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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 117
管理番号 1101454 
審判番号 無効2003-35252 
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-09-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-06-19 
確定日 2004-07-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第2724107号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2724107号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2724107号商標(以下「本件商標」という。)は、「CROCO KIDS」の欧文字を横書きしてなり、平成3年4月8日に登録出願され、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同10年6月26日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する商標
請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、下記の2件の登録商標を引用しており、いずれも、現に有効に存続しているものである。
(a)登録第571612号商標(以下「引用商標1」という。)は、後掲のとおりの構成よりなり、昭和34年4月27日に登録出願され、第36類「洋服、オーバーコート、レインコート、股引、脚袢、帽子、襯衣、ヅボン下、手袋、靴下、カラ、カフス、ネクタイ、襟巻、ガーター、腕止、巻ゲートル、手巾、装身用ピン」を指定商品として、同36年5月1日に設定登録されたものであり、指定商品及び商品の区分は、その後、平成14年6月12日に指定商品の書換登録により、第9類「事故防護用手袋」、第10類「医療用手袋」、第14類「ネクタイピン,宝石ブローチ」、第21類「家事用手袋」、第24類「布製身の回り品」、第25類「洋服,オーバーコート,レインコート,股引き,きゃはん,帽子,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,シャツ,じゅばん,ずぼん下,手袋,靴下,カラー,カフス,ネクタイ,えり巻き,ガーター,巻ゲートル」及び第26類「腕止め,衣服用ブローチ」となっている。
(b)登録第1444230号商標(以下「引用商標2」という。)は、「クロコ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和44年11月6日に登録出願され、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同55年11月28日に設定登録されたものであり、指定商品及び商品の区分は、その後、平成12年12月27日に指定商品の書換登録により、第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」となっている。

3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第108号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)「クロコダイル」ブランドの歴史と著名性について
「ワニの図形」と「Crocodile」の文字よりなる「クロコダイル」ブランドの基本商標は、1951年(昭和26年)ホンコンで登録され、1956年(昭和31年)に陳兄弟が、1971年(昭和46年)に同兄弟支配下のホンコンクロコダイル社が順次商標権者となり、個人または関連会社で、韓国、台湾、インド、シンガポール、マレーシアなど多数の国で同一または類似のクロコダイル商標が登録された。
日本においては、陳グループのうちシンガポールクロコダイル社が1961年(昭和36年)商標登録し(登録第571612号)、1963年(昭和38年)より、請求人が「クロコダイル」ブランドの「布帛シャツ、ニットシャツ」等の輸入販売を開始し、1969年(昭和44年)年請求人が日本国商標権に基づく専用使用権者(独占的ライセンシー)となり、製品は、すべて請求人の自社製造販売に切り替え、1979年(昭和54年)該日本国商標権を買い取り、日本国商標権者となった。
以後、日本においては、「クロコダイル」ブランドは、請求人により、独自に商品開発、製造、販売、また広く宣伝広告活動を実施し、独自のグッドウィルを形成して今日に至っている。そして、「クロコダイル」ブランドの知名度が増すに連れ、取引者間・需要者間では、これを単に「クロコ」とも略称されるようになり、この「クロコ」の呼称を商標権として権利化するため、請求人(当時は、専用使用権者)が原「クロコダイル」商標権者に依頼する形で、昭和44年11月6日出願、昭和55年11月28日に商標登録第1444230号「クロコ」として登録したものである。
この「クロコ」商標は、即、著名商標「クロコダイル」ブランドを指称する商標として、両者は、不即不離の関係にある著名な商標であり、「クロコダイル」ブランドのグッドウィルの化体した「クロコ」商標は、その欧文字「CROCO」についても同様に化体しており、共に「クロコダイル」ブランドとして認識されているものである。
「クロコダイル」商標が請求人の商標として、わが国で著名であることは、例えば、甲第11号証ないし甲第34号証に示す通りであり、「クロコ」商標が「クロコダイル」ブランドを指称するものとして、一般需要者にまで広く認識されていることは、例えば、甲第35号証ないし甲第37号証に示す通りである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「CROCO」及び「KIDS」の文字を約1文字程度の間隔を設けて横書きしたものであるところ、「KIDS」の文字が子供用ないし子供向けの商品や役務を指称するのに普通に使用される語であることは、周知の事実であり、この語がファッション商品、特に洋服について使用されるときは、ほぼ例外なく「子供服」と同義同等に用いられていることも顕著な事実であるから(甲第38号証ないし甲第108号証)、「KIDS」の部分は、商標の要部たり得ないものである。そして、「CROCO」の部分は、著名な「クロコダイル」ブランドを指称するものであるから、全体として「クロコダイルブランドの子供服」と理解されるものである。
このことは、実際にも、過去、大阪地区に店舗展開するディスカウントストア一「ベストワン」により、「CROCO KIDS」商標を使用した子供服が販売され、チラシには、「クロコダイルの子供服」と表示されていた事実が示す通りである(甲第10号証)。
したがって、本件商標は、「CROCO」の要部より、「クロコダイル」ブランド認識とともに「クロコ」の称呼を生じ、「クロコダイルブランド」の子供服の商標とみられるものであるから、その出所そのものの引用登録たるクロコダイルブランド基本商標(引用商標1)と「クロコダイルブランド」の認識を一にし、かつ、同略称商標(引用商標2)とは、「クロコ」の称呼を一にする類似商標である。
そして、両者の指定商品が抵触することは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し登録出来ないものである。
(3)商標法第4条1第項第10号について
請求人が日本国における専用使用権者(独占ライセンシー)となった昭和44年以降、請求人独自による商品開発、製造、販売、宣伝広告活動がなされた結果、日本国「クロコダイル」ブランドに請求人独自のグッドウィルが形成されたことは前述の通りである。このことは、平成5年(ワ)第7078号(平成8年5月30日大阪地裁「クロコダイル商標権侵害事件」)判決も支持している通りである。
したがって、請求人の努力によって獲得形成された請求人独自のグッドウィルを備えた引用商標に対して、本件商標は、前項で述べた類似の範囲を越えて新たに獲得されたグッドウィルの領域について、商標自体類似し、指定商品が抵触すること明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第15号について
前項判決は、請求人の「クロコダイル」ブランドには、日本国外「クロコダイル」商品の並行輸入も認められないほど、独自のグッドウィルが形成されていることを証しているものであるから、本件商標は、かかる独自のグッドウィルに裏打ちされた著名性を備えた請求人のクロコダイルブランドと混同を生ずること明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(5)商標法第4条第1項第19号について
クロコダイルブランドについての日本国における請求人独自のグッドウィルの形成に至る経緯は、先述の通りであり、香港クロコダイル社の経営権は、その後、陳兄弟から他人(本件商標権者)へ譲渡されており、陳一族は、シンガポール社及びその子会社マレーシア社を経営しているも、日本国クロコダイルブランドに類似した商標のシャツの並行輸入の差し止めを認めた先述の判決が判示するところは、陳一族から原香港クロコダイル社経営権の移転した第三者(本件商標権者)によるクロコダイル商標は、日本国で請求人によって独自に形成されたグッドウィルの化体したクロコダイル商標の類似商標として、日本国では使用できないとするものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する商標である。

4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の上記主張に対し何ら答弁していない。

5 当審の判断
本件商標と引用商標との類否について判断するに、本件商標は、前記したとおり、「CROCO」と「KIDS」の文字を結合したものと認められるところ、その構成中後半の「KIDS」の文字は、「子供」の意味をも有する英単語として知られており、「KIDS」或いは「Kids」の文字(語)は、その読みを表した「キッズ」の表記をもって、子供用ないしは子供向けの商品等を表すために、取引上も普通に使用されていることは、甲第38号証ないし同第108号証をまつまでもなく周知の事実ということができる。
そうすると、本件商標は、その指定商品に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、後半の「KIDS」の文字部分をその商品の用途、品質を表示するにすぎないものとして理解し、前半の「CROCO」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認識して、これより生ずる称呼をもって取引に当たる場合も決して少なくないと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「クロコキッズ」の一連の称呼を生ずるほか、「CROCO」の文字部分に相応して、単に「クロコ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
これに対して、引用商標2は、前記のとおり、「クロコ」の文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して、「クロコ」の称呼を生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用商標2とは、「クロコ」の称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、請求人のその余の主張について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 <後掲>
登録第571612号商標


審理終結日 2004-02-23 
結審通知日 2004-02-26 
審決日 2004-03-09 
出願番号 商願平3-36061 
審決分類 T 1 11・ 26- Z (117)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大渕 敏雄佐藤 正雄 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 高野 義三
茂木 静代
登録日 1998-06-26 
登録番号 商標登録第2724107号(T2724107) 
商標の称呼 クロコキッズ、クロコ 
代理人 武石 靖彦 
代理人 関根 秀太 
代理人 村田 紀子 

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