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審決分類 審判 一部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Z10161721
管理番号 1123249 
審判番号 無効2004-89088 
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-10-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-10-18 
確定日 2005-09-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第4696632号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4696632号商標(以下「本件商標」という。)は、「ULVAC」の文字を書してなり、平成12年12月19日に登録出願、第1類、第2類、第4類、第6類、第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第14類、第16類、第17類、第21類、第37類、第40類及び第42類に属する商標登録原簿のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、同15年8月1日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3183616号商標は、「ALPA’C」の文字と「アルパック」の文字とを二段に書してなり、平成6年2月1日に登録出願、第23類「糸」を指定商品として、同8年8月30日に設定登録されたものである。
同じく登録第4044287号商標は、「ALPA’C」の文字と「アルパック」の文字とを二段に書してなり、平成8年3月8日に登録出願、第24類「織物(畳べり地を除く),メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身回品,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」を指定商品として、同9年8月15日に設定登録されたものである。
同じく登録第1785119号商標は、「ALPAC」の文字を書してなり、昭和58年6月10日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同60年6月25日に設定登録、その後、平成7年11月29日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
同じく登録第3162322号商標は、「ALPA’C」の文字を書してなり、平成5年9月6日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同8年6月28日に設定登録されたものである。
同じく登録第4044288号商標は、「ALPA’C」の文字と「アルパック」の文字とを二段に書してなり、平成8年3月8日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同9年8月15日に設定登録されたものである。
以下、上記各登録商標を一括して「引用商標」という。

3 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の指定商品中「第9類、第10類、第16類、第17類及び第21類に属する商品についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第23号証を提出した。
(1)本件商標は、欧文字「ULVAC」を太字で横書きにしてなり、「アルバック」との自然的称呼が生じる。本件商標は、英和辞典、仏和辞典、独和辞典にも掲載されておらず(甲第8号証ないし同第10号証)、特定の観念を生じさせない造語といえるため、わが国で最も一般に親しまれている英語風の読み方をもって発音されるのが通例といえるからである。「ULVAC」が「アルバック」と発音されることは、被請求人自身が自己の商号である「株式会社アルバック」の略称「アルバック」の英語表記として、一般的な称呼を念頭に「ULVAC」の綴り字を採択していることからも窺える(甲第11号証)。
一方、引用商標は、「ALPA’C」と「アルパック」の文字、「ALPAC」の文字又は「ALPA’C」の文字よりなり、これらの構成文字に相応した「アルパック」との自然的称呼が生じる。引用商標は、英和辞典、仏和辞典及び独和辞典にその意味合いが掲載されておらず(甲第12号証ないし同第14号証)、特定の意味合いを有しない造語商標であることが知られる。そのため、わが国で最も一般に親しまれている英語風の読み方をもって「アルパック」と発音されるといえるからである。
本件商標から生じる「アルバック」の称呼と引用商標から生じる称呼「アルパック」を比較すると、5音という構成音数を共通にし、第3音の濁音、半濁音にしか差異を有さないものである。差異音である「バ」と「パ」の音は、いずれも母音(a)を共通にする近似した音である。また、称呼の識別上明瞭に聴取するのが困難である中間音にある。そのため、「アルバック」と「アルパック」の称呼は、全体の語調感が極めて近似し相紛らわしく、彼此聴き誤るおそれがあるものといえる。
よって、本件商標は、引用商標と称呼において類似する。
なお、「バ」と「パ」の音にしかその発音において差異を有さない商標が互いに類似すると判断された審決例が多数存在する(甲第15号証ないし同第19号証)。
また、本件商標と引用商標は、いずれもありふれた字体で横書きしたものにすぎず、外観において特段に強い印象を与えるものではない。加えて、観念においても、本件商標と引用商標は、特段の意味合いを有するものではないから、この点において両商標を比較することはできない。よって、本件商標及び引用商標における外観及び観念は、称呼における上記の類似性を凌ぐものではない。
よって、本件商標と引用商標は、全体的に観察して類似する商標であるというべきである。
また、本件商標の指定商品中、少なくとも「第9類 事故防護用手袋」「第10類 医療用手袋」「第16類 紙製幼児用おしめ」「第17類 糸ゴム及び被覆ゴム糸(織物用のものを除く。),化学繊維糸(織物用のものを除く。),石綿織物,石綿製フェルト,絶縁手袋」「第21類 家事用手袋」は、引用商標の指定商品と抵触している。
さらに、本件商標は、引用商標と、現実の取引の場においても、混同を生じさせるおそれが大きい(甲第20号証ないし同第22号証)。
以上より、本件商標と引用商標とは、類似の商標であり、また、その指定商品も抵触している。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効にされるべきである。

4 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。
被請求人は、平成16年11月30日付けで、本件商標の指定商品中「第9類 事故防護用手袋,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク」「第10類 医療用手袋」「第16類 紙製幼児用おしめ」「第17類 糸ゴム及び被覆ゴム糸(織物用のものを除く。),化学繊維糸(織物用のものを除く。),石綿織物,石綿製フェルト,絶縁手袋」「第21類 家事用手袋」を放棄する「商標権の一部抹消登録申請書」を申請している(乙第1号証)。
請求人は、「第9類 全指定商品」「第10類 全指定商品」「第16類 全指定商品」「第17類 全指定商品」及び「第21類 全指定商品」の登録を無効とする、との審決を求めているが、上記の放棄された指定商品以外の本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、生産部門、販売部門、品質、用途、需要者等を異にする非類似の商品である。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、商標権の一部抹消が登録されることにより、指定商品が互いに類似しないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。
してみれば、同法第46条第1項の規定により、本件商標の登録を無効とすることはできない。

5 当審の判断
本件商標は、前記のとおり「ULVAC」の文字よりなり、固有の称呼、観念を有しない造語よりなるものと認められる。そして、一般に、欧文字よりなる造語商標の場合には、我が国における英語の普及度よりみて、英語風の読み方の称呼により取引されるのが一般的であると解される。これを本件商標についてみるに、「超」を意味する平易な英単語である「ultra」の文字が、これを片仮名で表した「ウルトラ」の語とともに日常語としても使用され広く親しまれていることより、本件商標の「ULVAC」の文字に接した取引者、需要者の多くは、「UL」の文字部分を「ウル」と発音し、全体として「ウルバック」と称呼するのが自然であると認められる。
これに対し、引用商標は、「ALPA’C」と「アルパック」の両文字、「ALPAC」の文字又は「ALPA’C」の文字よりなるものであり、いずれも、これらの構成文字に相応して「アルパック」と称呼されるものと認められる。
そこで、本件商標と引用商標とが類似のものであるか否かについて検討する。
本件商標より生ずる「ウルバック」の称呼と引用商標より生ずる「アルパック」の称呼とを比較した場合、第1音において「ウ」と「ア」及び第3音において「バ」と「パ」の各音の相違を有するものであり、両者は明瞭に聴別し得るものということができる。
また、両商標を外観の点から対比すれば、本件商標と引用商標における欧文字とを比較しても、「ULVAC」と「ALPA’C」「ALPAC」の両文字は、視覚上最も印象に残る第1文字において「U」と「A」の文字及び第3文字において「V」と「P」の文字の相違を有しており、これら相違する各文字は、その字形において共通性の乏しいものといえるから、両商標は、視覚上から受ける印象が大きく異なるものといわなければならない。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであること上記のとおりであるから、観念においても紛れる要素は見当たらない。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、称呼において区別し得るものであり、また、外観の印象も大きく異なり、観念においても紛れる要素はないものであるから、称呼、外観及び観念の各点を総合勘案すれば、両商標は、彼此相紛れるおそれのない非類似のものと判断するのが相当である。
なお、請求人は、本件商標より、「アルバック」の称呼を生ずるものであるから、引用商標と称呼において類似する旨主張している。
確かに、本件商標より「アルバック」の称呼を生ずることは否定しえないが、上記認定のとおり、本件商標の自然称呼は「ウルバック」であり、引用商標とは、称呼、外観及び観念の各点を総合的に判断して、非類似の商標といえるものであるから、請求人の主張は採用できない。
なお、被請求人の本件商標に係る商標権の一部抹消登録申請は、平成16年12月14日に登録された。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する
審理終結日 2005-06-24 
結審通知日 2005-06-30 
審決日 2005-07-25 
出願番号 商願2000-136274(T2000-136274) 
審決分類 T 1 12・ 26- Y (Z10161721)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清川 恵子 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 小川 有三
富田 領一郎
登録日 2003-08-01 
登録番号 商標登録第4696632号(T4696632) 
商標の称呼 アルバック、ウルバック 
代理人 松本 尚子 
代理人 特許業務法人エクシオ 
代理人 中川 博司 
代理人 岩井 智子 
代理人 山田 威一郎 

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