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審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない 036
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない 036
管理番号 1110182 
審判番号 無効2003-35451 
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-02-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-10-30 
確定日 2004-12-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第3111022号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3111022号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成4年9月25日に使用に基づく特例の適用を主張して登録出願され、第36類「建物の売買の代理」を指定役務として、平成7年12月26日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
(1)本件商標「リアルター」の英語である「Realtor」は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ市ノース・ミシガン・アベニュー430番に住所を有するナショナル・アソシエーション・オブ・リアルターズ(本件請求人/全米リアルターズ協会)の世界的に著名な団体標章である(甲第2号証)。
「Realtor」の団体標章は、米国において、登録第519789号として、1950年1月10日に旧米国分類102類(国際分類36類)として登録されている(甲第3号証)。
「Realtor」が本件請求人の団体標章であることは、以下の辞書にも紹介されている(甲第4号証ないし甲第7号証)。
・1986年Merriam-Webster Inc.発行「Webs ter’s Third New International Di ctionary」
・1984年研究社発行「リーダーズ英和辞典」
・1988年小学館発行「プログレッシブ英和中辞典」
・1990年研究社発行「英和商品名辞典」
このように、世界的に著名な米国における公的団体の団体標章と実質的同一の本件商標を登録することは、国際信義に反するものであり、商標法第4条第1項第7号に該当することは明らかである。
また、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一または類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものであり、商標法第4条第1項第19号に該当することは明らかである。
本件商標の登録権者(被請求人)に不正の目的があったことは、不動産業を営む被請求人が、造語である「Realtor」と実質同一の本件商標を採択し、不動産関係の役務に登録し、使用しているところからも明らかである(甲第8号証)。
(2)叙上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当する商標であるから、同法第46条の規定に基づき、その登録は無効とされるべきである。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
(1)そもそも、「Realtor」が請求人の世界的に著名な団体標章であるという認定に誤りがある。
確かに、請求人は商標「Realtor」を米国において登録しており、その旨を説明している辞書もあるが、被請求人が調べたところ、この単語は、英英辞典に、「AmE for ESTATE AGENT」(不動産仲介人の米語:乙第1号証)及び「《U.S.》a real estate agent」(《米語》不動産仲介人:乙第2号証)と記載されている。つまり、英英辞典においては、「realtor」という英単語は、請求人の団体標章としてではなく、「不動産仲介人」を意味する米語(アメリカ英語)としてのみ説明されているのである。
また、英和辞典における「Realtor」の記載を見ると、「〔米〕不動産業者」(乙第3号証)、「《米》(公認の)不動産業者(《英》estate agent)」(乙第4号証)と記載されており、また、「《商標名》公認不動産業者:National Association of Realtorsに所属」と説明されていても、「普通名詞realtorは不動産業者の代名詞.《英》ではland[or house,estate]agent」との説明が加えられている(乙第5号証)。つまり、英和辞典の多くは、「realtor」という英単語を、請求人の団体標章としてではなく、「不動産業者」を意味する米語として説明しているのである。
以上のように、英英辞典及び英和辞典のほとんどにおいて、「realtor」という英単語は、「不動産仲介人」若しくは「不動産業者」を意味する米語として説明されているのであるから、我が国の需要者及び取引者のみならず、米国における需要者及び取引者も、「realtor」は「不動産仲介人」若しくは「不動産業者」を意味する単語としてのみ理解し、請求人の団体標章とは理解しないと考えられるので、「Realtor」が世界的に著名な団体標章であるという請求人の認識は誤りである。そして、「Realtor」は世界的に著名な団体標章とは認められないのであるから、これを前提として、本件商標が商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当するとの請求人の主張には、理由がないこと明らかである。
(2)我が国における「リアルター」という言葉の使用状況を見ると、乙第6号証のような態様で、被請求人が本件商標及び商号に「リアルター」の片仮名を使用している他に、「株式会社リアルター本店」(乙第7号証)、「日本リアルター株式会社」(乙第8号証)、「第一リアルター株式会社」(乙第9号証)、「株式会社トップ・リアルター」(乙第10号証)、「株式会社リアルター近藤」(乙第11号証)及び「株式会社テム・リアルター」(乙第12号証)のように、不動産業に関して、「リアルター」を含む商号が多数存在し使用され、その多くは商標的態様でも使用されている。
このように、「リアルター」という言葉が不動産業に関して広く使用されているのは、上述のように、「realtor」が「不動産仲介人」若しくは「不動産業者」を意味する英単語であるので、この片仮名表音である「リアルター」を「不動産仲介人」若しくは「不動産業者」を表す一般的な名称として使用しているためと考えられる。
(3)以上を総合して勘案すれば、「リアルター」という言葉は、我が国においては、「不動産仲介人」若しくは「不動産業者」を表す一般的名称にすぎないのであるから、この言葉を一部に有する本件商標が、請求人が米国で登録を有する商標「Realtor」との関係において国際信義に反するような商標には該当しないこと明らかであり、また、不動産業を営む被請求人が、一般的名称を含む本件商標を採択し使用することが、不正の目的をもって使用する訳ではないことも明らかである。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当するとの、請求人の主張に理由がないことは明らかである。

4 当審の判断
(1)本件商標は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、その構成中に「リアルター」の片仮名文字を有しているところ、甲第4号証ないし甲第7号証によれば、この「リアルター」の片仮名文字に相当する「Realtor」という語を全米リアルター協会(National Association of Realtors)に所属する不動産仲介人が使用の団体マーク(団体標章)又は同協会に属する公認不動産仲介人・不動産業者を表すものとして記載収録している辞典が複数あることが認められる。そして、これらの辞典における上記記載と甲第2号証によれば、本件審判請求人が「全米リアルター協会」であることは明らかである。
また、甲第6号証、甲第7号証、乙第1号証、乙第2号証、乙第3号証、乙第4号証及び乙第5号証(甲第6号証と同じもの)によれば「realtor」を不動産業者、不動産仲介人を意味する米語として記載収録している辞典が複数あることが認められる。
そして、上記の辞典における記載によれば「Realtor」と「realtor」は、片仮名で表記すれば、いずれも「リアルター」であるが、後者の(語頭の「r」を小文字で表した)「realtor」の場合は、「不動産業者、不動産仲介人」を意味する普通名詞といえるものであるから、本来、全米リアルター協会に所属する不動産仲介人が使用の団体マーク(団体標章)という意味も、同協会に属する公認不動産仲介人・不動産業者との意味も有しない語といわなければならない。
さらに、乙第7号証ないし乙第12号証によれば、その商号中に「リアルター」の文字を含む不動産業者が被請求人以外に複数いることが認められ、その商号中の「リアルター」は、上記の不動産業者、不動産仲介人を意味する米語の「realtor」から採用したものと考えられるところである。
(2)そうしてみると、本件商標は、その指定役務との関連を考慮すると、その構成中の「リアルター」の片仮名文字が請求人の団体標章である「Realtor」に由来するものというより、上記の不動産業者の商号中の「リアルター」と同様に不動産業者、不動産仲介人を意味する米語の「realtor」から採用され、これを片仮名表記したものとみるのが相当である。 そして、本件商標中の「リアルター」の片仮名文字は、その指定役務との関連においては、本来的に自他役務の識別機能がないか、あるいは極めて弱いものということができる。
してみれば、本件商標は、実の部分を青く着色したりんごを思わせる図形部分又はこの図形部分と「リアルター」の片仮名文字からなるその構成全体として自他役務の識別機能がある商標というべきである。
(3)以上のとおりであるから、本件商標中の「リアルター」の片仮名文字は、請求人の団体標章である「Realtor」を片仮名表記するもので、これと実質的に同一のものであるとする請求人の主張は採用できない。
そして、前記主張事実を前提にして、本件商標を登録することは、国際信義に反する、また、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものであるとする請求人の主張は理由のないものであり、採用できない。
(4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に違反して登録されたものでないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標



(色彩については原本参照)
審理終結日 2004-08-03 
結審通知日 2004-08-04 
審決日 2004-08-17 
出願番号 商願平4-228868 
審決分類 T 1 11・ 22- Y (036)
T 1 11・ 222- Y (036)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴田 良一須藤 昌彦 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 富田 領一郎
小川 有三
登録日 1995-12-26 
登録番号 商標登録第3111022号(T3111022) 
商標の称呼 リアルター 
代理人 青木 博通 
代理人 足立 泉 
代理人 大橋 啓輔 
代理人 柳生 征男 
代理人 中田 和博 
代理人 中村 仁 

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