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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 Z36 審判 全部申立て 登録を維持 Z36 |
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管理番号 | 1103426 |
異議申立番号 | 異議2002-90698 |
総通号数 | 58 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2004-10-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-10-07 |
確定日 | 2004-08-18 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4582194号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4582194号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4582194号商標(以下「本件商標」という。)は、「Alliance Fund」の文字を標準文字で表してなり、平成13年4月10日に登録出願され、第36類「有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,外国為替取引,信用状に関する業務」を指定役務として、平成14年7月5日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由(要旨) 本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第10号に該当するものであるから、取り消されるべきである。 (1)商標法第4条第1項第11号該当について 登録第4554150号商標(以下「引用商標」という。)は、「Allianz」の欧文字よりなり、第36類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として平成10年12月25日登録出願、平成14年3月22日設定登録され、現に有効に存続しているものである。 本件商標は、指定役務との関係でその構成部分の「Fund」は顕著性がなく、「Alliance」が要部であると考えられる。したがって、本件商標より「アライアンス」の称呼を生ずる。他方、引用商標は「アライアンツ」の称呼を生ずる。 両商標の称呼は末尾の「ス」か「ツ」の差異しかなく、類似している。また、本件商標の要部の「Alliance」と引用商標「Allianz」は外観も類似し、さらに、「Alliance」は同盟という意味を有することから観念が同一である。また、両商標の指定役務も同一又は類似のものである。本件商標は引用商標の後願である。 (2)商標法第4条第1項第10号該当について 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、世界有数の金融機関であり、又、スポーツ・文化イベントへの積極的参加等を通じて、引用商標の認知度を上げており、引用商標は世界的に周知な商標である。 また、本件商標と引用商標は類似し、指定役務も同一又は類似の関係にある。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当について 本件商標と引用商標との類否について検討するに、引用商標は、前記のとおり、「Allianz」の欧文字を書してなるところ、該文字は、「同盟、提携」等を意味するドイツ語であるが、わが国のドイツ語教育の普及程度からすると、引用商標の指定役務に接する取引者、需要者は、必ずしも正しい意味を理解し発音されるものと言い難いところであるから、英語教育の相当程度普及した実情からすれば、引用商標は、一般的に、英語読み風又はローマ字読みによって称呼されることが多いものといい得るものである。 ところで、引用商標は、実際の取引の場で、どのように称呼されているかについてみるに、申立人提出の甲各号証及び異議申立理由の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 (ア)アリアンツパンフレットによれば「アリアンツ火災海上の現状 2002年3月期」、「Allianz 2002」の表題のもと、2頁目の「2.会社の沿革」中「アリアンツ・グループは、1890年ドイツのベルリンに設立されました。」、「1990年に『アリアンツ火災海上保険株式会社』(Allianz Fire Marine Insurance Japan Ltd.)が設立されました。」と記載されていること(甲5)。 (イ)2001年4月2付け日本経済新聞に「独アリアンツ ドレスナー銀を買収」、「アリアンツ 独最大の保険会社で、欧州でも最大級。損保、生保を総合的に取り扱うほか、ここ数年は米国での企業買収を通じ資産運用部門も強化している。」と、同日付け朝日新聞に「最大級の金融機関誕生へ アリアンツが独の銀行買収」と、同日付け読売新聞に「独保険会社アリアンツ 独ドレスナー銀買収」と、同日付け毎日新聞に「ドレスナー銀を買収 独アリアンツ」と記載されていること(甲7)。 (ウ)「海外における Allianz スポーツ・文化イベント活動」の表題のもと、「アリアンツ環境基金(Allianz Environmental Foundation)」、「アリアンツ文化基金(Allianz Cultural Foundation)」と記載されていること(甲9)。 (エ)甲第12号証によれば、「Allianz」の文字の下に、「アリアンツ・グループはヨーロッパを代表する保険・金融サービスのプロバイダーです。」と記載されていること。 (オ)2001年9月25日付け日本経済新聞の広告欄に、「損害保険はアリアンツ」の文字の下に、「アリアンツグループは、…………あなたに変わらぬ安心をお届けいたします。Allianz.The Power On Your Side.」と記載されていること(甲13)。 以上の事実から、「Allianz」は、「アリアンツ」と呼ばれドイツ最大の保険グループ「アリアンツグループ」を指称し、わが国においてもアリアンツ火災海上保険株式会社(英語表記「Allianz Fire Marine Insurance Japan Ltd.」)がグループ傘下にあることが認められる。 そうすると、引用商標の一般的な称呼認定はともかく、引用商標は、個別具体的な商取引の実際の場で「アリアンツ」と称呼され、取引に資されているものと認められる。 そして、他の称呼をもって取引されているという事実は見当たらない。 してみれば、引用商標は、「アリアンツ」の称呼のみが生ずるものといわなければならない。 そこで、本件商標の要部「Alliance」の欧文字から生ずる「アライアンス」の称呼と引用商標から生ずる「アリアンツ」の称呼について比較検討するに、前者が6音構成であるのに対し、後者が5音構成であり、かつ、語頭音の「ア」音を共通にするものの他の配列構成音を異にするものであるから、該差異が称呼全体に与える影響は極めて大きいものである。したがって、両商標をそれぞれ一連に称呼するときは、語調語感が異なり彼此相紛らわしい類似の商標とはいえない。 また、外観についても、両者は、「Allian」の文字列を共通にするも語尾部分において「ce」と「z」の文字に差異を有することから、充分区別できるものである。 さらに、引用商標は、ドイツ語で「同盟」等を意味する語であるとしても、わが国のドイツ語教育の普及程度を考慮すれば、引用商標に接する取引者、需要者は、必ずしも正しい語義を理解しているともいえず、寧ろ一種の造語として看取するのが相当であるから、本件及び引用の両商標の観念について比較することができない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼、観念のいずれの点においても区別でき、類似する商標とはいえない。 なお、申立人は、甲第2号証(商標出願・登録情報検索(詳細表示))に基づいて、「引用商標の称呼として『アライアンツ』の称呼をも生ずる。」旨主張している。 しかしながら、甲第2号証に記載されている称呼は、参考情報として記載されているにすぎないものであって、この情報に合議体の判断が拘束されるものでないことは明らかであるから、申立人の主張は失当であり採用できない。 (2)商標法第4条第1項第10号該当について 引用商標は、ドイツ国最大の保険・金融サービスグループを指称する標章として世界的に周知であるとしても、本件商標は、上記「3(1)」で述べたとおり、引用商標と別異な商標であって類似するとはいえない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第10号に違反して登録されたものではないから、その登録を維持すべきである。 よって、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2004-08-02 |
出願番号 | 商願2001-37964(T2001-37964) |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Y
(Z36)
T 1 651・ 262- Y (Z36) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 芦葉 松美 |
特許庁審判長 |
佐藤 正雄 |
特許庁審判官 |
宮川 久成 山本 良廣 |
登録日 | 2002-07-05 |
登録番号 | 商標登録第4582194号(T4582194) |
権利者 | アライアンス・キャピタル・マネジメント・エル・ピー |
商標の称呼 | アライアンスファンド、アライアンス |
代理人 | 中島 徹 |
代理人 | 鈴木 守三郎 |
代理人 | 斎藤 亜紀 |