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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025 |
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管理番号 | 1099867 |
審判番号 | 取消2003-30086 |
総通号数 | 56 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-08-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2003-01-23 |
確定日 | 2004-06-18 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4146360号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4146360号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4146360号商標(以下「本件商標」という。)は、「VANESSA」の欧文字を横書きしてなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,和服」を指定商品として、平成9年1月29日に登録出願、同10年5月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。 1 請求理由 本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品について使用した事実が存しない。 2 答弁に対する弁駁 被請求人は、市田株式会社(以下「市田」という。)が平成10年9月23日に、本件商標を付した「コート、シャツ、パンツ」を販売したと述べているが、下記の点で本件商標の使用事実を証明できていない。 (1)市田が、本件商標を付した「コート、シャツ、パンツ」を販売したとする平成10年9月23日は、本件審判の請求の登録日(平成15年2月19日)より過去3年を超過している。 (2)乙第3号証には、市田が東京都立産業貿易センター台東館(以下「産業貿易センター」という。)における「市田株式会社ファミリーセール」(以下「本件販売会」という。)で販売したとされるショートコート等の写真が貼付されているが、本件商標の使用事実については明らかではない。 (3)被請求人は、本件販売会に来場して本件商標を付した商品を購入した人を証人として申請しているが、その証明がされておらず、本件商標の使用事実について明らにされていない。 (4)乙第7号証及び乙第8号証には、株式会社三喜(乙第7号証及び乙第8号証の右上には、「株式会社三景」の表記があるので、「株式会社三景」の誤りか。)が作成したとされるタグの写真が添付されているが、これらは、いつ作成されたものであるか不明であり、本件商標の使用事実について明らかにされていない。 (5)乙第9号証の「利用目的」欄には、「社員のための販売会」との記載があり、本件販売会は、その対象を社員に限定したものであることが理解され、このような販売行為は、商標法第50条で定める「商標の使用」とはいえない。 すなわち、登録商標は、これを使用した商品が流通過程におかれ、商標としても機能を果たしてこそ、保護されるべきものである。しかるに上記のような、社員に限定した本件販売会における登録商標の使用は、商標としても機能を果たすことができる状態での使用とはいえない。 3 以上述べたとおり、被請求人には、本審判請求の登録前3年以内に登録商標の使用をした事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番を含む。)を提出した。 1 答弁の理由 (1)本件商標は、商標権者を市田として平成9年1月29日に登録された(乙第2号証)が、同14年8月30日に現商標権者(被請求人)に移転された。 (2)前商標権者である市田は、一般の人を対象に、平成10年9月23日に産業貿易センター(東京都台東区花川戸2-6-5)で本件販売会を開催した。本件販売会の開催にあたっては、宣伝用のダイレクトメールを約15,000〜20,000通発送し、約1,500名が来場した。 (3)本件販売会で、本件商標を付した「ショートコート」を埼玉県川口市本町に所在の小林一夫に、また、同じく「シャツ(ベロア タートル)」及び「パンツ(ベロア パンツ)」を千葉県市川市八幡に所在の中島広子に販売した(乙第5号証及び乙第6号証)。 上記「ショートコート、シャツ(ベロア タートル)及びパンツ(ベロア パンツ)」付されているタグに表示された「Vanessa」は、書体のみに変更を加えたものや同一の称呼を生じるものなど、登録商標と社会通念上同一と認められるものは登録商標の使用と認められるとする商標法第50条からすれば、本件商標の使用といえる。 (4)本件商標を付したタグは、株式会社三喜サン企画事業部に依頼して作成した(乙第7号証及び乙第8号証、なお、これらの証拠には、「株式会社三景 サン企画事業部」との記載がある。)。 例えば、乙第7号証のNo.1612の下げ札は、上着の左袖口に付けるものである。同No.1605は、ショートコートやジャケットなど比較的大きな上物に付ける。同No.1606は、シャツなどに付ける。同No.1607は、スカートやパンツ等に付ける。同No.1608は、吊り下げテープで、スカートやパンツの吊り下げのために付ける。 2 審尋に対する回答 本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が使用されていた事実を立証する証拠の提出に関して (1)答弁の理由中の誤記について 答弁の理由中、産業貿易センターにおける販売会の期日を「平成10年9月23日」としたが、これは、「平成12年9月23日」の誤記である(乙第9号証及び乙第10号証の2及び3)。 (2)証拠資料の補充 乙第9号証は、本件販売会の会場となった産業貿易センターを利用するための利用申請書である。該申請書の1頁には、会場の利用目的や期間、使用料等が記載してあり、産業貿易センターの受付印が「平成12年8月11日」となっている。 乙第10号証の2及び3は、本件販売会での商品管理のための伝票であって、市田の営業管理部業務管理課課長の池邨均が証明した(乙第10号証の1)。 すなわち、市田は、本件販売会で販売する商品を会場へ搬入する際に、2000年9月19日付けで「委託伝票」を発行した(乙第10号証の2)。委託伝票の記載にあるように、本件商標「バネッサ」を付した「スカート15枚」及び「ブラウス1枚」を会場へ搬入した。 また、市田は、本件販売会で売れ残った商品を市田へ戻す際に、2000年9月26日付で「委託戻り伝票」を発行した(乙第10号証の3)。例えば、上記の商品に関していえば、本件商標を付した「スカート9枚」及び「ブラウス1枚」が売れ残ったため、市田へ戻した。 3 以上のとおり、本件商標の前商標権者である市田は、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「コート、シャツ、パンツ」について使用していることが証明される。 第4 当審の判断 1 本件商標の商標権について、その権利者が市田から株式会社山本定(被請求人)に移転されたこと及び商標の使用者が上記市田であることについては、請求人は争うことを明らかにしていない。 そこで、市田が本件商標を請求に係る指定商品のいずれかに、本件審判の請求の登録前3年以内に使用していたか否かについて検討する。 2 乙第3号証ないし乙第10号証(枝番を含む。)によれば、次の事実が認められる。 (1)乙第3号証は、平成15年5月6日付けの有限会社アイスタジオの従業員である伊藤東の証明書であるところ、証明内容の概略は、該証明書に添付した「ショートコート、シャツ(ベロア タートル)、パンツ」の各写真は、被請求人の代理人の依頼により、平成15年4月30日に撮影したものであるというものである。そして、写真のショートコートには筆記体で書された「Vanessa」の文字が、シャツには筆記体で書された「vanessa」の文字が、また、パンツには筆記体で書された「Vanessa」及び「vanessa」の各文字が表示されている。 (2)乙第4号証は、衣服、靴を身につけた女性の写真2葉であるところ、いずれの写真にも、その下部に、筆記体で書された「Vanessa」の文字と活字体で書された「LIVITIS ICHIDA」の文字が表示されているが、撮影年月日若しくは作成年月日は不明である。 (3)乙第5号証及び乙第6号証は、「証明願兼証明書」であるところ、いずれも平成15年5月15日に市田がその顧客に対し行った証明願い、及び該証明願いに対する顧客の証明書であって、証明願いの内容の趣旨は、市田が2000年(平成12年)9月23日に産業貿易センターで開催した本件販売会において、顧客が購入した商品(商品の写真を添付)とそれに「VANESSA」商標が付されていたことについてであり、これに対する証明書中、乙第5号証は、同15年5月15日に埼玉県川口市本町に所在の小林一夫が本件販売会において、「ショートコート」を購入し、それには「VANESSA」商標が付されていたことを証明したものであり、また、乙第6号証は、同15年5月14日に千葉県市川市八幡に所在の中島広子が本件販売会において、「ベロア タートル及びベロア パンツ」を購入し、それには「VANESSA」商標が付されていたことを証明したものである。 なお、添付の写真は、乙第3号証に添付された「ショートコート、シャツ(ベロア タートル)、パンツ」の各写真と同一のものである。 (4)乙第7号証及び乙第8号証は、「株式会社三景 サン企画事業部」が作成した書類と認められるところ、前者には、筆記体で書された「Vanessa」又は「vanessa」の文字、若しくは「バネッサ」の文字を表示した下げ札及び織りネームが掲載されている。また、後者は、乙第7号証に掲載された下げ札及び織りネームを梱包した写真が掲載されている。しかし、これらの作成年月日は不明である。 (5)乙第9号証は、平成12年8月11日付けで市田が東京都労働経済局長に対し申請した「東京都立産業貿易センター展示室利用申請書」であり、同日に受け付けられたものであるところ、その1頁には、「催物名/ファミリーセール」、「利用目的/社員福祉のための販売会」などの記載がある。また、同2頁には、「利用者/市田(株)きもの東京事業部」、「従業員(組合員)/600人」、「業種/繊維卸」、「業態/卸売」、「形態/非公開」、「利用期間/9月23日〜 月 日(1日間)」などの記載がある。 (6)乙第10号証の1は、市田の営業管理部業務管理課課長の池邨均による平成15年5月16日付け証明書であるところ、その内容は、乙第10号証の2及び3の伝票が原本に相違ないことを証明したものである。 乙第10号証の2は、市田のライフスタイル事業部が東京都千代田区一番町12に所在の社員販売会(東京)に宛てた2000年(平成12年)9月19日付け委託伝票であるところ、「品名 規格」の「バネツサ/スカート」欄には「数量明細/15」の記載があり、「品名 規格」の「バネツサ/ブラウス」欄には「数量明細/1」の記載がある。 乙第10号証の3は、市田のライフスタイル事業部が東京都千代田区一番町12に所在の社員販売会(東京)に宛てた2000年(平成12年)9月26日付け委託戻り伝票であるところ、「品名 規格」の「バネツサ/スカート」欄には「数量明細/9」の記載があり、「品名 規格」の「バネツサ/ブラウス」欄には「数量明細/1」の記載がある。 3 前記2で認定した事実及び答弁の理由によれば、市田は、筆記体で書された「Vanessa」若しくは「vanessa」の商標を表示した「ショートコート、シャツ(ベロア タートル)、パンツ」を取り扱っていたこと、及び平成12年9月23日に産業貿易センターで、「社員福祉のための販売会」と称する本件販売会を開催したことが窺われる。 しかしながら、以下の理由により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、市田が「ショートコート、シャツ、パンツ」について、「Vanessa」若しくは「vanessa」の商標を使用していたと認めることは困難であるといわざるを得ない。 (1)被請求人は、答弁の理由で、平成12年9月23日に市田が産業貿易センターで開催した本件販売会について、「一般の人を対象に」と述べているが、上記したように、本件販売会は、社員のための販売会で非公開で行われたものであることが認められる(乙第9号証、乙第10号証の2及び3)。 そうすると、本件販売会は、一般的な消費者を対象としたものではなく、本件販売会で取り扱われた商品は、市田の社員という特定の者のみを対象に販売されたものであり、一般市場の流通に供することを目的とした商品であるとにわかには認めることはできない。 (2)本件販売会において、埼玉県川口市の所在の小林一夫は、「VANESSA」商標が付された「ショートコート」(添付写真と同種のもの)を購入し、また、千葉県市川市に所在の中島弘子は、「VANESSA」商標が付された「ベロア タートル及びベロア パンツ」(添付写真と同種のもの)を購入したことを証明している(乙第5号証及び乙第6号証)が、該「ベロア タートル及びベロア パンツ」が本件販売会で販売されたと客観的に認められる証拠の提出はなく、かえって、本件販売会に搬入された「バネツサ」なる商標が付された商品は、「スカート」が15着、「ブラウス」は1着であることが認められ、そのうちの「ブラウス」は売れ残ったことが認められる(乙第10号証の2及び3、該「スカート、ブラウス」に、本件商標ないし本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されていたか否かは、提出された証拠から把握することができない。)。 また、乙第6号証は、平成15年5月15日に市田が証明願いをしているにもかかわらず、証明者は同15年5月14日に証明をしていることなどが認められる。 そうすると、乙第5号証及び乙第6号証の証明書は、市田の作成した証明願いに対し、証明者が画一的に証明をしたにすぎないものと推測され、その証明内容に疑問の余地があるといわざるを得ない。 (3)他に、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、市田が請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標ないし本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したと客観的に認めるに足る的確な証拠の提出はない。 なお、被請求人は、乙第5号証及び乙第6号証における証明者を含む者について、証人尋問の申請をしているが、上記証明書に記載された証明内容以上に使用の事実が明らかになることは期待できないし、提出に係る書証により、前記のとおり判断され得るものであるから、証人尋問は行わないこととした。 4 以上のとおり、被請求人は、前商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標を使用していたことを証明したと認めることはできない。また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-04-19 |
結審通知日 | 2004-04-21 |
審決日 | 2004-05-07 |
出願番号 | 商願平9-8489 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(025)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 福島 昇 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
高野 義三 茂木 静代 |
登録日 | 1998-05-15 |
登録番号 | 商標登録第4146360号(T4146360) |
商標の称呼 | バネッサ |
代理人 | 太田 明男 |
代理人 | 岡田 英彦 |
代理人 | 犬飼 達彦 |
代理人 | 石岡 隆 |
代理人 | 福田 鉄男 |