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審決分類 |
審判 全部無効 商8条先願 審決却下 042 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 審決却下 042 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 審決却下 042 |
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管理番号 | 1106663 |
審判番号 | 無効2004-35053 |
総通号数 | 60 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-12-24 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-01-29 |
確定日 | 2004-10-29 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3195441号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.本件商標 本件登録第3195441号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示したとおりの構成からなり、特例出願として、平成4年9月30日に登録出願、第42類「きしめんを主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年9月30日に設定登録されたものである。 2.引用商標 請求人が引用する登録第2407792号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2に示したとおりの構成からなり、昭和58年12月9日登録出願、第32類「きしめん」を指定商品として、平成4年4月30日に設定登録され、その後、平成13年11月13日付けで商標権存続期間の更新登録がなされ、また、その指定商品については、平成14年9月18日付けで、第30類「きしめんのめん」に書換登録がなされて現に有効に存続しているものである。 3.請求人の主張の要点 請求人は、「本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。 請求の理由 (1)本件商標と引用商標との類否について 本件商標は、毛筆の草書体風の活字にて「きしめん亭」と横書きしてなり、引用商標も毛筆の草書体風の活字にて「きしめん亭」と横書きしてなるから、両商標とも同じ商標である。ただ、後者の文字の方が、若干太目に書かれてなる点が相違するくらいで、両商標は略同一の商標であると言っても良い。さもなければ問題なく類似の商標である。 よって、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標であることは論をまたない。 (2)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品との類否について 本件商標の指定役務は、第42類「きしめんを主とする飲食物の提供」であるのに対し、引用商標の指定商品は、第30類「きしめんのめん」である。 したがって、区分が第42類と第30類の相違を有し、本件商標が「きしめんを主とする飲食物の提供」を指定役務とするのに対し、引用商標は「きしめんのめん」を指定商品とする点で相違が見られる。 しかしながら、以下に述べる理由によって、本件商標の指定役務は、引用商標の指定商品と相互に類似するものである。 (イ)本件商標の役務の提供と、その提供する商品「きしめん」の製造、販売とが全く同一の事業者によって行われている。 すなわち、本件商標の権利者である柴山千鶴が経営している名駅エスカ店及び名古屋東急店の「きしめん亭」にて、商品「きしめんのめん」を本件商標の権利者である被請求人が製造販売しており、その事実の証明として甲第7号証ないし甲第9号証を提出する。 (ロ)被請求人の役務、いわゆる「きしめんを主とする飲食物の提供」と、商品、即ち「きしめん」とは、夫々きしめんを愛好する顧客、需要者を目的、用途としているものである以上、被請求人の役務と商品とは全く用途が一致するものである。 (ハ)被請求人の役務の提供場所と商品の販売(場所)とが全く一致するものであることは、何人と雖も否定し得ないものである。 (ニ)被請求人が役務の提供場所にて該商品の販売を行っている以上、需要者の範囲が全く一致するものであることは公然の事実としか言いようがない。 (3)以上、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似する役務について使用をするものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定により、商標登録を受けることができなかったものであり、また、商標法第8条第1項の先願登録主義の規定に違反して登録されたものである。 したがって、本件商標は商標法第46条第1項第1号の規定に該当し、無効とされるべきものである。 なお、上記(イ)に関する事実について、被請求人の役務の提供と商品の製造販売とが全く同一の事業者によって行われていることを明らかにするため、被請求人に対し当事者尋問申立をする所存である。 (4)答弁に対する弁駁 前述のように、請求人が既に「きしめん亭」の商標登録を有するにも拘わらず、被請求人が、同一商標を第42類「きしめんを主とする飲食物の提供」を指定役務として登録を得たことは、明らかに誤審により登録されたものであること明白である。 そもそも、請求人の前身である「株式会社なごや」は、昭和29年6月23日に、尾張の小麦どころ、江南東部に設立し、麺類の製造販売及び飲食業を開業したのがはじまりで、いち早く名古屋にきしめんを完全包装し化粧箱に詰め市販したところ、地元名古屋はもとより、東京でも大変な評判になり、その後各主要都市はじめ、やがてはニューヨーク、サンフランシスコ、ホンコン等の各国のすき焼店からも注文が来るようになった。東京の顧客からも是非東京へきしめん専門の店を出して欲しいとの薦めにより獅子文六が名付け親になり「きしめん亭」と言う店を数寄屋橋に開いた。 この銀座店が1号店となり、その後大阪、名古屋、岐阜にも店をだすことになり、各店共きしめんの名店と高く評価され、顧客から広く認識されるに至ったのである。(甲第10号証) このように「きしめん亭」の商標は名古屋にたった一軒のきしめん専門店の請求人の商標、商号(名称)として取引者需要者間に広く認識され、更に著名となって行った実績が認められて、その後引用商標は、平成4年4月30日に特許庁にて設定登録されるに至ったのである。 この請求人の引用商標が存在していることを承知の上、本件商標を設定登録したとすれば、指定商品と指定役務とが非類似とみなされて本件商標が登録設定されたことになる。 それこそ正しく商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。即ち、本件商標は請求人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標である。 してみれば、本件商標は、商標法第46条第1項第1号の規定により、当然無効とされて然るべきものである。 なお、この請求人の主張は決して審判請求の趣旨を補正することに当たるものではない。 以上の通り、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に規定する他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標を登録したものであり、よって、商標法第46条第1項第1号の規定により、当然無効とされるべきものである。 4.被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証を提出している。 答弁の理由 請求人は、本件商標は、引用商標と同一又は類似であって、引用商標に係る指定商品と同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものであり、また、本件商標は商標法第8条第1項の先願登録主義の規定に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号の規定に該当すると主張している。 しかしながら、商標登録が商標法第4条第1項第11号、及び同法第8条第1項の規定に違反してなされたことを理由として、その登録の無効を請求する審判は、その商標についての商標権の設定の日から5年を経過した後は請求することができないものであることは、商標法第47条に規定されている。 然るに、本件商標の商標権の設定の登録の日は、請求人の添付した甲第1号証及び甲第2号証に記載のとおり、平成8年9月30日である。 これに対して、本件審判を請求した日は、平成16年1月29日であるから、本件審判の請求が本件商標の商標権の設定の登録の日から5年を経過した後のものであることは明らかである。 それ故、本件審判の請求は不適法なものであって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条において準用する特許法第135条により却下されるべきものと思料する。 5.当審の判断 商標法第47条の規定によれば、本件無効審判請求のように、商標法第4条第1項第11号、同法第8条第1項、及び同法第4条第1項第15号(不正の目的で商標登録を受けた場合を除く。)違反を理由とする無効審判請求は、商標権の設定の登録の日から5年を経過した後は、請求することができないとされている。 しかるところ、前記したとおり、本件商標の設定登録日は、平成8年9月30日であるのに対して、本件無効審判請求は、平成16年1月29日であるから、既に本件商標の設定登録日から5年以上経過していることは明らかである。 また、請求人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号にも該当すると主張しているが、その登録が不正の目的で商標登録を受けた場合に該当するとの主張もしていないし、その証拠を示す資料も提出していない。 してみれば、本件無効審判の請求は、商標法第47条に規定する除斥期間経過後にした不適法なものであって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条において準用する特許法第135条の規定により、これを却下すべきものとする。 なお、請求人は、被請求人に対する証人尋問を申請しているが、本件無効審判請求の結論は上記の通りであり、証人尋問によって、その結論が左右されるものとは認められないから、請求人の申請に係る証人尋問は行わない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(引用商標) |
審理終結日 | 2004-08-25 |
結審通知日 | 2004-08-27 |
審決日 | 2004-09-17 |
出願番号 | 商願平4-285685 |
審決分類 |
T
1
11・
4-
X
(042)
T 1 11・ 26- X (042) T 1 11・ 271- X (042) |
最終処分 | 審決却下 |
前審関与審査官 | 鈴木 幸一、前山 るり子 |
特許庁審判長 |
山田 清治 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 小林 薫 |
登録日 | 1996-09-30 |
登録番号 | 商標登録第3195441号(T3195441) |
商標の称呼 | キシメンテイ |
代理人 | 大矢 須和夫 |
代理人 | 向山 正一 |