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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) Y03 |
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管理番号 | 1127837 |
異議申立番号 | 異議2004-90287 |
総通号数 | 73 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2006-01-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2004-05-19 |
確定日 | 2005-11-02 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4751301号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4751301号商標の指定商品中「化粧品」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4751301号商標(以下「本件商標」という。)は、「ボトックスアライク」の片仮名文字を標準文字で書してなり、平成15年7月10日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤」を指定商品として、同16年2月27日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録第4492558号商標(以下「引用商標」という。)は、「BOTOX」の欧文字と「ボトックス」の片仮名文字を上下二段に書してなり、平成12年5月30日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,歯磨き,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同13年7月19日に設定登録されたものである。 第3 登録異議の申立の理由の要点 1 本件商標は、引用商標と称呼及び観念において類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の所有する引用商標は、申立人を表す商標として我が国及び世界中で広く知悉されているので、これと類似する本件商標をその指定商品について使用したときは、申立人又はその関連会社の業務に係る商品であるかの如く認識され、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 3 本件商標は、公正な取引秩序を害し、不正な目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 当審における取消理由の通知 1 本件商標の登録査定前に我が国において発行されたと認め得る甲第6号証ないし甲第9号証、甲第11号証ないし甲第15号証及び甲第17号証ないし甲第23号証によれば、申立人は、世界的有数な製薬会社である「SmithKline Beechamplc(スミスクライン・ビーチャム)」の子会社であったが、1989年7月に独立した会社となったこと、申立人の取扱いに係る「眼瞼痙攣治療薬(A型ボツリヌス毒素製剤)」は、我が国において、申立人の関連会社であるアラガン株式会社を通じて、1997年4月ころより販売され、該商品には、引用商標が表示されていたこと、引用商標を表示した「眼瞼痙攣治療薬」は、「眼瞼痙攣、顔面痙攣、斜視」等の治療薬として、我が国において発売される以前に世界37ヵ国において承認され、本件商標の登録出願前後を通して、世界100ヵ国で承認されたこと、上記「眼瞼痙攣治療薬」は、本件商標の登録出願前である2002年には、約29億円の販売高に達したこと、申立人の取扱いに係る「眼瞼痙攣治療薬」は、新聞紙上において「ボトックス」として紹介され、また、医療専門雑誌に引用商標を表示して広告されたことが認められる。 2 前記1で認定した事実を総合すると、引用商標は、申立人の取扱いに係る「眼瞼痙攣治療薬」を表示するものとして、本件商標の登録出願日には、その需要者に広く認識されていたものとみるのが相当である。 3 本件商標は、前記のとおり、「ボトックスアライク」の文字よりなるものであるところ、該文字は、構成全体もって、親しまれた熟語的意味合いが生ずるものとは認め難いものである。また、本件商標より生ずると認められる「ボトックスアライク」の称呼は、9音よりなり、決して簡潔なものとはいい難く、「ボトックス」と「アライク」との間に称呼上の段落が生じ、一気に称呼し得るものではない。また、本件商標の構成中、前半部の「ボトックス」の文字部分は、我が国の一般の需要者には馴染みのない、特異な語として印象づけられるのに対し、後半部の「アライク」の文字部分は、「互いに同じの、同様な」等の意味を有する英語「alike」に通じる一般的な語である(甲第3号証ないし甲第5号証)と認められる。 そうすると、本件商標に接する需要者は、本件商標中前半部に位置する「ボトックス」の文字部分に印象づけられるというのが相当であり、本件商標中の「ボトックス」の文字部分は、引用商標中の片仮名文字部分と同一のものである。 また、本件商標は、その指定商品中に「化粧品」を含むものであるところ、化粧品は、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物であって、その需要者の多くは女性であると認められる。一方、引用商標が使用される「眼瞼痙攣治療薬」は、眼瞼痙攣のほか、顔面痙攣、斜視等の治療薬として使用されるものであって、その患者の多くは中高年の女性であること(甲第18号証ないし甲第21号証)が認められ、本件商標の指定商品中の「化粧品」と「眼瞼痙攣治療薬」とは、その使用者において少なからず関連性を有するものと認められる。 してみれば、本件商標をその指定商品中「化粧品」について使用した場合、これに接する需要者は、申立人の取扱いに係る商品「眼瞼痙攣治療薬」について使用され、著名な引用商標を想起し、本件商標を引用商標の兄弟ブランド等であると誤認し、本件商標を使用した商品が申立人の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 4 以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中「化粧品」について、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。 第5 当審の判断 本件に関し、審判長は、商標権者に対し、平成17年5月10日付けで、上記第4の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もなかった。 そして、上記第4の取消理由は、妥当なものと認められるので、本件商標の指定商品中「化粧品」については、申立人の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべく、同法第43条の3第2項の規定により、取り消されるべきものである。 また、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたということができないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2005-09-09 |
出願番号 | 商願2003-57833(T2003-57833) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
ZC
(Y03)
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最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 渡邉 健司 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
中村 謙三 三澤 惠美子 |
登録日 | 2004-02-27 |
登録番号 | 商標登録第4751301号(T4751301) |
権利者 | 株式会社ジェーシーコミュニティ |
商標の称呼 | ボトックスアライク |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 江崎 光史 |
代理人 | 大島 厚 |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 中村 稔 |