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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 121
管理番号 1098321 
審判番号 取消2002-31203 
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2002-10-15 
確定日 2004-05-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第1459825号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1459825号商標(以下「本件商標」という。)は、「BORSALINO」の欧文字と「ボルサリノ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、第21類「ベルト、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和52年1月27日登録出願、同56年4月30日に設定登録され、その後、平成3年9月27日及び同13年5月15日の2回にわたり、商標権存続期間の更新登録がなされたものである。また、指定商品については、平成14年5月22日に、第14類「貴金属製のがま口・財布・コンパクト,身飾品,宝玉及びその模造品」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」及び第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」とする書換の登録がなされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧品入れ」についての登録を取り消す、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
1 請求理由
本件商標は、その指定商品中、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧品入れ」については、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても継続して3年以上日本国内において使用されていない。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証の成立は認めるが、乙第2号証ないし乙第8号証は認めない。
(2)乙第2号証ないし乙第4号証について
ア.これらの文書(英文INVOICE(写))には、「INVOICE」なる表示は見当たらない上、輸出国又は輸入国の税関の認証等がないから、これらをINVOICEであるとすることはできない。したがって、ここに記載の貨物が日本に輸入された事実はなかったものと認められる。
被請求人がこれらの文書に基づいてこれらの貨物を日本国に輸出したのが事実であれば、当時の通関の事実を証明する書証を所持しているはずであるのに、その書証が提出されていないのは、日本国に輸入された事実がないことの証左である。
イ.これらの文書の内容から、この文書は見積書(ESTIMATE)にすぎないもののようにも見られる。そうであれば、この文書は外国で発行されたものであるから、これを本件商標の日本国における使用の証拠と認めることはできない。
ウ.被請求人は、これらの書証のDESCRIZIONE欄に記載された、「Small leather line」なる商品が「革製名刺入れ」等であると主張しているが、「Small leather line」は明らかに「細い革製の紐」の意である。
これらは、「革製名刺入れ」等の「ストラップ」あるいは「革ひも」であるかも知れないが、これらの商品そのものが「革製名刺入れ」等であるとは到底認めることはできない。
これらの書証中の上記商品以外の他の商品は、「Ladies smoothed fur felt hat」、「Ladies gloves」等と中学生でも容易に理解できる易しい英語で、記載されているのに対し、「Small leather line」に限って、他の商品とは異なって、字義通りではなく、乙第5号証に記載の如き商品であるとすることは、到底理解し得ないことである。
仮に、上記商品が、乙第5号証に記載の商品、例えば「Combined visiting card and credit card holders made of leather」、「Wallets made of leather」などであるならば、これらの書証に何故そのように記載しなかったのか、その根拠を説明し得る合理的な理由は存在しない。
ごくまれに見積照会あるいは取引をしたにすぎない遠国の業者が、「Small leather line」なる商品が「Combined visiting card and credit card holders made of leather」、「Wallets made of leather」などであると理解することは通常は不可能である。
彼らにそのように理解させるためには、当然そのようなことを記載したカタログ若しくは説明書などの印刷物の頒布が必要であるが、そのような書証は示されていない。そのような印刷物は存在しなかったのであろう。
エ.仮にこれらのINVOICEなるものにより、乙第5号証に記載の貨物が輸入された場合、輸入空港における税関が、貨物の実態と相違するこのような記載を看過することもあり得ないものである。
したがって、乙第2号証ないし乙第4号証の書面に基づいて、日本国に何らかの貨物の輸入が行なわれたとは認められない。
オ.被請求人が主張するところのINVOICEに表示された「BORSALINO」は、本件商標の態様と異なるものである。
(3)乙第5号証は、私文書にすぎず、その出典も明らかでなく、信憑性がないから、これを採用することはできない。
(4)被請求人は、オーロラ株式会社(以下「オーロラ社」という。)が本件商標の通常使用権者であるかのように述べているが、本件商標については、使用権者に係る登録は何らなされておらず(乙第1号証)、したがって、オーロラ社を本件商標の通常使用権者と認めることはできないから、本件商標を付した商品をオーロラ社が販売したとしても、通常使用権者による使用とは認められない。
(5)乙第6号証ないし乙第8号証の写真に示された商品にロ一マ字筆記体で「Borsalino」と書し、その終筆端を下側に折り返して語頭のBの文字の下までアンダーラインを引いてなる商標(別掲のとおり。以下「使用商標」という。)が使用されていることは認めるが、この態様は、本件商標の態様と異なる上、これらの商品が商標権者の提供に係るものであり、かつ、日本国内で販売されていたことの立証は何らされていないから、これらを本件商標の日本国内における使用の証拠と認めることはできない。
(6)被請求人は、乙第9号証並びに乙第10号証の1及び2により、「オーロラ社は、被請求人との間に締結したライセンス契約に基づき、東京都台東区浅草橋三丁目に所在の株式会社西川(以下「西川社」という。)との間で再使用権許諾契約を締結し、西川社が本件商標を『革製札入れ、革製小銭入れ、革製セミバッグ、革製キ-ケース』等について使用している。」旨主張する。
しかしながら、これらの書証には、被請求人が請求に係る商品に本件商標を使用していた事実を示す記載はなく、また、オーロラ社は、本件商標の通常使用権者として登録されていない。
乙第9号証(再使用権許諾契約書)は、被請求人が関与していない文書であり、単なる私文書のコピーであるから、信憑性に欠ける。また、前記したとおり、乙第2号証は、輸出国又は輸入国の税関の認証等がなく、私文書であることからすると、被請求人がオーロラ社に対し、本件商標の使用許諾を与えた事実はなかったものと認められる。
乙第10号証の1(パンフレット)は、頒布された原本ではなく、単なるカラーコピーであるから、信憑性に欠ける。また、NISHIKAWA CO.,LTDは使用権者とは認められず、かつ、パンフレットに掲げられた商品に本件商標は付されていない。
乙第10号証の2(西川社の社内の商品展示会写真)は、撮影場所及び撮影日が公文書によって証明されておらず、信憑性に欠ける。また、西川社は、使用権者とは認められない。
(7)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、請求に係る「第18類かばん類、袋物、携帯用化粧品入れ」について、日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても、使用されていたとは認められない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に被請求人の代理店であるオーロラ社(東京都千代田区一番町10所在)により、日本国内においてその指定商品中の「革製ブリーフケース、革製札入れ、革製札入れ・カード入れ」に付されて使用されていた。
(1)乙第2号証ないし乙第4号証(英文INVOICE(写))は、2000年(平成12年)7月13日、同年7月26日及び同年10月26日付けでオーロラ社が被請求人から商品「革製名刺入れ、革製札入れ、革製キーケース、革製札入れ・カード入れ、革製ブリーフケース」等を輸入した事実を示すものである。
なお、上記の各INVOICEに記載された商品番号に相応する英文商品リストを、乙第5号証として提出し、その中から本件審判に関連した商品の抄訳はつぎのとおりである。
ア.2000年7月13日付け送り状(No.754)
(a) Code No.820314 「革製名刺入れ」
(b) Code No.820324 「革製札入れ」
イ.2000年7月26日付け送り状(No.797)
(a) Code No.820387 「革製キーケース」
(b) Code No.820390 「革製札入れ・カード入れ」
ウ.2000年10月26日付け送り状(No.1445)
(a) Code No.820392 「革製小型札入れ・小銭入れ」
(b) Code No.820400 「革製ブリーフケース」
そして、当該各INVOICEの中央部には、本件商標のローマ字「BORSALINO」を同じローマ字の配列の筆記体で大きく表示してINVOICEに記載された当該商品の商標として認識される状態で表示されているから、本件商標を使用している事実を示しているものである。
(2)乙第6号証及び乙第7号証(商品の写真)は、商品「革製札入れ」及び「革製札入れ・カード入れ」の各包装ケース並びに各商品であり、これら商品の内側には、使用商標が型押しされ、表示されている。
乙第8号証(商品の写真)は、商品「革製ブリーフケース」であり、使用商標が型押しされ、表示されている。
(3)乙第9号証は、被請求人との間でライセンス契約を締結したオーロラ社は、該契約に基づき、東京都台東区浅草橋三丁目に所在の西川社に対し、本件商標の使用をすることについての許諾契約である再使用許諾契約書である。
(4)西川社は、上記再使用許諾契約に基づいて、本件商標を付した「革製札入れ、革製小銭入れ、革製セミバッグ、革製キ-ケース」等のパンフレット(2002/2003 AUTUMN/WINTER)を作成し、かつ、これらの商品を西川社の店内で展示している(乙第10号証の1及び2)。
(5)乙第11号証は、被請求人とオーロラ社とが締結したライセンス契約(要部写し)及びその訳文である。
(6)以上のとおり、使用商標は、そのローマ字部分「BORSALINO」が筆記体で表示されているものであるばかりでなく、ローマ字の配列が同一でありその表示に相応してこれより生する称呼が「ボルサリノ」のみであること及びこれが本件商標の片仮名部分の称呼と同一であり、さらに観念の点においてもにイタリア人男性の一般的な名前である「ボルサリノ」の観念を生ずるものであるから、社会通念上本件商標と同一と認められる商標の使用であること明らかなところである。
2 したがって、本件商標が指定商品中の第18類「革製札入れ、革製札入れ・カード入れ、革製ブリーフケース」に、本件商標の通常使用権者であるオーロラ社により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で使用されていたことは明らかである。

第4 当審の判断
1 乙第9号証ないし乙第11号証(枝番を含む。)によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第11号証は、被請求人とオーロラ社との間で締結した「BORSALINO」商標に関する1998年(平成10年)10月9日付ライセンス契約(なお、訳文には「1999年10月9日」の日付が認められるが、英文で書されたものを採用した。契約の効力発生日の関係からしても、妥当と思われる。)と認められるところ、該契約書には、使用に係る商品として、男性用及び女性用の「こうもり、スカーフ、ネッカチーフ、ハンカチーフ、マフラー、手袋、サングラス、ベルト、革製小物類、ネクタイ、布製帽子類、革製帽子類」の記載があり、「区域」は、「日本国領域」である。また、「2.許諾ライセンス」として、被請求人は、オーロラ社に対し、上記商品に「BORSALINO」商標を使用すること関し、独占的ライセンス及びサブライセンス許諾の独占権を許諾することが定められている。そして、上記契約は、1999年(平成11年)1月1日から効力を生ずるものであり、当事者の一方が終了通知を発しない限り、自動的に3年の期間が更新されるというものである。
(2)乙第9号証は、オーロラ社と東京都台東区浅草橋三丁目に所在の西川社との間で締結した本件商標の使用に関する2001年(平成13年)11月21日付けの再使用権許諾契約書(該契約書の冒頭には、「再実施権許諾契約」との記載がある。)と認められるところ、使用許諾に係る商品は、「スモールレザーグッズ」である。
(3)乙第10号証の1は、表紙に使用商標が大きく表示され、その下に「2002/2003」と「AUTUMN/WINTER」を上下二段に横書きし、さらに、これらの文字の下に「NISHIKAWA CO.,LTD.」の文字が横書きされたパンフレットと認められるところ、表紙以下1枚目から6枚目にかけて、革製札入れ、革製カード入れ、革製セミバッグ、革製キ-ケースなど商品の写真が掲載されており、これらの商品は、いずれも、「シーズン 2002 A/W」、「発表 2002・6」、「ブランド Borsalino」などと紹介されている。
また、乙第10号証の2は、2002年(平成14年)6月17日に撮影されたと認められる西川社の店内の写真であるところ、店内には、使用商標に表示のもと、バッグ類などの商品が展示されている。
2 前記1で認定した事実を総合すると、被請求人とライセンス契約を締結したオーロラ社は、該ライセンス契約に基づいて、西川社との間で、2001年(平成13年)11月21日に本件商標に関する再使用権許諾契約を締結し、西川社は、該再使用権許諾契約に基づいて、少なくとも2002年(平成14年)6月17日の時点において、自己の営業する店舗内に、別掲のとおりの構成よりなる使用商標を表示し、該表示のもとに、販売する目的をもって、革製札入れ等の革製小物類と認められる商品を展示するとともに、2002年6月に発表されたこれらの商品を「2002/2003 AUTUMN/WINTER」(2002年秋から2003年冬物)として、パンフレットに掲載していたものと認め得るところである。
そうすると、上記西川社は、本件商標の商標権についての通常使用権者の地位にあるとみて差し支えないものといえる。
3 使用商標について
本件商標は、前記したとおり、「BORSALINO」の欧文字と「ボルサリノ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなるものである。
これに対して、使用商標は、別掲のとおり、「Borsalino」の欧文字を筆記体でやや右上がりに表し、該文字中の語尾の「o」から延びた線を下方に折り返し、「Borsalino」の文字のアンダーラインのように語頭の「B」の下まで引いてなる構成よりなるものである。
してみると、本件商標と使用商標とは、いずれも「ボルサリノ」の称呼を同じくするばかりでなく、男の名前(イタリア国で多く使用される)の観念を同じくするものである。
したがって、両商標は、外観においてやや異なるものであるとしても、一般的に登録商標が、実際の使用においては、種々の態様において使用がなされる商取引の実情に照らして考えると、この程度の外観上の変更は、一般的に採択し得る範囲内の変更とみられ、同一の称呼及び観念が生ずることを総合勘案すれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標というのが相当である。
4 以上によれば、通常使用権者である西川社は、本件審判の請求の登録日(平成14年11月13日)前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を請求に係る指定商品中の「革製カード入れ、革製セミバッグ、革製キ-ケース」等の革製小物類について使用したと認め得るところである。
5 請求人の主張について
請求人は、乙第9号証ないし乙第10号証の2には、被請求人が請求に係る商品に本件商標を使用していた事実を示す記載はなく、また、オーロラ社は、本件商標の通常使用権者として登録されていない旨主張する。
しかし、前記2で認定したとおり、被請求人とオーロラ社は、本件商標に関し、ライセンス契約を締結し、さらに、該ライセンス契約に基づいて、オーロラ社と西川社とは、本件商標に関する再使用権許諾契約を締結し、西川社は、該再使用権許諾契約に基づいて、本件審判の請求の登録前3年以内である2002年(平成14年)6月17日には、自己の営業する店舗内に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示して、請求に係る指定商品中の「革製札入れ等の革製小物類」を販売する目的をもって展示したと認められるのであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標は、通常使用権者によって使用されたというべきである。
また、通常使用権は、その効力の発生につき、登録しなければ発生しないとの規定がなされているものではない。
その他、乙第9号証ないし乙第10号証の2に関し、これらが不使用による商標登録の取消しを免れるためにのみ作成された虚偽の証拠であると認めるに足る証拠は見出せない。また、他に前記2の認定を覆すに足りる証拠の提出はない。
6 以上のとおりであるから、被請求人は、通常使用権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を請求に係る指定商品中の「革製カード入れ、革製セミバッグ、革製キ-ケース」等の革製小物類について使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標は、その指定商品中の第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧品入れ」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 使用商標


審理終結日 2003-12-05 
結審通知日 2003-12-10 
審決日 2004-01-06 
出願番号 商願昭52-4446 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (121)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 輝雄 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 井岡 賢一
瀧本 佐代子
登録日 1981-04-30 
登録番号 商標登録第1459825号(T1459825) 
商標の称呼 ボルサリノ 
代理人 村上 政弘 
代理人 浅村 皓 
代理人 最上 正太郎 
代理人 浅村 肇 
代理人 高原 千鶴子 

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