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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 039
管理番号 1119788 
審判番号 取消2002-31281 
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-08-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2002-10-30 
確定日 2005-07-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第3018990号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3018990号商標の登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3018990号商標(以下「本件商標」という。)は、平成4年9月24日に登録出願され、別掲(1)のとおり、「旅の友」「ROYALCLUB」の各文字を上下二段に書してなり、第39類「主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,旅行業法に規定する旅程管理業務・当該旅程管理業務に付随して行なう旅行者の便宜となるサ-ビスの提供,空港等に設けられた建築物内において行う旅行者に対する送迎サ-ビスの提供,旅行情報の提供,旅行に関する相談」を指定役務として、平成7年1月31日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は乙第1号証により本件商標が被請求人により「旅行情報の提供、旅行に関する相談」について、本審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において使用していると主張しているが、失当である。
(1)本審判請求の予告登録日は平成14年11月15日(商標登録原簿に徴するに、平成14年11月20日の誤記と思われる。以下同じ。)であるが、被請求人の提出した乙第1号証の右上には「2002年12月1日発行」との発行の日付が記載されており、これは予告登録の後である。よってこの乙第1号証そのものをもって、本件商標の予告登録前3年以内の使用証明にはならない。
(ア)乙第1号証について
乙第1号証は一般向けに配布されていたチラシとしては不審な点が多く、その存在自体が疑われる。
第1に、チラシの発行者が記載されていない。通常、チラシやパンフレットやカタログなどの印刷物には印刷所などの発行者が日付とともに記載されているが、乙第1号証にはそれがない。
第2に、乙第1号証の配色が奇妙である。すなわち、「旅の友/ROYAL CLUB」の紋章、及び「ROYAL CLUB/旅の友ロイヤルクラブ」の文字部分のみが青色及び赤色に彩色されており、その他の部分はモノカラー印刷としているのは不自然である。文字部分はともかく、写真部分及び石上の「CLUB TOURISM」の商標部分が白黒で表されているのか、理解に苦しむ。
第3に、用紙が高級すぎる。乙第1号証は単なるチラシ、それもさして重要な内容が記載されておらず、大量に配布してもすぐにポイと捨てられてしまう程度のチラシであり、安いクラフト紙で十分である。しかし乙第1号証は、この手のチラシにしては不釣り合いに、厚手で高白色・高光沢、両面コートされて印刷適正・印刷仕上がりが優れ、価格も高いカラープリント用上質紙を使用している。「メンバーズ便り」を配布するロイヤルなメンバーズには、商売上ゴージャス感や高級感を嗜んで戴く必要があるためとも考えられるが、そうだとすれば何故、カラー印刷とモノクロ印刷との選択が滅茶苦茶で、チープ感溢れてしまった紙面構成を採らざるを得なかったのか、全く見当もつかない。
以上のように乙第1号証の存在及び記載内容が疑わしい以上、本件商標は実際には使用されていない事実のあることが推定される。
(イ)商標の同一性について
本件商標は、別掲(1)に示すとおり、「旅の友」と「ROYALCLUB」とを二段に併記してなるものである。
これに対して乙第1号証に示される商標は、別掲(2)に示すとおり、「ROYAL CLUB」と「旅の友ロイヤルクラブ」とを二段に併記してなるものである。
従って両者を比較した時に本件商標は上段部に平仮名交じりの「旅の友」と下段に書した欧文「ROYALCLUB」であり、「旅の友」と「ROYALCLUB」とに分離されることから審査段階では「旅の友」(登録第3002449号)及び「旅の友」(登録第3018989号)と連合関係(類似関係)にあると判断されたものである。
一方使用商標は、下段部の「ROYALCLUB」に該当する部分が片仮名「ロイヤルクラブ」となり、上段部「旅の友」そこ該当する部分が前記「ロイヤルクラブ」の接頭部に結合されてなるものである。
従って、日本語「旅の友」と欧文「ROYALCLUB」の二段併記の商標の同一性の範囲が日本語「旅の友」と片仮名「ロイヤルクラブ」との結合商標まで及ぶものではなく、被請求人は本件商標と同一商標に使用しているとは言えない。
以上のように、被請求人の主張に拘わらず、被請求人が本件商標を審判請求の予告登録前3年以内に「旅行情報の提供、旅行に関する相談」について使用したと客観的に認めることはできない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁しその理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第3号証を提出し、かつ、2人の証人を申立てした。
1 請求の理由に対する答弁
(1)本件商標「旅の友/ROYALCLUB」は、次に詳細に述べるように、被請求人が「旅行情報の提供、旅行に関する相談」について、本審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において使用している。
即ち、被請求人は次の場所及び期間において「旅の友ロイヤルクラブ・サロン」を設置し、本件商標を表示したチラシ(例えば乙第1号証)等を置いて「旅行情報の提供、旅行に関する相談」を行っていた。
設置場所:東京都千代田区内幸町1-1-1インペリアルタワー 12階クラ ブツーリズム丸の内倶楽部 内
設置期間:平成14年1月4日から平成14年12月27日まで
本件商標の使用は、現在のところ移転のため中断しているが、いずれ新企画で使用再開すべく検討中である。
(2)乙第1号証に表示された商標の使用態様は、「ROYALCLUB」のローマ文字と、その下にやや小さな文字で横書された「旅の友ロイヤルクラブ」である。
ここで「ROYALCLUB」のローマ文字からは「ロイヤルクラブ」の称呼しか生じない。また本件商標「旅の友/ROYALCLUB」は「旅行仲間の王者にふさわしいクラブ」の如き観念があるところ、乙第1号証商標の使用態様からもかかる観念が生ずる。
よって、本件商標と乙第1号証商標とは商標法第50条第1項かっこ書きの社会通念上同一の商標である。
(3)上記使用役務についての本件商標「旅の友/ROYALCLUB」の使用は、本審判請求の予告登録である平成14年11月15日前3年以内の2002年12月まで使用している(乙第1号証)。
(4)このように、本件商標「旅の友/ROYALCLUB」は被請求人が「旅行情報の提供、旅行に関する相談」について商標法第50条第2項の「使用」をしてしいる。
2 弁駁に対する答弁
(1)使用日について
乙第1号証の発行日と使用日とが一致しないのは当然である。乙第1号証の発行日「2002年12月1日」というのは「Vol.25」の発行日である。「クラブツーリズム メンバーズ便り」はそれ以前から発行していたのであり、その発行日は予告登録日平成14年11月15日より前であるのは当然である。
乙第1号証よりも前に発行されたチラシは、文書の性質上使い切ってしまったため、提出できなかっただけである。
(2)使用役務について
「旅行情報の提供」「旅行に関する相談」という役務は、情報という性質上商標を付することができない。よって、乙第1号証をもって上記役務に使用していたことを推認することができるというべきである。
(3)乙第1号証発行者、発行日について
乙第1号証下欄に「近畿日本ツーリストクラブツーリズム」と明示してある。この場合「近畿日本ツーリスト」というのは「近畿日本ツーリスト株式会社」を表すというのは常識であろうし、「クラブツーリズム」というのは同社の所管担当部署を表すというのも常識である。よって、乙第1号証発行者は明示されている。
また、この種チラシに印刷日等の「日付」を記載しないのも通例である。
(4)配色について
配色をどうするかは使用者であり発行者である被請求人の権限内の事項である。また、クラブツーリズムの人物マークの白黒表示は、例えば新聞広告、雑誌広告等では通常に行なっている。
(5)用紙について
用紙をどうするかは使用者であり発行者である被請求人の権限内の事項である。
(6)商標の同一性について
本件商標「旅の友/ROYALCLUB」を「旅の友(図入り)」「ROYALCLUB」「旅の友ロイヤルクラブ」として使用するのは「社会通念上同一と認められる」範囲である。
「旅の友ロイヤルクラブ」の「ロイヤルクラブ」の部分は「ROYAL CLUB」の振り仮名とみることができるので、使用商標の態様は本件商標の上段下段が逆になった使用態様である。
連合関係云々につき、連合商標制度は現在廃止されている。

第4 当審の判断
1 商標法第50条の商標登録の取消審判にあっては、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由がある場合を除いて、その審判の請求の登録(本件の場合は平成14年11月20日、以下「予告登録日」という。)前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
2 そこで、被請求人が本件商標の使用を立証するものとして提出した乙第1号証(チラシ)をみるに、 乙第1号証の表題欄には、「クラブツーリズム メンバーズ便り」「Vol.25」「2002年12月1日発行」及び右上端に「仲間が広がる、旅が深まる」「5人の手を繋いだ人物と思しきシルエット状の図形」「CLUB TOURISM」を三段に配してなるところ、被請求人が本願商標と社会通念上同一であるとする別掲(2)に示す構成よりなる商標は、紙面下方の位置に細線で囲った「旅の友メンバーズの皆様へ」と題した文章の終わりに配されている。
そして、被請求人が本件商標をその指定役務中、「旅行情報の提供」「旅行に関する相談」についての使用事実は見当たらない。
以上のことから、乙第1号証は、2002年12月1日付けの発行に係るチラシであって、本件審判請求の予告登録日後のものであるから、商標法第50条第2項所定の要件を具備しているものとはいえない。
この点に関して、被請求人は、「Vol.25の発行日は、予告登録日後であるが、それ以前からチラシは発行している。乙第1号証より前に発行されたチラシは、文書の性質上使い切ってしまったため、提出できなかっただけである。」旨主張している。
確かに、乙第1号証の通巻が「Vol.25」であって、発行日が2002年12月1日であることからすれば、その発行間隔は必ずしも明確でないが、通巻を意味する「Vol.」の号数に照らせば、「Vol.24」以下のチラシは、本件審判請求の予告登録日前3年以内に、少なくとも1回以上発行されていたものと推認することができる。
しかしながら、乙第1号証の構成及び「チラシ」という宣伝広告媒体の性格を合わせ考えれば、特段の事情がない限り、「Vol.24」以前の表題欄には、「Vol.25」と同じ不動文字(勿論、「Vol.」の通巻及び「発行日」の年月日は、異にする。)で作成されるといい得るが、それ以外の記事や編集等については、発行毎に異なるものとみるのが自然である。
そうとすれば、「Vol.24」以前のチラシは、別掲(2)に示す商標、及び、その指定役務である「旅行情報の提供」「旅行に関する相談」について使用されていたと推認し得る合理的な理由を見出すことができない。
加えて、そもそも乙第1号証には、指定役務「旅行情報の提供」「旅行に関する相談」についての使用の事実を確認し得ないものである。
この点に関して、被請求人は、「『旅行情報の提供』『旅行に関する相談』という役務は、情報という性質上商標を付することができない。よって、乙第1号証をもって上記役務に使用していたことを推認することができるというべきである。」旨主張している。
しかしながら、本件商標をその指定役務中、「旅行情報の提供」「旅行に関する相談」について、商標法第2条第3項各号が定める要件を具備する使用事実を被請求人によって立証できないとする合理的な理由は見出せない。
してみれば、被請求人が主張する上記2点については、その前提において、いずれも失当であり採用することができない。
したがって、被請求人の提出に係る乙1号証をもってしては、被請求人が本件商標を本件審判の取消請求に係る指定役務について、請求の登録前3年以内に日本国内で使用していたものとは認められず、かつ、使用をしていないことについて正当な理由があったものとも認められない。
なお、被請求人は、2人の証人尋問を申立てしているが、その尋問内容は、被請求人が提出した乙第3号証(調査報告書)に係る内容であって、要するに請求人適格の有無にある。
しかしながら、商標法第50条第1項によれば、「何人も登録商標を取り消すことについて審判を請求することができる。」旨規定されているところ、この立法趣旨に照らせば、請求人は、当然に請求人適格を有すること自明であるから、証人尋問の必要性はなく、採用には及ばない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定役務についての登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別掲】
(1)本件商標(登録第3018990号商標)

(2)使用商標

審理終結日 2005-04-27 
結審通知日 2005-05-12 
審決日 2005-05-24 
出願番号 商願平4-201090 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (039)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鹿谷 俊夫石田 清 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 福島 昇
宮川 久成
登録日 1995-01-31 
登録番号 商標登録第3018990号(T3018990) 
商標の称呼 タビノトモ、ローヤルクラブ、ロイヤルクラブ、ロイアルクラブ 
代理人 押本 泰彦 
代理人 浅野 勝美 

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