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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 124
管理番号 1110144 
審判番号 取消2003-31420 
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-02-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-10-17 
確定日 2005-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第2648396号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2648396号商標の第24類「スロットマシン,ビリヤードクロス,遊戯用器具,ビリヤード用具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2648396号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示した構成よりなり、平成3年12月20日に登録出願、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコードこれらの部品及び附属品」を指定商品として、平成6年4月28日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、その指定商品中「スロットマシン、ビリヤードクロス、遊戯用器具、ビリヤード用具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用されていないのみならず、使用していないことについて、何ら正当な理由が存在することも認められないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第45号証(枝番を含む。)を提出した。
1 不使用取消審判請求の不当性について
(1)商標法第50条第1項の規定は、安易に不使用取消審判を請求する傾向を助長し、かえって商標保護の目的に反する結果を招来することも考えられる(網野誠著「商標」平成4年1月30日新版再増補第1版)。
(2)民法第1条は、「私権は公共の福祉に従う」「権利の行使は信義に従って誠実にされなければならない」「権利の濫用は許されない」ことを基本原則としている。
(3)特別法と一般法の適用関係について、「特別法は一般法に優先する」というルールがあるが、商標法と言えども民法第1条に規定する基本原則を遵守しなければならない。
2 請求人が不使用取消審判請求に至った理由(前記1の不使用取消審判請求の妥当性との関連)について
(1)請求人は、商標登録出願(2003-25475号)において(乙第1号証)、出願時の指定商品「スキーワックス,遊園地用機械器具(業務用テレビゲームを除く。),愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具,昆虫採集用具」を削除し、「パチンコ器具及びその部品・付属品」のみに減縮補正している。ということは、「パチンコ器具及びその部品・付属品」の上位概念である「遊戯用器具」を削除すれば「遊戯用器具」のなかの「パチンコ器具及びその部品・付属品」を削除したことになり、更に「スロットマシン」「ビリヤードクロス」を削除したことになり、「パチンコ器具及びその部品・付属品」について、請求人が使用する意思がない故に削除したにも拘らず本件不使用取消請求に及んだ不適法な審判請求である。
3「遊戯用器具」という指定商品の表現について
本件商標は、その指定商品を「娯楽用具」としている。そして、その指定商品の書換登録申請は未だ行っていない、とすれば「書換は、登録によりその効力を生ずる。」とする附則第12条の規定により、書換の効力が生じていない、指定商品「娯楽用具」を取り消すという、本件取消審判請求は不適法な取消審判請求である。
4 請求人は、前記2(1)の商標登録出願(2003-25475号)をしている。
これに対し、本件商標から「祭」の称呼を生じ、類似するとされ拒絶査定となり、拒絶査定不服審判(不服2003一20046号)を請求し、「引用された本件商標に関し不使用取消審判を請求したので、その審決が確定する迄本審判の審決を猶予して欲しい。」という理由を申し立てた。
これは明らかに、不使用取消審判及び拒絶査定不服審判を悪用し、本件商標を意図的に排除し、あくまで商標「祭/MATSURI」を登録させようとする、意思表示であり、民法第1条の、「私権は公共の福祉に従う」「権利の行使は信義に従って誠実にされなければならない」「権利の濫用は許されない」という民法の基本原則に反し、決して許されるべきでないと思料する。
以上の理由から本件取消審判請求は、不適法な請求であり、却下さるべきである。
5 本件商標の使用の現況
(1)本件商標は、生駒市民からの公募に係る、生駒市のマスコットキャラクターであり、現在も宣伝広報活動を活発に行っている(乙第2号証ないし乙第43号証)
そして、本件商標は、生駒市の活発な広報活動により生駒市民の間及び奈良県下において周知性を有する標章となっている。
また、本件商標は、生駒市の主催する祭りの参加者に対し配布した団扇及び生駒市が販売している「Tシャツ」に使用し、生駒市の活発な広報活動により生駒市民の間で周知性を有する標章となっている。
(2)本件商標の使用の現況から明らかなように、請求人が本件商標に係る指定商品の一部を不当にも排除し、使用を欲する射幸性を有する商品「パチンコ器具及びその部品・付属品」を被請求人が使用することは、地方公共団体が公共の福祉を実現することを使命とする公共性の故に妥当でないと判断し、敢えて使用を禁じた正当な理由がある。
6 むすび
以上のとおり、本件不使用取消審判は、取消を要求する指定商品の特定に重大な瑕疵があり、不適法な審判請求であって却下さるべきである。かつ、本件不使用取消審判は、拒絶査定不服審判をも含めた公共の福祉を著しく害し、権利の濫用である。

第4 当審の判断
1 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消を免れない。
しかるところ、本件取消審判の請求に対し、被請求人は、下記のとおり主張するのみで、何ら、本件商標を取消請求に係る商品について使用していることを立証するところがない。
(1)被請求人は、本件不使用取消審判請求の不当性について、(ア)商標法第50条第1項の規定は、安易に不使用取消審判を請求する傾向を助長し、かえって商標保護の目的に反する結果を招来することも考えられる。(イ)民法第1条は、「私権は公共の福祉に従う」「権利の行使は信義に従って誠実にされなければならない」「権利の濫用は許されない」ことを基本原則としている。(ウ)特別法と一般法の適用関係について、「特別法は一般法に優先する」というルールがあるが、商標法と言えども民法第1条に規定する基本原則を遵守しなければならない、旨述べている。
しかしながら、上記被請求人の主張は、商標法第50条に規定する登録商標の不使用による取消審判請求において、民法第1条に規定する基本原則を適用しなければならない理由及び本件不使用取消審判請求が権利の濫用であるとする根拠は見あたらない。
(2)請求人が本件不使用取消審判請求に至った理由について、被請求人は、請求人の商標登録出願(2003-25475号)において、出願時の指定商品の一部を削除し、「パチンコ器具及びその部品・付属品」のみに減縮補正している。このことは、「パチンコ器具及びその部品・付属品」の上位概念である「遊戯用器具」を削除すれば「遊戯用器具」のなかの「パチンコ器具及びその部品・付属品」及び「スロットマシン」「ビリヤードクロス」を削除したことになり、「パチンコ器具及びその部品・付属品」について、請求人が使用する意思がない故に削除したにも拘らず本件不使用取消請求に及んだ不適法な審判請求である、旨述べている。
しかしながら、請求人が商標登録出願(2003-25475号)をした事実及びその手続き経過をもって、「パチンコ器具及びその部品・付属品」について、請求人が使用する意思がないと断定し得ないから、本件取消審判請求が不適法な取消審判請求であるとする理由は存在しない。
(3)被請求人は、「娯楽用具」という指定商品について、本件商標は、その指定商品を「娯楽用具」としている。そして、その指定商品の書換登録申請は未だ行っていない、とすれば「書換は、登録によりその効力を生ずる。」とする附則第12条の規定により、書換の効力が生じていない、指定商品「娯楽用具」を取り消すという、本件取消審判請求は不適法な取消審判請求である、旨述べている。
しかしながら、被請求人が本件商標の指定商品の書換登録申請は未だ行っていないことをもって、本件商標の取消審判請求が不適法な取消審判請求であるとする根拠はないし、商標法50条において、取消審判請求ができないとする規定はない。
(4)被請求人は、請求人が商標登録出願(2003-25475号)をしたことについて、本件商標が引用商標として引用され、拒絶査定となり、拒絶査定不服審判(不服2003一20046号)を請求し、引用された本件商標の不使用取消審判を請求したので、その審決が確定する迄本審判の審決を猶予して欲しい。」という理由を申し立てた。これは明らかに、不使用取消審判及び拒絶査定不服審判を悪用し、本件商標を意図的に排除し、あくまで前記商標を登録させようとする、意思表示であり、民法第1条の、「私権は公共の福祉に従う」「権利の行使は信義に従って誠実にされなければならない」「権利の濫用は許されない」という民法の基本原則に反するから、本件取消審判請求は、不適法な請求であり、却下さるべきである、旨述べている。
しかしながら、前記の請求人の行為は、商標制度の趣旨に添った商標法の規定により準じた手続き行為であり、むしろ、本件取消審判請求は、本件取消審判請求をすることについて、利害関係を有する根拠となり得る証左であって、不適法な取消審判請求であるということはできない。
(5)被請求人は、本件商標の使用の現況について、本件商標は、生駒市民からの公募に係る、生駒市のマスコットキャラクターであり、現在も宣伝広報活動を活発に行っている(乙第2号証ないし乙第43号証)。そして、本件商標は、生駒市の活発な広報活動により生駒市民の間及び奈良県下において周知性を有する標章となっている。また、本件商標は、生駒市の主催する祭りの参加者に対し配布した団扇及び生駒市が販売している「Tシャツ」に使用し(乙第44号証及び乙第45号証)、生駒市の活発な広報活動により生駒市民の間で周知性を有する標章となっている。本件商標の使用の現況から明らかなように、請求人が本件商標に係る指定商品の一部を不当にも排除し、使用を欲する射幸性を有する商品「パチンコ器具及びその部品・付属品」を被請求人が使用することは、地方公共団体が公共の福祉を実現することを使命とする公共性の故に妥当でないと判断し、敢えて使用を禁じた正当な理由がある、旨述べている。
しかしながら、本件商標は、生駒市のマスコットキャラクターとして、生駒市民の間で周知性を有する標章であると認め、本件商標を商品「パチンコ器具及びその部品・付属品」に使用しない理由は事実であったとしも、商標法第50条に規定する、請求に係る指定商品について、その登録商標を使用していない正当な理由を明らかにしたときは、この限りでない、とする理由に該当するものとは認められない。
2 そうしてみると、本件取消審判請求は、被請求人の主張するいずれの理由をもってしても、不適法な請求として却下すべきものではない。
したがって、本件商標の指定商品中、取消請求に係る指定商品についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
本件商標

(色彩については、原本を参照されたい。)
審理終結日 2004-11-04 
結審通知日 2004-11-08 
審決日 2004-11-19 
出願番号 商願平3-133574 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (124)
最終処分 成立  
前審関与審査官 寺光 幸子小川 宗一 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 山本 良廣
宮川 久成
登録日 1994-04-28 
登録番号 商標登録第2648396号(T2648396) 
商標の称呼 マツリ 
代理人 築山 正由 

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