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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Z05
管理番号 1110154 
審判番号 無効2003-35153 
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-02-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-04-15 
確定日 2005-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第4305747号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4305747号の指定商品中「包帯に染み込ませて使用する殺菌・消毒液,その他の薬剤」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4305747号商標(以下「本件商標」という。)は、「NEW-SKIN」の欧文字(標準文字)を横書きしてなり、平成10年2月18日に登録出願、第5類「包帯に染み込ませて使用する殺菌・消毒液,その他の薬剤,ばんそうこう,包帯,包帯液,その他の創傷被覆材」を指定商品として、同11年8月13日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が本件商標の無効の理由に引用した登録第4199814号商標(以下「引用商標」という。)は、「NU SKIN JAPAN,INC.」の欧文字を横書きしてなり、平成5年3月10日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同10年10月16日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第45号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
(ア)本件商標は、ローマ字「NEW-SKIN」を横書きしてなるから、「ニュースキン」の称呼を生ずる。
これに対し、引用商標は、ローマ字「NU SKIN JAPAN,INC.」を横書きしてなるから、「ニュースキンジャパンインク」の称呼を生ずるほか、これを略称した「ニュースキン」の称呼も生じ、また、この略称は著名となっている。さらに、引用商標から、「ニュースキン」の称呼をも生ずることは、その商標登録出願の審査経緯中に裏付けるものがある。すなわち、引用商標は、登録第1188572号商標(以下「参考商標」という。)を引用して拒絶査定を受けたが、参考商標に対し、不使用に基づく取消審判が請求され、その結果、参考商標が取り消され、その登録が抹消されたことにより、引用商標が登録されたという経緯を有する。引用商標に対し、参考商標が引用された理由は、引用商標から「ニュースキン」の称呼が生じ、参考商標の称呼も「ニュースキン」であるから、両者は、称呼上類似するとの認定によるものである。
それゆえ、引用商標から、「ニュースキン」の称呼を生ずることは、審査段階から認められており、現実にも取引市場において、「ニュースキン」の称呼をもって親しまれている。
(イ)本件商標は、「ニュースキン」の称呼を生ずることから、同じ「ニュースキン」の称呼を生ずる引用商標と類似し、かつ、両者の指定商品は、「薬剤」に関して重複している。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条に基づき無効とされるべきである。
(ウ)参考事情
本件審判請求に至った理由は、請求人が商標「NU SKIN CLEAR ACTION/ニュースキン クリア アクション」を平成14年6月17日に登録出願(商願2002-50056)したところ、本件商標を引用した拒絶理由通知を受けたことにある(甲第4号証及び甲第5号証)。
それゆえ、参考商標「NEW-SKIN」が「ニュースキン」の称呼を生じ、それと称呼上類似するとされた引用商標「NU SKIN JAPAN,INC.」と本件商標も称呼上類似とされなければ、矛盾を生ずる。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人の主張の成否は、引用商標「NU SKIN JAPAN,INC.」中の「NU SKIN」から、「ニュースキン」の称呼を生ずるか、あるいは、「ヌースキン」の称呼のみを生ずるかの一点にかかっている。
そこで、請求人は、「NU SKIN」から、一般に「ニュースキン」の称呼が生じている事実を明らかにする。
請求人の企業名は、「NU SKIN INTERNATIONAL INCORPORATED」であり、アメリカ合衆国ユタ州に所在しており、1993年に日本の子会社「NU SKIN JAPAN,INC.」(ニュースキンジャパンインク日本支社)を設置し、製品販売を開始した。
その当時から、「NU SKIN」は、「ニュースキン」と音訳され、各種印刷物に「ニュースキン」と表記されていた結果、我が国の取引市場において、「NU SKIN」の文字は、その当初より「ニュースキン」の音訳を付与され、そのように呼ばれている(甲第6号証ないし甲第8号証)。
また、日本における請求人の取り扱い商品は、いわゆる健康食品であり、それについては、アメリカ大陸のみならず、広く世界各地の自然界に存するものを原料としており、当該商品に対する関心も高く、第三者による出版物も多数市販されている。そうした出版物において、「NU SKIN」に対し、「ニュースキン」の文字が当てられていることから、「NU SKIN」は、多くの人々により、「ニュースキン」と認識されていることが理解される(甲第9号証ないし甲第12号証)。
さらに、インターネットの各種サイトにおいても、「NU SKIN」が「ニュースキン」と読まれているものが多数見られる(甲第13号証ないし甲第45号証)。
以上の事実から、我が国において、「NU SKIN」より、一般に「ニュースキン」の称呼を生じていることは明らかである。
なお、請求人の調査では、「NU SKIN」から、被請求人主張の「ヌースキン」の称呼を生じている事実は見出せない。

4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
(1)本件商標からは、「ニュースキン」の称呼を生ずる。
他方、請求人は、引用商標から、「ニュースキンジャパンインク」の称呼を生ずると主張するが、「NU」は、日本では、「エヌユー」又は「ヌ(ー)」と称呼されるのが一般的であり、「ニュー」と称呼することは、一般的に行われていないために、引用商標からは、「エヌユースキンジャパンインク」又は「ヌ(ー)スキンジャパンインク」と称呼するのが最も自然である。
さらに、請求人は、「ニュースキン」の著名性を主張するものの、当該著名性については、何ら立証されていない。
(2)請求人のホームページによると、請求人は、化粧品、石鹸類、歯磨きの製造販売をしていると思われるが、引用商標の指定商品は勿論、本件商標の指定商品の製造販売をもしているとは受けとれない。仮に、「ニュースキン」が一部の人に知られているとしても、化粧品、石鹸類、歯磨きについてであり、本件商標の指定商品に周知であるとは到底考えられない。
よって、本件商標の指定商品との関係において、引用商標は、「ニュースキンジャパンインク」と称呼されるとは必ずしも考えられない。
してみれば、「ニュースキン」と称呼される本件商標と、「エヌユースキンジャパンインク」又は「ヌ(ー)スキンジャパンインク」と称呼される引用商標とは、明らかに類似しない。
(3)本件商標の指定商品「包帯に染み込ませて使用する殺菌・消毒液,その他の薬剤」は、引用商標の指定商品「薬剤」と同一又は類似であるが、本件商標の指定商品「ばんそうこう,包帯,包帯液,その他の創傷被覆材」は、「薬剤」と類似していない(乙第1号証)。
よって、本件商標と引用商標の類否について論ずるまでもなく、本件商標の指定商品「ばんそうこう,包帯,包帯液,その他の創傷被覆材」については、引用商標の指定商品と類似しない。
(4)以上の点から、本件商標は、引用商標と非類似であり、商標法第4条第1項第11号に該当しないことが明らかである。

5 当審の判断
本件商標は、「NEW-SKIN」の文字に相応し、「ニュースキン」の称呼を生ずる。
他方、引用商標は、「NU SKIN JAPAN,INC.」の欧文字を横書きしてなり、そのうちの「NU SKIN」の文字は、例えば、株式会社三省堂発行(2002年11月1日第6刷)「コンサイスカタカナ語辞典」の708頁において「nuke(核兵器、核爆弾、原子力発電所等)」を「ニューク」、「nuclear(原子核の、核兵器の)」を「ニュークリア」、同710頁において「nutritionist(栄養学者)」を「ニュートリショニスト」、株式会社集英社発行「imidas 2002 別冊付録 IT用語/カタカナ・略語辞典」の248頁において「numeric(数、数字等)」を「ニューメリック」と表記している用例等よりすれば、これを「ニュースキン」と称呼することは決して不自然なものとはいえない。
さらに、請求人の提出した甲第6号証ないし甲第45号証によれば、「NU SKIN JAPAN,INC.」は、請求人に係る日本に設立された支社(子会社)である「ニュースキンジャパン株式会社」の英文字表記と認められるばかりでなく、その略称若しくは商標として「NU SKIN」、「ニュースキン」の文字が使用されている事実も認められる。
そうして、「NU SKIN JAPAN,INC.」の文字に接する取引者、需要者は、その構成中「JAPAN,INC.」の文字部分が外国に本社を有する日本の法人(支社)等を表示したものと認識、理解し、全体文字より生ずる称呼が冗長であることよりして、「JAPAN,INC.」の文字部分を省略し、「NU SKIN」の文字部分を捉えて商取引に資する場合も多いというのが相当である。
してみれば、引用商標は、「NU SKIN JAPAN,INC.」の文字に相応し、「ニュースキンジャパンインク」の称呼を生ずるほか、「NU SKIN」の文字部分に相応し、「ニュースキン」の称呼をも生ずるものというべきである。
そうとすると、本件商標と引用商標とは、「ニュースキン」の称呼を共通にする類似の商標といわざるを得ない。
また、本件商標の指定商品中「包帯に染み込ませて使用する殺菌・消毒液,その他の薬剤」と引用商標の指定商品「薬剤」とは同一又は類似の商品と認め得るものである。
ただし、本件商標の指定商品中、残余の商品である「ばんそうこう,包帯,包帯液,その他の創傷被覆材」と引用商標の指定商品「薬剤」とは非類似の商品と認める(乙第1号証)。
したがって、本件商標の指定商品中の「包帯に染み込ませて使用する殺菌・消毒液,その他の薬剤」の登録については、商標法第4条第1項第11号に該当するから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
しかしながら、残余の商品である「ばんそうこう,包帯,包帯液,その他の創傷被覆材」の登録については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-08-02 
結審通知日 2004-08-04 
審決日 2004-08-19 
出願番号 商願平10-12201 
審決分類 T 1 11・ 262- ZC (Z05)
最終処分 一部成立  
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 柴田 昭夫
鈴木 新五
登録日 1999-08-13 
登録番号 商標登録第4305747号(T4305747) 
商標の称呼 ニュースキン 
代理人 谷 義一 
代理人 関根 秀太 

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