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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z42
管理番号 1127838 
異議申立番号 異議2004-90465 
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2006-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-08-05 
確定日 2005-11-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第4767812号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4767812号商標の指定役務中第42類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,インターネットサーバーの貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与に関する助言・情報の提供,電子計算機のプログラムの貸与に関する助言・情報の提供,電子計算機端末による通信におけるサーバーの記憶装置(情報を記憶するハードディスク・光ディスク・光磁気ディスクなど)の記憶領域の貸与,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第4767812号商標(以下「本件商標」という。)は、「iDC」の欧文字を標準文字で表してなり、平成13年6月22日に登録出願された2001年商標登録願第57302号に係る商標登録出願を分割し、新たな商標登録出願として、平成14年8月7日に登録出願、第42類に属する別掲のとおりの役務を指定役務として、同16年3月22日に登録査定、同年4月30日に設定登録されたものである。

第2 当審における取消理由の要点
当審において、平成17年7月11日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、要旨下記のとおりである。

1 本件商標及びその指定役務は、前記「第1」のとおりである。
2 登録異議申立人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)用語の説明
(ア)「Yahoo!コンピュータ用語辞典」(甲第2号証)によれば、「データセンター(data center)」は、別名「IDC/インターネットデータセンター(Internet data center)」とも呼ばれ、「顧客のサーバを預かり、インターネットへの接続回線や保守・運用サービスなどを提供する施設。データセンターは耐震性に優れたビルに高速な通信回線を引き込んだ施設で、自家発電設備や高度な空調設備を備え、IDカードによる入退室管理やカメラによる24時間監視などでセキュリティを確保している。」との表示があること。
(イ)「デジタル用語辞典」(甲第3号証)によれば、「IDC/Internet Data Center」は、「EコマースやASP事業を行なうためサーバのホスティング拠点。物理的な堅牢性とセキュリティを備えたサーバルームと広帯域なバックボーン回線が必要とされる。通常、火災や地震などの耐障害性に優れ、二重化電源設備が施されたビル内のサーバルームにラックが設置されており、その中にサーバを設置される。また、サーバルームは集中コンソールにおいて24時間365日体制で監視が行われ、生体認証などを用いて入出力も厳しくチェックされる。一方で、プロバイダ同士を相互接続し、トラフィックの交換を行うピアリングポイントとしてもその存在は重要になっている。」との表示があること。
(2)IDC事業者のサービス内容の現在と将来
(ア)前記した「Yahoo!コンピュータ用語辞典」(甲第2号証)によれば、「サーバを預かり回線や保守を提供するサービスを『コロケーションサービス』とか『ハウジングサービス』と呼ぶ。自らが用意したサーバを顧客に貸し出すホスティングサービスを提供する業者もある。基本的にサーバの運用は顧客自身が行なうが、停止してないか監視するサービスや、定期バックアップなどの付加サービスを提供しているところもある。流れの速いインターネットビジネスの世界では、中核業務以外はアウトソーシングして組織を身軽にすることが競争力につながるため、インターネットの普及に伴ってデータセンターの需要はますます増大している。アメリカでは早くからExodusCommunications社(後に倒産)やAbovenet社など専門の事業者が登場し、急速に業績を伸ばしている。日本では、自ら回線を保有する通信キャリアのほか、インターネットサービスプロバイダやコンピュータメーカー、大手電機メーカー、ソフトハウス、情報システム会社など、様々な業種の企業が、それぞれの強みを活かして参入している。」との表示があること。
(イ)「現代用語の基礎知識2004」(甲第4号証)によれば、「iDC事業」とは、「巨大なインターネット・インフラ設備を有するインターネット・データ・センター(iDC)により、他社のインターネット関連の設備や業務処理のインフラ部分を請け負って運用・保守を代行する事業。基本的サービスとして、サーバーのレンタルなどを行うホスティングサービスと、顧客のサーバーを預かって運用管理を代行するハウジングサービスがある。電子商取引の拡大によりiDC需要も高まっており、インターネット・インフラ部分のアウトソーシングによる水平的分業モデル化として注目をあびる。」との表示があること。
(ウ)「imidas2004」(甲第5号証)によれば、「ブロードバンド・インターネットの展開に伴い、インターネットで扱われる情報も大容量化している。特に、音楽やビデオなどのマルチメディア情報だけでなくオンラインビジネスなどに伴う商品/顧客データベースなど膨大な情報を効率的に取り扱う必然性が出てきている。そこで、こうした大量の情報を扱うセンターをインターネット上に用意しデータの管理やサービスの提供を行うようになってきた。これがインターネットデータセンターである。」との表示があること。
(エ)「Yahoo!コンピュータ用語辞典」(甲第6号証)によれば、「レンタルサーバ:インターネットに情報を発信するコンピュータ(サーバ)の容量の一部を間貸しするサービス。ホスティング(hosting)サービスとも言う。通信事業者やインターネットサービスプロバイダが自社設備を用いて提供しているサービスで、専門の業者もある。レンタルサーバ事業者は、サーバや回線を自前で用意できない顧客から公開したい情報内容(コンテンツ)を預かり、インターネットに接続された自社サーバで公開する。・・・単にサーバの容量を貸し出すだけでなく、CGIを用いた掲示板やオーダーフォームなどの仕組みを提供している事業者や、独自ドメインでの運用やWebサイトの作成代行などの付加サービスを提供している事業者もある。似たようなサービスにハウジングサービスがある。これは、顧客が自分で通信機器やサーバを用意し、それを回線や電源設備の整った事業者の施設に設置するサービスである。」との表示があること。
3 以上の認定した事実を総合勘案すると、「iDC」の語は、遅くとも本件商標の登録査定時(平成16年3月22日)以前に「Internet Data Center」(インターネットデーターセンター)の略語として、少なくとも情報通信分野(IT分野)において、取引者、需要者の間で認識、使用されていたと認めることができる。
そして、iDC事業者の多くは、堅牢な施設に、高品質な回線と24時間365日の管理をセットして提供し、信頼性の高いサーバーを置き、インターネットビジネスなどのために提供しているが、iDC事業者の事業背景(通信事業者系、システムプロバイダー系、海外事業者系)によってサービス内容の個性化、差別化が認められるところ、最も基本的なサービスとして、顧客のサーバーシステムを預かり運用・管理する「ハウジングサービス」とiDC事業者のシステム資源を顧客に提供する「ホスティングサービス」であることが認められる。
4 しかして、「iDC」の文字を普通に用いられる方法で表してなる本件商標は、インターネットを利用する企業はもとより、インターネット利用者が急激に増えた昨今の高度情報通信ネットワーク社会において、前記実情を合わせ考えれば、これに接する需要者・取引者をして、「インターネットデータセンター」の意味を把握、理解するものとみるのが相当である。
そして、iDC事業者の提供するサービス内容は、インターネットサーバーの設置場所の提供をする「ハウジングサービス」及び「ホスティングサービス」の基本的なサービスをはじめとして、電子商取引を中核とした「eーbusiness(イービジネス)」体制を構築するためのコンピューターシステムのあらゆる周辺業務に亘ってのサービス展開が可能というべきである。
そうとすれば、本件商標「iDC」をその指定役務中、コンピュータと密接に関係する役務、即ち、第42類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,インターネットサーバーの貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与に関する助言・情報の提供,電子計算機のプログラムの貸与に関する助言・情報の提供,電子計算機端末による通信におけるサーバーの記憶装置(情報を記憶するハードディスク・光ディスク・光磁気ディスクなど)の記憶領域の貸与,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」の役務に使用するときは、該役務が「インターネットデータセンターの提供に係る役務」であることを記述したにすぎず、単に役務の提供の場所或いは役務の質を端的に表示するに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと認められる。
加えて、iDC事業者は、少なくとも、「iDC」の欧文字からなる標章を取引に際し必要適切な表示として、その使用を欲するものと認められるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものといわなければならない。
したがって、本件商標の指定役務中、上記役務についての登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものである。

第3 商標権者の意見
商標権者は、上記「第2」の取消理由について、指定した期間内に意見を述べていない。

第4 当審の判断
当合議体は、商標権者に対し、上記「第2」の取消理由を通知し、期間を指定して意見を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。
そして、前記取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標は、その指定商品中「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,インターネットサーバーの貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与に関する助言・情報の提供,電子計算機のプログラムの貸与に関する助言・情報の提供,電子計算機端末による通信におけるサーバーの記憶装置(情報を記憶するハードディスク・光ディスク・光磁気ディスクなど)の記憶領域の貸与,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」について、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録は取り消すべきものである。
しかしながら、本件商標は、その指定役務中前記役務以外の役務(通訳,翻訳)について、取り消すべき理由が認められないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別掲】
本件商標の指定役務
第42類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,インターネットサーバーの貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与に関する助言・情報の提供,電子計算機のプログラムの貸与に関する助言・情報の提供,電子計算機端末による通信におけるサーバーの記憶装置(情報を記憶するハードディスク・光ディスク・光磁気ディスクなど)の記憶領域の貸与,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,通訳,翻訳 」

異議決定日 2005-09-20 
出願番号 商願2002-67176(T2002-67176) 
審決分類 T 1 651・ 13- ZC (Z42)
最終処分 一部取消  
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 山本 良廣
宮川 久成
登録日 2004-04-30 
登録番号 商標登録第4767812号(T4767812) 
権利者 ケーブル・アンド・ワイヤレス・アイディーシー株式会社
商標の称呼 アイデイシイ 
代理人 草野 浩一 

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