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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Z202425 |
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管理番号 | 1124555 |
審判番号 | 不服2001-2445 |
総通号数 | 71 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-01-09 |
確定日 | 2005-09-26 |
事件の表示 | 平成11年商標登録願第118420号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、「Polo Club」の欧文字を横書きしてなり、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、平成11年12月21日に登録出願、その後、上記指定商品中、第25類の指定商品については、同12年10月27日付けの手続補正書により、「被服」と補正されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願商標は、米国のトップデザイナー『ラルフ・ローレン』によって主宰されるアパレルその他生活関連メーカーである『ザ ポロ/ローレン カンパニーリミテッド パートナーシップ』の著名な商標である『Polo』の文字を構成中に含むから、これをその指定商品に使用するときは、恰も、前記会社の業務に係る商品又は前記会社と経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。 第3 請求人の主張の要点 請求人は、本願商標は登録されるべきである、として以下のように主張し 、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出している。 1 原査定は、ザ ポロ/ローレン社の著名な商標が「Polo」であると認定しているが、同社の使用している商標は、「Polo by RALPH LAUREN」、「Polo RALPH LAUREN」であり、デザイナー名である「RALPH LAUREN」を構成中に含む点において大きな特徴がある。 してみれば、「Polo」自体をラルフ・ローレンの著名な商標とする前記認定は、事実を誤認し、このような誤った事実認定を前提とする原査定は違法である。 2 本願商標「Polo Club(ポロクラブ)」商標については、活発な宣伝広告や企業努力の結果、相当額の販売実績を有する商標であり、その出願前から既に著名商標としての地位を確立している。 そして、「ポロクラブ」商標と「ラルフローレン」商標は、共に著名商標であり別異の商標として認知されている。 したがって、「ポロクラブ」商標は、「ラルフローレン」商標と別異の商標であるから出所の混同を生ずるおそれはないものと判断すべきである。 3 「ポロクラブ」商標が著名性を獲得していることは前記のとおりであるが、その基礎には請求人の所有に係る「Polo Club/ポロクラブ」という登録商標(商標登録第1090129号 以下「Polo Club 登録商標」という。)が存在する。すなわち、「ポロクラブ」商標の著名性は、既に登録済の「Polo Club 登録商標」を基礎とし、これとの具体的関連をもって獲得されたものである。 したがって、「ラルフローレン」商標の著名性と関係なく蓄積された「ポロクラブ」自身に固有のグッドウィルが存在し、その帰属は本願商標についても認められる以上、本願商標が商標法第4条第1項第15号により拒絶されるべきいわれはない。 4 「ポロクラブ」商標の著名性については、ボイス情報株式会社のブランド知名度調査のとおりであり、総合知名度は78.6%となっている。 また、2000年の調査によれば、総合知名度は「ポロクラブ」の57.9%に対し、「ポロ・バイ・ラルフローレン」は、46.6%で、「ポロクラブ」の方が上回っている。 さらに、有力ファッション雑誌の「メンズ・クラブ」は、「ポロクラブ」をステータスブランドであると紹介し、「別冊 男のブランド図鑑 昭和63年版」等において「ポロシャツ」の定番アイテムと紹介している。 5 以上、本願商標は、「ラルフローレン」商標と外観、観念、称呼の何れにおいても異なる非類似の商標であり、出所の混同を生ずるおそれはないものである。 第4 当審の判断 1 「POLO」の周知著名性について (株)講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケッテング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。 アメリカ合衆国在のラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」の主演ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。 我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標、(以下、一括して「引用商標」という。)が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。 そして、(株)洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。 また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB I980,12 」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年5月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」に、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80版」、「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」に「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。 なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。 以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国においては、本願商標の出願時には既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして引用商標が取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。 2 本願商標が商品の出所について混同を生ずるか否かについて 本願商標は、上記のとおり、「Polo」と「Club」の2語を結合してなるものであることは明らかであり、常に一体不可分にのみ看取されるべき格別の事由もなく、前記認定の如く引用商標が著名であることに照らせば、本願商標に接する需要者、取引者は、その構成中の「Polo」の文字に注目し、引用商標を連想、想起するというのが相当である。 また、本願の指定商品の第20類「まくら、クッション等」、第24類「布製身の回り品、敷布、布団等」、第25類「被服」は、ファッションに関連する商品であって、統一ブランドの下にトータル的にファッションをまとめようとする昨今においては、上記引用商標が使用されている被服、眼鏡とは、少なからぬ関係を有するものといえる。 してみれば、本願商標をその指定商品について使用する場合、これに接する取引者、需要者は、ラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を 生ずるおそれがあるものといわなければならない。 なお、請求人の「Polo Club」商標についての東京高等裁判所の判決(平成12年(行ケ)160号、平成14年6月19日判決言渡)、及び同じく請求人のやや手書き風の書体からなる「PoloClub」商標についての同裁判所の判決(平成12年(行ケ)308号、平成14年6月19日判決言渡)において、何れも引用商標「POLO」等の著名性を認めた上で、他人(請求人)が「はき物、かさ、つえ等」、「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類等」について上記「Polo Club」商標を使用した場合は、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがある旨判示している。 また、請求人が提出したブランド知名度調査等の甲各号証は、「Polo Club」と「Polo」が別のブランドの商標として知られるに至っている事実を立証するにとどまるものというべきであり、「Polo Club」ブランドないしは本願商標を使用する者がラルフ・ローレン等と関係がないことを一般の需要者が知っていたことを窺わせるものでないから、たとえ、本願商標が周知であったとしても、上記混同を生ずるおそれがないということはできない。 3 むすび 以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり、審決する。 |
審理終結日 | 2005-07-12 |
結審通知日 | 2005-07-22 |
審決日 | 2005-08-03 |
出願番号 | 商願平11-118420 |
審決分類 |
T
1
8・
271-
Z
(Z202425)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山口 烈 |
特許庁審判長 |
山田 清治 |
特許庁審判官 |
寺光 幸子 小林 薫 |
商標の称呼 | ポロクラブ |
代理人 | 山内 淳三 |