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審決分類 審判 査定不服 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 登録しない Z31
管理番号 1104682 
審判番号 不服2002-4926 
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-03-22 
確定日 2004-09-16 
事件の表示 商願2000-81785拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「こはる」の平仮名文字と「小春」の漢字を上下二段に書してなり、願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年7月25日に登録出願、その後、指定商品については、原審における同13年6月26日付手続補正書により、第31類「あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし,うるしの実,麦芽,ホップ,未加工のコルク,やしの葉,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,飼料,野菜(「茶の葉」を除く。),茶の葉,糖料作物,ねぎの種子,ねぎの苗,生花の花輪」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、種苗法に基づき「きく」の品種名として登録されている「小春(こはる)」(種苗登録第4254号)と同一又は類似のものであり、かつ、その品種の種苗又はこれに類似する商品に使用するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第14号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、「こはる」の片仮名文字と「小春」の漢字を上下二段に書してなるものである。
これに対して、原審において本願の拒絶の理由として引用した、種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の名称は、「小春」の文字よりなり、「きく」の品種名称として、1995年1月26日に、種苗登録第4254号として、品種登録されたもの(以下「引用標章」という。)である。
そこで、本願商標と引用標章の類否について検討すると、本願商標の構成中、上段の「こはる」の平仮名文字は、下段の「小春」の読みを表したものと認められるから、本願商標から、「コハル」の称呼及び「小春」(冬の初めの、春に似た温暖な気候。)の観念を生ずるものである。
他方、引用標章は、その構成文字に相応して、「コハル」の称呼を生じ、「小春」の観念を生ずるものであるから、両者は、称呼及び観念において類似するといえる。
また、外観上においても、両者は「小春」の文字を共通にするものであり、わずかに該文字に振り仮名を付しているか否かの点において相違するにすぎないから、両者は外観上も類似するものである。
してみれば、本願商標と引用標章は、外観、称呼、観念いずれの点においても類似するものであるといえる。
ところで、種苗法は、「新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与する」(種苗法第1条)ことを目的としているのに対して、商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発展に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する」(商標法第1条)ことを目的としている。
このように種苗法と商標法は目的が違い、それぞれの法目的に相応した、商品の類似範囲が存在(種苗法においては種苗法施行規則第17条)するものであるから、種苗法における商品の類否をもって、商標法における商品の類否の判断の根拠とすることはできないことはいうまでもない。
そこで、本願についてみると、本願商標は、商標として登録出願されたものであるから、商品の類似範囲は、商標法における商品の類否に基づかなければならないところ、商標法上、商品が類似するか否かを判断するにあたっては、取引の実情、すなわち、商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質・用途・機能、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品の関係にあるかどうか等を総合的に考慮することにより、互いの商品に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断されるべきである。
そうすると、本願商標の指定商品中、「ねぎの種子,ねぎの苗」と、引用標章が品種名として登録されている「きく」の種子及び苗は、食用と観賞用の違いがあるものの、農家だけでなく、一般の家庭においても栽培される植物の種子及び苗であるということ、家庭菜園やガーデニングが盛んに行われている現状があり、商店等においても同じコーナーで販売されていることが多く、販売部門や需要者を共通にすることが少なくないということ等を総合的に考慮すると、取引の実情において、多くの共通性を有する商品であるというのが相当であって、本願商標を「ねぎの種子,ねぎの苗」及び「きく」の種子及び苗に使用するときは、これに接する取引者、需要者が、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。してみれば、本願の指定商品中「ねぎの種子,ねぎの苗」と、引用標章が品種名として登録されている「きく」の種子及び苗は、類似する商品であるといえる。
したがって、本願商標は、種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の名称と類似の商標であって、その品種に類似する商品「ねぎの種子,ねぎの苗」に使用するものである。
なお、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)は、本願商標は、同人の育成に係る「ねぎ」の品種名として本願の指定商品中「ねぎの種子,ねぎの苗」について現に使用され、取引者、需要者において親しまれたものであって、「きく」の「小春」と混同を生じた事実は全くないと述べているが、請求人が提出した甲第1号証ないし同第5号証によれば、本願商標「小春」の文字は、出願人の取扱いに係る商品「ねぎ」を表す自他商品識別標識、すなわち商標として使用されているものではなく、請求人が述べるとおり、「ねぎ」の品種名として使用されているものと認められるから、これを商標として使用した場合に、商品の出所につき混同を生じないとする理由にはならないものである。
また、請求人は、種苗法において「類似」とされる農林水産植物の種類は、種苗法施行規則第17条に定める種類のみであり、種苗法に基づく品種登録において、「きく」の品種と、他の農林水産植物の品種でさえ、同一の名称で登録されていると主張し、甲第6号証ないし同第19号証(枝番を含む)を提出しているが、前記のとおり、種苗法において「きく」と他の農林水産植物の品種が非類似であることを根拠として、商標法においても非類似の商品であるとすることはできない。
以上のとおりであるから、本願商標が、商標法第4条第1項第14号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-06-07 
結審通知日 2004-06-25 
審決日 2004-07-08 
出願番号 商願2000-81785(T2000-81785) 
審決分類 T 1 8・ 21- Z (Z31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 寺光 幸子 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 和田 恵美
椎名 実
商標の称呼 コハル 
代理人 村田 紀子 
代理人 武石 靖彦 
代理人 ▲吉▼▲崎▼ 修司 

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