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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 117
管理番号 1121472 
審判番号 取消2003-31279 
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-09-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-09-25 
確定日 2005-07-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第2167303号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1.本件商標
本件登録第2167303号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和56年11月11日に登録出願され、「JIGIE」の文字と「ジギー」の文字を上下2段に横書きしてなり、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成1年9月29日に設定登録されたものである。

第2.請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「被服及びその類似商品」についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由及び弁駁の理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1.請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても指定商品中「被服及びその類似商品」について使用されていない。よって、当該商品に係る本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2.弁駁の理由
(1)平成15年12月17日付にて提出された審判事件答弁書及び平成16年2月9日付にて提出された審判事件答弁理由補充書における被請求人の主張に対して、以下のとおり弁駁する。
(2)被請求人が提出した証拠によれば、本件取消に係る商標「JIGIE/ジギー」が付されているのは、乙第1号証及び乙第2号証として提出された商品展示会の案内状のみである。印刷技術が進歩した昨今においては当該案内状はパーソナルコンピュータ等を使用して極めて容易に作成することが可能である。仮に当該案内状が真正なものであるとすれば、関係取引先及び顧客等に対して相当部数が送付されているはずであり、その場合には、印刷業者等により作成(印刷)されるのが一般的である。しかし、当該案内状が相当部数作成されたことを証明する書類(印刷業者からの納品書等)は一切提出されていない。
(3)仮に、前記案内状が相当部数作成され関係取引先等に頒布されていたとしても、当該使用に係る商品が「被服」の範疇に属するものであるか否かは明確ではない。乙第2号証として提出された半透明カードの記載によれば、当該商品が「身長 80〜140cmの女児を主な対象としたヨーロピアンカジュアル」であることは読み取れるが、これが直ちに「被服」を意味するものとは理解し得ない。
(4)乙第3号証として提出された陳述書は、被請求人の代表者により作成されたものであり、前記案内状に係る商品展示会が現実に開催されたことを客観的に証明したものとは言えない。
(5)被請求人は、商標「ZIGGY/ジギー」について旧第17類「被服(運動用特殊被服を除く)、布製身回品(他の類に属するものを除く)、寝具類(寝台を除く)」を指定商品とする商標登録第1187745号を所有している。請求人は、平成15年9月24日付にて、当該商標登録に対しても商標法第50条第1項の取消審判を請求している。これに対し、被請求人は、平成16年1月29日付提出の審判事件答弁理由補充書において、当該商標を「子供用ズボン」に使用している旨主張するとともに、これを裏付ける証拠として商品ラベルの写し等を提出している。
当該商標「ZIGGY/ジギー」と本件商標「JIGIE/ジギー」は、その綴りを異にする別異のブランドでありながら、その称呼は何れも「ジギー」であり、対象となる商品も同一である。仮に、同一商品に使用する自社ブランド中の異なる二つのブランドが同じ称呼を生ずるとすれば、日常の取引業務に支障をきたすのみならず、出所の混同は生じないまでも需要者に相当の混乱を生じさせることは避けられない。したがって、取引業界における実情や経験則に照らしても、被請求人が前記商標の両方を使用しているとは考え難く、また極めて不自然であると言わざるを得ない。
(6)以上の事実からすれば、被請求人が提出した証拠のみをもってしては、本件商標が現実に「女児用被服」に使用されていることを客観的に証明することはできず、よって、当該証拠のみをもって、本件審判の請求が退けられるべきではない。
また、仮に本件商標が被請求人のブランドの一つとして現実に使用されているのであれば、より明確な使用証拠、例えば、商品カタログ、宣伝広告、取引書類等が存在するはずであり、それらを提出するにあたり特段の困難性が存するとも考え難い。にもかかわらず、極めて不明確な証拠である当該案内状のみが提出されていることからしても、本件商標の使用に対して疑義を抱かざるを得ない。
なお、被請求人のホームページにおいて同社のオリジナルブランドが紹介されているが、その中に本件商標に係る商品は含まれていない(甲第1号証)。

第3.被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。と答弁し、その理由を次のように述べた。また、平成16年11月9日付けで当審が通知した審尋に対し同年12月24日付けで回答書を提出した。そして、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む)を提出している。
(答弁の理由)
被請求人は、本件商標を「子供服」について、2001年10月に使用した事実がある。以下にその理由を述べる。
1 請求人は、請求の理由の中で、本件商標は、指定商品中「被服及びその類似商品」について、過去3年間使用されていないので、前記商品については、商標法第50条第1項の規定により登録を取り消されるべきであると主張している。
2 しかし、被請求人は、審判請求の予告登録日から3年以内の期間内に開催した商品展示会「2001 YEAR SUMMER COLLECTION」の案内状に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布した事実があり、この頒布行為は商標法第2条第3項第8号の使用に該当するから、請求人の主張には理由がない。
3 本件商標は、上段にアルファベット文字「JIGIE」、下段に片仮名「ジギ-」を配した構成である。
被請求人が使用した「JIGIE」の文字の態様は、乙第1号証の2並びに乙第2号証の1及び2に示すとおりである。
乙第1号証の1及び2は、展示会の見開き型案内状を、開いた状態で台紙に貼り付けてカラーコピーしたもので、乙第1号証の1は表側、同号証の2は裏側を表しており、現物を65%縮小している。
乙第2号証の1及び2は、案内状と一緒に頒布した半透明カードを示しており、本件商標「JIGIE」が当時の新ブランドとして紹介されている。乙第2号証の1は、半透明カードを案内状書面と共に撮影したもの、同号証の2は、半透明カードのみを撮影したものである。
乙第1号証の2並びに乙第2号証の1及び2に示されるように、「JIGIE」の文字は、本件商標の2段併記構成中、上段のローマ字部分について、書体のみに変更を加えて筆記体とした同一の文字からなるものであるから、本件商標とは社会通念上同一の商標である。
4 乙第2号証の1及び2の半透明カードには、商標「JIGIE」のターゲット商品として、身長80〜140cmの女児主体のカジュアルであることが記載されている。衣料会社が取り扱うカジュアルとは、ポロシャツ、トレーナー、ジーンズなどのカジュアル衣料を意味するから、これらは、本件審判請求に係る「被服」に含まれる商品である。
5 乙第1号証の2は、展示会の開催日が、10月2日(月)〜6日(金)(東京)、10月10日(火)〜13日(金)(大阪)、10月17日(火)〜19日(木)(福岡)、10月25日(水)〜27日(金)(札幌)であることを示しており、年度の記載はないが、記載された月と曜日から、その開催年は2000年であることがわかる。
6 乙第3号証は、丸高衣料株式会社代表者川口俊治による陳述書であり、乙第1号証の1及び2に示す案内状に記載された商品展示会が、案内書の記載のとおり開催されたことが述べられている。
なお、乙第1号証の1ないし乙第2号証の2に示す案内状と半透明カードは、展示会開催日前に、顧客に対して直接又は郵送によって頒布されただけでなく、展示会開催日には、来訪者記帳ノート、商品カタログ等と共に、会場内の受付場所に置かれ、頒布されたものである。
7 審判請求の予告登録日は、登録原簿の記載によれば平成15年(2003年)10月22日であるから、2000年10月25日(水)〜27日(金)に札幌で開催された展示会は、審判請求の登録日から3年以内の期間に行われた展示会である。
8 乙第1号証の1ないし乙第3号証から明らかなように、被請求人は、審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、請求に係る指定商品中「ポロシャツ、トレーナー等のカジュアル衣料」について展示会を開催し、本件商標「JIGIE」と社会通念上同一の商標を付した案内状を頒布したから、この行為は、商標法第2条第3項第8号の使用に該当し、本件商標は商標法第50条の規定により取り消されることはない。
よって、被請求人は、「答弁の趣旨」記載の審決を求めるものである。

第4.当審の判断
本件審判において被請求人より提出された乙第1号証の1ないし同号証の2及び乙第2号証の1ないし同号証の2は、被請求人「丸高衣料株式会社」が開催したと認め得る商品展示会(「2001 YEAR SUMMER COLLECTION」)の案内状(縮小写し)と認められるところ、その表紙には被請求人の開催を裏付ける「MARUTAKA IRYO CO.,LTD.」の文字が表示されており、その裏側に展示会の対象となる10種のブランドが表示されていて、その中に本件商標と社会通念上同一と認められる「Jigie」の文字よりなる商標が表示されていることが認められる。
しかしながら、請求人は弁駁書において「被請求人が提出した証拠によれば、本件取消に係る商標「JIGIE/ジギー」が付されているのは、乙第1号証及び乙第2号証として提出された商品展示会の案内状のみである。印刷技術が進歩した昨今においては当該案内状はパーソナルコンピュータ等を使用して極めて容易に作成することが可能である。仮に当該案内状が真正なものであるとすれば、関係取引先及び顧客等に対して相当部数が送付されているはずであり、その場合には、印刷業者等により作成(印刷)されるのが一般的である。しかし、当該案内状が相当部数作成されたことを証明する書類(印刷業者からの納品書等)は一切提出されていない。」旨主張し、また、被請求人は答弁書において「案内状及び半透明カードの原物は請求あり次第提出する」旨述べているので、当審において平成16年11月9日付けで、「案内状及び半透明カードの原物及びこれに係る取引書類についての提出」を審尋した。
この審尋に対し、被請求人が提出した同年12月24日付け回答書及び乙4号証より以下の事実が認められる。
請求人は、東京都台東区浅草橋5-10-2に所在の東京吉岡株式会社から平成12年(2000年)9月7日で、「2001夏物展示会案内状(3350枚) 封筒(3550枚)」の代金の請求をされていること。
してみれば、2000年10月2日(月)〜6日(金)(東京)、10月10日(火)〜13日(金)(大阪)、10月17日(火)〜19日(木)(福岡)、10月25日(水)〜27日(金)(札幌)で開催された2001夏物展示会の開催に先だって平成12年(2000年)9月7日に案内状を作成したことが明らかであり、該案内状には筆記体で「Jigie」の欧文字が表示されている。
また、この案内状に挟んで頒布したと認められる「Jigie」の商標が表示されている半透明のカードには、「はじめまして・・・。 2001 summer collectionより新しいブランドが誕生します。」「ブランドコンセプト」として「ナチュラル系 ヨーロピアン アジュアル」と記述され、「ターゲット」として「80〜140cm展開(女児主体のユニセックス)」と記述されていることが認められる。
以上を総合して判断するに、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「女児用被服」について使用をしていたものと認められる。
したがって、本件商標の指定商品中、請求に係る商品「被服及びその類似商品」についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-02-25 
結審通知日 2005-03-01 
審決日 2005-03-16 
出願番号 商願昭56-93551 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (117)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川津 義人鈴木 幸一 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 小林 薫
岩崎 良子
登録日 1989-09-29 
登録番号 商標登録第2167303号(T2167303) 
商標の称呼 ジギー 
代理人 丸山 敏之 
代理人 北住 公一 
代理人 長塚 俊也 
代理人 山崎 行造 
代理人 杉山 直人 
代理人 宮野 孝雄 

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