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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 032
管理番号 1096774 
審判番号 取消2003-30309 
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-06-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-03-19 
確定日 2004-05-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4013226号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4013226号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4013226号商標(以下「本件商標」という。)は、「EVITA」の文字を横書きしてなり、平成6年11月4日に登録出願、第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、平成9年6月20日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)請求の理由
請求人の調査によれば、本件商標は継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。これに加え、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないのであるから、使用権者による使用ということも問題にならないので、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の登録取消審判を請求する。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア)請求人は、本件商標の使用状況を調査会社を通じ確認したところ、使用の事実は認められない、との結果報告を受け本件審判の請求に及んだものであるが(甲第3号証)、答弁書によれば現在販売中の「アプリッツァ」の後継商品として本件商標を付した「りんごジュース」をテスト販売し、今後の展開を予想する市場性調査の一環として実施されたとのことである。
そこで請求人は調査会社に再調査を依頼し調査員が本件商標を付した商品がテスト販売をしたとされる大阪市在の「ロビー喫茶・サリダ」に赴き再確認したところ、「Applitzer」(アプリッツァー)は販売しているが、「evita」の販売に関しては不知である、との回答を得た(甲第4号証)。
これらの調査報告書の内容が事実であれば、本件商標を付した商品のテスト販売は計画され、ラベルの印刷等は準備されたが実行に移されず、乙第1号証は本件審判請求に対応するために急きょ陳列されたものでその場限りのものではないかと思われる。
ところで本件商標を付した商品(瓶詰めジュース)の販売形態であるが、このような商品が喫茶店でそのまま客に提供されることがないとは断言できないとはいえ、その販路は一般に自動販売機の他、スーパー、コンビニ等であり、本件は新商品のテスト販売ということで、被請求人の関連会社が業務を運営する「ロビー喫茶・サリダ」において行われたこと、及びその事実を証する被請求人の求めに応じて署名・捺印された乙第3号証は客観性を欠くものであり、また、乙第2号証のラベルの存在、あるいは乙第4号証、乙第5号証にみられる被請求人から「ロビー喫茶サリダ店」への商品の納入をもってしても本件商標の使用とは認められない。
次に「テスト販売」について述べるに、被請求人は「サリダ」における販売を通して得られた情報を検討中とのことであるが、場合によってはその後中止との結論にもなるわけで、そのような結果を含む「テスト販売」を以て商標の使用・不使用を決定するのは妥当とは思われない。乙第1号証の4〜6は撮影日が平成14年10月11日となっているが、これはその日の状態を示すものであってテスト販売が何日間行われたのか時間の継続性が読み取れない。
したがって、被請求人が提出した乙各号証は本件商標の使用(市場において反復・継続して消費者が購入できる状態)を客観的に推認し得るものとはいえず、被請求人の答弁の内容については上述のように疑義が残るものであるから、本件商標は不使用と判断せざるを得ない。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は平成14年10月22日以後大阪市所在の商業ビル「堂島アバンザ」(大阪府大阪市北区堂島一丁目6番20号所在)において営業する「ロビー喫茶・サリダ」(「SALIDA」)において販売するりんごジュースの商標として使用しているものであり、請求人の前記主張は当を得ないものと思料する。
前記「堂島アバンザ」は1999年3月に開業した商業ビルであり、前記「ロビー喫茶・サリダ」(以下、単に「サリダ」と記す。)はこの開業に併せて営業を開始したショップである。「サリダ」は「堂島アバンザ」の開業に当って被請求人会社がイタリアンカフェ「ラバッツァ」を開業する際に堂島アバンザ側において開業が予定されていた当「サリダ」の運営について委託を受け、同ビル1階フロアに上記「ラバッツァ」と共に開業したものである。その後2000年9月に設立された株式会社片岡フードサービスに業務を移管し現在に至るものである。
この様な事情にあって「サリダ」は通常の喫茶店としての営業を行っているが、取扱う商品は紅茶、コーヒー、ココア等被請求人が販売する商品を中心にしてジュース、清涼飲料類を加え販売、提供されている。この「サリダ」は「ラバッツァ」と共に消費者の嗜好やその変化を直接的に調査できることから販売者としての被請求人にとって重要な意味をもっており、特に提供する商品の中心が被請求人のものであること、他社の介入がなく販売の状況が直接入手できること等から正確に市場調査ができるものとなっている。
このため、商品開発に当って新商品のテスト販売の場として有効に機能しており、前記りんごジュース「evita」の販売もこれからの市場性調査の一環として実施されたものである。このりんごジュースに使用されている商標「evita」は被請求人が販売している瓶詰めのりんごジュース「アプリッツァ」(登録商標)の後継商品の商標として企画検討されているもので、今現在前記「サリダ」における販売を通して得られた情報の検討に当っているところである。
(2)乙第1号証の1から6は、りんごジュース瓶容器の表面に欧文字5文字からなる「evita」の商標を表したラベルを付した商品と、その販売状況を説明する「サリダ」店頭における写真であり、乙第2号証は商品りんごジュースの容器に貼ったラベルの実物であり、乙第3号証は平成14年9月から「evita」の商標を付したりんごジュースを販売した事実を証明する担当営業部長並びに「サリダ」における責任者店長の証明書である。
また、乙第4、5号証は平成14年(2002年)10月22日付け及び同年11月25日付出荷に係る「エビータ」、つまり「evita」りんごジュースの納品に対する受領書である。
これら乙号証によって、平成14年9月以後、少なくとも乙第4号証に記録される出荷日平成14年10月以後に200ml入り瓶容器のりんごジュース「evita」が堂島アバンザ1階における「サリダ」店において陳列され、販売されていたことが明らかにされている。
(3)商標「evita」を表示するラベルは乙第2号証に実物を以て示すとおりであるが、当該ラベルはりんごジュースの販売に先立ち乙第6号証において証明されるように大輪印刷株式会社において印刷され、被請求人会社に納品されたものである。乙第7号証は証明者大輪印刷株式会社の当ラベル作成にかかる見積書であり、乙第8号証は平成14年7月10日付大輪印刷株式会社の被請求人会社宛納品書である。
これらによって、りんごジュース「evita」の販売に先立ち、商標「evita」を表したラベルが製造され、被請求人に引き渡されていたことが明らかである。
したがって、以上の関係から「evita」の商標を表したラベルが平成14年7月10日に被請求人会社に引き渡され、使用が可能な状態にあったこと、そしてこのラベルを付した瓶詰めの200mlりんごジュースが平成14年9月以後、少なくとも乙第4号証から同年10月以後には「サリダ」において販売され、商標「evita」の使用があったこと、が認められるものと思料する。
(4)以上のとおり、商標「evita」を付して販売されたりんごジュースの総量は被請求人が取り扱うその他の商品、例えば紅茶等から比較した場合極めて小量といわざるを得ないが、その使用の実績は前述したとおりであって使用を証明するものと確信する。

4 当審の判断
被請求人の答弁によれば、(1)乙第2号証に示すラベルが付された乙第1号証の1ないし3の写真に写っている瓶詰めの200mlりんごジュース(以下「本件りんごジュース」という。)が、大阪府大阪市北区堂島一丁目6番20号所在の商業ビル「堂島アバンザ」の1階で営業する喫茶店「サリダ」において平成14年9月以後、陳列され、販売されていた、(2)前記「サリダ」では、被請求人が販売する紅茶、コーヒー、ココア等を中心にしてジュース、清涼飲料類を加え販売、提供されており、被請求人が商品開発をするに当って新商品のテスト販売の場として有効に機能しており、本件りんごジュースの販売もこれからの市場性調査の一環として実施されたものである、(3)本件りんごジュースに使用されている商標「evita」は被請求人が販売している瓶詰めのりんごジュース「アプリッツァ」(登録商標)の後継商品の商標として企画検討されているもので、今現在「サリダ」における販売を通して得られた情報の検討に当っているところである、(4)商標「evita」を付して販売された本件りんごジュースの総量は被請求人が取り扱う例えば紅茶等から比較した場合、極めて小量である、とのことである。
そして、上記被請求人の主張と乙第1号証の1ないし3、乙第2号証、乙第4号証及び乙第5号証(受領証)、乙第7号証(御見積書)及び乙第8号証(納品書)を総合すれば、以下の事実が認められる。
(1)被請求人は、乙第2号証に示すラベルにりんごジュースの販売者として表示されており、同ラベルには、本件商標と社会通念上同一と認められる「evita」の文字からなる商標が赤色で表されている。
(2)被請求人は、平成14年の秋頃、乙第2号証に示すラベルが付された本件りんごジュースを前記「サリダ」に納品した。この納品は、本件りんごジュースの市場性調査の一環として、この商品をテスト販売してみる目的のためのものであった。そのため、被請求人が、「サリダ」に納品した本件りんごジュースの数量は小量であり、証拠の限りでは、乙第4号証及び乙第5号証(受領証)に記載のある合計120本であること。
(3)「サリダ」は、被請求人が商品開発をするに当って新商品のテスト販売の場として使われてきたこと。
(4)乙第2号証に示す本件りんごジュースに付されたラベルの印刷枚数は、証拠の限りでは、乙第8号証(納品書)に記載のある1000枚のみであること。
(5)被請求人の答弁によれば、本件りんごジュースの販売は、「サリダ」におけるテスト販売のみであり、また、被請求人が本件審判請求につき答弁書を提出した平成15年5月28日の時点においては、既に、「サリダ」におけるテスト販売は行っていない事実。
以上の事実によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成15年4月16日予告登録)前3年以内の平成14年の秋頃に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用した本件りんごジュースを前記「サリダ」に納品したが、その納品数量は、この商品をテスト販売してみる目的のためのものであったため、この種の商品としては極めて小量であったと認められ、これが「サリダ」において販売又は提供されたとしても、そのことをもって、本格的な本件商標の使用として評価するには足りない。
また、乙第2号証に示すラベルについても、「サリダ」における本件りんごジュースのテスト販売のために印刷して準備したとみられる枚数であって、これが印刷され被請求人に納品された事実をもって、本件商標が本格的に使用された事実を認めることはできない。その上、被請求人は、本件審判請求につき答弁書を提出した平成15年5月28日の時点においては、既に、「サリダ」におけるテスト販売を行っていない旨答弁しており、他に本件商標を使用した事実を主張立証していない。
そうすると、被請求人は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標をその指定商品中のいずれかについて使用した事実を証明していないというべきであり、その指定商品中のいずれかについて、本件商標を使用していないことについての正当な理由も明らかにしていない。
したがって、本件商標の商標登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する
審理終結日 2004-03-01 
結審通知日 2004-03-04 
審決日 2004-03-23 
出願番号 商願平6-111318 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (032)
最終処分 成立  
特許庁審判長 滝沢 智夫
特許庁審判官 小林 薫
岩崎 良子
登録日 1997-06-20 
登録番号 商標登録第4013226号(T4013226) 
商標の称呼 エビータ、エビタ 
代理人 中山 伸治 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 加藤 義明 

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