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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 111 |
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管理番号 | 1126066 |
審判番号 | 取消2003-31596 |
総通号数 | 72 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-12-22 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2003-11-26 |
確定日 | 2005-10-18 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1617815号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第1617815号商標(以下「本件商標」という。)は、「YOU」の欧文字を横書きしてなり、昭和55年6月17日に登録出願され、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同58年9月29日に設定登録、指定商品については、平成16年12月8日付けの書換登録により第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」、外第7類、第8類、第10類、第11類、第12類、第16類、第17類、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品としてなり、平成6年2月24日及び同15年7月8日の二回にわたり商標権存続期間の更新登録がされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の指定商品中、第11類「電気通信機械器具、電子応用機械器具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第7号証を提出した。 (1)本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具、電子応用機械器具」につき、継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。 加えて、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないのであるから、使用権者による使用ということも問題にならない。 したがって、本権商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消されるべきである。 (2)被請求人の答弁に対する弁駁 (ア)「YOU」の欧文字を左横書きしてなる本件商標と「YOUナビ」の文字を左横書きしてなる乙第2号証の登録商標(以下「YOUナビ商標」という。)とは、法区分を異にするも指定商品「電気通信機械器具」「電子応用機械器具」(後者は「電子応用機械器具及びその部品」)を同一(権利範囲)にしているにもかかわらず、両者はその併存登録を許されているのである。 この事実は、特許庁においては、本件商標とYOUナビ商標とが、「一商標一出願」を定めた商標法第6条に適合している各々別異の商標と判断されたことを示すものである。 なお、被請求人は、「被請求人の『使用商品』であるカーナビゲーション機器は『カーナビ』という言葉で省略して使用されることが多く、当該分野において『ナビ』という言葉は現実的に何人の商品であるか認識しにくい識別力の弱い言葉である」旨述べている。 仮に、上記のとおりであれば、「ナビ」の文字は、その指定商品の品質等を表示するものであり、指定商品中該文字に照応する商品以外の商品について使用する場合には、商品の品質の誤認を生じるおそれのあるものとして、YOUナビ商標は、商標法第4条1項16号に該当するとされなければならないものである。しかしながら、YOUナビ商標は、品質の誤認を生じるおそれのないものとして、第9類「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」の全商品表示を指定商品として登録されているものである。 このような請求人の主張は、「ナビー」、「NAVI」又は「Navin’You」のそれぞれの文字からなる登録商標(甲第3号証ないし同第5号証)からも明らかなように、特許庁においては、「ナビー」、「NAVI」、「Navin」の各文字は、商品の品質等を表示するものではないものとして判断され、かつ登録されているものであり、被請求人の主張は妥当ではない。 (イ)また、被請求人は、「被請求人の使用している商標『youナビ』は換言すれば本件商標『YOU』の使用である」旨述べている。 大文字・小文字間、すなわち「YOU」「you」間の変更使用は、一応同一範囲の使用と認められるから、これについては、請求人も異論を有しない。 しかしながら、前項(ア)で述べたとおり、特許庁においては、甲第3号証ないし同第5号証の各文字並びにYOUナビ商標中の「ナビ」の文字は、商品の品質等を表示するものではないものとして判断されているものである。かつ、乙第1号証(Panasonic HDDカーナビゲーションシステムカタログ)に使用されている「youナビ」からなる商標は、視覚上一個の結合体としての商標であるとの印象を与え、「you」の部分が独立して商標として機能するとは認められないので、「YOU」の欧文字を左横書きしてなる本件商標の使用とは認識されないものである。 ちなみに、乙第1号証には、[youナビ](2ページ4行目、10ページ2行目、19ページ2行目等)のごとく、同一書体でまとまりよく一体不可分に左横書きしてなる表示も存在する。 このような請求人の主張は、判決例(甲第6号証)からも明らかである。 「youナビ」に関するインターネット検索データ「D&M 日経メカニカルON LINE」の一例(甲第7号証)からも明らかなように、「youナビ」は同一書体でまとまりよく一体不可分に左横書きしてなるものである。 (ウ)以上のとおり、被請求人の提出した使用を立証する書面(乙第1号証)は、商標法第50条の要件を具備しておらず、本件商標を使用しているとは認められない。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証を提出した。 (1)被請求人は、「HDD(ハードディスクドライブ)カーナビゲーションシステム」(乙第1号証。以下「使用商品」という。)において、請求人による本審判請求以前の2002年11月時点で、既に「you」を商標として使用している。この使用商品については、本件商標の指定商品である「電気通信機械器具」に包含されているため、本件商標を被請求人が使用しているのは明らかである。実際の使用態様は、「you」と「ナビ」を結合して使用しているが、「you」の書体は、角の取れた丸文字の欧文字を、「ナビ」の書体は、角張った片仮名文字を採用しており、「you」と「ナビ」で異なった書体を使用しているので、「you」が際立つ使用態様となっている。 (2)特に、被請求人の使用商品であるカーナビゲーション機器は、「カーナビ」という言葉で省略して使用されることが多く、当該分野において「ナビ」という言葉は現実的に何人の商品であるかを認識しにくい識別力の弱い言葉であるため、一般需要者が被請求人の使用している商標「youナビ」に接した場合、「you」を強く認識して何人の商品であるかの識別を行うものと考える。 したがって、被請求人の使用している商標「youナビ」は、換言すれば本件商標「YOU」の使用であるといえる。 (3)結語 以上のとおり、本件商標は、本審判請求の登録以前の3年以内に、「電気通信機械器具」に関連する商品に被請求人が使用しているので、商標法第50条第1項の規定に該当するものではない。 4 当審の判断 被請求人の提出に係る乙第1号証は、「HDDカーナビゲーションシステムカタログ」と記載された商品カタログであり、その表紙には、「2002/11」の文字、及び青色の濃淡のグラデーションをもって彩色された隅丸長方形内に「youナビ」の文字が白抜きで表されている(以下「使用商標」という。)。この使用商標は、第1ページないし第4ページ、第20ページにも表されている。 そして、第1ページ以下には、商品「HDDカーナビゲーションシステム」の特徴などについて記述され、また、裏表紙には「松下電器産業株式会社」及び「松下通信工業株式会社カーシステムビジネスユニット」の各文字並びに「このカタログの記載内容は2002年10月現在のものです。」の文字が記載されている。 以上の乙第1号証の記載によれば、この商品カタログの商品「HDDカーナビゲーションシステム」は、本件取消審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具、電子応用機械器具」に含まれる商品であって、この商品カタログは、商標権者である被請求人外により、請求の予告登録(平成15年12月17日)前3年以内に作成されたもであり、それ以降に、取引者、需要者の間に頒布されたものと推認することができる。 そこで、乙第1号証の使用商標についてみるに、使用商標における「youナビ」の文字は、その全体から一体とした特定の意味合いを認識させるものではなく、また、これを構成する「you」と「ナビ」の各文字は、文字の種類及びその書体が異なっていて、外観上からも、必ずしも、常に一体のものとしてのみ認識されるとはいい難いものである。しかも、該商品カタログに「・・・スタイリッシュなHDD一体型ナビ『youナビ』」「・・・あなたの欲しかった機能が満載のうれしいナビの登場です。」等と、「HDDカーナビゲーションシステム」を「HDDナビ」、「ナビ」と略して記載されていることを併せ勘案すれば、乙第1号証の商品カタログに接した取引者、需要者は、使用商標における「ナビ」の文字部分をカーナビゲーションシステムを表したものと理解し、商品の識別機能を有しないか、その機能が極めて弱いものと認識する場合も少なくないといわなければならない。 してみれば、使用商標における「you」の文字は、独立しても商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであるから、使用商標と本件商標とは、大文字と小文字との差異を有するものの、社会通念上同一性を有するものと判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者により請求に係る指定商品に包含される商品について使用されていたものであるから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-05-20 |
結審通知日 | 2005-05-25 |
審決日 | 2005-06-08 |
出願番号 | 商願昭55-50056 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(111)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 市川 久雄、宮田 金雄 |
特許庁審判長 |
柴田 昭夫 |
特許庁審判官 |
鈴木 新五 柳原 雪身 |
登録日 | 1983-09-29 |
登録番号 | 商標登録第1617815号(T1617815) |
商標の称呼 | ユー |
代理人 | 西野 吉徳 |
代理人 | 加藤 義明 |