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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 036
管理番号 1127642 
審判番号 取消2004-30952 
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-01-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-07-22 
確定日 2005-11-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第3331936号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3331936号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3331936号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成4年9月29日に登録出願、第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,当せん金付証票の発売,企業の信用に関する調査,慈善のための募金」を指定役務として、同9年7月18日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、同16年8月11日にされたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標権者が本件商標をその指定役務について過去3年以内に日本国内において使用していないこと、及び商標権者が日本において指定役務を行う関連会社を設立していないことが判明した。また、本件商標の登録原簿による限り、現在までに本件商標の商標権について専用使用権又は通常使用権の設定登録がなされた事実もない(甲第1号証の1)。
してみると、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが本件商標を日本国内において継続して3年以上、指定役務について使用していないと判断されるものであり、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当し、その登録は取り消されるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁の理由
(ア)被請求人は、本件商標が被請求人の使用許諾者により使用されていると主張しているが、使用許諾者の氏名(名称)及び住所(居所)等により、使用許諾者が特定されておらず、また、使用許諾をしたことを証明する書面等により、本件商標の使用を許諾したことが証明されていない。
(イ)被請求人は、本件商標が、使用許諾者によって、乙第1号証(被請求人は、提出に係る書証の番号を甲第○号証としているが、乙第○号証と読み替えるものとする。)に示すとおり、インターネットにおけるホームページ上の映像面において使用されていると主張しているが、乙第1号証として提出された書面が使用許諾者のホームページの映像面であることが何等立証されていない。
(ウ)被請求人は、原則として審判請求の予告登録の日(平成16年8月11日)から遡って3年以内における商標の使用の事実を証明しなければならない。しかしながら、本件商標が使用された日時が何等立証されていない。
(エ)商標法は属地主義を採用しているため、その適用範囲は日本国内であり、日本において登録された商標権の効力も、当然に日本国内にのみ及ぶものである。
したがって、商標法上、登録商標が使用されているというためには、その使用は日本国内における使用でなければならない。
しかしながら、被請求人が乙第1号証として添付した「本件商標が使用されているホームページ」は、英文のみで表されており、日本人向けに開設されているホームページとみなすことはできない。当該ホームページには日本からもアクセスすることができるかもしれないが、そのことのみをもって、日本人向けにも開設されているということはできない。
したがって、本件商標がホームページにおいて使用されているとの被請求人の主張は失当である。
また、準用特許法施行規則第2条第2項に規定されているように、外国語で書かれたものには、その翻訳文を添付しなければならないところ、当該ホームページの翻訳文は、索引部分の1ページ分のみ作成されており、その他の20ページ以上については翻訳文が付されていない。更に、上記のとおり、乙第1号証が「本件商標が使用されているホームページ」であると主張しているが、後半の8ページは、ホームページの写ではないように思われる。 したがって、この後半部分が何を証明しようとしているのか不明である。
(オ)被請求人は、本件商標が「有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理」や「株式市況に関する情報の提供」等について使用されている旨主張しているが、答弁書に添付された乙第1号証は英文で表されているため、内容は不明であり、乙第2号証及び乙第3号証には、かかる役務の提供は記載されていない。
したがって、いずれの証拠も、本件商標がかかる役務について使用されていることを証明していない。
(カ)本件商標は、「QUANTEC」の文字と図形が結合している。これに対し、被請求人が提出した乙第2号証及び乙第3号証中には、何箇所か「QUANTEC」の文字が記されているが、これらには図形が結合されていない。また、当該証拠中の「QUANTEC」は、本件商標の一部を構成する文字ではあるが、その前後の文脈から判断して、この「QUANTEC」は、商標として使用されているとはいえない。
したがって、これらの証拠は、本件商標の使用を何等証明するものではない。
また、乙第3号証として提出された日本語パンフレットを作成したと思われるVESTEKと被請求人の関係が不明である。更に、このパンフレットが作成された年月日及び作成者が証明されておらず、また、このパンフレットが頒布された事実も証明されていない。
(キ)以上のとおり、被請求人の主張及び証拠には多くの不備があり、本件商標の使用が立証されたとは到底判断し難い。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
(1)本件商標は、被請求人の使用許諾者によって、乙第1号証に示すとおり、インターネットにおけるホームページ上の映像面において「有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理」や「株式市況に関する情報の提供」等について使用されている(URL:http//www.quantec.ltd.uk)。かかるホームページには日本においても容易にアクセスすることが可能であり、また、日本人顧客向けには、乙第2号証及び乙第3号証に示すように、別途日本語での紹介も行っている。
(2)以上のように、被請求人は、本件審判の請求登録前3年以内に、本件商標と同一の商標を「有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理」や「株式市況に関する情報の提供」等に関して広く使用しているので、本件商標の不使用の事実は存しないものであることは明らかである。

4 当審の判断
本件商標は、別掲に示すとおり「QUANTEC」の文字とその上部に無限大を表す記号様の図形(以下「本件図形」という。)とよりなるところ、被請求人は、本件商標は権利者である被請求人の使用許諾者によって、インターネットにおけるホームページ上の映像面において「有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理」、「株式市況に関する情報の提供」等について使用されている(URL:http//www.quantec.ltd.uk)、かかるホームページには日本においても容易にアクセスすることが可能であり、また、日本人顧客向けには別途日本語での紹介も行っている旨述べ、乙第1号証ないし乙第3号証を提出しているので、以下検討する。
上述のように、被請求人は、本件商標は被請求人の使用許諾者によって使用されていると述べるのみで、その使用許諾者の名称等を明らかにしていないが、使用許諾者によって使用されているホームページであるとして提出した乙第1号証をみると、全文が英語で記載されているものであって、これについての翻訳文(「Indices」ページ部分のみ翻訳が添付されている。)の提出がないが、その第1頁には本件商標と社会通念上同一といえる商標が表示されている。そして、その内容から、被請求人のいう使用許諾者とは、「Thomson Financial」と推測されるものであり、該ホームページは、アドレスのドメイン名「quantec.ltd.uk」から、イギリスで開設されている被請求人のウエブサイトのものであると認められる。
そして、我が国からも該ホームページへのアクセスが可能であるといえるが、外国で開設され、外国で商取引される役務情報を掲載したホームページの場合には、該ホームページに掲載されている役務が我が国の領域内において商取引されるという事実が客観的に認められるなどの格別の事情が存しない限り、その役務の商標は、我が国においてはその機能を発揮し得ず、その商標権の効力も及ばないと解さざるを得ないから、該ホームページに商標が掲載されていても、我が国において商標が使用されたことにはならないというべきである。しかるところ、該ホームページには格別の事情は見出せない。
そうすると、乙第1号証のみでは、被請求人の使用許諾者が、我が国において本件商標を使用しているものとは認め難いといわなければならない。
そこで、本件商標が我が国において使用されていると認め得るか否かについてさらに検討するに、日本人顧客向けの日本語の紹介パンフレットである乙第2号証の全体であるとする乙第3号証によれば、該パンフレットは、Thomson Financialグループの一事業の[VESTEK」についてのパンフレットと認められるものであり、これには「QUANTEC」の文字が数か所にわたり記載されている。これに対し、前掲のホームページ上にも「VESTEK」及び「Thomson Financial」の各文字が記載されており、これらの記載から、使用許諾者と「QUANTEK」及び「VESTEK」との関連性を窺うことができる。
しかしながら、該パンフレットには「QUANTEC」の文字が記載されているものの、該文字が使用許諾者の使用する商標という体裁で記載されているものではなく、かつ、本件図形は表示されていない。
そうすると、乙第2号証及び乙第3号証には、本件商標と社会通念上同一といい得る商標は表示されていないといわざるを得ない。
してみれば、被請求人の提出に係る全証拠を検討しても、被請求人の使用許諾者が我が国において本件商標を使用した事実は立証されていないといわなければならない。
したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を請求に係る指定役務のいずれかについて使用した事実を証明していないから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標



審理終結日 2005-06-28 
結審通知日 2005-07-01 
審決日 2005-07-12 
出願番号 商願平4-262182 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (036)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 和男巻島 豊二早川 文宏 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 富田 領一郎
小川 有三
登録日 1997-07-18 
登録番号 商標登録第3331936号(T3331936) 
商標の称呼 カンテック 
代理人 松原 伸之 
代理人 中山 健一 
代理人 橋本 千賀子 
代理人 松嶋 さやか 
代理人 大西 育子 
代理人 高部 育子 
代理人 村木 清司 
代理人 清水 徹男 
代理人 醍醐 邦弘 

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