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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z05
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Z05
管理番号 1129062 
審判番号 不服2003-1646 
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-01-31 
確定日 2005-12-15 
事件の表示 商願2000- 90722拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.本願商標
本願商標は、別掲のとおりの文字を書してなり、第5類「生理用パンティ,パンツ型失禁用おしめ,パンツ型失禁用吸収性パンツ」を指定商品として、平成12年8月17日に登録出願され、その後、指定商品については、同13年7月30日付け手続補正書により「パンツ型失禁用おしめ,パンツ型失禁用吸収性パンツ」と補正されたものである。

2.原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、指定商品との関係において、『社会復帰療法に使用されるパンツ型のもの』のごとき意味合いを認識させる『リハビリパンツ』の文字を普通に用いられる方法で書してなるから、これをその指定商品中例えば『パンツ型失禁用おしめ,パンツ型失禁用吸収性パンツ』に使用する時は、単に商品の品質、用途、形状を表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。なお、出願人は、本願商標が同法第3条第2項に該当する旨述べ、その証拠を提出しているが、その証拠の多くが『リハビリパンツ』に『ライフリー』の文字を伴うものであり、本願商標のみをもって識別力を有するに至ったものとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3.当審の判断
本願商標は、前記のとおり「リハビリ」の片仮名文字をゴシック体風に太字で書し、その右側に前記文字と同じ書体でやや小さく「パンツ」と書してなるところ、その構成中、「リハビリ」の文字は、「治療段階を終えた疾病や外傷の後遺症を持つ人に対して、医学的・心理学的な指導や機能訓練を施し、機能回復・社会復帰をはかること。更生指導。」を意味する「リハビリテーション」の略語(広辞苑第五版、現代用語の基礎知識2001など)として一般によく知られ、医療関係の分野において普通に使用されている。また、「パンツ」の文字は、「運動する時などにはく短いズボン。ズボン。ズボン風の下ばき。ズロース・ブリーフなど。」(広辞苑第五版)を意味する語である。
ところで、医療・福祉関連の商品を取り扱う分野において、交通事故や脳卒中など身体に後遺症を持った人が、リハビリ中の身体の不自由さを補い日常の生活を送りやすくするように、様々な工夫が施された「つえ、ズボン、ベッド、歩行器、靴」などの各種商品が市場に出回っているところである。また、紙おむつなどの商品については、高齢化社会における需要から、大人用の紙おむつが多様化しており、排泄のリハビリに使用されるパンツ型紙おむつが販売されているところである。そして、この排泄の自立のために使用されるパンツは、「リハビリパンツ」と称されているものと認められる。
そして、上記した実情は、以下の各種新聞記事の記載やインターネットの情報から裏付けられるものである。
(1)1999.04.22 繊研新聞 3面には、「ダイシン百貨店 お年寄りに優しい提案、売り場の声からオリジナル品も」の見だしのもと「衣料品売り場では、シルバー世代の日常着に定着したパンツのコーナーが充実している・・・三、四年販売して定着しているのは、通院用リハビリパンツ。」との記載。
(2)2000.08.04 毎日新聞 東京朝刊5頁には「[みんなの広場]介護保険が特養崩壊の危機招いた=特養ホーム職員・関重明・34」の見だしのもと「特養なので施設が負担した日用品・リハビリパンツ、理髪代までもが・・・」との記載。
(3)2004.10.19 朝日新聞 大阪夕刊3頁には「リハビリパンツ 姫野カオルコ(よつ葉びより)【大阪】」の見だしのもと「リハビリパンツのCMもよく見かけるし・・・だれもが、明日はリハビリパンツや尿洩(も)れパッドが必要になるかもしれない・・・ズボンからはみ出したシャツをなおすさいにちらっと見れば『お取り替えサイン』が出ているかどうかがわかるリハビリパンツがあると・・・」との記載。
(4)2004.12.30 朝日新聞 西部朝刊12頁には「重傷の妻看護、やる気あれば この1年(声)【西部】」の見だしのもと「間もなくおしめがリハビリパンツに代わり、車いす、歩行器でトイレ利用となる。」との記載。
(5)社団法人日本衛生材料工業連合会(http://www.jhpia.or.jp/)のホームページ中「紙おむつのQ&A(http://www.jhpia.or.jp/diaperqa/data/type.html)」の「基礎資料/紙おむつの種類」に「パンツ型」の説明として「排泄の自立をコンセプトに、パンツの形に一体で作られており、下着のように使用する紙おむつ」との記載。
(6)ニシキ株式会社のホームページ中「ニシキチャンネル」(http://www.nishiki-ch.co.jp/catalog/home/03.html)には、「商品案内」の項に「リハビリパンツ」、「リハビリパンツで自立支援。紙のリハビリパンツと違い捨てることなく何度も洗濯して使用できる、ゴミを出さない経済的なパンツです。」との記載。
(7)有限会社ケービジネスのホームページ中「リハビリパンツ」(http://www.asahi-net.or.jp/~rg5t-ktu/rihabiripantu.htm)には「このパンツは不意の失禁も周りに迷惑をかけないとうにする下着です・・・保水部分には4層構造からなる生地(綿)を使用しており、量の多い方やリハビリ用としてもお使い頂けます。」との記載。
(8)板橋区内公設展示場/福祉用具検索ページのホームページの福祉用具種類一覧(http://www.city.itabashi.tokyo.jp/otosen/yougu/yougusyurui/y-itiran.htm)には、「おむつ用品」の欄に「テープ式、フラット式、リハビリパンツ、パッド、その他」との記載。
以上のとおり、本願商標は、これをその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該商品がリハビリテーション用に使用するパンツであると理解するにとどまり、本願指定商品の用途、品質を表示したものと認識し、自他商品の識別標識としての機能を有しないものとみるのが相当である。
なお、請求人(出願人)は、本願商標が本願指定商品について、広告宣伝に努めた結果、取引者及び需要者間に広く認識され、自他商品識別の標識機能を獲得している旨主張し、資料1ないし資料51を提出しているものであるが、それらは全て、「ユニチャーム」及び「ライフリー」の文字と共に使用されているものであって、本願商標のみが独立して前記商品に使用されて自他商品の識別標識としての機能を有するに至ったということはできないものである。
また、本願指定商品の「パンツ型失禁用吸収性パンツ」については、本願商標の使用例が認められない。
そうすると、本願商標の「リハビリパンツ」の文字は、文字の大小はあるとしても同一書体で表し、この程度の態様は通常普通に用いられる構成態様の範疇のものといえ、これをその指定商品に使用しても「リハビリテーション用に使用するパンツ」であると認識させるものであって、上記証拠によっては、本願商標が使用により識別力を有するに至ったものと認めることはできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、同法第3条第2項の要件を具備するものとも認められないから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標


審理終結日 2005-10-12 
結審通知日 2005-10-18 
審決日 2005-11-01 
出願番号 商願2000-90722(T2000-90722) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z05)
T 1 8・ 17- Z (Z05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳 紀子富田 領一郎 
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 寺光 幸子
井出 英一郎
商標の称呼 リハビリパンツ、リハビリ 
代理人 白浜 吉治 

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