ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z15 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z15 |
---|---|
管理番号 | 1110078 |
審判番号 | 不服2002-2294 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-02-12 |
確定日 | 2004-12-27 |
事件の表示 | 商願2000-106515拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「PROFESSIONAL WORKSTATION」の欧文字を標準文字で書してなり、第9類及び第15類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成12年9月28日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、同14年2月12日付けの手続補正書によって、第15類「楽器,演奏補助品,音さ,調律機」と補正されたものである。 2 原査定における拒絶の理由 原査定は、「本願商標は、『PROFESSIONAL WORKSTATION』の欧文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるが、本願指定商品との関係からすれば、その構成中の『PROFESSIONAL』の文字は『プロ(職業として専門に行っている者)用の』の意味を持つ語として広く知られているものであり、また、『WORKSTATION』の文字は『ワークステーション』、つまり、『作業端末』及び『キーボード、音源、エフェクター、シーケンサーが内蔵され、それ1台で音楽づくりを行うことができる環境を整えた楽器』を想起させるものであって、それらの語を一連に書してなる本願商標からは、『プロ用のワークステーション』を容易に想起させるものであるから、これを本願指定商品中、上記文字に照応する事項を内容とする商品に使用する場合は、単にその商品の品質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 本願商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、その構成中の「PROFESSIONAL」の文字は、「専門職業の、職業的な、本職の、玄人の、本職にふさわしい、専門家的な」(「研究社 新英和大辞典」2002年3月)、「職業的な、本職[玄人、プロ]の、専門家[職業、商]用の、専門家向きの」(「小学館 ランダムハウス英和大辞典」2002年1月10日)等を意味する語として一般に親しまれているところである。 さらに、例えば該「PROFESSIONAL」を片仮名文字で表示した「プロフェッショナル」について楽器との関係をみると、インターネットの情報において以下のような記載が認められる。 (1)「Roland製品カタログ XV‐88」の見出しのもと、「XV‐88は、新シンセサイザー・エンジン搭載、88鍵ハンマー・アクション鍵盤を採用したプロフェッショナル・シンセサイザーです。」(http://www.roland.co.jp/products/mi/XV-88.html) (2)「KORG 株式会社コルグ SP‐500:サウンド」の見出しのもと、「プロ・ミュージシャンが選ぶ、"KORG"ブランドのピアノ・サウンドを搭載 シンセサイザー、プロ用ステージ・ピアノなど、コルグのサウンド・クオリティは、世界中のプロ・ミュージシャンが絶賛しています。SP‐500にはそのプロフェッショナル・モデルと同様の音を内蔵。(中略)アンサンブルもゴージャスにできる、豊富な音色。 コルグのプロフェッショナル・シンセサイザーにも搭載されている音色を396プログラム内蔵。」(http://www.korg.co.jp/Product/DigitalPiano/SP-500/sound.html) (3)「楽器堂管楽器専門ショップ」の見出しのもと、「手頃な価格ながら豊潤で力強い響きを生み出し、人間工学に基づくキー設計、上管接合部の金属テノン他の新機構を採用したプロフェッショナル用。クラリネットの最新モデルです!」(http://www.gakkido.jp/Wind-instrument/clarinet/selmer-soprano-b-flat.html) (4)「商品ブラウズ >ヴィオラ >弓 >商品」の見出しのもと、「プロフェッショナルにコンサートホールで使用して頂ける作品です。」(http://shop.fstrings.com/bow.asp?id=223AT021) そうすると、該「PROFESSIONAL」の文字は、楽器との関係においては、「プロフェッショナル用の楽器」、「プロフェショナルが求めるような(高品質の)楽器」等の意味合いを容易に理解、認識させるとみるのが相当である。 次に、例えば前記「PROFESSIONAL」に続く「WORKSTATION」又はこれを片仮名文字で表示した「ワークステーション」について楽器との関係をみると、書籍及びインターネットの各情報において以下のような記載が認められる。 (5)「ワークステーションという楽器」の大見出しのもと、「今では、シンセサイザーの代名詞と言ってもいいほど身近な言葉になった“ワークステーション”だが、キミはどれだけ、ワークステーションについて理解しているだろうか。」。「ワークステーションっていったい何だろう」の小見出しのもと、「一般的には『キーボード・タイプのシンセサイザーにシーケンサーとエフェクトが内蔵され、1台で音楽作りが行なえる環境を整えた機器(楽器)』という意味で使われることが多いので、ここでもそれに倣って話を進めていくことにしよう。(中略)まずはじめは、ワークステーションとはどういう楽器/機器なのかについて、簡単に整理しておこう。ワークステーションに含まれるさまざまなブロックであるキーボード、音源、シーケンサー、エフェクターなどは、いずれも単独の機器としても存在しているし、MIDIを使えば簡単にシステム化できる。」。「ワークステーションが生まれた背景」の小見出しのもと、「現在では、ワークステーションもすっかり楽器のひとつのジャンルとして定着しているが、ワークステーションが登場してきた背景には、実にいろいろな要素がある。」(「Keyboard magazine」1995年6月号 32頁 株式会社リットーミュージック 平成7年6月1日) (6)「ワークステーション」の見出しのもと、「ワークステーションは、シンセサイザーとシーケンサの機能を1つのユニットにまとめたものだ。オールインワンタイプのシンセサイザーなどと呼ばれることもある。外観はシンセとほとんど同じで、シンセについて説明したことはすべてワークステーションにも当てはまる。内蔵されているシーケンサは、そのワークステーションの内蔵音色だけでなく、外部音源用のデータをレコーディングしたり、外部音源を使って再生したりすることもできる。ただし、シーケンサのメモリ容量や使いやすさは調べておいた方がよい。また、長時間作業することになるため、画面の大きさや見やすさはとくに重要なポイントになる。簡単なサンプリング機能(中略)を内蔵したワークステーションもある。サンプリングも取り入れたいのなら、ワークステーションと単体のサンプラー専用機をよく比較してみよう。シーケンサを選択するときと同じで、目的に合ったものを選ぶようにしよう。」(「MIDIプログラミング 音楽をコンピュータで作る」24頁 株式会社プレンティスホール出版 1997年8月15日) (7)「ワークステーション workstation」の見出しのもと、「複数の機能が1台に統合されていて、それだけで音楽制作ができる最小の環境を実現したマシンのことです。たとえば、ワークステーション型シンセサイザーは、1台のシンセの中に音源、シーケンサー、エフェクターなどがひととおり組み込まれています。DTM環境特有の複雑な配線や、めんどうなセッティングが必要なく、1台で完結することもできるので、DTM初心者には有効な選択肢のひとつです。オール・イン・ワン(all in one)ともいわれ、最近ではハードディスク・レコーダーの機能も含むシンセサイザーなども登場しています。」(「デジタル・ミュージックの基礎用語」152頁 株式会社音楽之友社 2003年8月31日) (8)「シーケンサーってなに? Part4‐ワークステーション革命‐」の見出しのもと、「デジタル・シンセも各メーカーが挙げて新製品を投入する中で、1988年5月コルグのワークステーション・シンセM1の登場によって従来のデジタル機材環境が大きく変貌を遂げることとなりました。ワークステーション革命です。それまではシンセ、音源、シーケンサー、リズムマシン、エフェクターと各役割を担った専用機を複数取り揃えて楽曲制作に臨んでいました。しかしワークステーション・シンセではそれら全ての機能が一台のシンセに取り込まれてしまったのです。別名オール・イン・ワン・シンセとも呼ばれていました。一台のシンセに全て詰まってるってことですね。しかも最近のモデルではサンプラーやハードディスク、CD/RWドライブまで搭載されているものまであって、最終的にCD製作までがワークステーション・シンセ一台で完了してしまうのです。 」(http://www.saikyo.jp/mac/midi/mmc/mmc03.html) (9)「HOEI SANGYO 報映産業株式会社 Products製品情報」の見出しのもと、「ProToolsは、音楽やポストプロダクション、ブロードキャスト、マルチメディアのプロフェッショナルから選択されるデジタル・オーディオ・ワークステーションです。デジタル・レコーディング/エディティング/ミキシング/プロセッシング機能により、アーティストやプロデューサーの作業を劇的に変化させてきました。」(http://www.hoei.co.jp/japan/product/digidesign/protools.html) (10)「楽器館 コグレレコード」の見出しのもと、「■ワークステーション・シンセサイザー 音源・鍵盤そしてサンプラー等をオールインワン。ここで全てが完成するワークステーション」(http://www.rakuten.co.jp/koguregakki/431190/) (11)「ローランド、DTM製品やワークステーションなど春の新製品を多数発表」の見出しのもと、「同社が大きなシェアを持つHDDを使ったワークステーションにも新製品が登場した。」(http://ascii24.com/news/i/hard/article/2000/02/23/607282-000.html) (12)「カワイの製品」の見出しのもと、「●曲を作るためのワークステーションの理想形 曲を作るための、鍵盤、音源、シーケンサーを組み合わせた楽器がワークステーションです。」(http://www.kawai.co.jp/emi/k5000w.html) (13)「VST System Link 主な用途」の見出しのもと、「ポストプロダクション ポストプロダクションでは、複数のエンジニアやプロデューサーが、1つのプロジェクトの別々の部分を作業することができます。例えば、あるワークステーションでは効果音の割付を、別のワークステーションでは台詞の編集を、もう1つのワークステーションではBGMの作業を、それぞれ同時に行うことができるのです。各ワークステーションのオーディオは、VST System Linkの同期プロトコルによってタイムロックされ、マスターミキシングコンソールへ送ることができます。(中略)レコーディング 音楽のレコーディングでは、1つのワークステーションをレコーダーとして使用し、別のワークステーションをVSTインストゥルメント専用マシンとして使用することができます。」(http://www.japan.steinberg.net/technology/vsl2.html) そうすると、該「WORKSTATION」の文字は、楽器との関係においては、「キーボード・タイプのシンセサイザーにシーケンサーとエフェクトが内蔵され、1台で音楽作りが行える環境を整えた機器(楽器)」、「複数の機能が1台に統合されていて、それだけで音楽制作ができる最小の環境を実現した機器(楽器)」等の意味合いを容易に理解、認識させるとみるのが相当である。 以上からすれば、「PROFESSIONAL」の文字と「WORKSTATION」の文字とを一文字分程度の間隔を空けて書してなる本願商標は、その指定商品中の楽器との関係においては、「プロフェッショナル用の(プロフェッショナルが求めるような(高品質の))もので、キーボード・タイプのシンセサイザーにシーケンサーとエフェクトが内蔵され、1台で音楽作りが行える環境を整えた機器(楽器)」、「プロフェッショナル用の(プロフェッショナルが求めるような(高品質の))もので、複数の機能が1台に統合されていて、それだけで音楽制作ができる最小の環境を実現した機器(楽器)」等の意味合いを容易に理解、認識させるとみるのが相当である。 してみると、本願商標をその指定商品中の前記文字に照応する「楽器」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、商品の品質・用途を表示したものと直ちに理解、認識するというべきであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ず、また、前記「楽器」以外の「楽器,演奏補助品,音さ,調律機」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。 なお、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨を主張しているが、これらの登録例は、本願とは事案を異にするものであるから、請求人の主張は採用することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-10-14 |
結審通知日 | 2004-10-22 |
審決日 | 2004-11-04 |
出願番号 | 商願2000-106515(T2000-106515) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(Z15)
T 1 8・ 272- Z (Z15) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 今田 尊恵 |
特許庁審判長 |
小川 有三 |
特許庁審判官 |
岩内 三夫 早川 文宏 |
商標の称呼 | プロフェッショナルワークステーション |
代理人 | 海津 保三 |
代理人 | 平山 一幸 |