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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 132 |
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管理番号 | 1123071 |
審判番号 | 取消2004-30972 |
総通号数 | 70 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-10-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2004-07-29 |
確定日 | 2005-08-22 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1711191号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1711191号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第1711191号商標(以下「本件商標」という。)は、「ばくだん」の文字を横書きしてなり、昭和54年9月7日に登録出願、第32類「おにぎり」を指定商品として昭和59年9月26日に設定登録され、その後、平成7年7月28日及び同16年10月5日の2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされているものである。 2 請求人の主張の要点 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。 (1)請求の理由 商標権者は、本件商標をその指定商品について一度たりとも使用した事実が認められず、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を使用している事実も認められない。 したがって、本件商標は、その指定商品である「おにぎり」について日本国内において3年以上継続して商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録が取り消されるべきものである。 (2)弁駁の理由 (ア) 被請求人は、「本件商標は、株式会社てっしい村(当時権利者:以下「てっしい村」という。)が株式会社ローソン(以下「ローソン」という。)に使用を許諾したものである。」旨答弁するが、請求人は、上記答弁を以下の理由により否認する。 被請求人は、本件商標についてローソンに使用を許諾したのであれば、てっしい村が本件商標をローソンに使用を許諾する旨の契約書、念書、その他の使用を許諾した書面等を作成し、当事者双方が控えを所持することが一般的に当然である。このような証拠書面が被請求人から提出されていない。 本件商標の使用を許諾を受けるローソンは大企業であることに鑑みれば、てっしい村に対して使用許諾の契約書を取り交わすことを要求するのは常識であると思われる。 何故ならば、被請求人がいうように、ローソンは全国にコンビニエンスストア「ローソン」を展開し、それらの店舗において日用品雑貨、雑誌及び各種食品等の販売を行っている大企業であり、業界第2位の規模の企業が、商標権の使用の許諾を受けるに対して何らの契約書面をも作成しないということは考えられないことである。 したがって、てっしい村がローソンに本件商標の使用を許諾したことを証明する証拠方法が提出されなければ、てっしい村がローソンに対し本件商標の使用を許諾したことを認めることはできない。 (イ)被請求人は、「本件商標は、通常使用権者であるローソンが平成12年より平成15年3月に至るまで、コンビニエンスストア『ローソン』の店舗において販売する『おにぎり』の包装紙に付したものである。」旨答弁するが、請求人は、上記答弁を以下の理由により否認する。 通常使用権者であるローソンが上記期間中に本件商標を使用していたことを証明する証拠方法が提出されておらず、上記期間内にローソンが使用しているとは認められない。 通常使用権者であるローソンが上記期間中に使用しているのであれば、被請求人は、ローソンが使用していることを証明した書面を証拠方法として提出すべきである。 また、ローソンには全国に数千店ないし数万店の店舗が存在し、いずれの地域で本件商標を使用していたかが不明である。 さらに、被請求人がローソンに通常使用権を許諾しているにも拘わらず、ローソンが使用した期間が「平成12年より同15年3月に至るまで」のような極めて曖昧な期間の使用期間なのは、極めて不自然である。 例えば、使用期間は、平成12年5月24日から同15年5月24日までと明確な使用期間を商標権者である被請求人は把握していることが当然であると考えるのが自然である。 (ウ)被請求人は、「乙第1号証は、株式会社エス・ピー・エル(以下「エス・ピー・エル」という。)が、てっしい村の許諾を基に製造した包装用ビニールである。」旨答弁するが、請求人は、上記答弁を以下の理由により否認する。 被請求人のいうように、エス・ピー・エルがてっしい村の許諾を得て製造したのであれば、エス・ピー・エルが包装用ビニールを製造する前に、両者間で何らかの取り決め、契約書等が作成されている筈である。また、てっしい村からの包装用ビニールの製造委託書、エス・ピー・エルからてっしい村に対し製造した包装用ビニールの製造代金の請求書、てっしい村がエス・ピー・エルに発行した領収書の控え(税法上7年間の帳簿等の保存が義務が課されている)等がある筈である。 しかしながら、被請求人は上記書類を証拠方法として提出していない。 (エ)被請求人は、「ローソンにおいては、エス・ピー・エルより、乙第1号証に係る包装用ビニールの納入を受け、おにぎりをこの包装用ビニールに包装し、『バクダン おにぎり』のマークを表面に付して、ローソン店舗内に陳列販売したものである。」旨答弁するが、請求人は、上記答弁を以下の理由により否認する。 本件商標の指定商品は、「おにぎり」であるから本件商標が「おにぎり」に使用されていることを証明することが必要であるにも拘わらず、被請求人はエス・ピー・エルが製造した包装用ビニールに本件商標の指定商品をローソンが「おにぎり」を上記包装用ビニールに包装してローソン店舗内に陳列販売していると主張しているのみである。 被請求人は、包装用ビニールに本件商標の指定商品である「おにぎり」を包装しいてると主張するならば、「おにぎり」が包装用ビニール内に入れられて陳列販売されている事実を立証すべきであるとともにその証拠方法を提出すべきである。 3 被請求人の答弁の要点 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出している。 (1)本件商標は、てっしい村(当時権利者)がローソンに使用を許諾したものである。 ローソンは全国にコンビニエンスストア「ローソン」を展開し、それらの店舗において、日用品雑貨、雑誌及び各種食品等の販売を行っている。 本件商標は、通常使用権者であるローソンが、平成12年より同15年3月に至るまで、コンビニエンスストア「ローソン」の店舗において販売する「おにぎり」の包装紙に付したものである。 (2)乙第1号証は、エス・ピー・エルが、てっしい村の許諾の基に製造した包装用ビニールである。 この乙第1号証は、釣鐘型の形状の透明ビニール本体の中央上段に円形のマークを付し、そのマークの中に「バクダン おにぎり」の文字を付している。透明ビニール本体は表裏2枚のシートからなり、このシートの間におにぎりを収容して包装する構成となっている。 ローソンにおいては、エス・ピー・エルより、乙第1号証に係る包装用ビニールの納入を受け、おにぎりをこの包装用ビニールに包装し、「バクダン おにぎり」のマークを表面に付して、ローソン店舗内に陳列販売したものである。 (3)したがって、本件商標は、使用権者であるローソンが、過去3年間において、日本国内で使用したものであるので、商標法第50条第1項の取消理由には該当せず、その登録は取り消されるべきでない。 第4 当審の判断 被請求人は、通常使用権者であるローソンが、平成12年から同15年3月まで、その店舗において販売する「おにぎり」の包装紙について本件商標を使用していた旨及びその「おにぎり」を包装するための包装用ビニールをエス・ピー・エルが許諾に基づいて製造した旨主張し、証拠を提出しているので、これらについて検討する。 提出された証拠(乙第1号証)は、おにぎりを包装するための包装用ビニールと認められ、その中央部に表示された円形図形中に「バクダン」及び「おにぎり」の文字が大きく縦書きされていることが認められる。しかしながら、提出された証拠は乙1号証1通のみであり、他に、この包装用ビニールがおにぎりを包装するために実際に使用されていたことを示すものは一切ない。 そして、被請求人は、前商標権者が本件商標についてローソンに対し使用を許諾し、ローソンが上記期間内に本件商標を使用した旨主張するが、その使用許諾の事実を示す証拠はないし、上記期間内にローソンが本件商標を使用していたことを立証する証拠も何ら提出されていないから、直ちにその主張を認めることができない。 また、被請求人は、上記包装用ビニールが前商標権者から許諾を受けたエス・ピー・エルによって製造された旨主張するが、その許諾の事実及び製造の事実を立証する証拠はないから、この主張も認めることができない。 その他、本件審判請求の登録の3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、本件商標が使用されていたことを具体的かつ客観的に示す証拠はない。 なお、審判長は、請求人提出の弁駁書を被請求人に送付して被請求人の答弁を求めたが、被請求人からは何らの応答もない。 してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、本件請求に係る指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。また、本件商標を使用していないことについて正当な理由があるものとも認められない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-06-23 |
結審通知日 | 2005-06-29 |
審決日 | 2005-07-12 |
出願番号 | 商願昭54-68446 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(132)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小野里 高次、山田 清治 |
特許庁審判長 |
小林 薫 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 池田 光治 |
登録日 | 1984-09-26 |
登録番号 | 商標登録第1711191号(T1711191) |
商標の称呼 | バクダン |
代理人 | 中川 邦雄 |
代理人 | 綾田 正道 |