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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 132
管理番号 1099893 
審判番号 取消2003-30915 
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-08-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-07-11 
確定日 2004-06-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第2563412号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2563412号商標の指定商品中「肉製品,加工水産物,加工野菜および加工果実,カレーライスのもと,スープのもと,シチューのもと,ふりかけ,お茶づけのり,乾燥卵,すし,べんとう,サンドイッチ,およびこれらに類似する商品,卵,果実,野菜(砂糖きび・てんさい・茶の葉・コーヒー豆を除く。)」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2563412号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成2年12月26日登録出願、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(加工穀物及び他の類に属する商品を除く)」を指定商品として、同5年7月30日に設定登録され、その後、同15年7月29日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。

第2 請求人の主張(要旨)
1 審判請求時の請求の趣旨及び請求の理由
請求人は、平成15年7月11日付けの審判請求書に「請求の趣旨」として、「本件商標の指定商品中『肉製品,加工水産物,加工野菜および加工果実,カレーライスのもと,スープのもと,シチューのもと,ふりかけ,お茶づけのり,卵,乾燥卵,果実,野菜(砂糖きび・てんさい・茶の葉・コーヒー豆を除く。),すし,べんとう,サンドイッチ,およびこれらに類似する商品』についての登録を取り消す。」との審決を求めると申し立て、その理由として、本件商標は、その指定商品中上記商品について、継続して3年以上使用した事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきであると主張し、証拠方法として、甲第1号証(本件商標の登録原簿写し)及び甲第2号証(商標公報写し)を提出した。
2 答弁に対する弁駁及び請求の趣旨の補正
(1)答弁に対する弁駁
被請求人は、本件審判の請求の趣旨の記載中、「これらに類似する商品」とはいかなる商品を指しているものか明確でないから、本件審判の請求は、却下されるべきである旨主張する。
しかし、請求人が本件審判において取消を求めている指定商品のうち、「肉製品,加工水産物,加工野菜および加工果実,カレーライスのもと,スープのもと,シチューのもと,ふりかけ,お茶づけのり,卵,乾燥卵,果実,野菜(砂糖きび・てんさい・茶の葉・コーヒー豆を除く。),すし,べんとう,サンドイッチ」は、いずれも、「特許庁商標課編「商品区分」に基づく類似商品審査基準(改訂版)」においてその類似範囲が明確に示されているのであるから、被請求人は、上記商品について、本審判請求の登録前3年以内の本件商標の使用を立証すれば足りるのである。
また、「これらに類似する商品」の「これら」とは「肉製品,加工水産物,加工野菜および加工果実,カレーライスのもと,スープのもと,シチューのもと,ふりかけ,お茶づけのり,卵,乾燥卵,果実,野菜(砂糖きび・てんさい・茶の葉・コーヒー豆を除く。),すし,べんとう,サンドイッチ」を指定しており、上述したように、これらの指定商品の類似範囲は、「特許庁商標課編「商品区分」に基づく類似商品審査基準(改訂版)」に明確に示されており、上記指定商品「これらに類似する商品」がこの類似範囲に包含されることは当然のことである。
(2)請求の趣旨の補正
請求人は、前記1の請求の趣旨について、平成16年1月28日付け手続補正書をもって、「本件商標の指定商品中『肉製品,加工水産物,加工野菜および加工果実,カレーライスのもと,スープのもと,シチューのもと,ふりかけ,お茶づけのり,乾燥卵,すし,べんとう,サンドイッチ,およびこれらに類似する商品,卵,果実,野菜(砂糖きび・てんさい・茶の葉・コーヒー豆を除く。)』についての登録を取り消す。」と補正するとともに、補正前の請求の趣旨と補正後の請求の趣旨は、実質的範囲に変更はなく、要旨を変更するものではない旨述べた。

第3 被請求人の答弁(要旨)
被請求人は、「本件審判の請求を却下する、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。
1 本件審判の請求は、その趣旨において、「およびこれらに類似する商品」について登録を取り消すとの審決を求めているが、「これらに類似する商品」とは、いかなる商品を指しているものか明確でない。
明確でない商品について、取消しの審判を請求がなされても、答弁をすることは困難であるから、本件審判の請求は、却下されるべきである。
よって、本件審判の請求は、請求の趣旨が不明瞭であるから、商標法第56条で準用する特許法第135条の規定により却下されるべきである。
2 商標法第56条において準用する特許法第131条第2項の規定により、請求書の補正は、その要旨を変更するものであってはならないところ、平成16年1月28日付け手続補正書をもってした補正は、請求の趣旨について要旨を変更するものである。

第4 当審の判断
1 「これらに類似する商品」について
被請求人は、請求に係る指定商品中の「これらに類似する商品」の範囲は不明確であるから、本件審判の請求は、却下されるべきである旨主張し、また、請求人は、請求の趣旨を審判請求当初に取消を求めた「肉製品,加工水産物,加工野菜および加工果実,カレーライスのもと,スープのもと,シチューのもと,ふりかけ,お茶づけのり,卵,乾燥卵,果実,野菜(砂糖きび・てんさい・茶の葉・コーヒー豆を除く。),すし,べんとう,サンドイッチ,およびこれらに類似する商品」(以下「当初の請求商品」という。)を、「肉製品,加工水産物,加工野菜および加工果実,カレーライスのもと,スープのもと,シチューのもと,ふりかけ,お茶づけのり,乾燥卵,すし,べんとう,サンドイッチ,およびこれらに類似する商品,卵,果実,野菜(砂糖きび・てんさい・茶の葉・コーヒー豆を除く。)」(以下「補正後の請求商品」という。)と補正したものである。
そこで、本件請求に係る指定商品中の「これらに類似する商品」の範囲が不明確であるか否かについて検討し、その上で、被請求人のした請求の趣旨の補正が要旨の変更に当たるものであるか否かについて検討する。
(1)当初の請求商品は、上記したとおり、「肉製品,加工水産物,加工野菜および加工果実,カレーライスのもと,スープのもと,シチューのもと,ふりかけ,お茶づけのり,卵,乾燥卵,果実,野菜(砂糖きび・てんさい・茶の葉・コーヒー豆を除く。),すし,べんとう,サンドイッチ,およびこれらに類似する商品」であるところ、その指定商品中「これらに類似する商品」とは、「肉製品,加工水産物,加工野菜および加工果実,カレーライスのもと,スープのもと,シチューのもと,ふりかけ,お茶づけのり,卵,乾燥卵,果実,野菜(砂糖きび・てんさい・茶の葉・コーヒー豆を除く。),すし,べんとう,サンドイッチ」(以下「積極表示商品」という。なお、「積極表示商品」は、補正前と補正後では変更がない。)に類似する商品であることは、その記載から明らかである。
(2)そこで、積極表示商品の類似範囲がどこまで及ぶのかについてみるに、平成3年政令299号による改正前の商標法施行規則別表第32類(該「別表」に掲げられている類(商品区分)については、以下「旧」の文字を付す。)は、主として生鮮食料品とこれを加工した食料品をまとめた類であって、大概念として「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く。)」が掲げられてるところ、そのうちの「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実」は、それぞれ生鮮食料品を原材料、生産・流通系統を中心として概念分けされ、また、「加工食料品(他の類に属するものを除く。)」は、その表示から明らかなように、旧第28類から旧第31類までに属する商品の大部分と旧第33類に属する一部の商品以外の他の加工食料品一切を包括した概念であると解される。
また、上記「加工食料品(他の類に属するものを除く。)」の範疇に属する商品には、生鮮食料品を加工した商品群である「肉製品」、「加工水産物」、「加工穀物」、「加工野菜および加工果実」とそれ以外の種々雑多な加工食料品が含まれる「その他の加工食料品」とが掲げられているところ、「肉製品」、「加工水産物」、「加工穀物」、「加工野菜および加工果実」は、それぞれ原材料、生産・流通系統を中心として商品群を構成しているものである。
さらに、施行規則別表をもとに作成された類似商品審査基準〔改訂版〕(昭和61年3月28日 改訂第6版)は、商品の原材料、用途、生産者、取引系統等を共通にする場合が多い商品をまとめ、いわゆる短冊で括られた商品群を類似の商品と推定しているところ、積極表示商品の類似商品は、上記類似商品審査基準によって、いわゆる短冊で括られた商品群を類似の商品と推定するというのが相当である。
(3)ところで、不使用の登録商標に対して排他的独占的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し、かつ、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭める結果となるから、請求により、このような商標登録を取り消そうとするのが不使用取消の審判制度の趣旨であると解すべきであるところ、新たに商標登録出願するにあたり、他人の登録商標の存在により当該出願が商標法第4条第1項第11号の規定によりその登録が阻害されるような場合、当該他人の商標登録中、不使用に係る指定商品又は指定役務(本件においては、以下「指定商品」のみに限っていう。)の取消しを求める際に、上記第4条第1項第11号の規定からして、不使用に係る指定商品及びこれに類似する商品のすべてを取り消さない限り、当該出願の登録は可能ではなく、かつ、法第50条に基づく取消審判請求の有効性は失われることになる。
一方、取引市場には、多種多様な商品が出回っているところ、施行規則別表ないし類似商品審査基準には、例示されていない商品が多数存在することは、上記取引の実際に照らし明らかである。そうすると、施行規則別表ないし類似商品審査基準に例示されていない個々具体的な商品を逐一列挙して、取消しの対象商品として掲げても、類似の商品が残存する可能性があり、不使用取消審判を請求する根拠となった当該出願の法第4条第1項第11号該当性は、依然として解消されないこととなるから、単品の商品に類似する商品が存在しないことが明らかでない限り、個別商品に「これ(ら)に類似する商品」を付加した表示方法を採ることにより、商標法上類似する商品の範囲を特定し、不使用による取消審判請求の効果をより有効なものとするということができる。
(4)前記(1)ないし(3)を総合すれば、本件請求に係る指定商品中、「これらに類似する商品」の範囲は、不明確なものとはいえないから、被請求人の上記主張は、採用することはできない。
(5)補正後の請求商品は、積極表示商品の全ての商品に及んでいた「これらに類似する商品」の表示を、「肉製品,加工水産物,加工野菜および加工果実,カレーライスのもと,スープのもと,シチューのもと,ふりかけ,お茶づけのり,乾燥卵,すし,べんとう,サンドイッチ」に限定し、その余の「卵,果実,野菜(砂糖きび・てんさい・茶の葉・コーヒー豆を除く。)」については「これらに類似する商品」が付加されていないものである。
前記したとおり、類似商品審査基準によって、いわゆる短冊で括られた商品群を類似の商品と推定するという考え方に従えば、短冊内に例示された商品は、すべて類似の商品と推定できるのであり、かつ、類似商品審査基準に例示されていない商品を含めて、短冊部分において代表的、あるいは概念的に記載された商品の表示により、類似の商品が包括的に表示されるとみるべきであるから、短冊部分において代表的、あるいは概念的に記載された商品の表示のみをもって、これを請求に係る指定商品としても、あるいは短冊部分において代表的、あるいは概念的に記載された商品の表示に「これらに類似する商品」の表示を付加して、これを請求に係る指定商品としても、いずれの請求に係る指定商品の表示もその範囲は実質的に同一の範囲のものということができる。
そして、当初の請求商品及び補正後の請求商品における積極表示商品は、短冊部分において代表的、あるいは概念的に表示された商品と認められるから、その商品表示のみであっても、その商品表示に「これらに類似する商品」の表示を付加しても、商品の範囲は実質的に変わるものではない。
そうすると、補正後の請求商品は、請求の趣旨の要旨を変更したものと認めることはできない。
2 使用の事実
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項に規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、または使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れないところ、被請求人は、前記第3のとおりの主張をするのみであって、その指定商品についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、その指定商品中、請求に係る指定商品(補正後の請求商品)についての登録を取り消されてもやむを得ないといわざるを得ない。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、その指定商品中の「肉製品,加工水産物,加工野菜および加工果実,カレーライスのもと,スープのもと,シチューのもと,ふりかけ,お茶づけのり,乾燥卵,すし,べんとう,サンドイッチ,およびこれらに類似する商品,卵,果実,野菜(砂糖きび・てんさい・茶の葉・コーヒー豆を除く。)」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標


審理終結日 2004-04-21 
結審通知日 2004-04-23 
審決日 2004-05-10 
出願番号 商願平2-144445 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (132)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 薫柴田 良一 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 津金 純子
内山 進
登録日 1993-07-30 
登録番号 商標登録第2563412号(T2563412) 
商標の称呼 シュウスイ 
代理人 藤井 信行 
代理人 中村 政美 
代理人 藤井 重男 
代理人 藤井 信孝 

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