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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない Z4142
管理番号 1106726 
審判番号 不服2002-15541 
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-08-14 
確定日 2004-11-01 
事件の表示 商願2001-11784拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「医療保育士」の文字(標準文字)を書してなり、第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成13年2月14日に登録出願されたものである。
そして、その指定役務については、平成14年5月9日付け手続補正書により、第41類「子どもの心理療法に関する知識の教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,研究用教材に関する情報の提供及びその仲介,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組等の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組等の制作のために使用されるものの操作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,その他のスポーツの興行の企画・運営又は開催,フォトコンテストの企画・運営又は開催,音楽コンテストの企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),当せん金付証票の発売,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,絵画の貸与,電子計算機端末による通信を用いて行うゲームの提供,電子計算機端末による通信を用いて行う音楽の提供」及び第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,写真の撮影,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,求人情報の提供,ファッション情報の提供,新聞・雑誌に掲載された記事の情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,一般廃棄物の収集及び分別,産業廃棄物の収集及び分別,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,職業適正検査,美術品の鑑定,機械器具に関する試験又は研究,車検のための申請代行,自動車の車検のための検査代行,車検のための自動車の検査,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,通訳,翻訳,施設の警備,身辺の警備,個人の身元又は行動に関する調査,身の上相談,精神療法に関する研究,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,柔道整復,はり,精神分析,心理療法,その他の医業,心理相談及びこれに関する助言・指導,その他の医療相談,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,家畜の診療,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,老人の養護に関する相談及びこれに関する情報の提供,老人養護(介護を含む。)用品(車椅子を除く。)の貸与,老人養護(介護を含む。)用品(車椅子を除く。)の貸与に関する契約の媒介又は取次ぎ,介護用器具の開発及び研究,老人の養護・介護及びその他の福祉に関する調査・研究および情報の提供,家事の代行,編み機の貸与,ミシンの貸与,衣服の貸与,植木の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,会議室の貸与,展示施設の貸与,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,鉱山機械器具の貸与,計測器の貸与,コンバインの貸与,祭壇の貸与,自動販売機の貸与,芝刈機の貸与,火災報知機の貸与,消火器の貸与,タオルの貸与,暖冷房装置の貸与,超音波診断装置の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,凸版印刷機の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,布団の貸与,理化学機械器具の貸与,ルームクーラーの貸与,装身具の貸与,製図用具の貸与,動力機械器具の貸与,風水力機械器具の貸与,冷凍機械器具の貸与,業務用調理機械器具の貸与,ガソリンステーション用装置の貸与(自動車の修理又は整備業のものを除く。),プログラムの操作マニュアルの作成」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『医療保育士』の文字を標準文字で書してなるものであるが、『保護者に代わって“保育に欠ける”乳児、幼児の保育にあたるもの。』として、厚生労働省主管の国家資格である『保育士』とその構成・態様が酷似するものであり、このようなものを出願人がその指定役務に使用することは、これに接する一般世人をして、前記した国家資格の信用を著しく希釈又は低下させ、ひいては公正な競業秩序を損ねるおそれがあるから、これを商標として採択・使用することは穏当ではないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、「医療保育士」の文字(標準文字)よりなるものである。
しかして、末尾に「士」の付された語の通常の意味は、「広辞苑」第5版(1998年11月11日発行)や「講談社カラー版日本語大辞典」(1995年7月3日発行)によれば、「一定の資格・役割をもった者」、「特別の資格・職業の人」などといったものであり、その用語例として、「弁護士」、「栄養士」、「学士」、「代議士」、「公認会計士」等が挙げられていることが認められる。ここにいう一定の資格に何が含まれるかについては、格別の制限が付されていないから、形式的には、国家資格(法令に根拠を有するもの)、民間資格(それ以外のもの)のいずれをも含み得ることになる。しかし、末尾に「士」の付された名称の中で、一般国民にとって接する機会が多く、一般国民にとって知られている度合いの大きいものの多くは、上記「弁護士」、「栄養士」、「公認会計士」を始め、税理士、建築士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、司法書士、行政書士など国家資格に係るものであり(なお、前記「代議士」は、衆議院議員の俗称であって、法令に基づく名称ではないが、衆議院議員が法令に基づく地位であることは明らかであるから、国家資格に係る名称であることに変わりはない。)、しかも、その状態が古くから続いてきていることは、当審において顕著である。
また、末尾に「士」の付された名称のうち、国家資格に係るものは、国家が、公共の福祉その他政策上の目的のために、国民の職業選択の自由を制限してでも、一定の能力を有すると判定された者に限って一定の地位ないし権限を付与する必要があると認めて法令をもってそのように定めたものであり、そのために、国家資格に伴う地位ないし権限は、必然的に対世的かつ排他的なものとなる。これに対して、民間資格は、上記のような必要に基づくものでも、法令に根拠を有するものでもなく、対世的かつ排他的な地位ないし権限の付与を伴うものでもない。このように、国家資格と民間資格とでは、一般国民に対して現実に果たしている役割の重要性において比較にならない相異がある。
これらの事情の下では、一般国民は、末尾に「士」の付された名称に接した場合、一定の国家資格を付与された者を表していると理解することが多いとするのが相当である。
これを本願商標についてみるに、その構成中の「保育士」については、厚生労働省所管の国家資格として「保育士」という資格があるところ、該資格は、児童福祉法施行令で定められた児童福祉施設の任用資格であったものが、平成15年11月29日の児童福祉法一部改正によって、法定化されて国家資格となったものであり、改正後の法律は、「保育士とは、登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」(児童福祉法第18条の4)と定め、「保育士」の名称については登録制度を導入し(同法第18条の18第1項)、無資格者が「保育士」を名乗ることを禁止している(同法第18条の23)ものである。
そして、この「保育士」の資格名称の独占化は、一般国民が保育士の基本的性質について誤った認識をもち、これによって、一般国民に不利益を及ぼすことのないようにしたものであって、「資格の名称の独占化」の趣旨は公の秩序に関する事柄として十分に尊重されるべきものと解される。
また、地域の子育ての中核を担う専門職として保育士の重要性が高まっている中、近時保育士の活動範囲は拡大され、保育所、児童福祉施設、乳児院、託児所等に加え、病院や病児保育施設等の医療と関連のある現場で子供達をサポートする業務に従事する保育士が存在し「病棟保育士」と称されている実情があり、小児医療に関連した分野における「日本医療保育学会」「全国医療保育協会」等「医療保育」の語を用いた団体の存在や、「医療保育科」を設けている専門学校の存在等から、「保育士」の分野においては、医療と密接な関連を有する現場で働く保育士が育成、確立されつつあることが認められる。
そうすると、その構成中に「保育士」の文字を有してなる本願商標に接する需要者、取引者は、これよりは上記国家資格である「保育士」のほかに、当該医療に関連した国家資格あるいは公的職業資格が存するかの如く誤信する場合があることは否定できないところである。
してみれば、一私人である請求人(出願人)が、本願商標をその指定役務に使用するときは、あたかも該役務が国家資格を有する者の取り扱いに係る役務であるかのような印象を抱かせるものであり、上記児童福祉法の趣旨に反することになるばかりでなく、一般世人をして誤信せしめ、国家資格等の制度に対する社会的信頼を失わせることにもなり、ひいては社会公共の利益に反するおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべき限りでない。
なお、請求人は、甲第6号証ないし甲第10号証を提出し、請求人の経営する学校において、所定の課程を履修し認定試験に合格した者に授与する学位の名称を「医療保育士」として採択し、その名称の認定を文部科学省及び学位授与機構に申請している旨主張するが、学校において授与する学位の名称と、その名称が商標登録を受けることができるかできないかは、本来的に別儀であるから、同人の該主張は採用できない。また、過去の「○○士」からなる商標の登録例を挙げ述べるところあるも、本件とは事案を異にするものであって、その主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-09-01 
結審通知日 2004-09-03 
審決日 2004-09-17 
出願番号 商願2001-11784(T2001-11784) 
審決分類 T 1 8・ 22- Z (Z4142)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 謙司日向野 浩志 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 山本 良廣
小出 浩子
商標の称呼 イリョーホイクシ 
代理人 瀧野 秀雄 
代理人 垣内 勇 
代理人 神田 正紀 
代理人 吉田 隆志 

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