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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2012300362 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 111
管理番号 1106653 
審判番号 取消2003-30711 
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-12-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-05-30 
確定日 2004-10-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第4267673号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4267673号商標(以下「本件商標」という。)は、平成2年10月19日に登録出願され、「TEMPUS」の欧文字を横書きしてなり、第11類「コネクター、その他の電気通信機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、同11年4月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中の「電子応用機械器具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、資料1を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品「電子応用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)被請求人は、「基板接続コネクタ」は基板と基板の接続に用いられるものであるから、電子応用機械器具の部品としてとらえられるべきである旨主張しているが、これは誤りである。
特許電子図書館により、商品・役務名リストで基板接続コネクタを入力しても一件もヒットしないが、単にコネクタと入力すると、資料1に記載のように43件ヒットする。資料1から明らかなように、単なる「コネクタ」は、「配電用又は制御用の機械器具(11A01)」であり、「アンテナ接続用コネクタ、拡声器用コネクタ及び相互接続用コネクタ」は、「電気通信機械器具(11B01)」であり、いずれも電子応用機械器具ではない。いずれにしても、資料1の記載からも明らかなように、電子応用機械器具に属する「コネクタ」は皆無であるから、「基板接続コネクタ」は、電子応用機械器具の部品でないことは明らかである。
被請求人は、指定商品を「コネクタ、その他の電気通信機械器具、その他本類に属する商品」として出願している。このことは、被請求人自身、電子応用機械器具及びその部品には「コネクタ」は含まれないと認識していたこと明らかである。
(イ)乙第1号証のパンフレットをみると「TEMPUS CBC 20」として使用されている。「TEMPUS」と「CBC」との間には若干の隙間があるが、同じ大きさで一連に書してなるものである。しかも、ローマ文字3文字は、原則として識別力があると取り扱われているものであることから明らかなように、「CBC」自体識別力のあるものである。
したがって、実際に使用されている商標は、「TEMPUS」と「CBC」の識別力のある標章同士の結合商標であるから、乙第1号証は、そもそも本件商標と同一の商標の使用を立証するものではない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
被請求人は、被請求人の日本法人である株式会社アイテイテイキャノンにより、「基板接続コネクタ」に本件商標を付して、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内で販売していた。「基板接続コネクタ」は、基板と基板の接続に用いられる部品であり、電子応用機械器具の部品としてとらえられるべきものである。
この事実を裏付ける証拠として、乙第1号証(「基板接続コネクタ」の製品カタログ)」、乙第2号証ないし乙第8号証(いずれも取引書類の写し)を提出する。
したがって、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国において、電子応用機械器具に属する「基板接続コネクタ」について使用されていたことが明らかであるから、請求人の主張には理由がない。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第8号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)乙第1号証は、被請求人の日本法人である株式会社アイテイテイキャノンにより顧客に配布されているとされる「4列2ミリピッチ基板接続コネクタ」と題する製品カタログであり(審判事件答弁書においては、カタログの一部分が提出されていたが、その後、平成16年3月26日付証拠方法提出書により、1997年版と認められる全頁の写しが提出されている。)、表紙部には、「TEMPUS CBC 20」の文字が大きく表されており、その下部に、やゝ小さく「CONNECTOR SYSTEM」の文字が表されている。また、製品が掲載されている各頁の上部にも「TEMPUS CBC 20」の文字が表示され、各頁の下部には「ITT Cannon」の文字が表示されている。
(イ)乙第2号証は、株式会社アイテイテイキャノンがケル(株)山梨事務所機器事業部へ宛てた請求書(請求締切日:03年2月28日の日付がある)であり、その品目コード/品目の欄には、例えば、「CBC20A00-024WDP1-8-1」の記載があり、これは、乙第1号証のカタログ23頁にも同じコードの商品が掲載されていることを認めることができる。
(ウ)乙第3号証ないし乙第5号証も、乙第2号証と同様の請求書であり、その日付は、乙第3号証が03年5月31日、乙第4号証が03年3月31日、乙第5号証が03年4月30日のものである。
(エ)乙第6号証は、ケル株式会社が株式会社アイテイテイキャノンへ宛てた03年1月9日付の注文書であり、その品名欄には、「CBC20C1-024F-W2-3」の記載があり、これは、乙第1号証のカタログ55頁にも同じコードの商品が掲載されていることを認めることができる。
(オ)乙第7号証及び乙第8号証も、注文に係る品名は異なるが、乙第6号証と同様の注文書であり、その日付は、乙第7号証が03年4月11日、乙第8号証が03年5月19日のものである。
(2)上記(1)で認定した事実を総合すると、被請求人は、被請求人の日本法人である株式会社アイテイテイキャノンにより、本件審判の請求の登録日(平成15年6月25日)前3年以内である2003年(平成15年)2月28日から同年5月31日にかけて、本件商標と社会通念上同一と認められる「TEMPUS CBC 20」の商標を付した乙第1号証のカタログを用いて、該カタログに掲載されている電子応用機械器具の概念に属すると認められる「4列2ミリピッチ基板接続コネクタ」を販売していたものと認めることができる。
(3)この点について、請求人は、特許電子図書館の「商品・役務名リスト」を挙げて、「基板接続コネクタ」は取消請求に係る「電子応用機械器具の部品」ではない旨、また、本件商標と同一の商標の使用を立証したものではない旨主張している
確かに、資料1の「商品・役務名リスト」によれば、電子応用機械器具に属するコネクタの事例が掲載されていないことは請求人の主張のとおりである。
しかしながら、過去の商標登録出願において採択された商品名のリストの中に電子応用機械器具の概念に属するコネクタの事例がないからといって、電子応用機械器具に属するコネクタが存在しないとはいえない。例えば、東洋経済新報社発行の「現代商品大辞典 新商品版(昭和61年10月18日発行)」の「コネクタ」の項によれば、「コネクタは電子機器相互間あるいは機器内部で電気・電子回路を接続するデバイスとして、通信機器、OA機器、コンピュータおよび周辺装置、カーエレクトロニクス機器、VTR、家電等エレクトロニクス産業のあらゆる分野で広範に使用されている。」と説明されているように、コネクタは、その用途により、多くの分野にわたって、多種類のコネクタが存在していることを理解することができる。
そして、資料1の「商品・役務名リスト」によれば、用途の限定されていないコネクタや電気コネクタは「配電用又は制御用の機械器具」の概念に属する商品とされているが、電線用のコネクタは「電線・ケーブル」の概念に属する商品として、アンテナ接続用コネクタやテレビジョン信号用受信機器の接続用ケーブル・コネクタは「電気通信機械器具」の概念に属する商品として、また、陰極コネクタは「電気材料」の概念に属する商品として掲載されている。このことは、それぞれの商品に専用のコネクタは、そのコネクタが用いられている商品が属している商品群の範疇の商品として取り扱われていることの証左であるということができる。
加えて、商標法における商品の分類は、出願人の便宜及び審査の便宜等を図る見地から定められているものであり、商品によっては、いずれの商品群に属するかについて、判断が極めて困難な商品も存することが実情であって、不使用取消審判の場において、登録商標の使用されている当該商品の実質に則して、それが真に複数の商品群に属する多面性を有する商品であれば、当該複数の商品群に属する商品について登録商標が使用されているものと扱っても差支えないというべきであり、このように解しても、商品分類の趣旨に反することにはならないし、また、不使用取消審判制度の趣旨に反することにもならない。
そうとすれば、被請求人の取り扱いに係る商品は、その実質に則して判断すると、専ら、電子基板と電子基板の接続に用いられる電子基板専用のコネクタと認められるものであるから、電子基板の属する電子応用機械器具の部品あるいは附属品として使用されていたものとみるのが相当である。
また、被請求人の使用に係る商標は、「TEMPUS CBC 20」の構成からなるところ、本件商標の構成にはない文字と数字を含んでいるとはいえ、少なくとも、「TEMPUS」の文字部分の独立性及び識別力を損なうような態様からなるものではなく、加えて、登録商標の使用にあたっては、商品の規格・型式・種別等を表すために、アルファベットや数字を付加することは取引上しばしば行われており、このような取引の実情に照らしてみれば、本件使用商標の場合にあっても、「TEMPUS」の文字部分が識別標識としての機能を果たす部分として理解され、「CBC 20」の部分は、商品の規格・型式・種別等を表したものと認識されるとみるのが自然であるから、本件商標の識別機能に影響を与えるものではなく、被請求人の使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる範囲内の商標の使用というべきである。
なお、乙第1号証の製品カタログは、平成16年3月26日付証拠方法提出書により提出された全文によれば、1997年に発行されたものと認められるところ、これは、本件審判の請求の登録日前3年以内に発行されたものとはいえない。しかしながら、この種の商品は、必ずしも頻繁にモデルチェンジされるようなものともいえず、したがってまた、これを掲載している製品カタログも相当長期間に亘って使用されていたものと推認し得るから、本件審判の要証期間内においても、被請求人の日本法人である株式会社アイテイテイキャノンが顧客に配布していたとの被請求人の主張に不自然さは認められない。
(4)以上によれば、被請求人は、被請求人が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件取消請求に係る指定商品「電子応用機械器具」に含まれる商品について使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、本件審判の取消請求に係る指定商品について、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-08-25 
結審通知日 2004-08-26 
審決日 2004-09-17 
出願番号 商願平2-117262 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (111)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 由美子薩摩 純一 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 鈴木 新五
柴田 昭夫
登録日 1999-04-30 
登録番号 商標登録第4267673号(T4267673) 
商標の称呼 テムパス、テンパス 
代理人 小沢 慶之輔 
代理人 稲垣 仁義 

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