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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z30 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない Z30 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない Z30 |
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管理番号 | 1108196 |
審判番号 | 無効2004-35014 |
総通号数 | 61 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-01-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-01-09 |
確定日 | 2004-11-11 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4471172号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4471172商標(以下「本件商標」という。)は、「プリンプリン物語」の文字を標準文字により表してなり、平成12年3月6日登録出願、第30類「プリン風味を加味した穀物の加工品,プリン風味を加味した菓子及びパン,プリン風味を加味した即席菓子のもと,プリン風味を加味したアイスクリームのもと,プリン風味を加味したシャーベットのもと」を指定商品として、同13年4月27日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録を無効にする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。 (1)本件商標「プリンプリン物語」は、日本放送協会(以下、NHKという)が昭和54年4月2日より同57年3月19日まで全656回にわたり放送され、平成15年4月より再放送されている人形劇のタイトルであり、該人形劇のタイトルとして上記放送開始より今日に至るまで周知著名である(甲第3号証及び甲第4号証)。 一方、請求人は、NHKの関連会社として(甲第5号証)、本件商標の登録出願前より、NHKで放送される番組に登場するキャラクターの商品化権の使用許諾事業を営んだり(甲第6号証)、NHKで放送される番組について、そのタイトルと同一ないし類似の標章を、本件商標の指定商品を含めた多くの商品について商標登録出願して登録を受けて、第三者に商標の使用をさせている。 このような状況の中で、本件商標が使用された商品に接すれば、需要者、取引者は請求人又はNHKと何らかの関係を有する者の業務に係る商品と混同するおそれがあることは、取引の実際あるいは社会通念に照らしても至当であり、また、NHKと何ら関係を有しない本件商標権者が商標として本件商標を採択使用することは、競業秩序の維持を図る商標法の目的に照らして妥当ではないことは明白である。 (2)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項10号、同第15号及び同第7号に違反して登録されたものであるから、その登録を無効とされるべきである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について (ア)甲第3号証は、2003年4月30日発行の「NHK連続人形劇のすべて」において、「プリンプリン物語」の人形劇が1979年(昭和54年)4月2日より同57年3月19日に放送された旨の記載と人形劇の説明の記載がある。 仮に、「プリンプリン物語」の放送の事実が甲第3号証の記載のとおりであったとしても、昭和57年3月19日以降、本件商標の登録出願日である平成12年3月6日若しくは登録日である平成13年4月27日までの期間に関する使用については請求人の主張も立証もない。 また、請求人は、「プリンプリン物語」におけるその使用状況について何らの主張も立証も行っておらず、その3年間の使用により著名性を獲得したとすることの立証もされていない。 さらに、仮に、甲第3号証に記載されていた使用により、著名となっていたとしても、昭和57年3月19日以降、本件商標の登録出願日若しくは登録日までの約18年間何ら使用されておらず、著名性は消失している。 甲第4号証は、平成15年3月29日発行の雑誌「TVBros」であり、「プリンプリン物語」が再放送されるとの記事と、その人形劇の説明、及び、キャラクターの紹介をしている。しかし、同号証は、本件商標の登録出願以前についての事実を証するものでもない。また、「プリンプリン物語」が、本件商標の指定商品について使用されたという事実についての主張も立証もない。 甲第5号証の営業経歴書には、請求人の業務内容が記載され、かつ、請求人の発行商品のリストも記載されているが、一般ソフトの欄にも、キャラクター版権許諾の欄にも「プリンプリン物語」の記載がなく、すなわち「プリンプリン物語」の使用を立証するものではない。 甲第6号証には、プリンプリン物語が4月7日より放映開始の記事とキャラクターの説明がなされているが、昭和57年3月19日以降、本件商標の登録出願若しくは登録までの期間に関する使用を立証するものではない。なお、同号証は、記載内容から最近作成されたパンフレットであると思われるが、何時配布されたものであるか不明である。 よって、甲第3号証ないし甲第6号証には、本件商標が、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものであることを何ら立証するものではなく、請求人の主張は失当である。 (イ)上述したように、本件商標の登録出願日の18年も前に放送を終了し、かつ、放送期間も3年間だけの人形劇のタイトルが、終了18年後である本件商標の登録出願時においても周知著名性を維持しているとは到底考えられない。 また、当該タイトルが、独創性・独自性の高い表現であるとは考えられず、第30類の本件商標の指定商品、及びこれに関連する食品については、独創性・独自性のある表現ではないと考える。 すなわち、登録例を見ても、「プリンプリン」(第30類、乙第1号証)、「ぷりんぷりんポテト」(第32類、乙第2号証)、「プルンプルン」(第30類、乙第3号証)等が登録されており、「プリンプリン」の語は、プリンのように弾力に富み瑞々しい感じを表現した擬態語であり、このような擬態語は、本件商標の指定商品ではよく用いられる表現である。 また、「かりかり物語」(第30類、乙第4号証)、「コロコロ物語」(第29類、乙第5号証)、「すくすく物語」(第30類、乙第6号証)、「さらさら物語」(第29類、乙第7号証)等が登録されているように、「擬態語」あるいは「擬音語」に「物語」の文字を結合した商標もいろいろ登録され、特に「洋菓子物語」(第30類「洋菓子」、乙第8号証)、「クレープ物語」(第30類指定商品「クレープ菓子、クレープ皮で包んでなるアイスクリーム」、乙第9号証)その他、「焼菓子物語」、「チョコ物語」、「ラベンダー物語」、「和菓子物語」、「雷おこし物語」等が多数登録され、「〇〇物語」という表現は、本件商標の指定商品及び食品関係の商品には非常に多く用いられている。 さらに、本件商標「プリンプリン物語」は、著名な人形劇の題名ではなく、ハウスマークでもなく、多角経営をしている企業名でもない。 それゆえ、一人形劇の題名と本件商標の指定商品との関係等を総合して考えると、この「プリンプリン物語」の商標を、本件商標の指定商品に使用しても、一般需要者・取引者が、直ちに当該商品が請求人又はNHK、並びにこの関連企業と何らかの関係がある者の商品と認識するものではない。 (ウ)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するものでないことは明らかである。 (2)商標法第4条第1項第7号について 本件商標の登録出願前18年も前に、3年間放送された人形劇の題名であり、かつ、その題名である「プリンプリン物語」は、上述したように独創性・独自性のある名でもない。本件商標の登録出願前18年間も使用されていない人形劇の題名と同一・類似となる商標の登録を受けたことが、社会の一般的な倫理観に反するものではない。 登録例を見ても、過去のNHKの放送番組と同じ名前(タイトル)の商標が多数登録されている(乙第10号証ないし乙第15号証)。 これらの登録例が示すように、過去に放送された番組名(タイトル)は、商標法第4条第1項第7号に該当するものでないと判断されたため、登録されているものである。上記の登録例の中には、「プリンプリン物語」に比べてかなり有名と思われるものもある。 題名そのものに独創性・独自性がなく、このような表現が本件商標の指定商品において多用されていることを勘案すると、放送を終えて18年も経過した周知著名とは言えない一人形劇の題名と同一又は類似するものであっても、商標法第4条第1項第7号に該当するものではないことは明らかである。 (3)本件商標の構成について 本件商標は、請求人の主張する人形劇のタイトルと同一又は類似するものである。人形劇に登場するキャラクターそのものではなく、また、キャラクターを含むものでもない。本件商標は、人形劇の題名を著作物に使用するとか、印刷物に使用するものではなく、第30類の前記各指定商品に関するものである。 本件商標は、そのタイトルのみと同一・類似するものであり、しかも18年前に3年間放送されたのみであることを考えれば、「プリンプリン物語」の商標を付した商品に接する一般需要者・取引者は、「プリン」のイメージを強く受け「プリンプリン」とした弾力のある瑞々しい食べ物を連想することはあっても、需要者が、18年も前に終了した人形劇のタイトルを連想するとは考えられない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法4条第1項第10号、同第15号及び同第7号に違反して登録されたものでない。 4 当審の判断 本件商標は、前記のとおり「プリンプリン物語」の文字よりなるものであるところ、請求人は、「プリンプリン物語」はNHKが昭和54年4月2日より同57年3月19日まで全656回にわたり放送され、平成15年4月より再放送されている人形劇のタイトルであり、該人形劇のタイトルとして上記放送開始より今日に至るまで周知著名である(甲第3号証及び甲第4号証)旨主張する。 「NHK連続人形劇のすべて」(甲第3号証)、「TVBros.」(甲第4号証)及び「『プリンプリン物語』商品化権使用申込みパンフレット」(甲6号証)によれば、「プリンプリン物語」は、昭和54年4月2日から同57年3月19日まで、656回にわたり放送された連続人形劇のタイトルであることが認められる。該人形劇は、平成15年4月7日から再放送が開始されたものと推認することができるが、その再放送は、本件商標の登録査定(平成13年3月14日)後であった。 そして、該人形劇の放送が終了した昭和57年3月から再放送が開始さるまで20年以上経過しているが、その間における人形劇「プリンプリン物語」に関する事情を、請求人は主張、立証していない。この点について、被請求人が、「プリンプリン物語」の使用状況について何らの主張も立証もされていない旨主張したのに対し、請求人は弁駁しない。 以上の事実からすると、人形劇の「プリンプリン物語」は、昭和54年4月から同57年に3月に終了するまでの3年間放送され、その後、20年以上経過した平成15年4月に再放送が開始されたというに止まるものといわなければならない。当初の放送時の視聴率などは明らかでないが、「プリンプリン物語」が再放送されたという事実は、同番組がある程度人気を博したものであったということができる。 しかしながら、「プリンプリン物語」が人形劇であるという番組の性質上、子供など主に低年齢層という限られた視聴者を対象とする番組であるといえるものであって、しかも、本件商標の登録出願日は、「プリンプリン物語」の放送終了から約18年後の平成12年3月6日である。 そうとすれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、「プリンプリン物語」が、NHKが放送した人形劇のタイトルとして、該人形劇を視聴していた者を越えて一般の取引者、需要者の間にまで、広く認識され著名であったものとはいい難いものである。 してみれば、本件商標は、請求人又は請求人と関係を有する者の業務に係る商品を表示するものとして需要者間に広く認識されている商標とはいえないものである。また、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接した取引者、需要者が、これより直ちに人形劇の「プリンプリン物語」を連想、想起することはないというのが相当であるから、本件商標は、請求人又は請求人と関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれもないといわなければならない。 さらに、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものともいえないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第7号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-09-14 |
結審通知日 | 2004-09-16 |
審決日 | 2004-09-29 |
出願番号 | 商願2000-20734(T2000-20734) |
審決分類 |
T
1
11・
25-
Y
(Z30)
T 1 11・ 22- Y (Z30) T 1 11・ 271- Y (Z30) |
最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
茂木 静代 三澤 惠美子 |
登録日 | 2001-04-27 |
登録番号 | 商標登録第4471172号(T4471172) |
商標の称呼 | プリンプリンモノガタリ |
代理人 | 向山 正一 |
代理人 | 小泉 良邦 |
代理人 | 樋口 盛之助 |