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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Z09
審判 全部申立て  登録を維持 Z09
管理番号 1106893 
異議申立番号 異議2003-90389 
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2004-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-07-10 
確定日 2004-10-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第4661717号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4661717号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第4661717号商標(以下、「本件商標」という。)は、商標の構成を「ORICS」の欧文字(標準文字による)とし、2001年3月15日ドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づき、パリ条約第4条による優先権を主張して、平成13年9月14日に登録出願、第9類「電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,手術又は患者のデータ又は画像又は音声の処理のためのデータ処理装置又は映像処理装置又は音声処理装置,未記録のCD-ROM・DVD・磁気テープ・その他の磁気記録媒体,手術又は患者のデータ又は画像又は音声を記憶させたCD-ROM・DVD・磁気テープ・その他の磁気記録媒体,コンピュータ,手術又は患者のデータ又は画像又は音声を再生又は配信するためのコンピュータプログラム」を指定商品として、同15年3月12日に登録査定、同年4月11日に設定登録されたものである。

第2 申立人の主張する取消理由
これに対し、本件登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、本件商標は、商標法4条1項15号及び同19号に該当し、その登録は取り消されるべきであると主張し証拠方法として甲第1号証ないし同第13号証(枝番を含む。)を提出した(なお、提出された証拠方法には「乙第1号証」とあるように、乙号証として提出されているものがあるが、これらはすべて甲号証として提出されたものとみなして審理した。)。

第3 当審の判断
1 申立人が引用する商標及びそれらが使用されている商品・役務ならびにそれら各商標の著名性について
(1)甲第2号証(枝番を含む。)に示された引用各商標は、
ア 「ORIX」の欧文字よりなるもの(甲第2号証の1外。以下、「引用A商標」という。)。
イ 「オリックス」の片仮名文字と「ORIX」の欧文字を二段に併記してなるもの(甲第2号証の2、外)。
ウ 正方形の頂点を上下左右の各方向とし、該正方形の各辺の中央に小さな二等辺三角形を接して配し、該正方形の中に「ORIX」の欧文字を書し、この欧文字にアンダーラインを施し、その下部に「Rent-A-Car」と表してなる態様のもの(甲第2号証の3、外)。
エ 「オリックス」の片仮名文字よりなるもの(甲第2号証の36外。以下、「引用B商標」という。)。
オ 別掲に示した態様のもの(甲第2号証の16外。以下、「引用C商標」という。)。
カ さらに、甲第2号証の20に示された態様のもの。
の各登録商標である。
(2)甲第4号証の1の申立人の会社案内の表紙及び裏表紙には、引用C商標と酷似する態様の標章(これは、引用C商標と社会通念上同一といえると判断されるから、以下、「引用C商標」という。)が表示され、02|03頁には申立人が1964年に設立され、リース産業としてスタート、現在では「融資、割賦、(各種機器などの)レンタル、不動産、生命保険、損害保険、証券、信託銀行」などに係る業務を展開していることが記されている。そして、同号証の07、08|09頁によれば、申立人はコンピュータ、OA・FA機器などをリース(賃貸)していることが認められる。ただし、この会社案内では、これらの商品を販売している旨の記述はない。
(3)甲第4号証の2の申立人の会社経歴書の表紙には、引用C商標が表示され、8頁には申立人が1964年に設立され、リース産業としてスタート、現在では「(資金の)貸付、(各種機器などの)レンタル、割賦、生命保険、損害保険、証券、信託銀行、不動産事業」などに係る業務を展開していることが記されている。ただし、この会社経歴書には、コンピュータ、OA・FA機器などをはじめとする商品を販売している旨の記述はない。
(4)甲第5号証及び同6号証(枝番を含む。)のカタログによれば、申立人及び申立人の関連会社が、引用C商標を主として、このほか、引用A商標、引用B商標などの各商標を使用して、「信託銀行、預金、生命保険、ローン、不動産投資、投資信託、預金、証券、不動産販売、商品ファンド」などに係る業務を展開していることが認められる。ただし、これらの各号証からは、申立人及び申立人の関連会社が、コンピュータ、OA・FA機器などをはじめとする商品を販売していることは確認できない。
(5)甲第7号証ないし同第9号証(枝番を含む。)の新聞広告によれば、申立人及び申立人の関連会社が、引用C商標を主として、このほか、引用A商標、引用B商標などの各商標を使用して、「クレジットカード(ローン)、預金、生命保険、不動産販売、商品ファンド、信託銀行、終身保険、養老保険、証券、預金、不動産投資、自動車のリース」などに係る業務を展開していることが認められる。ただし、これらの各号証からは、申立人及び申立人の関連会社が、コンピュータ、OA・FA機器などをはじめとする商品を販売していることは確認できない。
(6)甲第10号証及び同第11号証(枝番を含む。)の雑誌広告によれば、申立人及び申立人の関連会社が、引用C商標を主として、このほか、引用A商標、引用B商標などの各商標を使用して、「投資信託、金融、預金、証券、生命保険、不動産販売、各種機器のレンタル、各種機器のリース、医療保険、商品ファンド、養老保険、ローン、信託銀行、ゴルフ会員権の売買、養老保険」などに係る業務を展開していることが認められる。そして、「日経コンピュータ 1995年9月18日号」(甲第11号証の41と推認される)には、中古コンピュータの販売広告がされている。しかし、これ以外には、これらの各号証からは、申立人及び申立人の関連会社が、コンピュータ、OA・FA機器などをはじめとする商品を販売していることは確認できない。
(7)甲第13号証(枝番を含む。)によれば、引用C商標をもって、プロ野球関連の商品が販売されていることが認められる。
(8)以上によれば、引用C商標は、「預金の受入れ、有価証券の売買、生命保険の引受け」などを含めた主として金融関連の役務に使用された結果、これが著名なものとなっているといい得るものである。しかしながら、「建物の売買、自動車の貸与、電子計算機の貸与」などの役務、及び「コンピュータ、OA・FA機器などをはじめとする商品」との関係では、それが周知・著名なものとなっていると認めるには十分とはいえないものである。
また、引用C商標以外の引用各商標については、これが使用され、周知・著名なものとなっていると認めるに十分な証拠はない。
2 出所の混同のおそれ
本件商標は、「ORICS」の欧文字よりなり、前記「第1」に記載した商品区分第9類の商品を指定商品とするものであるところ、引用C商標は別掲に掲げた態様のものである。
(1)本件商標と引用C商標の対比観察
しかして、本件商標からは、その構成に相応して「オリクッス」あるいは、「オリクス」の称呼が、引用C商標からは「オリックス」の称呼が生ずるものであり、両商標はその称呼において同一又は類似するといえるものである。
次に両者の外観を比較するに、本願商標は「ORICS」の欧文字よりなるものであり、引用C商標は、別掲に示すように、太目の線をもって平行四辺形を象った図形を上部に配し、その下に「ORIX」の欧文字を書してなるものであって、その外観の違いは顕著なものというべきである。
さらに、両者は、特定の観念を生じさせない造語であり、観念上も類似するとはいえないものである。
(2)申立人の取り扱いに係る役務と本件商標の指定商品との関係
本件商標の指定商品と、申立人が引用C商標を使用している「預金の受入れ、有価証券の売買、生命保険の引受け」などを含めた主として金融関連の役務との関係をみるに、互いの用途(利用の目的)は著しく相違するものであり、本件商標の指定商品の製造・販売と引用C商標が使用されている役務の提供が、同一の事業者によりなされるのが一般的であるとはいえず(本件で提出された証拠においてもこれを認めることはできない。)、また、互いの商品と役務が同一の場所で取り扱われることが一般的であるとすることができず、さらに、本件商標の指定商品の需要者が、金融関係の役務に接することが常態であるともいえないところである。
(3)そうとすれば、前記した本件商標と引用C商標との構成の違いを考察し、かつ、本件商標の指定商品と引用C商標が使用されている役務の関係をみた場合、引用C商標が、前記金融関連の役務に使用され著名なものとなっているとしても、本件商標をその指定商品に使用した場合、取引者・需要者が直ちに引用C商標を連想・想起し、それがあたかも申立人あるいは同人と何らかの関係がある者の取り扱いに係る商品であると誤認、混同するおそれがあるとはいえないと判断するのが相当である。
3 不正の目的
本件において、商標権者が本件商標をその指定商品に使用することが、申立人の業務に係る商品に使用する引用C商標の出所表示機能を希釈化させたり、又はその名声を毀損させる等不正の利益を得る目的をもって使用をするものとすべき、事情ないし証拠はないから、本件商標が不正の目的をもって使用するものとすることはできない。
したがって、本件商標は、商標法4条1項15号、同19号のいずれにも違反して登録されたものではない。
してみれば、本件商標は商標法43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものといわなければならない。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別掲】
引用C商標


(色彩については、この限りでない。)
異議決定日 2004-10-08 
出願番号 商願2001-83374(T2001-83374) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (Z09)
T 1 651・ 222- Y (Z09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 瀧本 佐代子 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 山本 良廣
宮川 久成
登録日 2003-04-11 
登録番号 商標登録第4661717号(T4661717) 
権利者 ベルヒトルド ホールディング アーゲー
商標の称呼 オリックス、オリクス 
代理人 三嶋 景治 
代理人 広瀬 文彦 
代理人 鈴木 正剛 

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