• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 117
管理番号 1123037 
審判番号 取消2003-30975 
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-10-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-07-23 
確定日 2005-08-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第2400523号商標の商標登録取消審判事件についてされた平成16年8月23日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成16年(行ケ)第555号平成17年3月24日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第2400523号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2400523号商標(以下「本件商標」という)は、「THE LONDON HOUSE」の文字を横書きしてなり、昭和60年6月28日に登録出願され、第17類「英国製被服、英国製布製身回品,英国製寝具類」を指定商品として、平成4年4月30日に設定登録、その後、平成14年5月14日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものであるが、指定商品については、平成14年5月28日付けの書換登録の申請に基づき、同15年8月20日付で第5類「英国製失禁用おしめ」、第9類「英国製事故防護用手袋,英国製防火被服,英国製防じんマスク,英国製防毒マスク,英国製溶接マスク」、第10類「英国製医療用手袋」、第16類「英国製紙製幼児用おしめ」、第17類「英国製絶縁手袋」、第20類「英国製クッション,英国製座布団,英国製まくら,英国製マットレス」、第21類「英国製家事用手袋」、第22類「英国製衣服綿,英国製ハンモック,英国製布団袋,英国製布団綿」、第24類「英国製布製身の回り品,英国製かや,英国製敷布,英国製布団,英国製布団カバー,英国製布団側,英国製まくらカバー,英国製毛布」、第25類「英国製洋服,英国製コート,英国製セーター類,英国製ワイシャツ類,英国製寝巻き類,英国製下着,英国製水泳着,英国製水泳帽,英国製和服,英国製 エプロン,英国製えり巻き,英国製靴下,英国製ゲートル,英国製毛皮製ストール,英国製ショール,英国製スカーフ,英国製足袋,英国製足袋カバー,英国製手袋,英国製布製幼児用おしめ,英国製ネクタイ,英国製ネッカチーフ,英国製バンダナ,英国製保温用サポーター,英国製マフラー,英国製耳覆い,英国製ずきん,英国製すげがさ,英国製ナイトキャップ,英国製ヘルメット,英国製帽子」に書換登録がなされている。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番含む)を提出した。
1.請求の理由
被請求人は、本件商標をその指定商品について過去3年の間日本国内において使用していない。更に、商標登録原簿上、専用使用権者または通常使用権者の記載は見当たらないし、また、市場調査でも、本件商標の使用に係る商品は見出されない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定に基づき、その登録を取り消されるべきである。
2.答弁に対する弁駁
(1)被請求人が英国のTHOMAS MASON社に英国製のワイシャツの製造を依頼して輸入したことを明らかにする証拠として提出した乙第8号証「THOMAS MASON社のMEIWA CO LTD宛のINVOICE」には、THOMAS MASON社がMEIWA CO LTDに100% コットンのバッキンガム生地(140センチ幅の織物)を2種類、各34メ一トルづつ販売したことが示されているのみであって、ワイシャツを販売した旨の記載はない。
さらに、このインボイスには、請求金額の記載がない。ワイシャツを販売したのであれば、被請求人が輸入したワイシャツの品番(9837,9861)それぞれに対し、ワイシャツ1枚の金額(単価)×34の金額がインボイス(請求書)に記載されているべきである。このインボイスには、支払い方法の欄に「請求金額の通り」と明示されているにも拘わらず、金額の記載がない。
これらの事実を合わせて判断すると、被請求人がTHOMAS MASON社からワイシャツを購入したと言う主張は事実に反する。
(2)乙第8号証のINVOICEに記されているTHOMAS MASON社の住所はイタリーであり、輸送を担当したPANALPINAは国際的なネットワークを有する貨物輸送会社であり、PANALPINA MIの表示はミラノ(イタリー)店で取扱ったことを示していること、及びこのINVOICEがイタリー語で作成されていることを合せて判断すると、MEIWA CO LTD宛に出荷された100%コットンの生地(織物)は、明らかに、イタリーから出荷されたものと考えられる。
請求人が、このINVOICEに記されているTHOMAS MASON社のウェブサイトにアクセスしたところ、THOMAS MASON社はイタリーのベルガモ州アルビノに本拠を置く「Cotonificio Albini S.p.A.(株式会社アルビニ紡績工場)」の1部門であって、同所に所在することが示されていた。
これらのことから、被請求人がTHOMAS MASON社からMEIWA CO LTDを経由して被請求人宛に出荷したと称する100%コットンの生地(織物)は、イタリーで製造されたものであることが分かる。
請求人は、上記事実を立証するため、甲第3号証及び甲第4号証を提出する。
(3)以上を総合して判断するに、被請求人提出にかかる乙第8号証によって、明らかにされた事実は次の通りである。
イ)THOMAS MASON社からMEIWA CO LTDに出荷された商品は、100%コットンの生地(織物)である。
ロ)THOMAS MASON社からMEIWA CO LTDに出荷された100%コットンの生地(織物)は、イタリーで製造されたものである。
ハ)THOMAS MASON社からMEIWA CO LTDに出荷された100%コットンの生地(織物)は、品番9837及び9861の2品種であって、それぞれ幅140cm、長さ34mである。
ニ)販売金額は、その記載がなく、不明である。
したがって、THOMAS MASON社からMEIWA CO LTDあてに出荷された商品が株式会社長谷川商店に納品されたという被請求人の主張は、乙第8号証によっては証明されていない。
そして、乙第9号証は、被請求人の主張の事実を立証する証拠たり得ず、信憑性に欠けるものである。よって、上記被請求人の主張は、事実に反するものと言うべきである。
(4)被請求人は、乙第2号証は「The London House」の英国製ワイシャツの写真であり、乙第3号証に示される下げ札及び織りネームは、乙第2号証の写真に示される英国製ワイシャツに添付されているものと同じものである、乙第3号証の下から2番目の黄色地の織りネームは英国THOMAS MASON社の生地を使用したことを示す、と説明している しかしながら、上記事実からみて、乙第2号証の写真に示されるワイシャツは、THOMAS MASON社が製造したワイシャツでもなければ、ましてや、英国製のワイシャツでないことも明らかである。
したがって、乙第1号証の「商標使用証明書」には、「英国製 The London Houseワイシャツを被請求人から68着仕入れ、販売した」旨が記載されているが、明らかに事実に反し、証拠価値のないものである。
(5)さらに、乙第8号証及び乙第9号証の立証の趣旨が、上述のとうり否認されるとき、乙第10号証ないし第14号証も、信憑性に欠けるものであり、その立証の趣旨のみならず、成立自体もまた否認される。
(6)乙第4号証ないし乙第7号証によれば、被請求人が製造し、東京シャツ株式会社が販売するワイシャツに、「London House」の商標が使用されているとしても、それらワイシャツは全て日本国内で製造されたもの、または中国等で製造されたものであって、英国で製造されたものではない。
また本件商標は「THE LONDON HOUSE」であって、「London House」ではない。
したがって、乙第4号証ないし乙第7号証によっては、本件商標がその指定商品に使用されていることが証明されていない。
(7)以上詳述した通り、被請求人提出に係る乙第1号証ないし乙第14号証によっては、本件商標がその指定商品に使用されていたことが証明されておらず、被請求人の答弁も事実に反する。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
答弁の理由
1.本件商標の使用の事実
(1)被請求人は、ワイシャツその他のシャツ類の製造及び販売を営業内容とするものである。
被請求人は、親会社である件外東京シャツ株式会社が販売するワイシャツその他のシャツ類を製造するほかに、他社の有名ブランド、例えば「United Arrows」「Austin Leed」その他の商標の既製の「ワイシャツ」その他のシャツ類の製造を請け負い(OEM)、さらに全国の有名デパートにおいて「オーダーシャツ」の販売をするものである。
(2)親会社である件外東京シャツ株式会社は、自社工場(すなわち被請求人やライセンス契約による中国等の工場)で製造をした自社製品「ワイシャツ、カジュアルシャツ、レディスシャツ」等を自社の店舗「シャツ工房」「シャツプラザ」を通して販売をするという製造小売業(SPA)をおこなうものであり、平成15年9月末現在、56店舗の小売店を全国的に展開をしているものである。
これらの店舗には、「London House」「Brick House」等の系列店があり、そのうち「London House」は平成9年9月に大阪北区曽根崎の「梅田店」を第1号店として開店以来、九州福岡市の「博多店」、四国の「松山店」、東京品川区の品川プリンスホテルエグゼクティブタワーの「品川店」その他平成15年9月現在では32店舗を展開中である。
2.本件商標の使用実績
(1)「London House」の店舗では、店名の表示の外に、ビニール袋にもこの商標を使用し、またこの店舗名で出店を始めた当初から商標「London House」を商品「ワイシャツ」に使用をして販売をしていた。
(2)そこで、昨年(平成14年)4月に、被請求人は、本件商標の前の商標権者である工業繊維株式会社から、本件商標に係わる商標権を譲り受けたものである。
(3)同時に、被請求人は、平成14年夏頃から、これまでに取引関係のある東京港区の株式会社長谷川商店を通して英国のTHOMAS MANSON社に英国製のワイシャツの製造を依頼し、同9月3日にはTHOMAS MANSON社から神戸のMEIWA CO LTD及び先の株式会社長谷川商店を通して輸入し、同年10月28日に同長谷川商店から納品を受け、被請求人の商品として、本件商標を付してこれを同年10月31日に件外東京シャツ株式会社に販売をし、同社は同社の品川プリンスホテルエグゼクティブタワー内「品川店」において同年11月1日から同12月末日まで販売をした。
本件商標の商品「英国製のワイシャツ」は、上代価格が20,000円のもの(製造番号9837-01)がL、M型をあわせて34枚、同じく上代価格15,000円のもの(製造番号9861-04)がL、M型あわせて34枚、合計68枚であり、平成14年11月には上代価格が20,000円のもの(製造番号9837-01)を11枚、上代価格15,000円のもの(製造番号9861-04)を17枚販売し、同12月にはそれぞれ16枚と15枚を販売した。
なお、これまでの「London House」の製品とは異なる英国製の商品であることから、本件商標の通り「The London House」を採用したものである。また、英国製品であることを示するために、英国国旗と「MADE IN ENGLAND」を表示したタグを付して販売をした。
(4)また、本年(平成15年)8月1日から、東京駅八重洲口の大丸東京店において、英国製生地を用いたオーダーシャツに本件商標の「The London House」を使用して販売している。
2.結論
以上の通り、被請求人(商標権者)は、本件審判請求の予告登録日の平成15年8月13日の前3年以内において継続して日本国内において指定商品について本件商標の使用をしていたものであるから、商標法第50条第1項により本件商標を取消すべきとの請求人の主張には根拠がない。

4 当審の判断
(1)本件審判請求についてした平成16年8月23日付審決は、その結論を「本件審判の請求は成り立たない。審判費用請求人の負担とする。」とし、その理由の要旨は次のとおりである。
被請求人が提出した各証拠を総合すれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を、請求に係る商品中「英国製シャツ」に使用していたものと認められる。
(2)上記(1)の本件審決につき東京高等裁判所は、平成17年3月24日に言い渡した判決において、被請求人の提出した証拠及び請求人が裁判所に提出した陳述書により概略以下のとおり認定した。
本件全証拠によっても、本件ワイシャツが「英国製」であることを認めるには足りないというほかない(本件ワイシャツの「生地」についてみても、甲6によっては,同インボイスに記載された生地が英国製であると認めるには足りず、甲4に示された「Thomas Mason」,「SUPERFINE SHIRTING BY Thomas Mason」及び「ENGLAND」(「Made in ENGLAND」ではない。)などの表示があるワイシャツの織りネームによっても、本件ワイシャツの生地が英国製であると推断することはできない。)。そして、本訴において、被告は新たな主張立証をしないばかりか、原告の上記主張を争わない趣旨と解される応訴態度をとっていることに照らしても、上記説示が裏付けられるものというべきであり、本件商標の使用の事実が本訴において立証されているとは到底いい難い。そうすると被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を、請求に係る商品中「英国製シャツ」をはじめ、指定商品のいずれかについて使用された事実の証明がないのであって、審決は、証拠の評価を誤り事実を誤認したものであって、この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかで、審決は取消を免れない」とした。
(3)写真、商品タグ及びインボイスの証明力
写真(本件商標が表示されている本件「英国製シャツ」、乙第1号証及び第2号証)は、予告登録日の後である平成15年9月22日に撮影されたものであって、それ自体、予告登録日(平成15年8月13日)前3年以内における本件商標の使用の事実を証明するものではない。
商品タグ(乙第3号証)は、商品「ワイシャツ」に付され、「The London House」の商標と英国国旗及び「MADE IN ENGLAND」の文字が記載されている。そして、ワイシャツに付されたタグにおいて、「MADE IN ENGLAND」との表示がされていた場合には、通常、原産地を正しく表示しているであろうとの蓋然性が高いといえるので、他にこれを否定するような事情がなければ、当該ワイシャツは、「英国製」であると推認されることが多いといえる。
しかし、上記タグは、四角形のカード様のものに英国国旗と「MADE IN ENGLAND」の表示がされて、本件ワイシャツのボタンにひも様のもので、引っ掛けられているにすぎないもので、ワイシャツ本体に縫い付けるなどされたものではない。このような態様からして、上記タグは、ワイシャツの製造後に製造者以外の者がいわば勝手に作成して取り付けることも可能な形態のものであって、「英国製」であることについての証明力は弱いものであり、他に英国製であることを根拠付け得る証拠はない。
さらに、被請求人は、「英国製」であることを製造過程にまで遡って主張立証するために、我が国に輸入されたことを証明する証拠としてインボイス(乙第8号証)を提出した。
しかし、上記インボイスは,イタリアのTHOMAS MASON社が,運送会社と認められるイタリアのミラノ在のPANALPINA社によって、神戸のMEIWA CO INC(インボイス右下に長谷川商店の表示もある。)に宛てて「綿生地」を輸出したことを示すものであり、このインボイスによっては、ワイシャツの輸入を示すものとはいえないばかりでなく、当該インボイスに記載された「綿生地」が「英国製」であることを認める記載も存在しない。
そうだとすれば、上記タグの表示は、前記のとおり証明力が希薄の上に、「MADE IN ENGLAND」の表示の真実性を疑うべき十分な事情が存在するというべきである。
(4)以上のとおり、ワイシャツに付されたタグの表示から,本件ワイシャツが「英国製」であると推認するには足りないというべきである。
そして、本件全証拠によっても,本件ワイシャツが「英国製」であることを認めるには足りないというほかない。
(5)結論
本件商標は、本件取消審判の予告登録日前3年以内に,「英国製ワイシャツ」をはじめ、指定商品のいずれかについて使用されたものとは認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-07-07 
結審通知日 2004-07-09 
審決日 2004-08-23 
出願番号 商願昭60-65726 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (117)
最終処分 成立  
前審関与審査官 沖 亘山田 清治 
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 宮川 久成
岩崎 良子
登録日 1992-04-30 
登録番号 商標登録第2400523号(T2400523) 
商標の称呼 ザロンドンハウス、ロンドンハウス、ハウス 
代理人 高梨 範夫 
代理人 小林 久夫 
代理人 木村 三朗 
代理人 安島 清 
代理人 梅村 莞爾 
代理人 大村 昇 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ