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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y0708 |
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管理番号 | 1111714 |
審判番号 | 取消2004-30494 |
総通号数 | 63 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-03-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2004-04-09 |
確定日 | 2004-12-24 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第36654号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第36654号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、明治42年3月19日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同42年6月5日に設定登録され、その後、6回にわたる商標権存続期間の更新登録がされたものである。また、本件商標の指定商品については、第7類「唐箕,レーキ(手持ち工具に当たるものを除く。)」及び第8類「げんのう,つち,ハンマー,くぎ抜き,鉄つい,つるはし類,ショベル類,くわ,鋤,レーキ(手持ち工具に当たるものに限る。)」として、平成11年7月14日に書換登録がされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、「本件商標は、その指定商品中『第7類全指定商品』及び『第8類くわ,鋤,レーキ(手持ち工具に当たるものに限る。)』についての登録を取り消す。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定商品中上記商品について、継続して3年以上日本国内において使用された事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 (2)答弁に対する弁駁 (a)検乙第1号証の1ないし8について 検乙第1号証の1ないし8(写真)は、すべて本件審判の請求の登録日(平成16年5月7日)の後に作成されたものであるから、本件審判の請求の登録前3年以内における本件商標の使用の事実を証明するための証拠としての価値は認められない。 よって、検乙第1号証の1ないし8に基づき、2002年2月ないし3月の間、被請求人の本社ビル内見本室において、アメリカレーキ(以下「本件使用商品」という場合もある。)に本件商標を付したものを譲渡又は引渡しのために展示していた事実を認めることはできない。 ところで、被請求人は、いわゆる「スター」シリーズとして商品展開している商品群があり、本件商標も「スター」シリーズを構成する商標として使用していると主張する。 しかしながら、検乙第1号証の4ないし6によれば、本件商標が付された本件使用商品は、いわゆる「金象印」の商品展示スペースで「金象印」のラベルが付された商品群の中に一点だけ展示されている様子が窺われる。 商慣習上、シリーズとして商品展開している商品群の一つを、殊更、別シリーズの商品展示スペースに展示するというのは、極めて不自然であるといわざるを得ない。 一方、いわゆる「金象印」の商品展示スペースにおいて「金象印」のラベルが貼付けられていた本件使用商品に、検乙第1号証の8に撮影されているラベルを貼り替えて写真撮影すること自体は造作のないことである。 したがって、検乙第1号証の1ないし8は、被請求人が主張するように2002年2月ないし2002年3月の間、被請求人の本社所在地(堺市海山町2丁117番地)において、本件商標を「レーキ(手持ち工具に当たるものに限る。)」について使用していた事実を推認させる間接的な証拠としての証明力も認めることはできない。 (b)乙第3号証及び乙第5号証の1ないし3について 乙第3号証(「スターアメリカレーキ」の出荷明細(写))と乙第5号証の1ないし3(売掛金元帳(写))には、それぞれ「スターアメリカレーキ」という記載を見出すことはできる。 しかしながら、これらの証拠は、いずれも被請求人の従業員によって編集・作成され、専ら被請求人が利用するためにのみ作成された文書の写しであるから、いわゆる取引書類とは認められず、当該文書に記載されたとおりの取引が現実に行われた事実を証明する証拠として認めることはできない。 したがって、乙第3号証及び乙第5号証の1ないし3には、被請求人が本件商標を「レーキ(手持ち工具に当たるものに限る。)」について使用していた事実を推認させる間接的な証拠としての証明力も認めることはできない。 (c)乙第4号証の1ないし3について 乙第4号証の1ないし3(受領書(写))は、いわゆる運送業者と被請求人との間の取引書類であると一応推認されるかのように見える。 しかしながら、乙第4号証の1ないし3に記載されたとおり、被請求人より株式会社秋喜商店、株式会社ウキタ・アクティブ及び有限会社四国金物(これらの社名中の「株式会社」、「有限会社」は、以下省略する。)に対して、品名「スターアメリカレーキ」が実際に出荷されていたと推認できても、出荷された商品に本件商標が付されていた事実を明らかにする証拠は一切提出されておらず、また提出された他の証拠を勘酌しても、出荷された商品自体に本件商標が付されていた事実を推認することは困難である。 被請求人は、本件商標が印刷されたラベルを付した本件使用商品を譲渡し又は引渡した行為があったことをもって、「レーキ(手持ち工具に当たるものに限る。)」について、本件商標の使用をしている事実を証明しようとしているのだから、「スターアメリカレーキ」という品名の本件使用商品を出荷していた事実を証明するのみでは足りず、併せて、当該出荷された商品に本件商標が付されていた事実を証明する責任がある(商標法第50条第2項)。 よって、乙第4号証の1ないし3に基づいて、2002年2月ないし3月の間、被請求人の本社所在地において、本件商標が、「レーキ(手持ち工具に当たるものに限る。)」について使用されていた事実を認めることはできない。 (d)むすび 以上のとおり、検乙第1号証の1ないし8、乙第3号証ないし乙第5号証の1ないし3の各証拠から、指定商品中「レーキ(手持ち工具に当たるものに限る。)」について、被請求人による本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用の事実を推認することはできず、他に、その的確な証拠も提出されていない。 したがって、本件商標は、請求に係る指定商品について使用が証明されていないものであるから、商標法第50条の規定により、その登録の取消しを免れないものである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証の3及び検乙第1号証の1ないし8を提出した。 (1)商標権者(被請求人)は、工事・農業用機器、園芸用品、運搬機器、アウトドア用品、除雪用品、物流システム機器、店舗什器等様々な商品展開を図っている。また、被請求人は、トップブランドである「金象」を始めとする、多数の登録商標を有しており、被請求人の取り扱う商品のうちには、「スター」シリーズとして商品展開しているものがある。被請求人の主要商品群の一つである土農工具(つるはし類,ショベル類,くわ,鋤,レーキを含む)のうち、主として洋式農具に、いわゆる「スター」マークを使用している。 そして、本件商標は、主に本件使用商品について、その使用開始時期は明確ではないが、遅くとも昭和20年代半ばから現在に至るまで、継続的に使用している。 (2)使用事実の立証 (a)被請求人は、少なくとも、本件審判の請求の登録前3年以内である2002年(平成14年)2月ないし同年3月の間、被請求人の本社所在地において、本件商標を請求に係る指定商品中「レーキ(手持ち工具に当たる。)」について使用している。 (b)検乙第1号証の1ないし8 検乙第1号証の1は、被請求人の本社ビルの写真、検乙第1号証の2ないし5は、被請求人の本社ビル内の見本室室内の写真、検乙第1号証の6は、見本室に展示中の本件使用商品の写真、検乙第1号証の7は、本件使用商品のラベル部分の拡大写真、検乙第1号証の8は、ラベルの写真である。これらの写真は、いずれも、平成16年6月2日に被請求人の取締役である嶌田長秋が撮影をしたものである。 検乙第1号証の1ないし6からも明らかなように、被請求人は、本社内に主要商品を常時展示する見本室を設け、本件使用商品についても展示しており、本件使用商品の柄には、本件商標を印刷したラベルが貼付されている。 そして、検乙第1号証の6ないし8からも明らかなように、本件使用商品の柄に貼付されたラベルの上段には、本件商標と同一の商標が印刷されており、ラベル中段には、商品名の「アメリカレーキ」が表示されている。また、ラベル下段には本商品のバーコードが印刷されている。当該バーコードの数字部分の後半部には、本件使用商品の商品コードである「072913」が表示されている。 (c)乙第3号証 乙第3号証は、2001年(平成13年)4月ないし2002年(平成14年)3月における「スター アメリカレーキ」の出荷明細(写)であり、「スター アメリカレーキ」は、株式会社ミタムラに対して2003年1月度に10丁、大平産業株式会社に対して2001年4月度に10丁、同年10月度に20丁、秋喜商店に対して2002年3月度に100丁、中徳商店に対して2002年3月度に1丁、株式会社森商会に対して2002年3月度に2丁、ウキタ・アクティブに対して2002年3月度に439丁、四国金物に対して2002年2月度に10丁が、それぞれ出荷されている。 なお、上記出荷明細は、平成14年4月1日に被請求人の社員である米田小百合によって作成されたものである。 (d)乙第4号証の1ないし3 乙第4号証の1は、2002年3月25日付けの秋喜商店についての受領書(写)であり、これによれば、上記日付に秋喜商店に対して、品コード「072913」の品名「スターアメリカレーキ」を100丁出荷した事実が立証される。 乙第4号証の2は、2002年3月27日付けのウキタ・アクティブについての受領書(写)であり、これによれば、同年3月28日にウキタ・アクティブに対して、品コード「072913」の品名「スターアメリカレーキ」を139丁出荷した事実が立証される。 乙第4号証の3は、2002年2月25日付けの四国金物についての受領書(写)であり、これによれば、上記日付に四国金物に対して、品コード「072913」の品名「スターアメリカレーキ」を10丁出荷した事実が立証される。 これらの事実は、乙第3号証の出荷明細(写)と符合するものである(なお、乙第4号証の2については、2003年3月度に439丁出荷したうちの3月27日付け出荷分のものである)。 そして、出荷された品コード「072913」の品名「スターアメリカレーキ」には、前記検乙第1号証の6ないし8からも明らかなように、本件商標と同一の商標を印刷したラベルが貼付されているのである。 なお、上記受領書は、いずれもそれらの処理日において、被請求人の社員である西村正己によって作成されたものである。 (e)乙第5号証の1ないし3 乙第5号証の1及び2は、2002年3月21日から3月31日までの期間の秋喜商店及びウキタ・アクティブに対する売掛金元帳(写)であり、これらによれば、2002年の3月25日に秋喜商店に、また、2002年の3月28日にウキタ・アクティブに、品コード「072913」の品名「スターアメリカレーキ」を、それぞれ100丁、139丁出荷した事実が立証される。 乙第5号証の3は、2002年2月21日から2月28日の期間までの四国金物に対する売掛金元帳(写)であり、これによれば、2002年の2月25日に四国金物に対して、品コード「072913」の品名「スターアメリカレーキ」を10丁出荷した事実が立証される。 そして、これらの売掛金元帳(写)の記載の「日付」「伝票No.」「コード(品コード)」「品名」「数量」等は、乙第4号証の1ないし3の受領書(写)及び乙第3号証の出荷明細(写)と符合するものである。 なお、上記売掛金元帳は、いずれもそれらの期間末日の翌日において、被請求人の社員である茶谷幸治によって作成されたものである。 (3)むすび 以上の立証事実から明らかなように、本件商標は、その指定商品中「レーキ(手持ち工具に当たるもの。)」について、被請求人が、少なくとも、2002年2月ないし3月に使用していた事実は明らかである。 4 当審の判断 (1)本件審判に関し、本件商標の使用者が商標権者であること、本件使用商品が本件請求に係る指定商品中の「レーキ(手持ち工具に当たるものに限る。)」の範疇に属する商品であること及び使用に係る商標が本件商標の使用であることについては、請求人は、特段争うことを明らかにしていない。 そこで、本件使用商品が商標権者により本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたか否かについて検討する。 (2)乙第3号証ないし乙第5号証の3及び検乙第1号証の1ないし8によれば、以下の事実が認められる。 (a)乙第3号証は、「スター アメリカレーキ 出荷明細(2001年4月1日〜2002年3月31日)」であるところ、「店名」欄のうち、「(株)秋喜商店」は3月度に「100」、「(株)ウキタ・アクティブ」は3月度に「439」、「(有)四国金物」は2月度に「10」の、それぞれ記載がある。 (b)乙第4号証の1ないし3は、「受領書」(写し)であるところ、乙第4号証の1は、被請求人が「トナミ運輸」を介して「(株)秋喜商店」に、「品コード品名/072913 スターアメリカレーキ」、「数量/100」を「2.3.25」に出荷したことが認められる。 乙第4号証の2は、被請求人が「トナミ」を介して「(株)ウキタ・アクティブ」に、「品コード 品名/072913 スターアメリカレーキ」、「数量/139」を「2.3.28」に出荷したことが認められる。 乙第4号証の3は、被請求人が「トナミ運輸」を介して「(有)四国金物」に、「品コード 品名/072913 スターアメリカレーキ」、「数量/10」を「2.2.25」に出荷したことが認められる。 (c)乙第5号証の1ないし3は、「売掛金元帳」(写し)であるところ、乙第5号証の1及び2は、「2002年3月21日〜3月31日」の「(株)秋喜商店」及び「(株)ウキタ・アクティブ」に関するものであり、前者の「月日」、「コード」、「品名」及び「数量」の各欄には、「3.25」、「072913」、「スターアメリカレーキ」、「100」の記載があり、後者のそれには、「3.27」、「072913」、「スターアメリカレーキ」、「139」の記載がある。 乙第5号証の3は、「2002年2月21日〜2月28日」の「(有)四国金物」に関するものであり、「月日」、「コード」、「品名」及び「数量」の各欄には、「2.25」、「072913」、「スターアメリカレーキ」、「10」の記載がある。 (d)検乙第1号証の1ないし8は、被請求人の本社ビル、その見本室に展示されている各種商品、本件使用商品及び本件使用商品の柄の部分に付されるラベルの各写真であるところ、該ラベルには、本件商標と構成上ほぼ同一といって差し支えない商標、「アメリカレーキ」の文字、品番と認められる「072913」などが表示されている。 (2)前記(1)で認定した事実を総合すると、商標権者(被請求人)は、品番を「072913」とする本件使用商品に本件商標を表示して、本件審判の請求の登録前3年以内である2002年(平成14年)2月から3月の間において、該商品を少なくとも秋喜商店、ウキタ・アクティブ及び四国金物との間で取引をしていたことを推認することができる。 (3)請求人の主張 (a)請求人は、検乙第1号証の1ないし8に関し、その撮影日が本件審判の請求の登録日以降であるから、本件商標の使用の事実を証明するための証拠とはなり得ない旨主張する。 しかし、検乙第1号証の1ないし8の撮影日が本件審判の請求の登録日以降であるとしても、これは、本件使用商品について、本件商標がどのような態様で使用されているかを明らかにするためのものであり、検乙第1号証の1ないし8及び乙第3号証ないし乙第5号証の3を総合すれば、前記認定のとおり、本件商標が表示された、品番を「072913」とする本件使用商品が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により使用されたと推認し得るところである。 (b)請求人は、乙第3号証及び乙第5号証の1ないし3に関し、いずれも被請求人の従業員によって作成された文書の写しであるから、取引が現実に行われた事実を証明する証拠となり得ない旨主張する。 しかし、乙各号証は、一般的に、会社が行う取引があったことを推認させる証拠として、何ら不自然なものとはいえないのみならず、これら証拠における取引が実体のない名目的なものであると認めるに足る客観的な証拠は見出せない。 (c)請求人は、乙第4号証の1ないし3に関し、出荷された商品に本件商標は付されていた事実を推認することは困難である旨主張するが、前記認定のとおり、検乙第1号証の1ないし8及び乙第3号証ないし乙第5号証の3を総合すれば、本件商標が表示された、品番「072913」の本件使用商品が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により使用されたと優に推認されるものである。 (d)したがって、上記に関する請求人の主張は、いずれも失当というべきである。その他、請求人の主張は、いずれも合理的根拠に欠けるものであり、前記認定を覆すに足りない。 (4)以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件請求に係る指定商品中の「レーキ(手持ち工具に当たるもの。)」の範疇に属する「アメリカレーキ」に、本件商標を使用していたことを証明したと認め得るところである。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「第7類全指定商品」及び「第8類くわ,鋤,レーキ(手持ち工具に当たるものに限る。)」について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】 |
審理終結日 | 2004-10-26 |
結審通知日 | 2004-10-28 |
審決日 | 2004-11-11 |
出願番号 | 不詳 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Y0708)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
茂木 静代 |
特許庁審判官 |
内山 進 津金 純子 |
登録日 | 1909-06-05 |
登録番号 | 商標登録第36654号(T36654) |
商標の称呼 | 1=スター |
代理人 | 絹谷 晴久 |
代理人 | 柱山 啓之 |
代理人 | 絹谷 信雄 |
代理人 | 中尾 真一 |