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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Y35
管理番号 1126056 
審判番号 不服2004-8595 
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-26 
確定日 2005-10-20 
事件の表示 商願2002-47981拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ContactPoint」の文字と「コンタクトポイント」の文字とを二段に書してなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成14年6月10日に登録出願されたものである。
そして、その指定役務については、当審における平成16年6月24日付けの手続補正書により、第35類「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,広告用具の貸与」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『相談窓口』を意味する『ContactPoint』『コンタクトポイント』の文字を二段に書してなるので、これをその指定役務に使用しても、提供される役務に関する相談窓口の意味合いを理解させるにとどまり、需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、その構成中の「Contact」、「コンタクト」の文字は、「接触、接点、交信」等の意味を有する語として、同じく、「Point」、「ポイント」の文字は、「先、点」等の意味を有する語として、ともに知られている英単語とその読みを表したものと認められ、両語は比較的平易な語であることから外来語としても親しまれているものである。
そうとすれば、これに接する取引者、需要者は、さほどの困難を伴うことなく、全体として、「接触する点、接点」というほどの抽象的意味合いを認識、把握するとみて差し支えなく、もって本願指定役務に係る業務の内容と関連づけて認識すると見るのが相当である。
ところで、広告、市場取引(マーケッティング)、経営販売上の戦略として、ブランドの構築や管理を行うこと(ブランディング)関連の分野では、近時の情報技術の発展に伴い、ブランド構築の重要な要素の一つとして、顧客や消費者がブランドと接するあらゆる瞬間に焦点を当て、そこからブランド価値を高めるための戦略を立ち上げるという新しい考え方が見られるところである。
しかして、顧客や消費者とブランドの広範な接点のことを「コンタクトポイント」と称し、ブランド確立には、顧客接点の管理と改善が不可欠であるとの理論の下に、市場調査や広告の現場においては、顧客とブランドとの接点との実態に関する調査・研究が行われており、「コンタクトポイント」の語が、「顧客接点」の意味合いをもって、取引の実際において普通に使用されているものである。
そして、たとえば、以下の書籍・新聞記事の情報、あるいは、マーケッティングやブランディング関連のインターネット・ホームページ情報等によれば、その実情の一端をうかがい知ることができる。
(1)「imidas2005」株式会社集英社発行 第336ページ
「コンタクト・ポイント」contact points
ブランドと顧客が接触する場面。正確にはブランド・コンタクトポイント。〜中略〜ところが最近の研究では、消費者は、もっと広範な接点(コンタクト・ポイント)を通じてブランドを理解し、評価していることが分かってきた。」
(2)2005年6月29日の「日本食糧新聞」の記事
「中央酪農会議、『牛乳に相談だ!』キャンペーン実施 消費拡大目指す。〜中略〜さらに、中高生とのコンタクトポイントを多様化し、ポスターではターゲットの側から“牛乳”を捉え直すものとして、『お肌にいい飲み物ないかしら。』や『成績も、身長も、伸ばしたいのですが。』などをキャッチコピーに採用。」
(3)http://www.mitsue.co.jp/column/backnum/20040806a.html
「ブランディングの分野でいま、コンタクトポイントという考え方が取り沙汰されています。顧客のブランドに対する経験価値(エクスペリエンス)を重んじる考え方の中で、顧客がブランドに接するあらゆる瞬間に焦点を当て、各コンタクトポイントでブランドとして一貫性のある価値提供を行おうとする戦略です。」
(4)http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/rensai/index.cfm?i=e_crm71
「顧客と接触する企業のコンタクトポイント(接点)は、インターネットや携帯電話、インフラとしての高速データ回線の普及で新たな拡がりを見せている。」
(5)http://www.adm.fukuoka-u.ac.jp/fu842/home1/college/2005/autumn/imagewodotsutaeruka.htm
「本講座では、広告業界の最前線で活躍するプランナーを講師に迎え、シミュレーションを通じて、広告メッセージのコンタクトポイント戦略・コミュニケーション戦略の立案・構築の具体化とそのために必要な手法や情報を提供します。また、ワークショップスタイルで受講者同士の交流により議論を深めます。」
(6)http://www.dm-gakkai.jp/dmforam8-1.htm
「さらに最近では、ブランドと顧客の接点、『ブランド(メッセージ)・コンタクトポイント』という観点からブランド・コミュニケーションを見直そうという議論が出てきました。ブランド・コンタクトポイント戦略は、企業にとって制御不可能なブランド・コンタクトポイントも視野に入ってきます。」
(7)http://www.ctc-g.co.jp/~solution/industry/service.html
「顧客とのコンタクトポイント 小売業の店舗、卸売業の営業所などやインターネットショッピング、コンタクトセンター、E-mail、 電子カタログなど、マルチポイントのコンタクトを実現。」
(8)http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/200406/06toku3.html
「これは、すべてのコンタクトポイントでブランドマネジメントを実現していこうという試みなわけです。」
(9)http://www.accenture.com/xd/xd.asp?it=jpweb&xd=locations%5Cjapan%5Cservices%5Cfsi%5Cfsi_thought_crm041117.xml
「顧客接点(コンタクトポイント contact point):ブランドが顧客などのステークホルダーと相互作用を行い、ステークホルダーに何らかの印象を残すすべての接点/メディア。」
上記の実情を総合勘案すると、「ContactPoint」及び「コンタクトポイント」の文字からなる本願商標は、概略「顧客接点」といった意味を有する語として理解され、認識されるものというのが相当であって、本願指定役務との関係においては、全体として一種の造語ととらえられるよりも、むしろ広告、マーケッティング、あるいはブランディング戦略等の分野においては、分析、調査、管理すべき対象・要素を表すものとして、普通に使用されている語として理解されるにとどまるものといわざるを得ない。
してみれば、本願商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者に上記意味内容を認識させる以上に格別顕著なところはなく、これをもって自他役務の識別標識として認識するものとは認められないから、結局、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものというべきである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
なお、原査定は、本願商標が「相談窓口」の意味を有し、商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶したものであるが、同第6号は、自他商品・役務の識別標識として機能しないものは登録を受けることができないとする登録要件に関するものであるから、原審で開示した理由と、当審において本願商標が該当すると判断する理由とは、自他役務の識別力の有無について、実質的に同趣旨の内容であると見て差し支えないものであり、請求人には既に意見書(自他役務の識別力の有無について)を提出する機会が与えられているので、あらためて拒絶の理由を通知することなく判断した。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-08-22 
結審通知日 2005-08-23 
審決日 2005-09-05 
出願番号 商願2002-47981(T2002-47981) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (Y35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深沢 美沙子 
特許庁審判長 柳原 雪身
特許庁審判官 山本 良廣
小出 浩子
商標の称呼 コンタクトポイント 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 浜田 廣士 
代理人 佐藤 英二 

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