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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y05242930
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y05242930
管理番号 1127524 
審判番号 不服2003-20432 
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-10-20 
確定日 2005-11-10 
事件の表示 商願2002-98862拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「メディカルコスメ」の片仮名文字と「MEDICALCOSME」の欧文字を二段に併記してなり、第3類、第5類、第24類、第29類及び第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成14年11月22日に登録出願されたものであるが、指定商品については、原審における同15年8月25日付け及び当審における同15年10月20日付け提出の手続補正書により、最終的に、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,食餌療法用食品」、第24類「フェルト及び不織布,布製身の回り品」、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく,クロレラエキスの粉末を主成分とする粒状成型加工食品,ビタミンを主成分とする粉状・顆粒・錠剤・カプセル・液状に成型した加工食品」及び第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドック,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤,果糖・麦芽糖・乳糖・オリゴ糖などの糖類・粉末還元麦芽糖水飴などの糖アルコール類を主体とする粉末・顆粒・錠剤・及び液状の加工食品,穀物・果実・野菜などの植物を麹菌・酵母菌などの微生物で発酵させペースト状・粉末状・顆粒状にした加工食品,大豆たんぱく・カゼイン・脱脂粉乳・ショ糖を主成分としビタミンを添加した液状・粉末状・顆粒状・錠剤状・カプセル剤状に成型した加工食品」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、『医学的』の意味を有する『メディカル』、『MEDICAL』の文字と『化粧品』の略称として使用されている『コスメ』、『COSME』の文字とを一連に『メディカルコスメ』、『MEDICALCOSME』と二段に普通に使用される方法で表してなるところ、これよりは『医学的な化粧品』の意味合いを容易に理解するものと認められるので、これをその指定商品中、『化粧せっけん、香料類』に使用しても、前記意味合いを認識し、自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認められなく、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。補正後の指定商品の中には、洗顔に用いられるせっけんが存在すること、化粧に用いられる『つけづめ,つけまつ毛』があり、また、いわゆる健康食品は、その用途として『美容、健康のため』とされ、体の中に摂取することにより、美容や健康のために用いられていることと、その販売場所も、同じ場所で取り扱われていることも少なくないことからすれば、本願商標の文字からは『医学的な化粧品』の意味合いを認識し、補正後の商品に使用しても、販売場所、需要者、その用途等を共通にすると認められるから、本願商標は、これをその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該商品が『医学的な化粧品』であるかのごとく、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における判断
1 本願商標は、前記のとおり、「メディカルコスメ」及び「MEDICALCOSME」の文字よりなるところ、商品「薬剤」、「化粧品」との関係で、「メディカル」と「MEDICAL」が「医学的」を意味するものとして、「コスメ」と「COSME」が「化粧品」を意味する「コスメティック」、「Cosmetic」の略称として、それぞれ一般に知られていることからすると、本願商標は、「メディカル」と「コスメ」及び「MEDICAL」と「COSME」の語からなると普通に認識されるものである。
2 そして、「メディカルコスメ」の語が、「ドクターズコスメ」とも称され、「皮膚科医が研究、開発した化粧品」を表すものとして認識され、使用されていることは、原審で示したとおりであるが、出願人(請求人)は、「(1)原審及び当審における前記第1に示した補正の結果、「せっけん類,つけづめ,つけまつ毛,歯磨き」は、審判請求の理由の対象外となった。(2)本願商標中の「コスメ」の語は「化粧品」という意味のみで用いられているものであり、英語の「Cosmetic」の語が有する「化粧(用)の、美容の」という意味までをも有するものとしては、社会一般において用いられていないから、美容、健康のために用いられる「いわゆる健康食品」が医学的な化粧品を意味するものとは、本願商標からは認識されないし、需要者をして錯誤に陥らせるようなことはない。」旨主張している。
3 そこで、いわゆる健康食品あるいは栄養補助食品(サプリメント)は、「化粧品」又は「コスメ」の語との関係において、どのように用いられているかについてみるに、例えば、以下のような辞書、新聞記事等の記載が認められる。
(1)「内外美容」の見出しで、「『胃腸の具合が悪いと肌の調子もいまひとつ』というように、体の内側の状態は、外見の美に大きく影響する。そこで、体の内側と外側、両面から働きかける美容法が近年注目されている。例えば、コラーゲンやヒアルロン酸など加齢により減少する生体成分をサプリメントで補うと同時に、スキンケア化粧品で皮膚にも与える。食品や医薬品製造を主体とする化粧品メーカーでは、同ブランドで化粧品とサプリメントを売り出すケースも増えている。」(現代用語の基礎知識2005 (株)自由国民社、2005年1月1日発行)との記述、
(2)「インナーコスメ」の見出しで、「直訳すれば、『肌の化粧品』。美肌効果の高いビタミンC、Eやアミノ酸、ムコ多糖類、乳酸菌などを配合したサプリメントをさす。美肌サプリ、飲む化粧品などともいわれる。」(現代用語の基礎知識2005 (株)自由国民社、2005年1月1日発行)との記述、
(3)「明治製菓のサプリメント(栄養補助食品)『アミノコラーゲン』が大幅に売り上げを伸ばしている。肌によい成分コラーゲンを前面に押し出した製品設計が女性に受け、2005年3月期の売上高は40億円と前期の2.5倍に拡大する見込み。《略》ただ当時、体の中からキレイになる『インナーコスメ』という考え方が広まり始めており、美容系サプリの市場は拡大するとの確信があった。」(日経産業新聞 2005年1月31日)との記述、
(4)「三井農林(株)《略》は通信販売で、1日100円のホームエステ「カテキンエステ」を発売している。女性のための美容サプリメントで、飲む化粧品を進化させた糖衣錠のインナーエステ。カテキン、コラーゲン、ビタミンB2、B6、C、Eなどを配合している。」(日本食糧新聞 2000年5月15日)との記述、
(5)「化粧品も飲む時代、各社新製品を投入――肌の美しさも内面から。」の見出しで、「皮膚の新陳代謝を促し、活性化するといわれるコラーゲンを使った“飲む化粧品”が相次いで登場している。化粧品メーカーのシュウウエムラ化粧品(本社東京、社長植村秀氏)が協和発酵と共同開発して販売したのに続き、サンスターも訪問販売ルートで販売を始めた。化粧品のように肌の上から塗るのでなく、体内の作用を生かす美容飲料は健康志向の高まりを背景に今後も増えそうだ。」(日本経済新聞 1992年9月1日)との記述、
(6)「ナリス化粧品、飲料タイプの化粧品――来春から全国で売り出す。」の見出しで、「化粧品の訪問販売を手がけるナリス化粧品(本社大阪市、社長村岡有尚氏)は飲料タイプのスキンケア化粧品の販売に乗り出した。美容効果のある粉末状の成分を水に溶かして飲む仕組みで、百貨店や雑貨ショップなどの化粧品コーナーで新タイプの化粧品として提案していく。」(日経流通新聞 1990年12月8日)との記述がある。
4 上記(1)ないし(6)を総合的に勘案すると、美肌効果を高めるためには、体の内側と外側、両面から働きかけることが重要であり、外側からの働きかけには化粧品が用いられるが、内側からの働きかけには、ビタミンやコラーゲン等を配合したサプリメント(栄養補助食品)が用いられ、それらは、「飲む化粧品」、「インナーコスメ」又は「美肌サプリ」等と称されていることが認められる。
5 次に、「メディカルコスメ(ドクターズコスメ)」と称される商品が取引きされる場合、「皮膚科医が研究、開発したスキンケア用の化粧品」だけではなく、「いわゆる健康食品(サプリメント)」が共に取引きされている事例についてみるに、インターネットのホームページの商品情報において、例えば、以下のように使用されている。
(1)「ドクターシーラボ」のオンラインショッピングにおける「ドクターシーラボのメディカルコスメは、肌本来の自然治癒力に着目したスキンケアを中心とした化粧品、健康食品、美容機器です。」(http://www.emyline.net/shop/drci/drcilabo.htm)との記述、
(2)「南青山スキンケアクリニック」のメディカルコスメのオンラインショップにおける「サプリメント フランス海岸松より抽出したフラバンジェノール『ピクノジェノール』に各種ビタミンを加えた、飲みやすいソフトカプセルタイプ。安心のスイス・ホーファーリサーチ社ライセンス製品です。1日4粒程度をお水と一緒にお召し上がり下さい。」(http://www3.to/cosmeshop)との記述、
(3)「美容と健康web」における「ドクターズコスメは『メディカルコスメ』とも呼ばれています。ドクターズコスメは『医療の現場から生まれた化粧品』『肌の専門医師が開発した化粧品』のことです。ここ2〜3年で急激に売れるようになり、大人気通販化粧品・通販コスメになりました。特徴としては『悩みに合わせたコスメ選び』という点です。」「ドクターズコスメ専門・ディーコスメ ディーコスメは美肌、保湿、UV、スリミングからダイエットサプリまで豊富な品揃え、使い方から成分まで、商品ごとに詳しく説明しています。」「Dr.Kana-Co-ドクターカナコ 美容医療症例数世界一の神奈川クリニックが開発したドクターズコスメ『Dr.Kana-Co(ドクターカナコ)』のオンラインショップです。肌の悩みに合わせてきめ細かくアイテムをセレクトでき、発売以来、人気・知名度が上昇中のコスメ・サプリメントブランドです」(http://happynavi.jp/kenko/p02.html)との記述がある。
6 上記1及び3ないし5より判断するに、「メディカルコスメ」として取り扱われている商品と「いわゆる健康食品(サプリメント)」との関係については、「メディカルコスメ」の語は、本来、「皮膚科医が研究、開発した化粧品」を意味するものであるが、現時点において、この分野における取引者、需要者にとっての「化粧品」とは、スキンケア用の化粧品のみならず、体の内側から働きかける化粧品、すなわち、「飲む化粧品」、「インナーコスメ」又は「美肌サプリ」のように称されるサプリメントも含まれているものと解されるというのが相当である。
仮に、厳密な意味合いにおいては、「化粧品」に「サプリメント」が含まれておらず、現実には使用されていないとしても、取引者、需要者の間において、「メディカルコスメ」の語が「皮膚科医が研究、開発した『飲む化粧品』といわれているサプリメントないし栄養補助食品」を表すものであると認識される可能性があることは否定できない。
7 また、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、専ら、査定時若しくは審決時において、我が国において、本願商標が、取引者、需要者においてどのような意味を有するものとして認識され、用いられていたかによって判断されるべきであるとされるところ、出願人(請求人)がこれをその指定商品中、例えば「ビタミンを主成分とする粉状・顆粒・錠剤・カプセル・液状に成型した加工食品」等のいわゆる健康食品に使用しても、これに接する取引者、需要者においては、「皮膚科医が研究、開発した『飲む化粧品』といわれているサプリメントないし栄養補助食品」の意味合いを理解するにすぎないというのが自然であり、自他商品の識別標識としての機能を有するものとはいえず、取引の実情を踏まえれば、これを特定人に独占させることは適切でないというのが相当である。
そして、本願指定商品中に含まれる「薬剤」等については、例えば、医薬品としてのビタミン剤とビタミン補給用のいわゆる健康食品又は栄養補助食品(サプリメント)とは、いずれも薬品店、ドラッグストア、薬局等において、多数の種類のものが販売されていること、その商品の内容、用途及び販売店舗、販売方法が似通っていることから、一般の需要者にとっては、区別がつきにくく、紛らわしい商品群になっており、かかる実情を踏まえれば、本願商標をその指定商品中、例えば「ビタミン剤」等に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、該商品が「皮膚科医が研究、開発した『飲む化粧品』といわれているサプリメントないし栄養補助食品」であるかのごとく、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
8 まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-09-06 
結審通知日 2005-09-09 
審決日 2005-09-21 
出願番号 商願2002-98862(T2002-98862) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y05242930)
T 1 8・ 272- Z (Y05242930)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 寺光 幸子 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 岡田 美加
三澤 惠美子
商標の称呼 メディカルコスメ 
代理人 福田 秀幸 

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