よって、「もち」と「もち菓子」が異なる製造業者により製造販売される別異の商品であるとする上記請求人の主張は、事実に反する主張というほかない。
(エ)請求人の主張「業界の実情その2」の不当性について
請求人は、農林水産省の加工食品品質表示基準改定案別表2に掲げる加工食品の範囲の考え方(案)(甲第10号証の2)に基づいて、「あんを入れた草もち」及び「砂糖を入れたもち」は、「和菓子」の範囲に含まれると主張している。
しかしながら、「農林水産省の加工食品品質表示基準改定(案)」(甲第10号証の2)においても、「6.もち」の範囲(同号証の第5頁)において「草餅、豆餅のように、副原料を使用した包装もちについても対象となります。」と記載されているように、「草餅」は、「もち」の概念に含まれるものとして説明されている。これは、「もち菓子」に「草もち」が包含されているとする請求人主張、「草もち」が「もち菓子」であるとする主張と相反するものであり、請求人の主張自体、根本的に矛盾を抱えている。
なお、そもそも、本件審判における取消請求に係る商品の解釈を農林水産省の加工食品品質表示基準(案)に沿って行うこと自体不可解であり、理解に苦しむ。
(オ)請求人の主張「業界の実情その3」について
請求人は、一般消費者向けの「和菓子入門」等の書籍に、「大福もち」、「うぐいすもち」、「桜もち」等が「もち菓子」ないしは「和菓子」として紹介されていること(例えば、甲第11号証の第125頁、甲第12号証の第110頁及び第111頁)を根拠に、これらの商品は、「もち菓子」であり、「もち」とは明らかに異なる商品であると認識されていると主張する。
被請求人としても、「大福餅」等がいわゆる「餅菓子」の概念に包含されることについては異論が無い。
ただ、被請求人は、大正10年商標法の第43類の「餅」には、「餅菓子」が概念的に含まれると解されることからして、本件審判の取消請求に係る平仮名表記の商品「もち」の概念には、大正10年商標法の商品類別表の「餅」と「餅菓子」の両方が含まれると解され、ゆえに、「餅菓子」の範疇に属する「大福餅」、「柏餅」等の商品についての本件商標の使用の証明により、本件取消審判における平仮名表記の商品「もち」についての登録の取消しを免れると主張しているのである。
また、「草もち」ないし「よもぎもち」等が「餅」に相当するとする文献(乙第5号証、乙第53号証及び乙第54号証、甲第10号証の2及び3等)もあれば、「草もち」「よもぎもち」等が「餅菓子」に相当するとする文献(乙第8号証、甲第7号証の3及び5)もあり、既に述べたように、概念的には、「もち」にも包含されるし、「もち菓子」にも包含される商品が存在し、よって、上記請求人主張のように、「もち」と「もち菓子」をしゅんべつすることは、現実には不可能である。
(カ)請求人の主張「業界の実情その4」の不当性について
請求人は、佐藤食品工業株式会社が「和菓子」を販売していない点、及び被請求人の会社案内に「菓子メーカー」であると説明されている点を取り上げて、「もち」と「もち菓子」は、異なる業種の製造業者の取り扱いに係る商品であると断定する。
しかしながら、乙第61号証にて既に示したように、株式会社きむら食品は、「あんサンド」と称する「小倉つぶあん」、「黒糖」等を含んだもち商品、すなわち請求人主張に係る「もち菓子」を製造販売している。
よって、「もち」と「もち菓子」が異なる業種の製造業者の取り扱いに係る商品であるとする上記請求人主張は、明らかに事実に反する。
ここで、上記請求人の主張が、いかに現実からかいりした主張であるかを乙第62号証ないし乙第74号証により証明する。すなわち、鳥取県米子市の「もちっ子庵」では、請求人主張の「もち」の範疇に属する「正月用鏡もち」を販売していると同時に、請求人主張に係る「もち菓子」の範疇に属する「おはぎ」、「大福もち」も販売し(乙第62号証)、兵庫県姫路市の「前原製粉株式会社」では、請求人主張に係る「もち」の範疇に属すると思われる「まるもち」、「きりもち」、「スライスもち」、「鏡もち」を製造販売していると同時に、請求人主張に係る「もち菓子」の範疇に属すると思われる「蓬もち」、「わらび餅セット」、「ハチミツきな粉付わらび餅セット」「みたらしだんごセット」を製造販売している(乙第63号証)ほか、同一人が請求人主張に係る「もち」の範疇に属すると思われる商品の製造販売と同時に、請求人主張に係る「もち菓子」の範疇に属すると思われる商品を製造販売している例が多数ある(乙第64号証ないし乙第74号証)。
このように、「もち」と「もち菓子」とが異なる業種の製造業者の取り扱いに係る商品であるとする上記請求人の主張は、明らかに事実に反する。
(キ)請求人の主張中、「特許庁における商品『もち』の取り扱い」について
請求人は、「類似商品・役務審査基準」において、「もち」と「もち菓子」が非類似の商品であり、備考類似の関係にもない旨の主張をしている。
しかしながら、当該審査基準は、「本基準において□(四角カッコ)で囲った見出しの商品又は役務に含まれるものは、原則として、互いに類似商品又は類似役務であると『推定』するものです。・・・本基準で『類似』と推定したものでも『非類似』と認められる場合又はその逆の場合もあり得ます。」(乙第75号証)と記載されているように、上記基準は、あくまでも「推定」であり、現実の取引の実情等によっては、「非類似」と「推定」されている商品が「類似」と判断される場合もあり得る。
この点に関し、類似群コード「30A01」の「菓子及びパン」に属する「パイ」と、類似群コード「32F06」の「ミートパイ」とが類似すると判断された審決例がある(無効2004-35071)。また、最高裁判所第3小法廷、昭和36年6月27日判決も参照。
このように、すなわち乙第62号証ないし乙第74号証に示されているように、「もち」と「もち菓子」とが同一営業主により製造又は販売されている実情にかんがみると、それらの商品に、同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められるから、「もち」と「もち菓子」は、少なくとも類似の関係にあるものといわざるを得ない。
以上のように、「もち」と「もち菓子」の取引の実態にかんがみると、「類似商品・役務審査基準」は、「もち」と「もち菓子」が異なる商品であるとする請求人主張を裏付ける根拠にはなり得ない。
(ク)以上のように、上記各事実を勘案すると、被請求人が世間一般に「おもち」と呼ばれる、甲第3号証の1及び2に見ることのできるような商品について、本件商標の使用を証明しない限り、本件商標は、取消請求に係る商品「もち」についての登録の取消しを免れないとする請求人の主張は、請求人にとって、都合の良い証拠のみに基づいてなされたものであり、かつ、請求人の恣意的な判断に基づくものであって、何ら客観性のないものであると断言せざるを得ない。
(ケ)取消請求に係る商品の実質的一部取下げについて
請求人は、本件審判の「請求の趣旨」において、平仮名表記の商品「もち」という本件商標に係る指定商品(大正10年商標法)中には存在しない商品を記載し、取消対象となる商品をあえて不明瞭な状態においた上で、弁駁書において、本件審判における取消対象となる商品「もち」には、「もち菓子」が含まれない等、取消請求の対象商品から「もち菓子」を除く主張を行った。
かかる請求人の主張は、実質的に取消対象となる指定商品の一部取下に該当するものであり、このような主張は、不使用取消審判において、認められない(商標法第56条第2項において準用する特許法第155条第3項、商標法第50条第2項)。
また、かかる請求人の主張は、明らかに「請求の趣旨」の要旨変更にも該当する(商標法第56条において準用する特許法第131条の2第1項)。
(コ)その他の事項に関する請求人の弁駁に対する被請求人の再答弁
(a)被請求人の使用立証に係る商品への請求人の主張に対して
請求人は、被請求人の使用に係る「あっぱれひよ子の博多もち」、「花びら餅」、「花衣餅」、「白大福」、「ミニうぐいす餅」、「ミニ桜餅」等は、本件取消請求に係る「もち」ではなく、「もち菓子」又は「和菓子」であると主張する。
しかしながら、被請求人は、「あっぱれひよ子の博多もち」については、本件取消請求に係る「もち」の概念に含まれる「餅菓子」に該当すると主張しており、「大福餅」、「花見餅」、「花衣餅」等については、「餅菓子」に相当し、本件取消請求に係る指定商品「もち」に含まれる商品であると主張しており、これらの商品を、いわゆる「鏡餅」や「切餅」等と同視し得る「餅」と主張しているわけではない。
被請求人は、本件取消請求に係る平仮名表記の商品「もち」が、大正10年商標法における商品類別の「餅」及び「餅菓子」を含む概念であるから、少なくとも「餅菓子」についての使用を証明すれば、当該商品「もち」についての登録の取消しを免れると主張しているのである。請求人は、かかる被請求人の主張を誤解している。
(b)「あっぱれひよ子の博多もち」への請求人の主張に対して
請求人は、乙第9号証の1ないし3については、「撮影年月日、撮影者及び撮影場所等が不明」であると主張する。
そこで、上記乙第9号証の写真、その他、答弁書にて提出した証拠の「撮影年月日、撮影者及び撮影場所」を明らかにすると、乙第9号証の1ないし3、乙第24号証の1の第2頁は平成16年12月18日、乙第24号証の1の第1頁、乙第24号証の2、及び乙第26号証は平成16年12月24日に、それぞれ撮影され、いずれも、撮影者は弁理士藤井重男であり、撮影場所は福岡市中央区大名2丁目4番22号 新日本ビル5階 藤井特許法律事務所内である。
また、被請求人としては、写真であることに起因する疑義を解消するために、乙第9号証の1ないし3の写真に示される「あっぱれひよ子の博多もち」の個装紙及び機械包装前の状態の個装紙(ロール状の包装紙の1単位)、掛紙(5個入り、10個入り)の現物を乙第76号証ないし乙第80号証として提出する。乙第76号証は、乙第9号証の2、乙第78号証は、乙第9号証の3に対応するものであり、各々賞味期限である「04.12.27」の表示がある。
請求人は、乙第17号証の写真の撮影日付が「‘01 3 24」(平成13年3月24日)であって、本件審判請求に係る使用証明期間の始期である平成13年11月16日より以前であるから、証拠として採用されるべきでないと主張する。
しかしながら、被請求人としては、間接的な証拠を含めて、その他の複数の証拠方法に基づいて使用事実の立証をしているわけであり、乙第17号証のみで使用の証明をしているわけではない。
乙第17号証の写真は、使用証明期間の始期である「平成13年11月16日」から約8ヶ月前の写真であるが、乙第10号証の売上高及び生産数量によれば、被請求人は、「あっぱれひよ子の博多もち」を平成7年から同16年まで継続的に販売している事実が確認できるし、乙第11号証の1ないし4の9月度の売上月報によれば、少なくとも、同商品を2001年(平成13年)から2004年(平成16年)までの各9月に、同商品を販売している事実が確認できるし、乙第20号証によれば、当該商品の広告を使用証明期間内である平成13年12月28日付けの西日本新聞に行っていることが確認できるし、乙第21号証の1によれば、当該商品のちらし広告を使用証明期間内である平成13年12月に行っていることが確認できるし、乙第22号証によれば、当該商品のちらし広告を使用証明期間内である平成15年に行っていることが確認できるし、乙第23号証の2によれば、被請求人の商品パンフレットに当該商品の広告を使用証明期間内である平成15年6月に行っていることが確認できるし、さらに、乙第13号証及び乙第14号証の1及び2等によると、本件商標「ひよこ」と社会通念上同一と判断し得る「ひよ子」の表示された包装資材(個装紙、掛紙等)を平成13年から同16年までの間に大量に仕入れている事実が確認できる。
このように、乙第17号証を含む上記各号証の事実をかんがみるに、被請求人は、少なくとも、平成13年から同16年までの3年間に、「あっぱれひよ子の博多もち」を大量に販売していたことは明らかである。
(c)請求人は、乙第22号証、乙第23号証の1及び2、乙第49号証等には、本件商標と同一又は社会通念上同一と判断し得る「ひよ子」の文字は見当らず、本件商標を使用していることを確認できる記載は見当らない旨主張する。
そこで、これらの各号証のコピーに「ひよ子」と社会通念上同一と判断し得る使用部分をマーキングしたものを各々乙第84号証ないし乙第86号証として提出する。
乙第84号証(乙第22号証のコピー)に示すとおり、これには、商品「あっぱれひよ子の博多もち」の広告を含むちらしの表紙における「ひよ子」の表示、同表紙の「ひよ子本舗吉野堂」中の「ひよ子」の表示、上記商品の広告ページの「ひよ子の博多もち」中の「ひよ子」の表示、商品パッケージの写真上の「あっぱれひよ子の博多もち」中の「ひよ子」の表示、及び同商品パッケージの写真上の「ひよ子本舗吉野堂」中の「ひよ子」の表示、さらに、当該ちらしの最終ページの「ひよ子本舗吉野堂」中の「ひよ子」の表示があり、これらは、いずれも広告商品である「餅菓子」について、本件商標と社会通念上同一の商標「ひよ子」を使用しているものである。
上記各態様が本件商標の「使用」に該当することは、平成8年商標法改正前の更新登録時の使用の有無の実体審査に係る旧審査基準(乙第87号証)からも明らかである。
(d)請求人は、乙第10号証の売上実績表、乙第11号証の1ないし4の商品別売上月報が内部資料であるから、本件審判の証拠として採用されるべきではないと主張するとともに、乙第12号証に掲載される店舗等における商品の販売実績は、明らかでない旨主張する。
そこで、乙第12号証に示される天神店における「大福餅」等の餅類及び「あっぱれひよ子の博多餅」の平成14年から同17年までの販売数量及び売上額を乙第88号証に示す。同号証によると、例えば、平成15年においては、「天神店」における「あっぱれひよ子の博多もち」の売上額は、111万1,616円であり、同商品を大量に販売していたことがわかる。
また、現在においても、実際に「あっぱれひよ子の博多もち」を販売していることを証するために、ひよ子ランド本店、天神店、小倉店、飯塚店、ステーション1号店、デイトス1号店における同商品の販売状況を示す写真を乙第89号証の1ないし6に示す。
(e)請求人は、さらに、商品「あっぱれひよ子の博多もち」の包装用紙等の受発注実績を示す乙第13号証ないし乙第16号証及び商品の包装紙を変更したことを示す乙第19号証について、これらは、特定の商品について、使用されたことを明らかにするものではないと主張する。
しかしながら、例えば、乙第13号証の第1頁に示す「あっぱれひよ子の博多もち」の「個装紙」は、乙第9号証の2、乙第76号証、乙第79号証及び乙第80号証に示す同商品の包装であり、これらの証拠から明らかなように、被請求人は、同商品の包装に、本件商標と社会通念上同一の商標「ひよ子」を付しており、当該行為は、同商品「餅菓子」についての標章の使用に該当する(商標法第2条第3項第1号)。そして、被請求人は、乙第13号証に示すように、当該「個装紙」を平成13年から同16年までの間に、大量に仕入れており、これは、平成13年から同16年までに当該個装紙に包装された「あっぱれひよ子の博多もち」を大量に販売したことを裏付ける証拠となるものである。また、上記「あっぱれひよ子の博多もち」の販売行為も本件商標の使用に該当するが(商標法第2条第3項第2号)、このように、乙第13号証は、本件商標の使用である当該販売行為が行われていたことの裏付けとなるものである。
さらに、被請求人は、平成13年12月28日付けの西日本新聞に、同商品の広告(旧デザイン)を行い、同年12月には、広告用ちらしに同商品の広告(旧デザイン)を掲載し、平成15年4月中旬頃より、同商品の包装紙のリニューアルを行い、同年には、広告用ちらしに同商品の広告(新デザイン)を掲載し、同年6月には、商品パンフレットに同商品の広告(新デザイン)を掲載した(乙第19号証ないし乙第23号証)。なお、使用証明期間外であるが、被請求人は、平成12年12月28日付けで全国紙たる毎日新聞に同商品の広告(旧デザイン)を行い、平成13年7月20日付けで全国紙たる日本経済新聞に、同商品の広告(旧デザイン)を行った(乙第49号証及び乙第50号証)。
このように、乙第19号証の包装紙のデザイン変更を境として、「あっぱれひよ子の博多もち」のパーケージデザインが旧デザインから新デザインに移行していることがわかる。すなわち、乙第19号証は、本件商標を使用した同商品のパッケージデザインの変遷を裏付ける証拠となるものである。
(f)その他の商品についての請求人の主張について
請求人は、乙第21号証の2及び3には、本件商標「ひよ子」が表示されておらず、「チラシ」の頒布日も明らかでない旨主張する。
しかしながら、「花びら餅」については、平成13年12月作成のちらし広告の中に、同商品の広告が掲載されており(乙第21号証の1)、同広告の上部には、「お歳暮はひよ子のお菓子で」との表記があり、同表記中の「ひよ子」の表示、及び同広告の下部には、「ひよ子本舗吉野堂」の表示があり、同表記中の「ひよ子」の表示、乙第21号証の2及び3には、各々「ひよ子本舗吉野堂」の表示があり、同表記中の「ひよ子」の表示等は、本件商標と社会通念上同一の商標であり、これらの表示によって、明らかに「餅菓子」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。なお、乙第21号証の1ないし3の各コピーに、使用部分をマーキングしたものを乙第81号証ないし乙第83号証として提出する。
また、乙第21号証の1(平成13年12月作成)に「配送期間12月1日土→1月15日火」と記載されているように、「花びら餅」は、「お正月の和菓子」であり、お歳暮商品として、年末から年始にかけて毎年販売される商品である。乙第21号証の2のチラシも、年末年始にかけて毎年作成され、頒布されるものである。
さらに、請求人は、乙第24号証の1ないし乙第26号証、乙第39号証ないし乙第43号証について、撮影年月日、撮影者及び撮影場所が不明である旨主張するので、これらの情報について明らかにすると、乙第24号証ないし乙第26号証については、既述のとおりであり、乙第39号証ないし乙第43号証については、撮影年月日 平成16年12月24日、撮影者 弁理士藤井重男、撮影場所 福岡市中央区大名2丁目4番22号 新日本ビル5階 藤井特許法律事務所内である。
なお、上記各証拠が写真であることに基づく疑義を解消するため、乙第39号証ないし乙第43号証の写真に示した各種袋の現物を乙第90号証ないし乙第94号証として提出する。
また、請求人は、乙第24号証の2(丸型台紙)には、製造販売者としての「株式会社ひよ子」の表示をみることはできるものの、本件商標は表示されていない旨主張する。
乙第24号証の2における大福餅等の「株式会社ひよ子」が表示された丸型台紙は、乙第24号証の1に示すように、大福餅等の下面に敷かれるもので、個々の大福餅等は、上記丸型台紙を下面に敷いた状態で透明フィルムによって個別包装される。これらの大福餅等の販売時は、乙第24号証の1に示す白い箱に収容され、乙第25号証のシールで封印された状態で販売される(乙第24号証の1の状態)。上記シールには、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「ひよ子」が付されており、当該商標「ひよ子」が付された当該シールで大福餅等の収容された箱を封印して、当該大福餅等を販売することは、「餅菓子」についての本件商標の使用に該当する(商標法第2条第3項第1号及び第2号)。
上記請求人の主張は、被請求人の主張を殊更無視し、証拠の断片だけをとらえた恣意的見解にすぎない。
さらに、請求人は、乙第12証のみでは、当該事業所及び店舗において、前記商品が販売された実績が明らかでない旨主張する。
この点に関して、被請求人は、既に乙第88号証を提出し、「天神店」における販売実績を明らかにした。また、被請求人は、「大福餅」等の餅菓子について、2001年(平成13年)ないし2004年(平成16年)の各9月において、乙第11号証の1ないし4に示す売上実績をあげている。
そして、上記各事実に加えて、乙第13号証におけるフードパック、丸型台紙、シール等の包装資材の購入実績(乙第28号証ないし乙第36号証)等を総合的に判断すると、被請求人は、乙第12号証の各店舗において、「大福餅」等の「餅菓子」について、本件商標を使用していたことが明らかである。
また、請求人は、乙第39号証ないし乙第43号証に示す各種袋類に、「あっぱれひよ子の博多もち」、あるいは、「大福餅」等を入れて、販売している客観的な証拠はない旨主張し、さらに、汎用性のある袋に表示される標章は、取引者・需要者をして、特定の商品を識別するための標章とは把握し得ないと主張する。
しかしながら、「あっぱれひよ子の博多もち」は、当該商品のみで年間6,900万円(生産数量は85万3,000個)を売り上げる商品であり、大福餅等の「餅菓子」は、約1億5,000万円を売り上げる商品であり、これらの商品の販売時に、乙第39号証ないし乙第43号証のいずれかの袋が使用されていることからすると、上記袋が「特定の商品を識別するための標章と把握し得ない。」とする上記請求人の主張は、上記各商品の売上実績等を無視した理由のないものといわざるを得ない。
また、上記各種袋の仕入れ実績(乙第13号証)の規模の大きさ及び上記各商品の販売実績(乙第10号証及び乙第27号証)の規模の大きさからして、被請求人が各店舗において、これらの袋類に上記各商品を入れて、販売していたことは明らかである。
(サ)その他の使用事実
被請求人は、商品「あっぱれひよ子の博多もち」について、株式会社博報堂作成のテレビコマーシャルを平成13年から同14年までの間に、多数放映した。当該テレビコマーシャル(あっぱれな殿様篇)の静止画像(一部)を乙第97号証に示す。
被請求人は、平成13年11月、同年12月及び同14年1月に、RKB(毎日放送)「ニュースポート」(土及び日)、FBS(福岡放送)「ザ・ワイド」、RKB「ニュースの森」、FBS「ドラマシリーズ」において、同テレビコマーシャル(あっぱれな殿様篇)を多数放映した(乙第95号証の1ないし9及び乙第96号証の1ないし6)。
この「あっぱれひよ子の博多もち」のテレビコマーシャル(あっぱれな殿様篇)においても、テレビ画面上に同商品とともに、本件商標と社会通念上同一と認められる「ひよ子」の文字が写し出され、さらに、コマーシャルの最後に、当該「ひよ子」の文字が映し出されており(乙第97号証)、かかるテレビコマーシャルは、「餅菓子」についての本件商標の使用に該当する。
第4 当審の判断
1 本件取消請求に係る商品「もち」について
本件審判の取消請求に係る商品「もち」の解釈について、当事者間に争いがあるので、先ず、この点について、以下に検討する。
(1)本件商標は、上記1のとおり、昭和32年6月4日に登録出願されたものであって、その出願当時は、大正10年法律第99号による商標法の下で、商標法施行規則(農商務省令第36号)第15条に規定する70類別からなる商品類別が適用されており、本件商標の指定商品も同類別に従い、第43類「菓子及び麺ぽうの類」と表示されていたものである。
特許庁商標課編「商品類別集」(社団法人発明協会発行)によれば、本件商標の登録出願時に採用されていた昭和31年1月改訂の「類似商品例集(改訂版)」には、第43類に属する商品として「菓子及麺麭の類」の包括概念の下に、「一『干菓子類、蒸菓子類、西洋菓子、炒栗、茹栗、麺麭』」という中概念を設け、さらに、その小概念として、「八つ橋、松風焼、紅梅焼、煎餅、カリントー・・・羊羹、饅頭、ぱんじゆう、最中、餅菓子、餅、あんころ、団子、チマキ、しるこ、ぜんざい・・・」が例示されていた。
なお、この「類似商品例集(改訂版)」においては、各類の一、二、三という各記号の下に羅列されている商品は、一応類似商品であると推定されていた。つまり、第43類には記号「一」しかなく、同類に含まれる商品は、全て類似商品と推定されていた。
そうすると、上記のとおり、本件商標の指定商品は、包括表示になっているところ、その中には、「餅」及び「餅菓子」が含まれているというべきである。
この商品類別は、昭和34年法律第127号による商標法に基づく34区分からなる「商品の区分」に改正され、上記例示中の「餅菓子」は、第30類「菓子、パン」中の「和菓子」に属する「もち菓子」に移行し、同じく「餅」は、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く。)」中の「加工穀物」に属する「もち」に移行するとともに、両者は、非類似商品として扱われることになった。なお、上記「和菓子」に属する商品として、「もち菓子」とともに、「蒸し菓子、羊かん、もなか、だんご、あんころ、汁粉、ぜんざい」等が例示されている。
さらに、平成3年法律第65号による商標法改正に基づく国際分類の採用により、この「もち菓子」は、第30類「菓子及びパン」中の「和菓子」に属する「もち菓子」として、「もち」は、第30類「穀物の加工品」に属する「もち」として、それぞれ例示された。また、昭和34年商標法において、「もち菓子」及び「もち」と平仮名表示になったが、それは、当時の仮名表記の都合上、そのように表現したものであり、漢字表示の「餅菓子」及び「餅」と実質的に何ら変わりはないというべきである。
これら商品の類別(区分)の変遷からすれば、「餅」と「餅菓子」とは、本件商標の登録出願時(昭和32年6月4日)においては、別異の商品として取り扱われ、その後の類別(区分)が変更されてからも、別異の商品として取り扱われているものといえる。
(2)被請求人は、大正10年の商標法下における商品類別の第43類中には、本件取消請求に係る平仮名表記の「もち」が存在せず、「もち」を「餅」と特定することは困難である旨主張しているが、上記のとおり、「もち」と「餅」とは、単なる仮名表記の差異にすぎず、実質的に変わりはないものである。
また、被請求人は、大正10年の商標法施行当時の商品類別第43類には、「餅」のみの表記があり、その後の改訂において、「餅」と「餅菓子」が表記された経緯からすると、「餅」には、下位概念として、「餅」と「餅菓子」の両方が含まれていた旨主張しているが、上記のとおり、本件商標の登録出願時に採用されていた昭和31年1月改訂「類似商品例集(改訂版)」においては、「餅菓子」と「餅」とは、ともに「羊羹、饅頭、ぱんじゆう、最中、あんころ、団子、チマキ、しるこ、ぜんざい」の商品群に属する商品として併記されており、「餅」の下位概念に「餅菓子」があるのではない。
むしろ、昭和7年3月調の「類似商品例集」によれば、「餅菓子」と「餅」は、ともに「蒸菓子類」に属する商品として例示されていながら、互いに非類似の商品として扱われていたものであること、上記昭和31年1月改訂「類似商品例集(改訂版)」においても、上位概念として「干菓子類、蒸菓子類、西洋菓子、・・・」が表示されていること、「八つ橋、松風焼、紅梅焼、煎餅、カリントー・・・砂糖菓子」の商品群、「羊羹、饅頭、ぱんじゆう、最中、餅菓子、餅、あんころ、団子、チマキ、しるこ、ぜんざい」の商品群、「カステーラ、ドーナツ、・・・プッデング」の商品群等とは、それぞれ行(ぎょう)分けして別に表示されていることからすると、両者は、ともに「蒸菓子類」の下位概念に属するものというべきである。
したがって、たとえ、昭和31年1月改訂「類似商品例集(改訂版)」において、「餅」と「餅菓子」とが類似する商品の関係にあったとしても、それぞれは、独立した商品であって、対等の関係にあり、上記のとおり、併記されていたものであるから、「餅」「もち」と「餅菓子」「もち菓子」とは別異の商品というべきであり、この点に関する被請求人の主張は、採用することができない。
(3)以上の補足として、商品「もち」について見ると、各種辞典類には、「糯米を蒸し、臼で搗いて種々の形に作った食物。多く正月・節句や祝事に搗く。」(甲第2号証、乙第4号証:「広辞苑」)、「糯米を蒸して十分粘りけの出るまで臼で搗き、丸めたり、平たくのしたりしたもの。そのまま食したり、餡や黄粉をつけて食べたり、乾燥させたあと焼いたり、煮たりして食する。糯米以外に、粟、黍などでもつくる。また、艾の若芽をつき込んだりするものもある。正月、節供、祭、新築祝いなど、主に慶事の時につく。」(乙第60号証及び乙第61号証:「日本国(又は國)語大辞典」)等と説明されている。
また、食品関係の事典類には、「もち種の穀類を蒸し、臼で十分つきこねたもの。<種類>形から:平たくのばしたのし餅、これを切った<切り餅>、まるめた丸餅、その他鶴の子餅<菱餅>、<なまこ餅>など。材料から:米餅(糯トウモロコシでんぷんを混入したものもある)あわ餅、<きび餅>、<ひえ餅>など。混合材料から:草餅、<豆餅>、<のり餅>、<着色餅>、<ごま餅>、<しそ餅>、<ゆず餅>など。つきたての餅を、少量の水を加えた麹に入れ放置する<麹餅>、食塩・砂糖などで味付したもの、食べ方による各種の名称のものがあり、その種類は多い。餅は水分が多いので放置するとカビが生えやすい。<保存法>水に浸漬する<水餅>、乾燥したかき餅、凍らせる<凍り餅>などが行われる。最近は、プラスチックフィルムで包装したのし餅状、レトルト殺菌した切り餅状のものがある。」(乙第54号証:「簡明食辞林」)、「もち米を水に浸漬してせいろうで蒸し、臼に入れてつき、十分粘りを出したもの。つきたてのもちの澱粉はα化していて消化がよいが、そのまま放置すると、乾燥とともに澱粉がα型からβ型に変化して生澱粉となり、硬くまずくなる。消化も悪くなる。しかし、これを加熱すれば、また、もとに戻り、軟らかくなり、消化もよくなる。もちには平たく伸ばしたのしもち、これを切ったきりもち、お鏡ともよばれ、正月の祝いに使うかがみもちなどがある。もちは水分をかなり含んでいるので、ついてからそのまま置くとカビがつき味がおちる。家庭ではポリエチレンの袋に入れて冷蔵庫に入れるとか風通しのよい所に置くと比較的カビを防ぐことができる。もちを上手に保存できるようにしたものに、かきもち、氷もち、水もち、包装もちなどがある。かきもちは、もちをなまこ形に伸ばし、端から薄切りにして乾燥したもので、豆、砂糖、ごま、青のりなどを加えて色や味をつけたものもある。氷もちは、もちを一度凍結してから乾燥したもので、寒い地方で自然条件を利用してつくられる。水もちはもちを水に浸しておく方法で、カビがはえないし、味も保てる。包装もちはプラスチックフィルムで包装したのしもち状のもの、レトルト殺菌したきりもち状のものがある。」(乙第58号証:「食品工業総合事典」)等と説明されている。
これら辞典・事典類の説明からすると、「もち」は、もち種の穀類を蒸し、臼で搗いて種々の形に作った食物であって、その形状によって、のしもち、切りもち、丸もち等と呼ばれるほか、その材料や混入する材料によって、米もち、あわもち、草もち、豆もち等様々なものがあるといえる。
(4)他方、商品「もち菓子」について見ると、各種辞典・事典類には、「もち」とは別項を設け、「餅・糯粉・しん粉などを材料として製した菓子。大福餅・柏餅などの類。」(前掲「広辞苑」)、「餅、もち粉、しん粉などを主原料とした菓子の総称。種類は多く、大福餅をはじめ、椿餅、うぐいす餅、桜餅、柏餅や、すはま、切ざんしょなどがある。」(前掲「簡明食辞林」)、「もちを使って作った菓子の総称」(甲第7号証の1:「百菓辞典」)、「もち米、もち米粉、上新粉などを材料にした菓子の総称。あべかわもち、おはぎ、かしわもち、切りざんしょう、大福もち等その種類は多い。」(甲第7号証の2:「改訂調理用語辞典」)等と説明されている。また、株式会社製菓実験社発行「新和菓子大系上巻」(甲第7号証の3)では、「餅と餅菓子の概念」の項において、「餅」と対比して、「餅菓子は、精米または糯米粉、粳米粉(新粉)、砂糖、葛粉その他の粉類、果実類などを使用し、おもに餡を包み、品種によって椿、柏、桜、笹葉などを使用して仕上げたものである。」と記述されている。
これら辞典・事典類の説明からすると、「もち菓子」は、もち、糯粉、しん粉などを材料として製した菓子の総称ということができ、あくまでも「菓子」の範疇に属するものであり、穀物の加工品たる上記「もち」とは異なり、いわば、「もち」を更に加工したものともいえる。
(5)被請求人は、「もち」の概念には、少なくとも「草餅、大豆餅、小豆餅、粽、団子」等が含まれるとし、更に、「草餅」には、あんを包んだものとあんの無いものとが含まれることから、いわゆる「餅(もち)」の概念中には、「あん入り草餅」又は「あん入りよもぎ餅」等のように、一般に「もち菓子」とみなされているものも含まれる旨主張している。
しかしながら、既に述べたように、「もち」と「もち菓子」は、別異の商品であり、被請求人が主張する「草餅、大豆餅、小豆餅」等は、「もち」に混入する材料を端的に示したものであって、あくまでも穀物の加工品たる「もち」の範疇に属するものというべきである。
確かに、被請求人の提出に係る乙第7号証、乙第56号証及び乙第66号証によれば、草餅であんを包んだものや、あんのないものも「草餅」と称されている事実が認められるが、これらは、草餅をさらに加工して、「もち菓子」としたものと見るのが自然であり、あくまでも菓子の範疇に属する商品というべきである。「よもぎ餅」も同様である。他方、乙第67号証ないし乙第69号証及び乙第72号証に掲げられた商品中には、「草餅」、「くさ餅」又は「草もち」と表示されている商品があるものの、切り餅や丸餅といった、その形状に加え、白餅、豆餅等の、いわゆる「もち」と同列に扱われていることから、これらの商品は、「もち」の範疇に属する商品というべきである。
そうすると、単に「草餅」又は「よもぎ餅」という場合には、「もち」としての草餅・よもぎ餅と「もち菓子」としての草餅・よもぎ餅とがあることになるのであって、「草餅」と称されることをもって、直ちに乙第7号証、乙第56号証及び乙第66号証に掲げるような商品が「もち」の概念に含まれるというべきではない。
2 本件商標の使用に係る商品について
(1)被請求人は、「あっぱれひよ子の博多もち」に本件商標を使用しているとし、この商品は、餡を通常の「餅」又はよもぎを混ぜた「よもぎ餅」で包んだもので、本件取消請求に係る「もち」の概念に含まれると主張し、証拠を提出している。
しかしながら、提出された各乙号証を検討するに、乙第9号証の1ないし3、乙第77号証ないし乙第81号証によれば、上記「あっぱれひよ子の博多もち」は、形状及び色彩等からして、いわゆる「もち」とは認識されないばかりでなく、その包装紙及び個々の商品を包装する個装紙には、いずれも「餅菓子ですのでお早めにお召し上がりください。」と記述されているほか、原材料、製造者等を表示する欄に「名称」として「生菓子」と表示されていることからも、「菓子」の範疇に属する「もち菓子」と認識し、理解されて、取引されているものというべきである。
また、乙第20号証、乙第21号証の1、乙第22号証、乙第23号証の1及び2、乙第82号証、乙第85号証ないし乙第87号証として提出された新聞広告やチラシに示された「あっぱれひよ子の博多もち」、及び乙第17号証及び乙第89号証の1ないし6として提出された店頭写真に示された「あっぱれひよ子の博多もち」も、上記商品と同一のものと認められる。
(2)さらに、被請求人は、よもぎ大福餅、栗大福餅、白大福餅、花見餅、五月餅、花衣餅、たまご大福等に本件商標を使用しているとし、少なくとも「よもぎ大福」は、いわゆる「よもぎ餅」であるから、本件取消請求に係る「もち」の概念に含まれるものであると主張し、証拠を提出している。
しかしながら、提出に係る乙第24号証の1及び2、並びに乙第26号証によれば、個別の商品の底面に敷かれる丸型台紙のそれぞれには、「白大福」、「よもぎ大福」、「ごま大福」、「栗大福」、「花衣餅」、「芋大福」、「花見餅」の各表示の上に、「生菓子」の文字が併記されており、「花見餅」については、「生菓子ですのでお早めにお召し上がり下さい。」との表示もあることに加え、これらの商品の形状、包装された状態からして、これらの商品は、到底いわゆる「もち」と認識されるものではなく、「菓子」の範疇に属する「もち菓子」と認識し、理解されて取引されているものというべきである。
また、乙第21号証の1及び2、乙第22号証、乙第23号証の1及び2、乙第38号証、乙第82号証ないし乙第86号証として提出されたチラシに示された商品は、いずれも「もち」の範疇に属する商品とはいえないものである。同じく乙第89号証の2として提出された店頭写真に写っている「花衣餅」、「いちご大福」、「うぐいす餅」及び「桜餅」等も同様である。
(3)その他、被請求人が本件商標を使用しているとして提出した各証拠を精査するも、商品「もち」に関する具体的な証拠は見当らず、被請求人が商品「もち」に本件商標を使用している事実を確認することができない。
3 まとめ
以上からすると、商品「もち」と商品「もち菓子」とは、別異の商品であるところ、被請求人の使用に係る商標が本件商標と社会通念上同一の商標といえるか否かはさておき、被請求人は、商品「もち菓子」についての使用を立証するにとどまり、本件取消請求に係る商品「もち」について、本件商標の使用を証明していないものといわざるを得ない。
また、本件取消請求に係る商品「もち」について、本件商標が使用されていないことについて正当な理由があるものともいえない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定に基づき、本件取消請求に係る商品「もち」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-09-15 
結審通知日 2005-09-21 
審決日 2005-10-04 
出願番号 商願昭32-16274 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (243)
最終処分 成立  
特許庁審判長 大場 義則
特許庁審判官 鈴木 新五
柳原 雪身
登録日 1958-08-01 
登録番号 商標登録第524914号(T524914) 
商標の称呼 1=ヒヨコ 
代理人 藤井 信孝 
代理人 角田 嘉宏 
代理人 藤井 信行 
代理人 藤井 重男 

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