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審決分類 審判 判定 その他 属する(申立て成立) 106
管理番号 1098728 
判定請求番号 判定2004-60007 
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2004-07-30 
種別 判定 
2004-01-30 
確定日 2004-06-18 
事件の表示 上記当事者間における登録第2475665号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「建築用の金属製専用材料,陶磁製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,ゴム製の建築用の専用材料,木材」に使用する(イ)号標章は、登録第2475665号商標の商標権の効力の範囲に属する。
理由 第1 本件商標
本件登録第2475665号商標(以下「本件商標」という。)は、商標の構成を後掲(1)のとおり、「APITA」のレタリングされた欧文字よりなり、指定商品を第7類「建築または構築専用材料、セメント、木材、石材、ガラス」として、平成2年5月29日に登録出願され、平成4年11月30日に商標権の設定登録がされたものである。
その後、当該商標権は、平成15年3月25日に存続期間の更新登録がされており、また、指定商品については、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建造物組立てセット」、第9類「加工ガラス(建築用のものを除く。)」、第11類「便所ユニット,浴室ユニット」、第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),土砂崩壊防止用植生板,窓口風防通話板,区画表示帯,セメント及びその製品,木材石材,建築用ガラス」、第21類「ガラス基礎製品(建築用のものを除く。)」として、平成15年7月16日に指定商品の書換登録がされているものである。

第2 イ号標章
被請求人が商品「建築用の金属製専用材料,陶磁製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,ゴム製の建築用の専用材料,木材」について使用する標章として、請求人が示すイ号標章は、後掲(2)のとおり、「アビタ」の片仮名文字よりなるものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第64号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 判定請求の必要性
請求人は、請求にかかる本件商標の商標権者であるが、被請求人が商品「建築用の金属製専用材料,陶磁製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,ゴム製の建築用の専用材料,木材」に「イ号標章」を使用していること(甲第45号証他)について、平成15年9月1日、被請求人に対し本件商標の商標権に抵触する可能性がある旨の通知を発した(甲第63号証)ところ、本件商標権に対して先使用の通常使用権があること等を理由にして、同月4日に当該商標権に抵触するものとは考えられない旨回答している(甲第6 4号証)。そこで、請求人は、本件商標の商標権の効力について、本判定を求める次第である。
2 イ号標章の使用について
被請求人は、平成1年9月頃より、店舗名「ホームセンターアビタ」(広島市佐伯区隅の浜)において、商品「建築用の金具製専用材料,陶磁製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,ゴム製の建築用の専用材料,木材」についてイ号標章の使用を開始し、その後も使用継続して現在に至っている。(甲第28号証ないし甲第60号証)
3 本件商標の使用について
請求人は、本件商標を昭和60年以降、大型スーパーマーケットのチェーン店舗名称及びチェーン店舗を中核に据えた大型商業施設の名称として使用している。その店舗数は、甲第61号証のホームページによって明らかなように71店舗であって、その店舗の殆ど全てで商品「建築用専用材料等」を販売している。また、アピタ稲沢店では、ホームセンター「ユーホー」が営業するなど、ホームセンター事業にも関わって使用している(甲第62号証)。そして、本件商標は、請求人が永年使用した結果、遅くとも、被請求人に対し前記通知(甲第63号証)を発した平成15年9月1日頃までには、中部地方を中心に業務に係る商品を表示するものとして、需要者間に広く認識されるに至ったものである。これに対して、イ号商標が広島市を中心とする一定の地域における販売であったとしても、インターネットを通じて全国的に使用されている現状(甲第28号証ないし甲第44号証)を踏まえれば、その営業地域は中部地方にも及ぶのである。
4 イ号標章が商標権の効力の範囲に属することについて
本件商標は、「APiTA」の文字を横書きしてなるものであるから、「アピタ」の称呼が生ずる。そして、「APITA」の綴りに該当する欧文字が見当たらないことからすると、無観念の造語だと思われる。一方、イ号標章は、「アビタ」の文字から「アビタ」の称呼が生ずるものである。
そこで、本件商標の称呼「アピタ」とイ号標章の称呼「アビタ」とを対比すると、両者は、3音中第1音、第3音において「ア」、「夕」を共通にし、第2音で「ピ」と「ビ」の相違を有するにすぎない。しかして、当該相違音「ビ」と「ビ」は、共に母音(i)を共通にする両唇破裂音であり、異なるところは無声音と有声音の微差にすぎない近似音であるから、両者は、調音方法を同じくするので称呼類似であるといわざるを得ない。
そうすると、本件商標とイ号標章とは、外観が相違し、観念の対比ができないものであっても、称呼が類似する商標であるから、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。
そして、本件商標にかかる指定商品中第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料」、第19類「陶磁製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,木材」とイ号標章の使用商品「建築用の金属製専用材料,陶磁製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,ゴム製の建築用の専用材料,木材」とは類似の商品である。
5 まとめ
以上のとおり、イ号標章は本件商標と類似する標章であり、その使用商品と指定商品も類似する商品であるから、被請求人が商品「建築用の金属製専用材料,陶磁製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,ゴム製の建築用の専用材料,木材」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の範囲に属するものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件判定請求について、答弁しない。

第5 当審の判断
本件商標は、後掲(1)のとおり、レタリングされているとしても、その綴りを「APiTA」の欧文字により表したものである容易に看取され、それに相応して「アピタ」の称呼を生ずるものである。そして、その綴りをもって我が国において馴染まれ知られている外国語であるともいい得ないから、特定の意味を観念できない。これに対し、イ号標章は、後掲(2)のとおり、ややレタリングされた「アビタ」の片仮名文字よりなるから、これより「アビタ」の称呼を生ずること明らかであり、また、特定の意味合いを生ずるものともいえないものである。
そこで、本件商標より生ずる「アピタ」と、イ号標章より生ずる「アビタ」の称呼とを比較するに、両称呼は共に3音構成よりなり、そのうちの第1音「ア」と第3音「タ」の音を同じくし、その中間音である第2音において「ピ」と「ビ」の差異を有するものである。しかし、その差異音は、母音を共通にするうえに、その子音も共に両唇で調音する破裂音であって、その調音方法を同じくするものであることからすれば、この音の差異が両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものであり、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調語感が近似し、彼此相紛れるおそれのある程度のものといわなければならない。そして、 当該商品に付された商標より生じる称呼を記憶し、これにより取引にあたる場合も決して少なくないというべきであって、両者間においてこれを否定し得る実情も見出せない。
してみれば、本件商標とイ号標章とは、共に特定の意味合いを有しないものであって、観念上識別し得るものではなく、このほか、外観上の差異を考慮するとしてもなお、両者はその称呼において類似の商標というべきであるから、イ号標章を「建築用の金属製専用材料,陶磁製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,ゴム製の建築用の専用材料,木材」に付して使用するときは、取引者、需要者をして、イ号標章と本件商標との間における商品の出所について誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、イ号標章は、本件商標に類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品中に含まれる商品「建築用の金属製専用材料,陶磁製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,ゴム製の建築用の専用材料,木材」についての使用とするならば、当該商標権の効力の範囲に属するものである。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 <後掲>
(1) 本件商標




(2) イ号標章


判定日 2004-06-08 
出願番号 商願平2-60582 
審決分類 T 1 2・ 9- YA (106)
最終処分 成立  
前審関与審査官 沖 亘佐藤 正雄 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 椎名 実
高野 義三
登録日 1992-11-30 
登録番号 商標登録第2475665号(T2475665) 
商標の称呼 アピタ、エピタ 
代理人 三宅 始 

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