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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z1416182534 |
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管理番号 | 1119813 |
審判番号 | 取消2004-31148 |
総通号数 | 68 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-08-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2004-09-06 |
確定日 | 2005-07-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4302559号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4302559号商標(以下「本件商標」という。)は、「ROVERS」の文字を標準文字で書してなり、平成10年3月20日登録出願、第14類「記念カップ,記念たて,時計」、第16類「印刷物,紙類,写真,写真立て」、第18類「傘,ステッキ,つえ」、第25類「被服」及び第34類「たばこ,紙巻きたばこ用紙,喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」を指定商品として、平成11年8月6日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。 (1)請求の理由 本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 (2)答弁に対する弁駁 (ア)乙第1号証(レナウンローバーズの冊子)には、「ローバーズからのお知らせ」と題して、ローバーズ・オフィシャル・グッズと称する商品の掲載頁を認めることができるが、乙第1号証の作成証明及び頒布証明が一切提出されておらず、作成時期と頒布時期を特定することができない。逆に、乙第1号証の記載内容に徴すれば、被請求人に関わるアメリカンフットボール・チーム「レナウンローバーズ」(以下、アメリカンフットボール・チーム名である「レナウンローバーズ」をいうときは、単に「レナウンローバーズ」という。)と後援会事務局の活動を自明な前提としており、一方で、被請求人は、「レナウンローバーズ」の廃部を2001年(平成13年)3月と明言している。 したがって、乙第1号証の作成・頒布時期は、本件審判の請求の登録前3年の期間を越える2001年3月以前であると推定せざるを得ない。 (イ)乙第2号証(「ローバーズからのお知らせ」と題するちらし)に関しても同様で、本件商標の使用の事実を証明するところがない。乙第2号証で特に注目すべきは、「新規会員募集中」の記載と「<加入方法>」欄の「試合当日、会場入り口付近で試合1時間前」なる記載である。これらの記載は、被請求人に関わるアメリカンフットボール・チームと後援会の平常活動を前提として初めて成立し得るものであり、乙第2号証の作成・頒布時期が該チームの廃部(2001年3月)以前であることを自ら物語るものである。さらに、乙第2号証には、本件商標の表示は見出せない。 (ウ)乙第3号証ないし乙第12号証に徴しても、本件商標の使用の事実を証明するところは見出せない。 被請求人は、品番や品種・数量の共通する納品書、配達伝票、仕入れ伝票、売上報告伝票(乙第3号証ないし乙第6号証)が本件商標を使用した商品の取引事実を示し、写真のポロシャツ(乙第7号証)が該取引の対象商品を示すとしている。 しかし、これら証拠方法によっては、乙第7号証の商品(ポロシャツ)が乙第3号証ないし乙第6号証の取引書類記載商品であるか否かが何ら立証されていないし、ポロシャツでありさえすれば如何なる時期に製造・販売された如何なるポロシャツも、被請求人が主張する取引商品となり得てしまう。 乙第7号証の商品が乙第3号証ないし乙第6号証に記載の商品であることは、取引書類記載の購入者から該写真を添付した購入証明を得ることで極めて容易に立証できるはずである。 このように、乙第3号証ないし乙第6号証の前提となる取引商品の実在自体が立証されていない以上、これらの証拠では、本件商標の使用事実を証明することはできない。 以上のところは、乙第8号証ないし乙第11号証(取引書類)とその取引商品であると称されている乙第12号証(トレーナーの写真)の商品の間でも同様である。乙第12号証の商品が乙第8号証ないし乙第11号証に記載の商品であることが全く立証されていない以上、これらの証拠をもって、本件商標の使用事実を証明することはできない。 (エ)被請求人の答弁及び乙第1号証ないし乙第12号証によれば、被請求人の意図がTシャツ、ポロシャツなどへの標章「ROVERS」の表示(プリント又は刺繍)の事実を立証することで本件商標の指定商品についての使用を証明するところにあることは明らかである。しかし、次に挙げる点に明白なとおり、該標章の表示行為は基本的に本件登録商標の指定商品への使用に当たらない。 すなわち、被請求人が主張するように、「レナウンローバーズ」は、1971年の創部から2001年3月の廃部に至る31年間にわたり、日本のアマチュア・アメリカンフットボールの歴史と共に歩んだ代表的なチームであった。 一方、乙第1号証及び乙第2号証が示すとおり、標章「ROVERS」を表示したTシャツ、ポロシャツなどは、「レナウンローバーズ」の実在を不可欠の前提とし、「レナウンローバーズ」のオフィシャル・グッズとして、その後援会を介して提供されていたことが明らかである。 してみれば、乙各号証をもって指摘している標章「ROVERS」は、本件商標の指定商品に関して、自他商品を識別する標識として機能していたのではなく、「レナウンローバーズ」を表象する標識として使用され、機能していたといわなければならない。 この点で、Tシャツ、ポロシャツなどへの標章の表示行為は、「レナウンローバーズ」を表象する標識「ROVERS」をTシャツ、ポロシャツのデザインとして商品化した行為に他ならず、本件商標をその指定商品に使用する行為には当たらない。また、上記したTシャツ、ポロシャツに対する標章「ROVERS」の表示行為を敢えて商標使用行為と把握し解釈する場合にも、それは「アメリカンフットボール・チームの管理・運営、アメリカンフットボール競技の企画・運営・開催」に関する自他役務識別標識を、Tシャツ、ポロシャツなどの媒体上に表示する行為に他ならないから、前記役務に関する商標「ROVERS」の使用であって、本件指定商品に関する本件商標の使用には当たらない。 (オ)なお、乙第3号証ないし乙第12号証の取引は、「レナウンローバーズ」の廃部から半年程度を経過した後に、僅かに残されたオフィシャル・グッズの在庫品を被請求人から名目的な第三者(チーム後援会事務局あるいはその残務を引き継いだと推定される不明確な第三者)へ販売することを内容としており、チーム廃部によって被請求人の手元に残されてしまった僅少在庫の会計上の精算を目的とする伝票処理にすぎないことが明らかである。 このような名目的取引行為が商標登録の維持を正当化する登録商標の使用行為に当たらないことは明らかである。もしこのような名目的取引行為が商標法第50条第2項に規定する登録維持要件としての登録商標使用行為と認めるならば、それは空権の整理を目的とする登録取消審判の制度趣旨に真っ向から反するものでありその法的機能を否定・阻害するものに他ならない。 (カ)以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標をその指定商品について使用をしていることを証明しておらず、またそのような証明をなし得ないことが明らかである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。 (1)被請求人は、1971年に「レナウンローバーズ」を創部して以来、2001年(平成13年)3月に廃部するまでの30年間にわたり、活躍してきたものであり、その輝かしい活躍により、「レナウンローバーズ」は、人気を博し、Tシャツ、ポロシャツ、キャップ等多種多様なオフィシャルグッズが販売され、これらのオフィシャルグッズに本件商標が使用されてきた(乙第1号証及び乙第2号証)。 なお、「レナウンローバーズ」は、諸処の事情により、2001年3月に廃部することとなったが、廃部を惜しむファインの要望に応え、廃部後もオフィシャルグッズは製造・販売されていたものであり、今後も製造・販売される予定である。 (2)乙第3号証ないし乙第6号証は、2001年9月27日に発行された「納品書(控え)」、「配達伝票(控え)」、同年9月28日に発行された「仕入れ伝票」、「売上報告伝票」である。 これらの証拠から、被請求人が、被請求人の販売会社子会社である株式会社ポルト(以下「ポルト社」という。)に対して、商品「ポロシャツ」を30枚納品したことを確認することができる。 これらの証拠には、品番「6938015」との表示があるが、当該品番は、乙第7号証の商品であり、当該商品の胸部分には「ROVERS」の文字が表示されていることを確認することができる。 品番「6938015」が乙第7号証の「ポロシャツ」であることは、「配達伝票(控え)」の「品名・荷姿」の欄に「ローバーズポロシャツ30枚」と、「売上報告伝票」の「品名」の欄に「ポロシャツ刺繍/胸」と、また、店名として「レナウンローバーズ後援会」とそれぞれ表示されていることなどからも明らかである。 上記取引書類から、商品の出荷日が2001年9月27日であったことを確認することができるため、これらの商品が販売されたのが、2001年9月27日以降であることは明らかである。 ポロシャツに表示された「ROVERS」の欧文字は、片仮名文字「ローバーズ」と欧文字「ROVERS」を上下二段に横書きしてなる本件商標と同一の称呼及び観念を生じるものであるから、両商標は、社会通念上同一と認められる商標である。 以上のことから、2001年9月27日以降に、本件商標がその指定商品「被服」に使用されていたことは明らかである。 (3)乙第8号証ないし乙第11号証は、2001年10月11日に発行された「納品書(控え)」、「配達伝票(控え)」、同年10月15日に発行された「仕入れ伝票」、「売上報告伝票」である。 これらの証拠から、被請求人が、ポルト社に対して、商品「トレーナー」を110枚納品したことを確認することができる。 これらの証拠には、品番「6938043」、「6938044」及び「6938045」との表示があるが、その内の「6938043」は、乙第12号証の商品であり、当該商品の胸部分には「ROVERS」の文字が表示されているものである。また、その他の品番の商品についても、「ROVERS」の文字が表示されているものである。 なお、品番「6938043」の商品が、乙第12号証の商品であり、また、その他の品番の商品にも「ROVERS」の文字が表示されていることは、「配達伝票(控え)」の「品名・荷姿」の欄に「ROVERS PRINT」等と、「納品書」には「ROVERSプリント」と、「売上報告伝票」の「品名」の欄に「トレーナー海賊プリン(ト)」等と、また、店名として「レナウンローバーズ後援会」と、それぞれ表示されていることなどからも明らかである。 さらに、取引書類から、商品の出荷日が2001年10月11日であったことを確認することができるため、これらの商品が販売されたのが、2001年10月11日以降であることは明らかである。 また、トレーナーに表示された「ROVERS」の欧文字が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることは、上述したとおりである。 以上のことから、2001年10月11日以降に、本件商標がその指定商品「被服」に使用されていたことは明らかである。 (4)以上のことから、本件審判の請求の登録日(2004年9月24日)前3年以内に、被請求人が、本件商標をその指定商品について使用していたことは明らかである。 4 当審の判断 (1)乙第1号証、乙第3号証ないし乙第12号証によれば、以下の事実を認めることができる。 (ア)乙第1号証は、「レナウンローバーズ」の2001年(平成13年)度版冊子と認められるところ、そのうちの「ローバーズからのお知らせ」と題する頁には、「ローバーズ・オフィシャル・グッズといたしましてTシャツ・ポロシャツ・キャップ等の販売を行っております。」と記載され、その下には、「Tシャツ A:海賊(¥1,900)」、「Tシャツ B:ヘルメット(¥1,900)」、「Tシャツ C:ローバーズ(¥1,900)」、「ポロシャツ(¥3,000)」、「キャップ(¥1,500)」、「携帯ストラップ(¥500)」の記載とともにそれぞれの商品の写真が掲載されている。 (イ)乙第3号証は、被請求人が「横浜アリーナ内営業部本庄様」に宛てた平成13年9月27日付け「納品書(控)」であるところ、その「品名」、「品番」、「色」、「サイズ/数量」、「摘要」の各欄には、それぞれ「ポロシャツ」、「6938015」、「紺」、「M/10、L/10、2L/10」、「06225」と記載されている。また、被請求人の名称等の下には、「(担当者 川田)」との記載がある。 (ウ)乙第4号証は、佐川急便が発行した平成13年9月27日付け「お客様控」であるところ、「荷送人」欄には被請求人の名称が、また、「荷受人」欄には「横浜アリーナ内営業部 本庄様」と記載され、「品名・荷姿」欄には「ローバーズ ポロシャツ 30枚」と記載されている。 (エ)乙第5号証は、「配送先」を「横浜アリーナ内(株)ポルト」とし、「仕入先」を「(株)藤栄」とする2001年(平成13年)9月28日付け「仕入伝票」(発注書NO:006225)であるところ、「品番」、「サイズ明細」、「数量計」、「品名」の各欄には、それぞれ「6938015」、「M/10、L/10、2L/10」、「30」、「ポロシャツ刺繍/胸・背」と記載されている。 (オ)乙第6号証は、「店名」を「レナウンローバーズ後援会」、「配送先」を「横浜アリーナ内(株)ポルト」とし、「出荷日」を2001年(平成13年)9月27日とする「売上報告伝票」(発注書NO:006225)であるところ、「品番」、「品名」、「商品明細」、「数量」の各欄には、それぞれ「6938015」、「ポロシャツ刺繍/胸」、「M/10、L/10、2L/10」、「30」と記載され、最下段には、「川田」の押印がある。 (カ)乙第7号証は、左胸部に「ROVERS」の文字を含む刺繍がある紺地のポロシャツの写真である。 (キ)乙第8号証は、被請求人が「(株)ポルト 貝塚部長様」に宛てた2001年(平成13)年10月11日付け「納品書(控)」であるところ、その「品名」、「品番」、「色/数量」、「摘要」の各欄には、上段より、それぞれ「トレーナー 海賊(人)柄」、「6938043」、「コン/25」、「白/25」、「トレーナー ヘルメット柄」、「6938044」、「コン/15」、「白/15」、「トレーナー マーク5柄」、「6938045」、「コン/15」、「白/15」、「(ROVERS)プリント」、「No 006284」などが記載されている。また、被請求人の名称等の下には、「(担当者 川田)」との記載がある。 (ク)乙第9号証は、佐川急便が発行した平成13年10月11日付け「お客様控」であるところ、「荷送人」欄には「サンワプリント(株)」と、また、「荷受人」欄には「株式会社ポルト 貝塚部長様」が記載され、「品名・荷姿」欄には「ROVERS PRINT Tシャツ/マーク5柄30枚/海賊(人)柄50枚/ヘルメット柄30枚/合計110枚/レナウンユニフォ-ム川田様気付」などが記載されている。 (ケ)乙第10号証は、「配送先」を「(株)ポルト/ローバーズ」とし、「仕入先」を「サンワプリント(株)」とする2001年(平成13年)10月15日付け「仕入伝票」(発注書NO:006284)であるところ、「品番」、「数量計」、「品名」の各欄には、上段より、それぞれ「6938043」、「50」、「トレーナー海賊プリント」、「6938044」、「30」、「トレーナーヘルメットプリント」、「6938045」、「30」、「トレーナー5柄プリント」と記載されている。 (コ)乙第11号証は、「店名」を「レナウンローバーズ後援会」、「配送先」を「(株)ポルト」とし、「出荷日」を2001年(平成13年)10月11日とする「売上報告伝票」(発注書NO:006284)であるところ、「品番」、「品名」、「数量」の各欄には、上段より、それぞれ「6938043」、「トレーナー海賊プリン」、「50」、「6938044」、「トレーナーヘルメットプリ」、「30」、「6938045」、「トレーナー5柄プリント」、「30」と記載され、最下段には、「川田」の押印がある。 (サ)乙第12号証は、胸部中央に「ROVERS」の文字を含む図柄が描かれている白地のトレーナーの写真である。 (2)前記(1)で認定した事実及び答弁の理由を総合すると、被請求人は、1971年に「レナウンローバーズ」を創部したが、該チームは2001年(平成13年)3月に廃部したことが認められ、また、被請求人は、「レナウンローバーズ」に関連したTシャツ、ポロシャツ、キャップ等のオフィシャル・グッズを販売し、上記廃部後の平成13年9月28日ころ及び同年10月11日ころに、被請求人の販売子会社であるポルト社に対し、胸部に「ROVERS」の文字が表示された「ポロシャツ」30枚、「トレーナー」110枚(海賊(人)柄50枚、ヘルメット柄30枚、マーク5柄30枚)を販売したことが推認される。 そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成16年9月24日)前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「ポロシャツ、トレーナー」に本件商標と同一の綴りよりなる商標を使用していたものといわざるを得ない。 (3)請求人の主張について (ア)請求人は、乙第1号証に関し、その作成・頒布時期は、「レナウンローバーズ」が廃部された平成13年3月以前である旨主張する。 しかしながら、乙第1号証が「レナウンローバーズ」の廃部された平成13年3月以前に作成・頒布されたもの、すなわち、本件審判の請求の登録前3年以内に作成・頒布されたものではないとしても、これにより、本件商標がどのような態様で、どのような商品に使用されていたのかが明確に把握することができるというべきであり、また、前記(2)で認定したとおり、乙第3号証ないし乙第12号証とを併せ考慮すれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「ポロシャツ、トレーナー」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと推認することができるのであるから、乙第1号証の作成・頒布時期が本件審判の請求の登録前3年以内でないことをもって、使用の事実を立証していない旨の請求人の主張は採用することができない。 (イ)請求人は、乙第7号証の商品(ポロシャツ)が乙第3号証ないし乙第6号証の取引書類記載商品であるか否か、また、乙第12号証の商品(トレーナー)が乙第8号証ないし乙第11号証の取引書類記載商品であるか否かは、何ら立証されていないから、これらの証拠をもって、本件商標の使用の事実は証明されていない旨主張する。 しかしながら、乙第3号証ないし乙第6号証及び乙第8号証ないし乙第11号証が「品番や品種・数量の共通する納品書、配達伝票、仕入れ伝票、売上報告伝票」であることは、請求人も争うところがない。また、被請求人やポルト社との取引は、第三者である佐川急便を介して行われたことは、平成13年9月27日付け及び同年10月11日付け「お客様控」により認めることができ、該「お客様控」が全くの偽造によるものであるとは認め難いところである。 そうすると、取り引きされた商品の品番・品名・数量・注文書番号・取扱者等が共通する一連の取引書類(乙第3号証ないし乙第6号証及び乙第8号証ないし乙第11号証)、乙第1号証に示された「Tシャツ A:海賊(¥1,900)」、「Tシャツ B:ヘルメット(¥1,900)」、「Tシャツ C:ローバーズ(¥1,900)」、「ポロシャツ(¥3,000)」の態様からすると、被請求人は、乙第7号証の商品(ポロシャツ)及び乙第12号証の商品(トレーナー)を平成13年9月28日ころ及び同年10月11日ころに取引をしたものと推認するのが相当であり、これを覆すに足る客観的証拠は見出せない。 したがって、上記請求人の主張は採用することができない。 (ウ)請求人は、使用に係る標章「ROVERS」のTシャツ、ポロシャツなどへの表示行為は、「レナウンローバーズ」を表象する標識として機能していたものであって、Tシャツ、ポロシャツのデザインとして商品化した行為に他ならず、本件商標をその指定商品に使用する行為には当たらない旨主張し、さらに、上記「ROVERS」の表示は、「アメリカンフットボール・チームの管理・運営、アメリカンフットボール競技の企画・運営・開催」に関する自他役務識別標識についてする行為に他ならないから、請求に係る指定商品に本件商標を使用したことにはならない旨主張する。 しかしながら、Tシャツ等被服の胸部などに表示されたワンポイントマーク等の図柄は、意匠的要素が強いものといえるが、同時に自他商品の識別標識としての機能をも兼ね備えているものといえるから、本件において、ポロシャツ、トレーナーの胸部に表示された「ROVERS」は、それ自体使用された商品の自他商品の識別標識としての機能を発揮するものというべきである。 したがって、上記に関する請求人の主張は、採用することができない。 (エ)請求人は、乙第3号証ないし乙第12号証の取引書類は、チーム廃部によって被請求人の手元に残されてしまった僅少在庫の会計上の精算を目的とする伝票処理にすぎないものであるから、このような名目的取引行為は商標登録の維持を正当化する登録商標の使用行為に当たらない旨主張する。 しかし、使用の事実を立証するために提出された取引書類が「レナウンローバーズ」の廃部後のものであったとしても、前記認定のとおり、これら取引書類を含めた証拠から、被請求人の取扱いに係るポロシャツ、トレーナーが本件審判の請求の登録前3年以内に取り引きがされたと推認されるところであって、これら取引が架空のものであったと認めるに足る証拠はなく、また、人気のあったスポーツチームの廃部後に、そのオフィシャル・グッズが販売されることはさほど珍しいことではないことを併せ考えれば、取引に係るポロシャツ、トレーナーが僅少在庫であり、取引自体が名目的なものであるとする請求人の主張は、単なる憶測にすぎないものといわざるを得ない。 (4)むすび 以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件請求に係る指定商品中の「ポロシャツ、トレーナー」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したと認め得るところである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものではない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-05-10 |
結審通知日 | 2005-05-16 |
審決日 | 2005-05-27 |
出願番号 | 商願平10-22631 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Z1416182534)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
茂木 静代 |
特許庁審判官 |
津金 純子 佐藤 達夫 |
登録日 | 1999-08-06 |
登録番号 | 商標登録第4302559号(T4302559) |
商標の称呼 | ローバーズ |
代理人 | 宮嶋 学 |
代理人 | 江崎 光史 |
代理人 | 吉武 賢次 |
代理人 | 矢崎 和彦 |
代理人 | 中川 拓 |
代理人 | 小泉 勝義 |