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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Y33
管理番号 1121550 
審判番号 不服2002-24148 
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-16 
確定日 2005-07-29 
事件の表示 商願2002- 204拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「泉流」の文字と「越乃白雪」の文字を別掲のとおりに表示してなり、第33類「日本酒」を指定商品とし、平成14年1月7日に登録出願されたものである。


2 原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、兵庫県伊丹市の小西酒造株式会社が商品『清酒』について使用し、著名になっているものと認められる『白雪』の文字を含むものであるから、本願商標をいずれも酒類であって販売部門及び需要者の範囲等を共通にする本願の指定商品について使用するときは、恰も前記会社と何らかの関係を有する商品であるかの如く商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する」旨、認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)引用商標の周知性
原審が引用する商標(以下、「引用商標」という。)は、兵庫県伊丹市中央3-5-8に所在する小西酒造株式会社が、本願商標の登録出願前から商品「清酒」について使用し、我が国の取引者・需要者間において広く認識されている、「白雪」の文字よりなるものである。
小西酒造株式会社は、1550年(天文19年)創業以来、450年以上の永きに亘る歴史を誇り、酒類醸造のほか、ビールの製造・輸入等、我が国清酒業界のトップメーカーの一つとして知られているところである。
そして、同社が清酒に使用している「白雪」の標章は、1635年(寛永12年)頃に名付けられたとされるもので、大正4年の商標登録以来、多くの関連商標が登録され、使用されていることからみても、我が国の取引者・需要者間において、広く認識されていると認められるところである。
また、インターネットによれば以下の事実がある。
(ア)インターネット検索において、「『白雪』『小西酒造』」として文字検索をしたところ、ウェブ全体からの検索は3,770件であった。
(イ)小西酒造株式会社のホームページには、「社名 小西酒造株式会社 所在地 〒664-0851兵庫県伊丹市中央3丁目5番8号」の記載とともに、「創業 西暦1550年(天文19年)、会社設立 昭和8年5月15日 、資本金 1億円、 取扱い商品 清酒『白雪』、白雪 奈良漬、地ビール「白雪ビール」、輸入ビール『ベルギービール』、ワイン『カリフォルニアワイン』他 」(http://www.konishi.co.jp/html/company/index.html)との記載のほか、清酒「白雪」の商品ラベル等が掲載されている。
(ウ)「白雪」の文字とともに、「 社名:小西酒造株式会社 所在地:〒664-0851 兵庫県伊丹市中央3丁目5番8号」、「創業:1550年(天文19年) 受賞歴:平成11年度全国新酒鑑評会にて、3蔵が金賞を受賞。」及び「清酒・白雪の小西酒造の創業は1550年(天文19年)。現存する酒造メーカーでは最古の歴史を誇ります。」(http://www.sake-okoku.net/shirayuki/)との記載がある。
(エ)伊丹酒造組合のホームページには、「山は富士 酒は白雪 」として、「酒銘のいわれは、寛永12年頃(1635年)小西家2代目宗宅が江戸へ酒樽を運ぶ途中、雪を頂いた富士の気高さに感動し富士の「白雪」と名づける。」(http://itamisake-kma.jp/konishi.html)との記載がある。
(オ)「平成10年全国清酒出荷量」によれば、銘柄「白雪」の1998年出荷量は「31592キロリットル」、1997年出荷量は「33609キロリットル」(http://www.aanoya.com/iinoya/sakekank/sakesyuk.htm)との記載がある。
以上によれば、現在はもとより、本願商標の出願時である平成14年1月7日以前より、我が国において清酒を取り扱う業者や需要者の間で、「白雪」の商標は、兵庫県伊丹市の小西酒造株式会社の商品「清酒」を表示する商標として広く知られ著名なものとなっていたと認められる。
(2)本願商標と引用商標の類似性の程度
本願商標は、「泉流」の文字と「越乃白雪」の文字を別掲のとおりの構成態様により表してなるところ、その構成は、なんらかの「特有な方式、固有なやり方」であることを認識させる、「泉流」の文字と、「越」の文字が北陸道の古称であることから「北陸道の」の意を認識させるといえる「越乃」の文字及び「雪の美称」の意を有する「白雪」の文字との組み合わせによりなるものと認められる。
しかして、指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているものや観念上のつながりがあるものも含め、その他人の登録商標と類似するか否かについて検討すべきであるところ、これを本願についてみれば、本願商標は、「泉流 越乃白雪」の文字を表してなり、その構成中の「泉流」の文字及び「越乃」の文字は、それぞれ前記のとおりの意味合いを看取させるものであって、特にこれらが不可分一体のものとして、認識、把握されるとすべき特段の事情を見いだすことはできないものである。
そして、標章「白雪」が、小西酒造株式会社の使用に係る極めて著名な商標であって、日本酒の分野で非常に強い識別力を有していることから、本願商標は、その構成中の「白雪」の部分が要部として認識され、これより生ずる「シラユキ」の称呼及び「白雪(しらゆき)」の観念をもって取引にあたる場合も決して少なくないといえるものである。
他方、引用商標は、「白雪」の文字を表してなり、構成文字に相応して「シラユキ」の称呼及び「白雪(しらゆき)」の観念を生ずること明かである。
そうとすれば、本願商標と引用商標とは、その観念及び称呼において共通性を有する商標と認められ、その類似性の程度は高いものといわなければならない。
(3)使用される商品の共通性
本願商標の指定商品は「日本酒」であって、当該「日本酒」は商品「清酒」を含むものである。
一方、引用商標は、商品「清酒」について使用されているものであるから、当該商品と本願商標の指定商品とは、互いに極めて共通性があるものと認められる。
(4)需要者その他取引の実情
本願商標の指定商品「日本酒」と、引用商標が使用されている商品「清酒」は、酒類であって、特に酒類に関心がある者に止まらず、一般の消費者である需要者や酒類の取引業者等を共通にする商品である。
商品「清酒」等の酒類は、主に「酒店」、「スーパーマーケット等の酒売り場」、「コンビニエンスストア」及び観光地等のみやげもの店等において販売されているだけでなく、例えばインターネット等による通信販売も広く行われているところである。
そして、店頭販売の場合、例えば「清酒」、「洋酒」、「ビール」等の種類ごとに、様々なメーカーの商品が接して並べられているのが一般的で、通信販売の場合も商品の種類ごとに、ラベルを含めた商品全体の写真を掲載し、当該商品の特徴等を記載して紹介しているものであり、これらの商取引の場において取引者、需要者は、酒の銘柄、特に酒瓶に貼付されたラベルに着目し、商品の売買取引を行うものである。
(5)混同を生ずるおそれ
前述した、本願商標と引用商標の使用に係る商品の同一性、需要者の共通性、取引の実情等及び引用商標の著名性を勘案すれば、商品「清酒」の取引の場においては、我が国の取引者・需要者間に広く知られている「白雪」の文字の持つ顧客吸引力は、相当に高いものと認められ、本願商標が「泉流」及び「越乃白雪」の文字との組み合わせてなるものであるとしても、これらの差異をもって、「白雪」と取引上商品の出所について判然と区別され得るとはいい難いものである。
以上よりすれば、本願商標をその指定商品について使用するときは、取引者、需要者は、本願商標中の「白雪」の文字部分に着目し、小西酒造株式会社の使用に係る著名な商標である「白雪」を想起し、当該商品が同社あるいは同社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(6)請求人の主張
請求人は、審判請求の理由において、指定商品「日本酒」においては、商標名に地名若しくは生産地を推測させる語句が含まれている場合には、特にそこに意識を向けるものである、したがって、兵庫県の著名な酒「白雪」と新潟県の酒「越乃白雪」とはおのずと区別される旨、主張する。
しかしながら、本願指定商品「日本酒」に造詣の深い一部の需要者にとっては、商標中の地域的表示部を殊に着目し、認識する場合があるとしても、その他の一般消費者である需要者は、地域的表示部の他に周知著名な商標がある場合、当該他人の周知著名な商標と関連付けて認識する余地が決して少なくないものといわなければならない。
そして、本願商標は、その構成中「越乃」の語が特定の地域を示すものであり、それ自体の自他商品識別力が強いとは認め難いこと、また、「泉流」の語はその表示態様に鑑みれば、付記的な表示として看取されるとみられること、「白雪」の語は、前記のとおり、小西酒造株式会社の商品「清酒」の商標として需要者間に広く知られ著名なものとなっていること、これらの語が全体として不可分一体のものとすべき事情も認め難いことからすると、「白雪」の部分が独立して認識されることもあると認めるのが相当である。
また、たとえ、請求人主張のとおり、本願商標が一定の地域において周知であるとしても、当該製品の取引が一定の地域に限定されるということはできず、我が国において本願商標の構成中「白雪」の文字が、商品「清酒」の分野で果たす商標としての識別力及び顧客吸引力等は相当高いものと認められ、そうとすれば、本願指定商品の取引の場において、「白雪」の文字を含む本願商標に接した取引者、需要者は、小西酒造株式会社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならず、請求人の主張を採用することはできない。
(7)結語
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 <本願商標>

審理終結日 2005-05-24 
結審通知日 2005-05-27 
審決日 2005-06-09 
出願番号 商願2002-204(T2002-204) 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (Y33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邉 健司 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 富田 領一郎
田中 亨子
商標の称呼 イズミリューコシノシラユキ、イズミリュー、コシノシラユキ、コシノハクセツ 
代理人 近藤 彰 

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