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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y41
審判 全部申立て  登録を維持 Y41
管理番号 1115041 
異議申立番号 異議2004-90360 
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2005-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-06-11 
確定日 2005-03-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第4754790号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4754790号商標の登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4754790号商標(以下「本件商標」という。)は、「長野県音楽福祉音楽療法協会」の文字を横書きしてなり、平成15年10月31日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」を指定役務として、同16年3月12日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨) (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が代表者を務める「長野県音楽福祉音楽療法協会」(以下「本協会」という。)について
本協会は、音楽福祉音楽療法を通して地域福祉の活性化を目的に申立人である山岡久豊が代表者として設立した団体であり、平成14年3月20日に「協会・連盟-設立準備事務局」を立ち上げ(甲第2号証)、同14年9月29日に設立され(甲第3号証)、今日に至っている。
また、本協会の会員は、「音楽福祉音楽療法を勉強する講座」の受講者が中心となって構成されている。
そして、本協会は、「長野県内各地の地域福祉の活性化・地域社会の活性化・会員の職の改善向上に寄与する」という設立理念を固守し、「特定非営利活動促進法(NPO法)」を視野に入れた組織作りと活動を行い、「長野県内の公の団体」として認知されつつあるところである。
本協会の現在の主な活動は、音楽福祉音楽療法に関する講座・講演・研修会の企画・運営又は開催であり、また当該研修会等への参加者に対しては、試験等により「音楽福祉音楽療法インストラクター」の協会資格を認定・付与して、より良質な音楽福祉活動の発展に寄与できる人材の育成を目指している(甲第4号証)。また、本協会の規約は、甲第5号証のとおりである。
(2)本件商標の登録人(以下「商標権者」という。)と本協会との関係
商標権者たる山岡ひろ子は、本協会が設立された平成14年当時は本協会の理事であったが、平成15年2月1日付で本協会には無断でその住所を長野県外に転居したことから同日付をもって本協会の趣旨である長野県の地域の活性化に合致しないことになり本協会の理事の資格を当然に喪失した。また、同15年10月18日の本協会の第1期定時総会において、その退任が正式に了承されている(甲第6号証)。
したがって、本件商標の登録出願日である平成15年10月31日においては、商標権者は本協会を何ら代表するものではなく、かつ本協会から本件商標の出願・登録に関して承諾を得ていたという事実もないのである。もちろん、現在においても本協会は商標権者に対して本件商標の登録につき何らの承諾も与えていない。
(4)商標権者が代表を務める協会
商標権者は、平成15年2月24日付けで、独自に協会名を「MWT長野県インストラクタ協会」とする旨の案内状を発送し、資格認定証も当該協会名により発行している(甲第8号証)。かかる協会名を使用していながら、自己の協会名とは異なる「長野県音楽福祉音楽療法協会」について平成15年10月31日に本件商標の登録出願手続を行っており、本件商標の登録目的が自己の使用に係る協会名の登録にはなかったことが推測される。
(5)むすび
商標権者は、本協会の理事という責任ある立場にありながら、本協会の承諾なくして本協会の名称そのものを自己の名義で勝手に登録出願し登録を得たものであり、本件商標は商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
さらに、本件商標の指定役務は本協会の遂行業務そのものであり、商標権者が本協会の特別関係者であること、および独自に別個の協会名を使用して同様な活動を行っていることに鑑みれば、本件商標の登録は剽窃によりなされたものといっても過言ではなく、本件商標は商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号該当性について
甲第2号証ないし甲第8号証によれば、申立人が代表者を務めているとする本協会は、当事者能力を有している団体であるとしても、法人格のない、いわゆる権利能力なき社団と認められるものである。また、申立人の提出した証拠によっては、本協会の名称が、本件商標の登録出願及び登録査定の時に著名であったとは認めることができない。
そして、権利能力なき社団の名称については、法人との均衡上、その名称は、商標法第4条第1項第8号の略称に準ずるものとして、同条項に基づきその名称を含む商標の登録を阻止するためには、著名性を要するものと解すべきである(平成13年4月26日言渡 東京高裁 平成12年(行ケ)第345号 審決取消事件参照)。
したがって、本件商標は、他人である本協会の著名な名称を含むものということはできないから、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものでない。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
甲第2号証ないし甲第8号証及び登録異議申立ての理由によれば、申立人と商標権者とは、当初いずれもが本協会の理事会メンバーであり、両者は極めて個人的な関係であったことが認められる。そして、本件商標の登録出願に至るまでの上記甲各号証及び登録異議申立ての理由における経緯を参酌しても、商標権者が不正競争の目的をもって本件商標の登録出願したとまでは認め難いものある。
また、前記本協会には、法人格がなく、その名称が本件商標の登録出願及び登録査定の時に著名でもなかったことは前記認定のとおりである。
以上を総合すると、本件商標は、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあって、取引秩序の商道徳に反し、その商標登録を認めることが商標法の予定する秩序に著しく反するものとまではいえないというのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものでない。
(3)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号及び同第7号に違反してされたものでないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2005-03-08 
出願番号 商願2003-100896(T2003-100896) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (Y41)
T 1 651・ 23- Y (Y41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石田 清 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 茂木 静代
三澤 惠美子
登録日 2004-03-12 
登録番号 商標登録第4754790号(T4754790) 
権利者 山岡 ひろ子
商標の称呼 ナガノケンオンガクフクシオンガクリョーホーキョーカイ、オンガクフクシオンガクリョーホーキョーカイ、ナガノケンオンガクフクシオンガクリョーホー、オンガクフクシオンガクリョーホー 
代理人 横沢 志郎 

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