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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 025
管理番号 1108227 
審判番号 取消2003-30964 
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-01-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-07-18 
確定日 2004-11-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4201850号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4201850号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年1月16日に登録出願され、「Sarahbrand」の欧文字を横書きしてなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成10年10月23日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
商標法第50条第1項の規定により本件商標の指定商品中「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証(枝番を含む)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」について、継続して3年以上日本国内において使用された事実が存しないから、商標法50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
被請求人は、答弁書にと共に乙第1号証ないし同第21号証を提出し、本件商標をその指定商品中の「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」について本件審判の予告登録前3年以内に日本国内において使用していると主張しているが、被請求人の主張は以下に述べる理由により到底認められるべきではない。
(1)乙第1号証は、平成15年9月4日付けの写真撮影報告書であるが、そもそも撮影日は本件審判の予告登録後の平成15年9月4日であるので、本件審判の予告登録前3年以内に本件商標を「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」について使用していたことの証拠とはなり得ない。
(2)乙第2号証ないし同第5号証は、乙第1号証において撮影した靴と同一の商品が平成11年(1999年)1月より販売されていたことの証明書であるが、乙第2号証の証明者はサラブランド池袋店の店長、乙第3号証の証明者はサラブランド新所沢店の店長、乙第4号証の証明者はサラブランド南越谷店の店長であり、いずれも被請求人が直営する店舗の店長であり、被請求人の支配下にある者若しくは被請求人と同視しうる者であり、したがって、乙第2号証ないし同第5号証は証拠としての客観性を全く欠き、証拠資料とし証拠能力を有する証明と認められない。
そして、乙第5号証は、被請求人から工場への加工発注書とのことであるが、これのみでは「現実に」本件商標又はこれと社会通念上同一視しうる商標が本件審判の予告登録前3年以内に「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」について使用されていたことの証拠資料とはなり得ない。
(3)乙第8号証ないし同第14号証及び同第16号証は、いずれも、被請求人が、あらかじめ用意された書式に作成した証明書と表題を記した書面に、住所、氏名及び一般販売店で販売される既成印鑑にて押印したものであることが記載態様から明らかである。従って、当該証明書には、信用性が低いものというほかなく、本件指定商品(添付写真のスニーカー)との使用(購入時)との関連の立証がないからして、当該証明書の存在自体をもってしては、その商品に関する販売日時を特定できる領収書その他の客観的な取引書類が提出されていない限り、被請求人による予告登録前3年以内の本件商標の使用の事実として認めることができない。
(4)乙第15号証及び同第17号証は、いずれもカタログでその発行年月日については、表紙にラベルらしき物を貼り付けて年度を表示している。社会通念上において当該カタログ冊子や販売冊子類の発行日付は、その立証すべき証拠カタログ冊子の奥付や表紙表面に印刷表示されているのが一般的であって、その作成時期が予告登録前であったことにつき、合理的な疑いがあり、その信用性に乏しい。
また、乙第18号証は、一応当該ページに本件商品と見られる写真が掲載されているが、当該ページがこの雑誌のどこに掲載されているかの関連性がなく、その具体性を欠き信用するに足りない。
(5)なお、請求人は、本件取消審判の対象である本件商標の使用事実を確認するため、平成15年5月23日に請求人の社員がサラブランド南越谷店の店舗に出向き、店頭の販売担当員に商品に「Sarahbrand」の商標を付した靴を販売しているか又は販売した実績が存在するか否かを調査してもらった結果、平成15年5月23日現在において当該商標を使用した靴の販売実績は全くない事実が判明した。
調査当日、店頭で購入した商品には当該商標を付した靴は販売されていなかったが、この事実を証明するため、その購入商品2点の写真及びレシートのコピーを提出する(甲第3号証の1、同第3号証の2、同第4号証)。
また、被請求人は平成15年10月3日付け答弁書の証拠方法としての乙第6号証(本社管理の売上伝票の電子データのコピー)において、本件該当商品の売上げ明細に関して(品番097066・サラブランド池袋、越谷、新所沢)上代金額2,000円、値引金額2,900円、売上金額2,000円と計上記載しているが、このような上代金額より値引き金額が高額で145%の値引き販売の数字が記録されている。業務上このような販売が存在するのか疑わざるを得ないと共に、売上の実績を作る目的で明細一覧表に計上したとしか考えられない。
更に、請求人の提出に係る甲第4号証について、被請求人は乙第19号証及び同第20号証をもって、本件商標の使用事実の立証を主張している。
しかし、商標の使用事実が認められるためには、本件商標が指定商品である靴について、具体的関係において使用されていることが必要である。そして、また本件においては、商標を付した取引書類(領収書)についても同様である。さらに、乙第20号証は、被請求人が直営する南越谷店舗の店長であり、企業の支配下に有る者若しくは被請求人と同視し得る者であり、証拠として客観性を有しない。
(6)よって、被請求人の答弁の内容は、本件商標の使用を証明するとは到底いえるものではない。商標の使用というのは、指定商品の出所を指摘するものとして現実に用いられることであるから、純然たる事実問題である。この点からしても、本件答弁において証拠方法としの乙号各証拠は信憑性を欠き、被請求人の主張は失当であり、取消は免れないので請求の趣旨通りの審決を求めるものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第21号証を提出している。
1 答弁の理由
本件審判請求書によれば、本件商標「Sarahbrand」は、その指定商品中「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」について継続して3年以上日本国内において使用された事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものであるとのことである。
しかしながら、本件商標は、その指定商品中の「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」について、本件審判の予告登録前3年以内に日本国内において使用されているものである。
(1)乙第1号証は、被請求人の直営店舗である池袋店において、平成15年9月4日、販売のため生産されている靴を示す写真撮影証明書である。靴のかかと部分には、本件商標「SARAHBRAND」が付されている。
(2)乙第2号証ないし同第4号証は、乙第1号証により特定した靴と同一の商品が、被請求人の複数の直営店舗においてそれぞれ平成11年1月より販売されていることを証明する証明書である。証明人は、サラブランド池袋店、サラブランド新所沢店、サラブランド南越谷店の各店舗店長である。
これにより、本件商標と実質的に同一の商標を付した指定商品が、被請求人の直営店舗において平成11年1月より現在に至るまで展示販売されていることを証明している。
(3)乙第5号証は、乙第1号証で特定した靴の生産台帳の写しであることを証明するものであり、生産台帳抜粋には、乙第1号証で特定した靴の品番が「97066」と特定されている。
(4)乙第6号証は、乙第1号証に示す品番97066の靴と同一の商品の販売記録を示す売上げ台帳の写しであり、これにより乙第1号証に示す品番97066の靴と同一の商品が店舗において実際に販売されたことを証明している。
(5)乙第11号証ないし乙第14号証は、本件商標を付した靴を購入した個人による証明書であるが、そこに添付された写真には、靴のかかと部分及びベロ部分に、本件商標と同一の商標が付されていることが、はっきりと写真に写っている。また、購入者により購入時期は、平成15年2月頃と証明されており、この時期は、本審判の予告登録日(平成15年8月13日)から3年以内の期間である。
(6)事実関係を示す証拠の補充
本件商標の使用の事実は、前記証拠により十分に立証されるものであるが、被請求人は、さらに証拠を追加し、本件商標の使用の事実をさらに確実に立証する。
(ア)乙第9号証は、同第1号証で特定した靴と同一の商品の生産台帳(加工発注書)の写しである。品番は、99064と記載されている。この発注に基づいて、株式会社ヤギよりこの品番の商品が納入されたことは、株式会社ヤギの発行した請求書及びこれに添付されたインボイス(乙第10号証)及び同社担当者による証明書(乙第8号証)により証明される。請求書の品番の欄には、加工発注書と同じ品番99064が記載されている。
さらに、株式会社サラブランドの2001年春カタログ(乙第15号証)において、品番99064の商品が掲載されており、乙第8号証ないし同第10号証及び同第15号証を併せて総合的に、かかと及びベロ部分に本件商標と同一の商標を付した靴が販売されていた事実が立証される。
(イ)すでに提出した乙第5号証は、同第1号証で特定した靴と同一の商品の生産台帳(加工発注書)である。品番は、97066と記載されている。この発注に基づいて、株式会社ヤギよりこの品番の商品が納入されたことは、株式会社ヤギの発行した請求書及びこれに添付されたインボイス(乙第16号証)及び同社担当者による証明書(乙第8号証)により証明される。請求書の品番の欄には、加工発注書と同じ品番97066が記載されている。
さらに、株式会社サラブランドの2002年冬カタログ(乙第17号証)において、品番97066の商品が掲載されており、乙第5号証、同第8号証、同第16号証、同第17号証を併せて総合的に、かかと部分及びベロ部分に本件商標と同一の商標を付した靴が販売されていた事実が立証される。また、実際にこの品番の靴が販売された事実は、すでに提出した乙第6号証のほか、新たに提出した乙第11号証ないし同第14号証によっても立証されている。
(ウ)乙第18号証は、雑誌「ヴァンテーヌ」の抜粋であり、乙第1号証に示した靴と同一の商品が、雑誌において広告されていたことを証明するものである。
(7)乙各号証に対する請求人の主張への反論
(ア)請求人は、被請求人会社の直営店舗であるサラブランド南越谷店において、「Sarahbrand」の商標を付した靴を販売しているか又は販売した実績が存在するかを平成15年5月23日に調査した結果、店頭の販売担当員から当該商標を使用した靴の販売実績がないことが判明したと主張する。
この点について被請求人が調査したところ、株式会社サラブランドの社員ではなく同社と販売代行契約を締結している会社から派遣された店員が、店頭での問い合わせに応対したことが判明した。
(イ)請求人が自ら提出した甲第4号証(同店舗において靴を購入した際の取引書類である領収書)には、本件商標と同一の商標が示されている。すなわち、請求人の提出した甲第4号証は、本件商標の使用の事実を示すものである。
被請求人は、さらに、本件商標と同一の商標を付した領収書が、本件審判請求の予告登録日前3年以内の期間において使用されていた事実を、乙第19号証により立証する。また、当該期間内に品番97066の靴(この靴が「Sarahbrand」商標を付したものであることは乙第5号証により立証されている)が販売された事実を店舗責任者の証明書により立証する(乙第20号証)。
(ウ)請求人は、乙第6号証は、上代金額2,000円、値引金額2,900円、売上金額2,000円との数字が145%の値引きを示すものであり、証拠としての信憑性がないと主張する。
しかし、乙第21号証において同社の責任者が立証する通り、これは定価4,900円の商品を2,900円値引きして2,000円で販売したことを示すものであり、これらの数字には何ら矛盾はない。また、被請求人の製品カタログ(乙第15号証及び同第17号証)にも定価が4,900円であることが記載されている。従って、乙第6号証には信憑性がないとする請求人の主張は失当である。
(8)以上の通り、本件商標は被請求人により日本国内において、本件審判請求に係る商品中前記商品について、本件審判の予告登録前(平成15年8月13日)3年以内に使用されていたことが確認されるものであり、本件審判請求は理由がなく退けられるものであることは明らかであるので、答弁の趣旨通りの審決を求めるものである。

第4 当審の判断
1 被請求人が本件商標の使用の事実を示すために提出した乙各号証によれば、次の事実が認められる。
(1)乙第5号証(加工発注書)によれば、「品番」として「97066」、「品名」として「デッキスーズ」、「発注」として「02年5月13日」、「納期」として「02年7月初日」、そして、ベロの部位に「Sarahbrand」の文字が記載されていること。
(2)第6号証(売上台帳の電子データ)によれば、「売上日」として「2003/08/02」、「店名」として「サラブランド池袋」、「品番」として「097066」、「枚数」として「1」と記載されていること、同様に「2003/04/08」「サラブランド越谷」「097066」「1」及び「2003/06/08」「サラブランド新所沢」「097066」「1」と記載されていること。
(3)乙第16号証(請求書)によれば、株式会社ヤギが被請求人宛に、平成14年9月30日発行の請求書中、「商品名」として「SARAHBRAND」、「発注NO.」として「97066」、「数量」として「516」と記載されていること。
(4)乙第17号証(商品カタログ)によれば、その表表紙に「Sarahbrand 2002 Winter Collection」と、及び、22頁には靴の写真の下に、「スニーカー……¥4900」「(SIZE6・7)アイボリー・レッド・ネイビー・ブラック〈97066〉」と記載されていること。
以上認定した事実及び答弁並びに弁駁の全趣旨を総合勘案すれば、被請求人は、2002年5月13日株式会社ヤギに対して「Sarahbrand」の文字をベロ部分に付した「デッキスーズ」(品番97066)を加工発注した。そして、2003年8月2日サラブランド池袋店で、同年4月8日サラブランド越谷店で、同年6月8日サラブランド新所沢店で「デッキシューズ」(品番97066)を各一足販売したことが認められる。
更に、被請求人発行(ただし、発行日は特定できないが、遅くとも2002年には発行したものと推認できる。)の「Sarahbrand 2002 Winter Collection」の中で、「スニーカー」(品番97006)について広告宣伝していることが認められる(なお、品番97066は、商品「デッキシューズ」であるか「スニーカー」であるか必ずしも明確でないが、いずれの商品であっても「靴」の概念に属する商品であることからすれば、特にこの点について検討を加えないこととする。)。
加えて、請求人提出の甲第3号証(枝番号を含む。)(商品及びその包装袋の写真)及び同第4号証(レシート)は、平成15年5月23日にサラブランド南越谷店で請求人側が購入されたとする商品「靴」及びそのレシートであるところ、その「靴」の包装に使用されたと認められる「包装袋」及びそのレシートには、「Sarahbrand」の文字が使用されていることが認められる。
2 以上のことより、本件商標は、本件審判請求の登録時(平成15年8月13日)前3年以内に日本国内において、商標権者により本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を本件審判の請求に係る指定商品「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」について、使用されていたものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」についての登録を取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-09-17 
結審通知日 2004-09-22 
審決日 2004-10-05 
出願番号 商願平9-2417 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (025)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 宮川 久成
山本 良廣
登録日 1998-10-23 
登録番号 商標登録第4201850号(T4201850) 
商標の称呼 サラブランド、サラ 
代理人 岩崎 幸邦 
代理人 三好 秀和 
代理人 中村 政美 
代理人 川又 澄雄 

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