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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 205
管理番号 1126251 
審判番号 取消2004-31162 
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-09-09 
確定日 2005-08-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第0582123号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第0582123号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第582123号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和31年8月28日に登録出願、「CANON」の欧文字と「キャノン」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、第1類「丸薬、その他の医薬品及医療補助品」を指定商品として、同36年12月20日に設定登録されたものである。
なお、指定商品については、平成14年10月9日に指定商品の書換登録がされ、第5類「薬剤(蚊取線香その他の蚊駆除用の薫料・日本薬局方の薬用せっけん・薬用酒を除く。),ばんそうこう,キナ塩,モルヒネ,チンキ剤,シロップ剤,煎剤,水剤,浸剤,丸薬,膏薬,散薬,錠薬,煉薬,生薬,薬油,石灰,硫黄(薬剤),鉱水,打粉,もぐさ,黒焼き,防腐剤,防臭剤(身体用のものを除く。),駆虫剤,包帯,綿紗,綿撒糸,脱脂綿,医療用海綿,オブラート」と書き換えられている。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証及び検乙第1号証ないし検乙第3号証を提出した。
被請求人は、本審判の請求日である平成16年9月9日以前より、「キャノン」の文字よりなる商標を付した商品の製造・販売事業を具体的に計画しており、遅くとも平成16年7月7日には、本件商標を付した当該商品の外箱(パッケージ)及び商品ラベル(シールラベル)の意匠を岩倉印刷紙業株式会社に製作させ、かつ、前記外箱及び前記商品ラベルの見本の製作をしていた。商品又は商品の包装に商標を付する行為は、商標の使用であるところ、被請求人は、平成16年7月7日には前記「キャノン」の文字よりなる商標を使用していたというべきものである。さらに、本件審判番号通知の発送前である平成16年9月16日には、岩倉印刷紙業株式会社に前記外箱及び前記商品ラベル各1万枚を発注している。なお、これらの納品は平成16年10月5日である(乙第2号証ないし乙第8号証)。
また、被請求人は、本件審判番号通知の発送日である平成16年9月28日までに本件商標の譲渡の申し出などは一切受けておらず、本件審判番号通知を受け取って始めて本件審判が請求されたことを知ったものであり、被請求人は、本件審判が請求されることを知らずに、平成16年7月7日には「キャノン」の文字よりなる商標を使用していたものである。
なお、被請求人がその外箱に「キャノン」の文字よりなる商標を付した商品は、ウコン、ニンニク等の成分を含む褐色の錠薬であり、請求人が本件商標の指定商品の取り消しを求める「錠薬」に相当するものである(検乙第1号証、検乙第2号証)。
更に、被請求人は、従前より、「キャノンガーリック」の文字よりなる商標を付した商品の製造販売事業を行っている。事業の形態は、電話等により当該本件商標を付した商品の注文を受け、受注した商品を注文者に発送する形態での販売等である。このような事業は、本審判の請求前3年以内に継続して行われている。例えば、被請求人は、平成14年3月26日及び平成14年11月22日に、前記「キャノンガーリック」の文字よりなる商標を付した商品を顧客に納品しており、少なくとも本件審判請求の日の約2年前に継続して「キャノンガーリック」を付した商品の製造・販売事業を実施していたことを示している(乙第9号証ないし乙第12号証)。
また、被請求人が従前より使用している「キャノンガーリック」の文字よりなる商標については、この商標が付されている商品がニンニク(ガーリック)成分を含む錠薬であることから商標中に含まれる「ガーリック」の文字部分は商品の品質を示すに過ぎないものであり、需要者をして識別力を有する商標として認識される部分は「キャノン」の文字部分であることから、被請求人は、従前より本件商標を継続的に使用しているというべきである(検乙第3号証)。
以上の通り、本件商標は、指定商品中の「錠薬」について、審判請求前3年以内に使用されていたものであるから、本件審判請求は成り立たない。
第4 当審の判断
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、被請求人は、同条第2項に規定されているとおり、その取消請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その指定商品に係る商標登録の取消を免れない。
(1)そこで、被請求人が本件商標を「錠薬」について使用しているとして提出した乙各号証をみるに、乙第2号証・乙第3号証(外箱展開見本及び商品ラベル見本)、乙第4号証(岩倉印刷紙業株式会社勤務の岡田和久の証明書)、乙第5号証(注文書)、乙第6号証・乙第7号証(納品書)及び乙第8号証(岩倉印刷紙業株式会社勤務の岡田和久の確認書)によれば、被請求人は、「キャノン」の商標の付いた外箱及び商品ラベルの製作を岩倉印刷紙業株式会社に依頼し、平成16年7月7日にその見本の提示を受け、同年9月16日に、「うこん、にんにく、かき」のシールラベル及びパッケージ各1万枚を岩倉印刷紙業株式会社へ発注したこと、そして、平成16年10月5日に、被請求人は、岩倉印刷紙業株式会社から「うこん・にんにく・かき箱」及び「うこん・にんにく・かきシール」各1万枚の納品を受けたことを認めることができる。
また、乙第9号証ないし乙第12号証(納品書、送状控及び工場連絡表)によれば、被請求人は、平成14年3月26日に館野洋宛てに、同年11月22日に山中容子宛てに、それぞれ「キャノンG」なる商品を納品したことを認めることができる。
(2)しかしながら、被請求人が本件商標を使用していると主張している商品は、第5類に属する「錠薬(薬剤)」とは認められない。
被請求人が「錠薬」の外箱及び商品ラベルの実物であるとして提出している検乙各号証をみるに、検乙第1号証は、瓶を保護するための外箱と認められるものであり、箱の正面(裏面)には、「うこん、にんにく、牡蠣」の絵が大きく描かれ、「栄養補助食品」、「うこん・にんにく・かき」、「エキスを凝縮」、「60粒」、「キャノン」の各文字が表示されており、側面には、名称として「ニンニク、カキニクエキス、ウコン加工食品」、原材料名として「乳糖、白糖、ニンニク、貝殻未焼成カルシウム、カキニクエキス、ウコン、結晶セルロース、乳化剤、シエラック、アラビアガム、還元麦芽糖水飴、着色料(カカオ色素)、ミツロウ、カルナウバロウ」と表示されており、その他に、内容量、賞味期限、保存方法、製造者が表示され、欄外部分には、<召し上がり方>として「1日に2〜3粒程度を目安に水またはぬるま湯でお召し上がり下さい。」と記載されている。
検乙第2号証は、瓶に貼付して使用するための商品ラベルと認められるものであり、「うこん、にんにく、牡蠣」の絵が大きく描かれ、「うこん・にんにく・かき」、「エキスを凝縮」、「60粒」、「キャノン」の各文字が表示されており、右脇には、被請求人会社の表示と住所が記載されている。
検乙第3号証は、瓶を保護するための外箱と商品ラベルと認められるものであり、外箱の正面(裏面)には、「無臭」、「にんにく粒/100粒」、「キャノンガーリック」、「被請求人会社の表示と住所」、「1日に3〜5粒お飲みください。」の各文字が表示されており、側面には、その他の表示として、「口臭・体臭はありませんので、安心して飲んでいただけます。無臭にんにくは保健食品として最適のものです。」と記載されている。また、商品ラベルには、「無臭」、「にんにく粒/100粒」、「キャノンガーリック」、「被請求人会社の表示と住所」の各文字が表示されており、右脇には、被請求人会社の表示と住所とともに、「口臭・体臭はありませんので、安心して飲んでいただけます。無臭にんにくは保健食品として最適のものです。」と記載されている。
ところで、近年、薬品型健康食品(drug type health food)といわれる商品が数多く販売されており、例えば、東洋経済新報社発行の「現代商品大辞典 新商品版(昭和61年10月18日発行)」によれば、薬品型健康食品の説明として、「錠剤やシロップ、粉末等のように、通常の食品の形態とは異なり、薬品的な形態をもった健康食品の一群である。もちろん食品のなかでも子供用の菓子のなかには錠剤タイプのもの等もみられるのであるが、これらの商品は成人の健康イメージにアピールするために、あるいは通常の食品の形態を取りにくいために薬品的形態をしている商品ということができる。・・・ローヤルゼリー、きのこ粉末、花粉、高麗にんじんエキス、クロレラ粉末、スピルリナ粉末、若葉ジュース、びわの葉、梅肉エキス、たんぽぽエキス、胚芽油、大豆レシチン、ごま油、深海鮫エキス、スッポンの血液、オットセイエキス、寿草エキス、にんじんカロチン、ローズビタミン、かき殻粉末、骨粉、有機ゲルマニウム等多種多様な商品が販売されている。」と記載されている。
上記した現代商品大辞典の説明に照らしてみれば、被請求人が「錠薬」であると主張している商品は、その原材料の点からばかりでなく、「栄養補助食品」なる表示、「ニンニク、カキニクエキス、ウコン加工食品」の表示、「1日に2〜3粒程度を目安に水またはぬるま湯でお召し上がり下さい。」との表示、「無臭にんにくは保健食品として最適のものです。」の表示等からみても、まさに、薬品型健康食品といわれる健康食品の一種というべきものであって、第5類に属する「錠薬(薬剤)」とは別異の商品といわなければならない。ちなみに、これらの健康食品といわれる商品は、例えば、「クロレラを主原料とする粒状の加工食品」の如き表示のもとに、通常、第29類に属する商品として扱われているものである。
加えて、医薬品の製造業者が医薬品を製造するときには、薬事法第14条の規定により、医薬品についての製造販売の承認を受けなければならないところ、被請求人が本件商標を使用している(あるいは、使用せんとしている)商品が「錠薬(薬剤)」であるならば、当然、薬事法に基づく医薬品についての製造販売の承認を受けているはずであるが、この点を明らかにする証拠は何ら提出されていない。
そうとすれば、被請求人の提出に係る乙各号証をもってしては、取消請求に係る商品についての使用の事実を証明したものとは認められない。
更に付言するならば、被請求人は、商品の外箱、商品ラベルの発注行為は、商品又は商品の包装に商標を付する行為にあたり、本件商標の使用に該当するものである旨主張しているが、商標法第2条第3項第1号(商品又は商品の包装に標章を付する行為)の規定は、商品の存在を前提として定義されていることは論をまたないところであり、被請求人の主張する商品が本件商標の指定商品に包含されている商品であるとしても、商品が存在しない(少なくとも、立証されていない)状況のもとにおいては、自他商品の識別標識たる商標を使用することが不可能であるから、乙第2号証ないし乙第8号証による商品の外箱、商品ラベルの発注行為は、商標法第2条第3項第1号に規定されている「商品又は商品の包装に標章を付する行為」にはあたらないものといわなければならない。
(3)してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録(平成16年9月30日)前3年以内に日本国内において、被請求人により、その請求に係る指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-06-23 
結審通知日 2005-06-28 
審決日 2005-07-11 
出願番号 商願昭31-26302 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (205)
最終処分 成立  
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 宮川 久成
山本 良廣
登録日 1961-12-20 
登録番号 商標登録第582123号(T582123) 
商標の称呼 1=キャノン 2=カノン 
代理人 神谷 岳 

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