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審決分類 審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) 125
審判 全部無効 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) 125
管理番号 1108481 
審判番号 無効2002-35012 
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-01-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-01-16 
確定日 2004-12-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第2724171号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2724171号の指定商品中「アルバム,グリーティングカード」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件商標は、「HAPPY WEDDING」の欧文字を横書きしてなり、第25類「包装用紙、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年4月27日に登録出願、同10年10月2日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証を提出した。
(1)請求人は、「A HAPPY WEDDING」と表示してなる商標(商願2001-12301)の登録出願人であるところ、本件商標を引用して商標法第4条第1項第11号に該当する旨の拒絶理由通知を受け、当該商標登録が阻却され、また使用も制約されることから、本件商標の登録を無効にすることについて請求人適格を有する。
(2)本件商標は、結婚の慶祝語として主に「結婚おめでとう」の意味で多用される「HAPPY WEDDING」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなり、これをその指定商品中「婚礼用の商品」または「結婚についての商品」に使用した場合は、単に商品の用途、品質を表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記以外の商品に使用するときには商品の品質について誤認を生ずるおそれがあって同法第4条第1項第16号に該当するにも拘わらず、これを看過して商標登録を受けたものであるから、その登録を無効とすべきである。
(3)したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第46条の規定により無効とされるべきである。

3 本件商標に対する無効理由通知書の要旨
請求人の提出している甲各号証によれば、例えば、昭和57年1月ナカバヤシ株式会社発行「フエル文具・紙製品総合カタログ」(1982年度版)及び昭和59年11月コクヨ株式会社発行「コクヨ総合カタログ」(’85年度版)のアルバムの頁には、結婚記念のアルバムに名前、結婚記念日と併せてタイトル(標題)の文字入れができ、タイトルの例として「御結婚記念」「御結婚おめでとう」と並んで「HAPPY WEDDING」も挙げられ、両社の’87年度及び’90年度の総合カタログでも同様の記載があること、また、インターネット上でも、例えば「Happy Wedding ごえいかんさん&ゆきえさん結婚おめでとう!2001年5月19日・・・。(http//wedding.rota-fan .com/20010519/)」の如く、不特定多数の者が結婚の祝辞として「HAPPY WEDDING」を適宜使用している事実も窺える。
以上の事情に照らせば、「HAPPY WEDDING」の語は、遅くとも登録出願当時及び審決当時には、「結婚の祝辞」として一般に定着し、用いられていたというのが相当である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品中「婚礼用アルバム、結婚祝い用のグリーティングカード」に使用するときには、取引者、需要者をして、単に「結婚の祝辞」を表したものと理解、認識させるにすぎないから、該商品が何人の業務に係る商品であるかを認識し得ず、また、これをその指定商品中上記以外の「アルバム、グリーティングカード」に使用した場合には、その商品の用途・品質について誤認するおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「アルバム、グリーティングカード」について商標法第3条第1項第6号及び同第4条第1項第16号に違反してされたものと認められるから、同法第46条第1項の規定により、「アルバム、グリーティングカード」について、無効とすべきものである。

4 無効理由通知書に対する意見書の要旨
(1)無効理由通知書にて述べられた請求人が提出の証拠について検討するに、請求人が挙げた証拠中インターネット上に使用された記載については、本件商標の審決日である平成10年(1998年)6月30日以降に掲載された記事であり、本件商標の判断において意味をなさない。
(2)次に、名前、結婚記念日と併せてタイトルの文字入れが出来るアルバムに関し、タイトル例として名前、結婚記念日と併せてタイトル(標題)の文字入れができ、タイトルの例として「HAPPY WEDDING」の語が「御結婚記念」と並んでカタログに掲載されているからといって、審決当時、アルバムに個人の注文に応じて購入者の名前、結婚記念日と併せて「HAPPY WEDDING」のタイトルを入れることが慣行として一般に行われていたとはいえない。また、そのようにして印刷するタイトルは、単にタイトルであって、商品の品質、用途を表示するものではない。
(3)「HAPPY WEDDING」の語が商標的機能を有する語であることを示すために平成11年(ワ)2823商標権民事訴訟の判決を参考資料として提出する。この事件は酒類について登録された「HAPPY WEDDING」の商標権に関し争われた事件であって、「HAPPY WEDDING」の語が、商標的機能を果たす語であると判決は述べている。ただ、当該事件の指定商品は第28類(昭和34年法)における酒類であるが、本件の場合と本質的な差異はないから、当該判決は本件商標についても十分あてはまる。
(4)さらに本件無効審判の請求人適格については疑義がある。すなわち、請求人が請求人適格の根拠としている商標登録出願に係る商標は「A HAPPY WEDDING」の文字から構成されるが、請求人が主張する無効理由はそのまま請求人の商標登録出願に係る商標にも該当することは明らかである。したがって、本件商標が無効になったとしても、請求人の出願した商標が登録になることはあり得ず、請求人が利益を得るものとは考えられない。
したがって、本件商標「HAPPY WEDDING」は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものでもない。

5 当審の判断
当合議体は、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第1項及び同第153条第1項の規定により職権で証拠調べを行い、審理した。
そして、職権による証拠調べ及び審理の結果は、前記「3」のとおり、平成15年1月8日付けで当事者に通知した。
この通知に対し、被請求人は、前記「4」のとおり意見を述べているのでこの点について判断する。
(1)先ず、本件無効審判の請求人適格については疑義がある旨主張するが、請求人は、商標登録願第2000-12301号商標の出願人であり、本件商標を引用して拒絶理由通知を受けている者であって、本件審判請求について請求の利益を有するものといわなければならないから、この点についての請求人の主張は採用できない。
(2)次に、「請求人が提出の証拠中インターネット上に使用された記載については、本件商標の審決日である平成10年(1998年)6月30日以降に掲載された記事であり、本件商標の判断において意味をなさない。」旨述べるが、当該記事は、結婚の際の祝辞として「HAPPY WEDDING」の語が一般に普通に使用されていることの一例として2001年5月19日の記事を提示したのであって、これ以前の本件商標の審決日前においても、結婚の際の祝辞として「HAPPY WEDDING」の語が一般に普通に使用されていたものと推認し得るものであるから、この点についての請求人の主張は採用できない。
(3)また、「名前、結婚記念日と併せてタイトルの文字入れが出来るアルバムに関し、タイトル例として名前、結婚記念日と併せてタイトル(標題)の文字入れができ、タイトルの例として「HAPPY WEDDING」の語が「御結婚記念」と並んでカタログに掲載されているからといって、審決当時、アルバムの個人の注文に応じて購入者の名前、結婚記念日と併せて「HAPPY WEDDING」のタイトルを入れることが慣行として一般に行われていたとはいえない。また、そのようにして印刷するタイトルは、単にタイトルであって、商品の品質、用途を表示するものではない。」旨主張するが、商品「アルバム」について、名前、結婚記念日と併せて「HAPPY WEDDING」の語が表示されていたときに、これに接する取引者、需要者をして、単に結婚の祝辞を表したものと理解させるに過ぎず、自他商品の識別機能を有するものとは言い得ないものであって、何人かの業務に係る商品であるかを認識できないと判断するのが相当であるから、この点についての請求人の主張は採用できない。
(4)さらに、「『HAPPY WEDDING』の語が商標的機能を有する語であることを示すために平成11年(ワ)2823商標権民事訴訟の判決を参考資料として提出する。この事件は酒類について登録された『HAPPY WEDDING』の商標権に関し争われた事件であって、『HAPPY WEDDING』の語が、商標的機能を果たす語であると判決は述べている。ただ、当該事件の指定商品は第28類(昭和34年法)における酒類であるが、本件の場合と本質的な差異はないから、当該判決は本件商標についても十分あてはまる。」旨主張するが、当該事件は、請求人が原告として、「Happy Wedding」を使用している被告に対し、不法行為に基ずく損害賠償等請求した事件であるところ、名古屋地方裁判所は、「『HAPPY WEDDING』は、『幸せな結婚式』という意味の英語であり、結婚を報告したり、結婚を慶祝する内容の文言である。このような文言も本件商標権のように商標として登録することが可能であり、現に商標として使用されている例もあるが・・・・、その反面慶祝文言である以上これらの文言が、単にめでたい雰囲気を高める目的で結婚式に際して装飾的に使用されることも十分あるから、商標的使用は、その使用態様に基づいて個別に判断されるべきである。」とし、「被告商品『酒類』に貼付するラベルに新郎新婦や列席者氏名、挙式年月日等と共に記載された被告標章(「Happy Wedding」)は、被告商品について自他商品の識別機能を有する態様で使用されているものではなく、原告の本件商標権(「HAPPY」と「WEDDING」を二段に表示。)を侵害するものではない。」と判断している。
そうとすると、本件商標の指定商品中「婚礼用アルバム、結婚祝い用のグリーティングカード」の取引の実情よりすれば、「HAPPY WEDDING」の語は、単に「結婚の祝辞」を表したものと理解、認識させるにすぎないから、該商品が何人かの業務に係る商品であるかを認識し得ず、また、これをその指定商品中上記以外の「アルバム、グリーティングカード」に使用した場合には、その商品の用途・品質について誤認するおそれがあるというべきであるから、この点についての請求人の主張は採用できない。
(4)以上のとおり、前記「3」の無効理由通知は妥当なものと認められ、本件商標の指定商品中「アルバム、グリーティングカード」についての登録は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、商標法第46条第1項の規定により、無効とすべきものとする。
但し、本件商標の指定商品中「アルバム、グリーティングカード」以外の商品についての登録は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものとはいえないから、商標法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-10-01 
結審通知日 2004-10-05 
審決日 2004-10-21 
出願番号 商願平2-48866 
審決分類 T 1 11・ 272- ZC (125)
T 1 11・ 16- ZC (125)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 中村 俊男大橋 良三 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 岩崎 良子
小林 薫
登録日 1998-10-02 
登録番号 商標登録第2724171号(T2724171) 
商標の称呼 ハッピーウエディング 
代理人 濱田 俊明 
代理人 石田 喜樹 

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