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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 104 |
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管理番号 | 1113614 |
審判番号 | 取消2003-31683 |
総通号数 | 64 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-04-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2003-12-15 |
確定日 | 2005-03-07 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第0909428号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第909428号商標の第3類「化粧品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第909428号(以下「本件商標」という。)は、「AOI」の欧文字と「葵」の漢字を上下二段に書してなり、昭和44年5月27日に登録出願、第4類「歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、昭和46年7月15日に設定登録されたものであるが、その後、指定商品については、平成13年11月7日付けで第3類「香料類,化粧品,歯磨き」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」に書換登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、甲第1号証及び同第2号証を提出した。 1 請求の理由 請求人が本件商標の使用状況につき精査したところ、本件商標は、その指定商品中第3類「化粧品」について継続して3年以上日本国内において使用している事実がない。また、その不使用についての正当な理由があるとも認められない。 よって、本件商標は、請求に係る商品について、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)被請求人は、本件審判請求の利益を疎明することを求めている。 しかし、商標法第50条第1項に規定する不使用による取消審判は、何人も審判請求をすることができるのであって、審判を請求することについて利害関係を有するかどうかは問わないのである。 よって、この点に関する被請求人の主張は失当である。 なお、請求人は本件商標と類似する商標の商標登録出願を計画しているものである。 (2)被請求人の提出する乙第1号証は、カタログの複写物であり、しかもこのカタログがいつ作成されたものであるのかも全く不明である。さらに、このカタログは全て英語表記されたものであって、商標法第50条第1項に規定する、日本国内において、被請求人が使用していた事実を立証する証拠とはなり得ない。 また、乙第1号証として提出されたカタログの複写物は複写を繰り返した如く複写精度がきわめて悪く、特に奥付のページ部分はその内容が殆ど読めない程度のものである。 そして、該カタログの表紙のシミ、綴り込み用のパンチング孔、紙葉外縁部の破れや痛み具合等からすると、到底3年以内に使用されていたものと解することができない。 (3)因みに、インターネットで被請求人のホームページを検索すると、他の商品についてはホームページに広告掲載しているが、本件商標を付した商品「香水・コロン」については全く掲載されていなかった。 (4)よって、使用の事実を立証する乙第1号証は、その使用の事実を立証する証拠とはなり得ないものであるから、本件商標の指定商品中「化粧品」についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は被請求人の負担する、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び資料1、資料2を提出した。 1 答弁(第1回) (1)請求人においては、本件審判請求について、審判請求の利益を疎明されたい。審判請求書の請求の理由には、その疎明がない。 (2)被請求人は、本件商標を商品「香水・コロン」に使用している。 乙第1号証は、当該使用に係るカタログである。カタログの香水の商品写真には「AOI」の表示が明示されている。 以上の通り、本件商標はカタログによる広告を行なったもので、指定商品「香水・コロン」について使用しているものである。 2 答弁(第2回) (1)請求人は、「審判を請求することについて利害関係を有するかどうかを問わない」と弁駁するが、特許庁発行の審判便覧「利害関係の審理」(資料1)には、利害関係に争いがある場合として、「相手方が利害関係について争った場合、請求人の利害関係が明らかでない場合には、利害関係を争うことを記載した答弁書等を請求人に送達(送付)して利害関係を明らかにする機会を与える」と規定している。 本件では、答弁書において、被請求人は利害関係を争う旨を明確に主張している。 (2)請求人は、「請求人は本件商標と類似する商標の商標登録出願を計画しているものである」と主張し、利害関係の存在が疎明された如くであるが、審判便覧「利害関係一覧表」(資料1)に示されている、例えば「請求人の出願中の商標が本件商標と類似し指定商品が抵触するため登録を受けることができないおそれがある。拒絶理由通知を未だ受けていない、請求人の出願が本件商標を引用した拒絶理由通知を受け、拒絶されるおそれがある。」といった事例にも該当していない。 (3)更に、本件審判請求人の代理人は、株式会社アオイ生物科学の代理人として、第3類「せつけん類、化粧品」を指定商品とする商標「アオイ」に関して商願2003-114313の出願を行っており(資料2)、本件審判請求人「折田美恵子」を名義人とする新規商標登録出願を行うことは、弁理士法第31条第1号ないし第3号の規定に違反する虞があることから、実現不可能な主張に過ぎず、利害関係の存在を疎明したことにはならない。 第4 当審の判断 1 取消審判請求の利害関係について 被請求人は、請求人に対し、本件審判請求の利益を疎明することを求めているので、先ず、この点について検討する。 本件審判請求は、平成8年法律第68号により改正された商標法が適用されるところ、同法第50条第1項によれば、登録商標の使用をしていないときは、何人もその指定商品に係る商標登録を取り消すことについて審判請求をすることができる、旨規定されていることからすれば、請求人は、何ら利害関係を疎明する必要はないものと解釈しなければならない。 そうとすれば、請求人は、本件審判請求をするに当たり、特段、利害関係を立証する必要はないものといえる。 したがって、被請求人のこの点に関する主張は、失当であって、採用することができない。 なお、被請求人は、審判便覧「利害関係一覧表」(資料1)を提示しているが、本件審判請求は、「利害関係一覧表」に挙げている事例の何れにも当て嵌まらないこと明らかである。 2 本件商標の使用事実について 被請求人の提出に係る商品カタログ(乙第1号証)によれば、被請求人が商品「香水・コロン」の容器に「AOI」の欧文字を表示し使用している事実は認められるところである。 しかしながら、前記商品カタログは、その製作年月日が確認できないばかりか、日本国内で使用されていた或いは使用されているカタログであると鑑みた場合、表記されている文字が全て欧文字(英語)であって、極めて不自然で、かつ、信憑性の乏しい証左といわざるを得ないから、この証拠のみによっては、商標法第50条第2項所定の要件を証明したものといえない。 してみれば、被請求人の提出に係る商品カタログ(乙第1号証)によっては、本件商標を商品「香水・コロン」についての使用時期及び日本国内における使用事実を立証しているものと認められない。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録日前3年以内の期間に本件商標をその指定商品中「化粧品」に使用していたことを証明し得ないから、本件商標は、継続して3年以上日本国内におて商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもによっても、その指定商品中「化粧品」について使用されていなかったものと判断する。また、本件商標を使用をしていないことについての正当な理由があったものとも認められない。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、指定商品中「化粧品」についての登録を取り消すべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-01-11 |
結審通知日 | 2005-01-13 |
審決日 | 2005-01-25 |
出願番号 | 商願昭44-42350 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(104)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
佐藤 正雄 |
特許庁審判官 |
山本 廣良 宮川 久成 |
登録日 | 1971-07-15 |
登録番号 | 商標登録第909428号(T909428) |
商標の称呼 | アオイ、エイオオアイ |
代理人 | 垣内 勇 |
代理人 | 神田 正紀 |
代理人 | 坂口 信昭 |
代理人 | 今井 貴子 |
代理人 | 瀧野 秀雄 |