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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 16 |
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管理番号 | 1127796 |
審判番号 | 取消2004-31076 |
総通号数 | 73 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-01-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2004-08-20 |
確定日 | 2005-10-03 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第585637号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第585637号商標(以下「本件商標」という。)は、「NORIS」の文字を横書きしてなり、昭和35年7月11日に登録出願、第25類「文房具類」を指定商品として、昭和37年4月20日に設定登録、その後、昭和47年7月8日、同57年7月29日、平成4年5月28日及び同14年3月5日の四回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成14年10月30日に指定商品の書換登録があった結果、第16類「文房具類」となっているものである。 2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べている。 本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品「文房具類」について使用していないものであり、その不使用状態は現在も継続している。 また、本件商標を使用していないことについて正当な理由もないと思慮されるものであるから、商標法第50条第1項によって、本件商標の登録は取消しを免れないものである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)を提出している。 (1)被請求人は、1835年ドイツのニュールンベルグにおける鉛筆製造工場設立に始まる近代文具製造の歴史を刻み、19世紀中ごろからは世界各地への輸出を積極的に展開してきたものであり、被請求人とその文具は世界各国の需要者の間で広く認識され高い評価と信頼を得て今日に至っている。 日本においても20世紀の幕開けとともに被請求人の製造に係る文具の輸入販売が定着して来ているが、1974年に被請求人の日本現地法人であるステッドラー日本株式会社(以下「ステッドラー日本」という。)を設立し、以後は同社が被請求人の製造に係る製図・設計・デザイン用品、オーブンクレイ、プロッタサプライ用品、一般筆記具、インクジェットインクの輸出入販売及び国内卸売業務を行っている。 被請求人商品は、ステッドラー日本からの円滑な商品供給によって日本国内の多数の店舗で広く小売販売されているが、その中でも特に幅広い種類の商品を常備し深い商品知識を備えた小売店舗「マルスショップ」(全国70店舗)を整備・支援することにより、充実し安定した小売販売体制で日本国内の需要者に商品と情報を提供し、日本の国内マーケットにおいても需要者一般の広い認識と高い評価を獲得している。 (2)本件商標は、被請求人の日本現地法人であり通常使用権者であるステッドラー日本が日本国内で販売する被請求人製造商品(本件商標の指定商品「文房具類」に属する商品「鉛筆」)に継続的に使用されている。 よって、被請求人は、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者によって商品「鉛筆」に使用された事実の一部を証明する。 すなわち、ステッドラー日本は、本件商標の内容をなす標章を商品「鉛筆」及びその包装に付すことにより(乙第1号証、乙第2号証の1ないし3参照)、また、商品「鉛筆」及びその包装に本件商標の内容をなす標章を付したものを譲渡することにより、本件商標を指定商品に使用しており、その譲渡の時期は本件審判の請求の登録前3年以内の平成16年1月26日である(乙第1号証、乙第6号証及び乙第7号証参照)。 さらに、ステッドラー日本は、商品「鉛筆」に関する広告である商品カタログ「ステッドラー総合カタログ(2004/2005)」に本件商標の内容をなす標章を付して頒布することにより、本件商標を指定商品に使用しており、同カタログに標章を付した時期と頒布した時期は本件審判の請求の登録前3年以内の平成15年12月10日及び同月20日である(乙第1号証及び乙第3号証ないし乙第5号証参照)。 (3)なお、本件商標が大文字だけで構成された欧文字「NORIS」であるのに対し、各証拠方法で示された使用商標は大文字と小文字からなる欧文字「Noris」である点で外観上の相違を呈するが、この相違は登録商標と使用商標の同一性を阻害するものではない。なぜなら、登録商標が使用されたか否かは、その本質的機能である自他商品識別機能が発揮されたか否かにおいて問われるべきであり、判読容易な書体で表記された欧文字商標の自他商品識別の基礎は、その自然的称呼に求められねばならないからである。欧文字商標である本件商標「NORIS」と使用商標「Noris」の外観上の相違は、自他商品識別機能(称呼)に何らの影響も与えるところのない大文字と小文字の相違にすぎないから、両者の同一性を損ねるところはない。 この点は、商標法第50条第1項の規定が「登録商標」の概念について「(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標、〜その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)」と明記しているところに明らかであり、また従前の多くの審決において明確に是認されているところである。さらに、証拠方法中の乙第3号証ないし乙第5号証が明白に示すように、欧文字(ローマ字)で表記された本件商標に対して片仮名文字の商標「ノリス」が使用されており、両者が上記法規定にいう「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標」の関係にあることは明白であるから、この点でも論議の余地はない。 (4)以上に証明のとおり、本件商標は本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者によって指定商品「文房具類」に使用されていたものにほかならず、商標法第50条第2項規定の商標登録の取消要件に該当するところは、いささかも存在しない。のみならず、本件商標の使用に関しては、先に説明した「マルスショップ」をはじめとする多数の小売店舗店頭において、また、通常使用権者のホームページにおいて、何人もが極めて容易に確認できる状況にある。にもかかわらず、本件審判の請求を受け、少なからず負担を余儀なくされた被請求人としては、請求人の意図に関して強い疑念を抱かざるを得ない。 (5)以上、詳述したとおり、本件商標は、商標法第50条第2項に規定された商標登録の取消要件に該当するところはない。 4 当審の判断 被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)によれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者によって、請求に係る指定商品中の「鉛筆」について使用されていたものと認められる。 一方、請求人は、上記3の答弁に対し、弁駁していない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-08-04 |
結審通知日 | 2005-08-09 |
審決日 | 2005-08-22 |
出願番号 | 商願昭35-29161 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(16)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
大場 義則 |
特許庁審判官 |
柳原 雪身 鈴木 新五 |
登録日 | 1962-04-20 |
登録番号 | 商標登録第585637号(T585637) |
商標の称呼 | 1=ノリス |
代理人 | 江崎 光史 |