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審決分類 審判 一部無効 称呼類似 無効としない Z4142
審判 一部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効としない Z4142
審判 一部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z4142
管理番号 1109823 
審判番号 無効2003-35525 
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-02-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-12-24 
確定日 2004-12-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第4573167号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標登録の無効の審判
1 本件商標
本件登録第4573167号商標(以下「本件商標」という。)は、平成13年2月28日に登録出願され、「ハリウッドワールド」の片仮名文字を横書きしてなり、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同14年3月28日に登録査定、同年5月31日に設定登録されたものである。
2 本件商標登録の無効の審判
本件商標登録の無効の審判は、本件商標が商標法4条1項8号、同11号、15号に違反して登録されたものであるとして、同法46条1項により本件商標の登録を無効にすることを請求するものである。

第2 請求人の引用商標
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は以下の7件の登録商標である。
1 昭和59年7月31日に登録出願され、「ハリウッド美容」の文字を横書きしてなり、第26類「印刷物、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和62年10月27日に設定登録され、商標権の存続期間の更新登録の設定が平成10年2月17日になされた登録第1991926号商標(以下「引用A商標」という。)。
2 平成4年9月29日に登録出願され、「メイ・ウシヤマの」構成の商標を上段に「ハリウッド美容専門学校」の文字を下段にそれぞれ横書きしてなり、第41類「国家資格取得講座における教授,美容の教授」を指定役務として、平成7年3月31日に設定登録された登録第3031689号商標(以下「引用B商標」という。)。
3 平成4年9月29日に登録出願され、「ハリウッド美容」の文字を横書きしてなり、第41類「国家資格取得講座における教授,美容の教授」を指定役務として、平成7年3月31日に設定登録された登録第3031690号商標(以下「引用C商標」という。)。
4 平成4年9月29日に登録出願され、「Hollywood Beauty College」の欧文字を筆記体で表した態様よりなり、第41類「国家資格取得講座における教授,美容の教授」を指定役務として、平成7年5月31日に設定登録された登録第3042205号商標(以下「引用D商標」という。)。
5 平成4年9月29日に登録出願され、「May Ushiyama」の欧文字を筆記体で表した態様のものを上段に、「HOLLYWOOD」の欧文字を中段に、「BEAUTY COLLEGE」の欧文字を下段に、三段に横書きしてなり、第41類「国家資格取得講座における教授,美容の教授」を指定役務として、平成7年5月31日に設定登録された登録第3042206号商標(以下「引用E商標」という。)。
6 平成4年9月29日に登録出願され、「ハリウッド美容室」の文字を横書きしてなりなり、第42類「美容」を指定役務として、平成8年4月30日に設定登録された登録第3150156号商標(以下「引用F商標」という。)。
7 平成8年12月20日に登録出願され、「ハリウッド美容専門学校」の文字を横書きしてなりなり、第41類「国家資格取得講座における教授,美容の教授」を指定役務として、平成10年8月7日に設定登録された登録第4175167号商標(以下「引用G商標」という。)。
8 以下、上記の各引用商標を一括して「引用各商標」という。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録は、第41類「国家資格取得講座における教授,美容の教授」及び第42類「美容,理容,美容院用・理髪店用機械器具の貸与」の指定役務について、無効とすべきものとする、審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第26号証(枝番を含む)を提出した。
1 請求の理由
(1)「日本会社録」(甲第9号証)によれば、請求人の親会社である、ハリウッド株式会社は、関連会社として、株式会社ハリウッドビューティサロン及び学校法人メイ・ウシヤマ学園ハリウッド美容専門学校を運営しているところであり、これらが、永年に亙る営業活動により使用している、「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が、取引者及び需要者の間において、周知・著名なものとなっているところである。
(2)本件商標は、「ハリウッドワールド」の片仮名文字より成るところ、これは、一般世人に、容易に「ハリウッド」と「ワールド」の2語よりなると理解され、把握されるものであるから、これよりは単に「ハリウッド」のみの称呼及び観念をもって、取引に資されるものというを相当とするところである。
一方、引用各商標からは、単に「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の呼称及び観念を生ずるものである。
そして、「ハリウッド」(HOLLYWOOD)は、請求人の業務に係る商品又は役務を表示するためのものとして、極めて周知、著名なものであるから、被請求人が、本件商標をその指定役務中、請求人の請求の趣旨に記載の役務について使用をするときは、その役務が、請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、誤認、混同を生じさせるおそれの充分にある商標であるといわなければならない。
(3)更に、請求人等の業務に係る「ハリウッド美容専門学校」及び「ハリウッド美容室」は、単に「ハリウッド」とのみ略称され、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されているものである。
一方、本件商標は、請求人の名称の略称として著名な「ハリウッド」の文字を含んでいるにも拘わらず、本件商標は、その登録出願について、請求人等の承諾を得ている事実はないものである。
上記主張理由の正当性を立証すべく、著名商標(名称)を保護するべき旨の判決例(甲第10号証ないし同第18号証)を援用する。
(4)更に、一般世人が請求人と被請求人とを混同している事実として、鹿児島県立野田女子高等学校の校長から、また、佐賀県立神埼清明高等学校の校長からの礼状(甲第19号証及び同第20号証)が、請求人宛にそれぞれ送られている事実があるが、これらに祝電、祝詞を送ったのは、被請求人であるのにも拘わらず、地元の学校の校長でさえ、これらの祝電、祝詞を送ったのが請求人であると、両者を混同しているものである。
そして、後者の礼状(はがき)は、住所は請求人宛ではあるが理事長名は、甲第18号証の調停調書の被告代表者に記載されているように、被請求人のものである。
また、被請求人の商標を付した、「ハリウッドワールド美容専門学校」宛の料金別納郵便(甲第21号証)が、請求人宛の住所地に配達されている。
(5)インターネットによる、学校への資料請求や学校見学希望など、柳川の被請求人に出すべきものを、混同、誤認し、請求人にメールを送ってきているものについては、枚挙に暇がないところである。(甲第22号証)
これらは、すべて、福岡県(柳川市)からのメールであって、本来は被請求人宛に送信すべきところ、インターネットメールアドレスに従って、誤って、請求人宛に送信されてきたものである。
(6)本件商標は、引用B商標、引用C商標、引用D商標、引用E商標、引用F商標及び引用G商標と「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の称呼及び観念を同じくする、互いに彼此相紛れるおそれの充分にある、類似する商標であり、その指定役務も、互いに相抵触していること明らかなところであるばかりでなく、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されている引用各商標と紛らわしい本件商標を、その指定役務中、請求の趣旨に記載の役務について、被請求人が使用をするときは、その役務が、請求人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、誤認、混同を生ぜしめるおそれの充分にある商標であり、かつ、本件商標は、請求人等の名称の著名な略称を含んでいるのにも拘わらず、その登録出願に際して、請求人等の承諾を得ている事実はないものであるから、結局、本件商標は、商標法4条1項8号、同11号及び同15号に違反して、登録されたものである。
したがって、本件商標は商標法46条1項1号の規定に基づいて、その登録は、請求に係る指定役務について、無効とされるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、答弁書の答弁の理由中、第10頁、[3](2)において、「甲第19号証ないし同第21号証の事実について、差出人の担当者が『ハリウッド美容専門学校』と『ハリウッドワールド美容専門学校』とを誤認・混同したということではなく、担当者の単純なコンピュータへの入力ミスということである。」と答弁をしている。
(2)しかしながら、請求人の提出に係る、甲第19号証は、「鹿児島県立野田女子高等学校」、甲第20号証は、「佐賀県立神埼清明高等学校」及び甲第21号証は、「株式会社プレースメント」からの礼状であり、甲第19号証及び同第21号証は、宛先が、「ハリウッドワールド美容専門学校」になっているものである。
それにも拘わらず、上記甲第19号証ないし同第21号証が、これは、同一の担当者が、住所をコンピュータへの入力ミスをしたことではなく、それぞれの学校又は企業会社の3人もの別々の各担当者が、揃いも揃って、請求人の住所地宛にしているという、単純なコンピュータへの入力ミスを侵すものであろうか、甚だ疑問とするところである。
(3)上記の事実は、学校若しくは企業会社の各専門担当者が、請求人と被請求人とを誤認、混同をしたものである外はないところ、請求人は、平成16年3月25日付の証拠方法提出書において、被請求人へ送達されるべきものが、請求人宛に送達された、「沖縄県立豊島城南高等学校」からの礼状を、甲第23号証として、提出したものであるが、更に、ここに、甲第25号証として、「鹿児島県立沖永良部高等学校」からの、請求人宛に送達された、被請求人へ送達されるべき礼状を提出することとする。
これは、祝電祝辞を送ったのは、被請求人であり、宛先の学園長「古賀郁」も被請求人側の人物であるのにも拘わらず、宛先住所だけが、請求人宛になっていることは、前の甲各号証と同じである。
これらの事実をもってしても、請求人の著名性の故に、本来、被請求人宛に送達すべき礼状等を、請求人に送達してきたものであって、被請求人と請求人とを誤認、混同をしていることの証左となり得るものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証を提出した。
1 商標法4条1項8号違反との主張に対して
(1)請求人が主張する、ハリウッド株式会社と株式会社ハリウッドビューティサロンと学校法人メイ・ウシヤマ学園ハリウッド美容専門学校を、以下「請求人等」と称することにすると、上記請求人の主張は、「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が「請求人等」の著名な略称であり、本件商標が、その著名な略称を含む商標である、ということにあると思われる。
そうであるならば、まず、「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が、「請求人等」の著名な略称であることの証明がなされて、はじめてその主張が認められるか否かの判断がなされるべきである。
ところが、請求人は、「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標を使用している実績を何ら提示しておらず、「請求人等」の著名な略称であることの立証を一切していない。
すなわち、請求人は、「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が、日本国内においてどの程度商品ないしは役務に使用されて「請求人等」の著名な略称になっているのか、その販売系統、販売実績、その他その事実を認定するについての裏付けとなるべき証左を何ら示していない。
(2)また、請求人は、審判請求書第5頁第15行ないし17行において、種々述べて、甲第10号証ないし同第17号証の判例を提示している。
しかしながら、これらの判例は、原告の商標ないしは名称の著名性が認められたものの例であって、何ら、「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が、「請求人等」の著名な略称であるとの主張理由の正当性を立証するものではあり得ない。
換言すると、請求人は、「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が、「請求人等」の著名な略称であることを立証すべきであるにもかかわらず、単に、著名な商標(名称)が保護されているという判決例を提示しているだけであり、何ら、請求人の主張理由の正当性を立証していることにはならない。
(3)さらに、前記した請求人の主張の不合理性について、乙第1号証ないし同第5号証を参照しながら、別の視点から説明する。
(ア)すなわち、乙第1号証は、「ハリウッド」又は「HOLLYWOOD」の文字を有し、かつ、引用B商標ないし引用F商標よりも後に商標登録出願されて登録された登録商標(以下、「ハリウッド関連商標」という)を例示した資料である。
仮に、請求人が主張するように、「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が、「請求人等」の著名な略称であるとするならば、このように「ハリウッド」又は「HOLLYWOOD」の文字を有した商標が多数(116件)登録されているのは、甚だ不合理と言えるものであり、寧ろ、特許庁において、「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が、「請求人等」の著名な略称であるとは認識されていない、と考える方が合理的である。従って、請求人の主張には、正当性がない、と言える。
(イ)乙第2号証は、指定役務が「知識の教授」(類似群コード[41AOI])に類似する指定役務について、「ハリウッド〇〇〇」ないしは「HOLLYWOOD○○○」の形態で登録された商標を、登録番号順に列記した資料である。ここで、10番目の登録商標は本件商標であり、14番目は被請求人が有する登録商標である。
このように、「知識の教授」に類似する指定役務について、「ハリウッド○○○」ないしは「HOLLYWOOD○○○」の形態で登録された商標が、請求人の有する登録商標よりも多数存在しているということは、少なくとも、かかる登録商標の登録時である平成15年11月14日において、特許庁では、請求人が主張する「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が、「請求人等」の著名な略称であるとは認識していないということである。
(ウ)乙第4号証にかかる登録商標は、異議の申し立てを受けたにもかかわらず、その異議の申し立てが認められず、登録が維持されたものである。
ということは、少なくとも、かかる登録商標の登録時である平成9年7月25日において、特許庁では、請求人が主張する「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が、「請求人等」の著名な略称であるとは全く認識していないということが明白である。
(エ)乙第5号証は、商標登録第4600094号の商標公報であり、登録商標は、「デジタルハリウッド」と「DigitalHollywood」の文字を上下二段書きして構成されているが、指定役務「知識の教授」(類似群コード[41A01])に類似する指定役務を含む第41類とその他に多くの類を指定して登録されている事実からしても、特許庁では、請求人が主張する「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が、「請求人等」の著名な略称であるとは全く認識していないということが明白である。
(オ)乙第6号証は、「ハリウッド」について、インターネットにおいて、「Yahoo!」検索と「Google」検索とを行った資料である。
そして、ここに例示するように、「ハリウッド」の文字を表示したサイトは、「請求人等」のサイトも存在するが、それ以外にも多種多様の業種が多数存在しており、「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が、「請求人等」の著名な略称であると直接的かつ一意的に認識することは、到底不可能であることが明白である。
(4)以上に述べてきたことから、特許庁においては、「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が、「請求人等」の著名な略称であるとは全く認識されていないことが明白であり、かつ、一般的取引社会においても、そのような認識がなされていないのが実状であると言える。
よって、請求人の主張、すなわち、「ハリウッド」(HOLLYWOOD)の名称及び商標が、「請求人等」の著名な略称であることを前提にして、本件登録商標が、商標法4条1項8号に違反して無効であるとの主張は、何ら正当な根拠がなく、全く不合理なものである。
2 商標法4条1項11号違反との主張に対して
請求人は、本件商標「ハリウッドワールド」を前半部の「ハリウッド」と、後半部の「ワールド」とに分離して、前半部の「ハリウッド」を抽出する一方、引用B商標ないし引用G商標から「ハリウッド」ないしは「HOLLYWOOD」の文字を分離・抽出して、その後に、両者を比較することにより、両者が類似していると判断しているものと思われる。
しかしながら、本件商標「ハリウッドワールド」から、「ハリウッド」のみを分離・抽出して類否を判断するのは、全く不合理である。これは、特許庁における登録例を見ても明らかなことである。
請求人は、審判請求書第4頁第21行ないし27行において、「本件商標は、その構成上、これよりは、単に『ハリウッド』のみの称呼及び観念をもって、取引に資されるものというを相当とするところである。」との主張を行っているにもかかわらず、何らそのような根拠を示していない。
よって、本件商標が、商標法4条1項11号に違反して無効であるとの請求人の主張は、何ら正当な根拠がなく全く不合理なものである。
3 商標法4条1項15号違反との主張に対して
(1)請求人は、甲第18号証の調停調書を提示しているが、甲第18号証の調停調書は、本件商標「ハリウッドワールド」とは、何ら関係のないものである。
(2)請求人は、一般世人が、請求人と被請求人とを混同している事実として、甲第19号証ないし同第21号証を提示している。
そこで、被請求人は、甲第19号証ないし同第21号証の各差出人の担当者に、このような間違いを起こした原因をそれぞれ確認したところ、次のような共通する事実が判明した。
すなわち、甲第19号証ないし同第21号証の各差出人は、請求人が運営している「ハリウッド美容専門学校」と、被請求人が運営している「ハリウッドワールド美容専門学校」の両方の専門学校とビジネス上のつき合いがあり、不慣れな担当者が住所録管理しているコンピュータに住所を入力する際に、本来「ハリウッドワールド美容専門学校」宛の住所として正式の住所を入力すべきところを、過って「ハリウッド美容専門学校」の住所を入力してしまった、ということであり、担当者の単純なコンピュータへの入力ミスということである。
なお、必要であれば、甲第19号証ないし同第21号証の各差出人からこの件に関する証明書をもらって提出することも可能である。
(3)請求人は、被請求人宛に送信されるべきメールが請求人宛に誤送信された事実として甲第22号証を提示している。
ここにおける誤認・混同の対象は、「ハリウッド美容専門学校」と「柳川ハリウッド美容専門学校」であって、本件商標「ハリウッドワールド」とは何ら関係のないものである。
(4)甲第22号証の8は、請求人に送信された案内メールの宛名が、被請求人が運営している「ハリウッドワールド美容専門学校」になっている。そこで、被請求人は、甲第22号証の8の差出人の担当者に、このような間違いを起こした原因を確認したところ、次のような事実が判明した。
すなわち、甲第22号証の8の差出人は、請求人が運営している「ハリウッド美容専門学校」と、被請求人が運営している「ハリウッドワールド美容専門学校」の両方の専門学校とビジネス上のつき合いがあり、不慣れな担当者が住所録管理しているコンピュータに宛名を入力する際に、本来「ハリウッド美容専門学校」の宛名を入力すべきところを、過って「ハリウッドワールド美容専門学校」の宛名を入力してしまった、ということであり、担当者の単純なコンピュータへの入力ミスということである。
なお、必要であれば、甲第22号証の8の差出人からこの件に関する証明書をもらって提出することも可能である。
(5)このように、請求人が提示した甲第18号証ないし同第22号証は、何ら、本件商標「ハリウッドワールド」と引用B商標ないし引用G商標とが、誤認・混同されたという事実を示すものではない。
よって、本件商標が、商標法4条1項15号に違反して無効であるとの請求人の主張は、何ら正当な根拠がなく全く不合理なものである。

第5 当審の判断
1 商標法4条1項11号について
本件商標は、前記のとおり「ハリウッドワールド」の文字よりなるところ、その構成に係る各文字は、同じ書体、同じ大きさの文字をもって等間隔に、まとまりよく一連に表示されており、これから生ずる「ハリウッドワールド」の称呼も格別冗長に亘ることなくよどみなく、一気に称呼し得るといえるものである。
そうとすると、本件商標は、その構成文字全体をもって「(映画の都)ハリウッドの世界」程の意味合いを看取させる一体不可分のものとして認識し把握されるとともに、その構成文字に相応して「ハリウッドワールド」の称呼のみを生ずるとみるのが自然である。
これに対し、引用各商標は、前記したとおりであるから、本件商標との関係で指定役務が類似すると認められる引用B商標ないし引用G商標と本件商標とを比較すると、これら引用商標は、それぞれの構成文字に相応して「ハリウッドビヨウセンモンガッコウ」、「ハリウッドビヨウシツ」、「ハリウッドビヨウ」、「ハリウッドビューティーカレッジ」、「ハリウッド」などの各称呼を生ずるものと認められる。
しかして、本件商標より生ずる称呼「ハリウッドワールド」と上記の引用商標より生ずる各称呼とは、その音構成、構成音数において明らかな差異が認められるから、本件商標と上記引用商標とは称呼上、相紛れるおそれのないものであり、かつ、外観及び観念においても類似するとすべき点は見当たらない。
2 商標法4条1項8号及び同15号該当について
請求人及び請求人の親会社であるハリウッド株式会社(以下、「請求人等」という。)の業務に係る「ハリウッド美容専門学校」及び「ハリウッド美容室」は、単に「ハリウッド」と略称され、取引者及び需要者の間において周知、著名なものとなっており、本件商標は上記の各規定に違反して、登録されたものである旨主張している。
しかしながら、請求人が提出した甲各号証によっては、請求人等の名称が、単に「ハリウッド」と略称され、取引者及び需要者の間において、著名なものとなっていることを認めることはできず、この点に関する請求人の主張は採用することはできない。
また、請求人が提出した甲第19号証ないし同第23号証、同第25号証及び同第26号証は、請求人等と被請求人とが混同されていることを示すものであっても、これらのことによっては、「ハリウッド」の商標が、請求人等の役務を表すものとして取引者及び需要者の間において周知、著名なものとなっているとすることはできないものである。
さらに、その余の証拠方法によっても、請求人の上記主張を裏付ける事実を認めることはできない。
してみれば、本件商標は、他人の名称の著名な略称を含む商標ということはできず、また、本件商標をその指定役務中、本件登録無効審判の請求に係る「国家資格取得講座における教授,美容の教授」及び「美容,理容,美容院用・理髪店用機械器具の貸与」の役務について使用しても、その役務が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるとすることもできないものである。
3 結論
したがって、本件商標は、その指定役務中の「国家資格取得講座における教授,美容の教授」及び「美容,理容,美容院用・理髪店用機械器具の貸与」については、商標法4条1項8号、同11号及び同15号に違反して登録されたものではないから、その登録を同法46条1項の規定により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-10-14 
結審通知日 2004-10-18 
審決日 2004-11-01 
出願番号 商願2001-17694(T2001-17694) 
審決分類 T 1 12・ 262- Y (Z4142)
T 1 12・ 271- Y (Z4142)
T 1 12・ 23- Y (Z4142)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深沢 美沙子 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 宮川 久成
山本 良廣
登録日 2002-05-31 
登録番号 商標登録第4573167号(T4573167) 
商標の称呼 ハリウッドワールド、ワールド 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 宇佐美 利二 
代理人 岡野 光男 
代理人 浅村 肇 
代理人 浅村 皓 

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