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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z05
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z05
管理番号 1106847 
異議申立番号 異議2002-90909 
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2004-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-12-26 
確定日 2004-10-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第4608160号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4608160号商標の指定商品中「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」についての商標登録を取り消す。
理由 1.本件商標
本件登録第4608160号商標(以下「本件商標」という。)は、平成13年5月10日に登録出願、「セレブロール」の片仮名文字と「CEREBROL」の欧文字とを二段に併記してなり、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、同14年9月27日に設定登録されたものである。

2.登録異議の申立ての理由
本件商標は、昭和46年5月22日に登録出願、「セレブコール」の片仮名文字と「CEREBCOL」の欧文字とを二段に併記してなり、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、同53年8月17日に設定登録されている登録第1339566号商標(以下「引用商標」という。)と類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中の「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」と引用商標の指定商品は類似するものであるから、本件商標の指定商品中の上記指定商品については商標法第4条第1項第11号に該当する。

3.本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標はその指定商品中の「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」について、商標法第4条第1項第11号に該当するものとして通知した取消理由は、つぎのとおりである。
<取消理由>
本件商標及び引用商標の構成・態様、指定商品及び登録の経緯等は上記した通りである。
そこで、本件商標と引用商標を比較するに、それぞれ上記のとおりの構成よりなるものであって、仮名文字の「セレブロール」と「セレブコール」においては、6文字で構成されているうちの第4文字において「ロ」と「コ」の文字の相違を有するのみである。また、欧文字の「CEREBROL」と「CEREBCOL」においては、8文字で構成されているうちの第6文字において「R」と「C」の文字の相違を有するのみである。
そうすると、仮名文字、欧文字ともに、第4文字あるいは第6文字の中間における1文字を除き、他のすべてが同じ文字で構成されているものであるから、これらの仮名文字と欧文字が併記されて構成されていることを勘案すれば、本件商標は、引用商標と時と処を異にして離隔的に観察した場合、彼此見誤るおそれは多分にあるものと認められる。
また、両商標を称呼上よりみるに、それぞれの構成文字より、本件商標は、「セレブロール」、引用商標は、「セレブコール」の各称呼を生ずるものである。
これらの称呼を比較すると、両称呼は、相違する第4音の「ロ」と「コ」の音を除きすべて同じ音よりなるものであり、「ロ」と「コ」の音にしても、母音を共通にする中間に位置する音であるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合、彼此聴別し難い程度に音調、音感が近似しているものというべきである。
上述のとおり、本件商標は、引用商標と外観及び称呼において類似する商標と判断するのが相当であり、観念においてその類似性を否定し得るとすべき点も見出せない。
本件商標は、その指定商品中上掲の商品については、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用するものである。
したがって、本件商標は、上掲の商品については、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。

4.商標権者の意見
(1)本件商標と引用商標とは、仮名部分において第4文字の「ロ」と「コ」、欧文宇部分において第6文字の「R」と「C」との文字の相違があることは、取消理由にいうとおりであり、商標権者もこれを否認するものではない。しかしながら、本件商標と引用商標とが外観及び称呼において類似するとの判断は誤りである。
まず両商標の外観上の構成について検討してみると、本件商標はローマン体、引用商標はゴシック体のそれぞれありふれた字体からなり、また片仮名文字と欧文字との二段併記も、和文販売名と英文販売名との併記を義務づけられている薬剤(甲第5号証参照)に使用することを意図した商標としては一般的な態様である。
従って、本件商標と引用商標の各文字がどのように配列されて、どのような概形を形作っているかは類否判断において問題にはならないと解するのが相当である。本件商標及び引用商標のようなありふれた字体の二段併記というありふれた態様では、もしも需用者・取引者が文字の配列により形成される概形を認識し、記憶に留めたとしても、市場において不特定多数の者により多数使用されている同様な概形の商標とは区別できないからである。
本件商標及び引用商標のような構成の商標に対する現実の市場における離隔的な観察を想定するとすれば、構成文字全体より生ずる称呼・観念と共に外観が認識され、その上で比較されて初めて自他商品の識別に資することが可能となると解するのが妥当である。すなわち、簡単な文字のみからなる両商標に接した需用者・取引者は、各商標を「その概形を認識するために看る」ことはなく、「文字を読むために見る」のであって、各文字から生ずる称呼・観念を離れて外観のみをもって相紛らわしいか否かを論ずるのは無意味である。
よって、上記のような構成の本件商標と引用商標とを外観のみをもって類似する商標と判断する判断手法自体、失当であるといわなければならない。
かりに両商標を外観のみを取り出して比較したとしても、相違する文字は難読な漢字や外国文字などではなく単純な片仮名と欧文字であって、しかも見誤ることも読み誤ることもないありふれた字体で記されており、前後の文字などのその他の構成からも錯誤を生じさせる要素は見あたらないので、通常の注意力を持って看れば「ロ」と「コ」及び「R」と「C」との相違により両者は明確に区別され、互いに見誤るおそれはない。
従って、本件商標と引用商標とは、外観のみを比較したとしても、相類似するということはできない。
(2)次に称呼について検討すると、本件商標から「セレブロール」、引用商標から「セレブコール」の各称呼を生じることは明らかであり、このうち第4音において「ロ」と「コ」との相違を有する。「ロ」と「コ」とは母音を共通にするものの、「ロ」は舌面を硬口蓋に近づけ、舌先で上歯茎を弾いて発音する有声歯茎弾音[r]を子音としているのに対し、「コ」は後舌面を軟口蓋に接触させて口腔を完全に閉鎖してから吐気でこれを被って発音する無
声軟口蓋破裂音[k]を子音としており、両音は調音位置及び調音方法を著しく異にし、音自体の音質が明らかに異なる音である。
この差異音がそれぞれの称呼全体に及ぼす影響は少なくなく、両者が長音を伴って強く発音されること、及び両称呼が前半の「セレブ」と後半の「ロール」「コール」とに区切った調子で称呼されるので中間音といえども識別上の重要な位置を占めていることをも勘案すれば、両称呼を一連に称呼したときには語感・語調が明確に異なり、聴者をして十分に彼此聴別可能である。
又、仮に本件商標及び引用商標がともに一連に称呼されるとした場合においても、相違音「ロ」と「コ」の後に長音が位置するため、「ロ」及び「コ」の音が長音により強調され強く印象付けられ、末尾音「ル」が長音の後に吸収されるように弱く印象されることから、両者を一連に称呼した場合には、「ロ」と「コ」の本質的な調音位置等の差異とも相俟って、その語感が明確に異なり彼此を十分に識別可能なものである。
よって本件商標と引用商標とは、取引者、需用者をして彼此混同を生ずるようなものではなく、称呼においても相紛らわしいものではない。
さらに、本件商標と引用商標とはいずれも特定の観念を生じない造語であるから、両者は外観・観念・称呼の何れにおいても相紛らわしいものではなく、相類似するものではない。

5.当審の判断
(1)本件商標は「セレブロール」と「CEREBROL」の文字よりなるところ、構成中の片仮名文字部分は欧文字部分の読みを特定したものと無理なく判断されるものであるから、その構成文字中の片仮名文字部分に相応して「セレブロール」の称呼を生ずるものと認められる。
他方、引用商標は「セレブコール」と「CEREBCOL」の文字よりなるところ、構成中の片仮名文字部分は欧文字部分の読みを特定したものと無理なく判断されるものであるから、その構成文字中の片仮名文字部分に相応して「セレブコール」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標より生ずる「セレブロール」の称呼と、引用商標より生ずる「セレブコール」の称呼とを比較するに、両者は共に5音構成で前3音「セレブ」と語尾音の「ル」の音を共通にし、わずかに中間音における共に長音を伴う「ロ」と「コ」の音にその差を有するところ、「ロ」と「コ」の音は共に母音(o)を共通にするものであり、かつ、比較的聴者の耳に残り難い中間にあるところからみてもその差は微差というべきであり、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が近似し彼此聴き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。
(2)また、両者の片仮名文字部分の「セレブロール」と「セレブコール」は共に6文字で構成されているところ、構成中の第4文字において「ロ」と「コ」の文字に差異を有するのみである。
さらに、両者の欧文字部分の「CEREBROL」と「CEREBCOL」は共に8文字で構成されているところ、構成中の第6文字において「R」と「C」の文字に差異を有するのみである。
してみれば、片仮名文字部分で6文字、欧文字部分で8文字という構成中の中間の文字において1文字を除き、他のすべてが同じ文字で構成されているという事実からすれば、取引者・需要者がこれを時と処を異にして離隔的に観察した場合、外観において彼此見誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。
(3)以上の通り、本件商標と引用商標とは、「セレブロール」と「セレブコール」の称呼及び「セレブロール」と「セレブコール」の文字、「CEREBROL」と「CEREBCOL」の文字における外観において類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中の「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」と引用商標の指定商品は類似するものである
から、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとして、その指定商品中の上記商品についての登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものである。
なお、商標権者はその主張を裏付けるために過去の審決例及び異議決定例(乙第1号証ないし乙第3号証)を提出しているが、これらは、本件商標とは事案を異にするものであるから、この点に関する商標権者の主張は認め難い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、商標法第43条の3第2項の規定により、その指定商品中の上記商品についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2004-08-23 
出願番号 商願2001-42216(T2001-42216) 
審決分類 T 1 652・ 262- Z (Z05)
T 1 652・ 261- Z (Z05)
最終処分 取消  
前審関与審査官 渡口 忠次 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 岩崎 良子
小林 薫
登録日 2002-09-27 
登録番号 商標登録第4608160号(T4608160) 
権利者 小野薬品工業株式会社
商標の称呼 セレブロール 
代理人 初瀬 俊哉 
代理人 網野 友康 
代理人 網野 誠 

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