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審決分類 |
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z36 審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z36 |
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管理番号 | 1096668 |
審判番号 | 無効2003-35292 |
総通号数 | 54 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-06-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2003-07-16 |
確定日 | 2004-04-26 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4605390号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4605390号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4605390号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成13年9月3日に登録出願され、第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」を指定役務として、平成14年9月20日に設定登録されたものである。 第2 請求人の引用商標 請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4340180号商標(以下「引用A商標」という。)は、「かもめ共済」の文字を標準文字で表してなり、平成9年12月26日に登録出願され、第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,企業の信用に関する調査,慈善のための募金」を指定役務として、平成11年12月3日に設定登録されたものである。 同じく、登録第4340181号商標(以下「引用B商標」という。)は、「かもめの共済」の文字を標準文字で表してなり、平成9年12月26日に登録出願され、第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,企業の信用に関する調査,慈善のための募金」を指定役務として、平成11年12月3日に設定登録されたものである。 第3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出している。 引用A商標及び引用B商標は、本件商標よりも先願であって、且つ、本件商標が出願された際、既に登録されていたことは明らかである。また、本件商標に係る指定役務は、引用A商標及び引用B商標の指定役務中、「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」と同一又は類似である。 そこで、本件商標について検討すると、本件商標は、「かもめ」と思しき図形部分と、「かもめほけん」の平仮名文字部分とがそれぞれ独立して識別力を発揮し得るものである。そして、その平仮名文字「かもめほけん」の「かもめ」が「チドリ目カモメ亜科の鳥の総称。」(甲第7号証)であって、「ほけん」が「死亡・火災などの偶発的事故の発生の蓋然性が統計的方法その他によって或る程度まで予知できる場合、共通にその事故の脅威を受ける者が、あらかじめ一定の掛金(保険料)を互いに拠出しておき、積立金を用いてその事故(保険事故)に遇った人に一定金額(保険金)を与え、損害を填補する制度」を意味する「保険」の平仮名表記(甲第8号証)であることは容易に認識、理解できるものである。 而して、かかる意味合いを有する「ほけん」は、本件商標に係る指定役務との関係上、役務の質(内容)を表示するもの、又は役務の普通名称と言えるものであって、それ自体、自他役務識別力を有しないものである。実際、平仮名文字「ほけん」を商標の構成要素とする登録第3037816号商標「ほけん三昧/ざんまい」の指定役務は、「生命保険の引受け」である(甲第9号証)。 したがって、本件商標の平仮名文字「かもめほけん」は、その構成中「かもめ」部分が独立して自他役務識別標識として機能し得るものであって、そこから「カモメ」(鴎)の称呼、観念を生ずるものである。 なお、本件商標は、その構成中、図形からも、「カモメ」(鴎)の称呼、観念を生じ得るものである。したがって、かかる図形と、「かもめほけん」との関係からしても、「かもめほけん」の平仮名文字は、「かもめ」部分が独立して識別力を発揮し得る、と云える。 他方、引用A商標及び引用B商標については、引用A商標が「かもめ共済」、引用B商標が「かもめの共済」を書してなるものであり、その構成中「共済」の文字は、「一定の地域または職域でつながる者が団体を構成し、将来発生するおそれのある一定の偶然の災害や不幸に対して共同の基金を形成し、これら災害や不幸の発生に際し一定の給付を行なうことを約する制度」を意味するものである(甲第10号証)。 実際、指定役務との関係を見れば、特許電子図書館の「商品・役務名リスト」において、「共済による保険の取次ぎ」「共済保険の募集」「生命共済の引受け」「損害共済の引受け」等の表示が認められている事実がある(甲第11号証)。 したがって、引用A商標及び引用B商標の構成中、「共済」部分は、それ自体独立して自他役務識別力を有する部分ではなく、且つ、引用B商標の構成中、第4文字目の「の」は単なる助詞であるから、残余の「かもめ」部分が独立して自他役務識別標識として機能し得るものであって、引用A商標及び引用B商標は、「カモメ」(鴎)の称呼及び観念を生ずるものである。 よって、本件商標は、引用A商標及び引用B商標との間で、「カモメ」の称呼及び「鴎」の観念を生ずる点において、共通している。その他、本件商標と引用A商標及び引用B商標とが混同を生じないとしなければならない格別の事情は存しないものである。 以上述べた通り、本件商標は、引用A商標及び引用B商標と、「カモメ」の称呼、及び「鴎」の観念において共通する、類似のものであって、商標法第4条第1項第11号に該当するにも拘らず登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすべきである。 なお、請求人は、自己の出願に係る商願2002-88274、同2002-88276及び同2002-88277を出願したところ、本件商標に類似する、との拒絶理由通知に接し、現在、これらの出願は審査に係属している。したがって、請求人は、本件審判を請求することについて法律上、直接の利害関係を有している。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べている。 (1)両商標の構成および認識について、 本件商標は、翼端部を黒く染めて両翼を広げた「かもめ」の様なかなり大きな鳥の図形と、その鳥の尾に近接して、横長に配置された平仮名「かもめほけん」の文字から構成された商標である。 一方、引用A商標は、標準文字にて「かもめ共済」とした「仮名漢字混じり」の態様である(引用B商標は標準文字の「かもめの共済」であるが、本件商標との関係は、引用A商標「かもめ共済」におけると同程度、またはより離れるものであるから、以下には主として引用A商標について対比する)。 (2)文字部分の対比 (ア)先ず、本件商標の構成のうち、「かもめほけん」の文字部分は、「平仮名」の6文字を手書き様の書体にて一連に横書した態様である。 したがって、この「かもめほけん」の文字部分は、その全体を一体のものとして外観上認識され、また称呼されるものであり、これを「かもめ」部分と「ほけん」部分とに分離して視認あるいは称呼されるべき必然性はない。 なお、このように6文字からなる比較的短い文字群であり、称呼上冗長ではないから、あえて「かもめ」と略称されることもない。 (イ)これに対して引用A商標は、標準文字にて「かもめ共済」とした「仮名漢字混じり」の態様であるから、外観上、一見して平仮名「かもめ」と、漢字「共済」の2つの部分が合成されたものとして看取される。 特に漢字「共済」の部分からは、業務内容である「共済」が直接に感得されることから、平仮名「かもめ」の部分と、漢字「共済」の部分とは分離して認識される。 その結果、引用A商標からは、「共済」を役務内容とし、「かもめ」を識別部分とした商標であると認識されることは明白である。 このように、「共済」部分を漢字で表わした引用A商標「かもめ共済」には、一見して、役務「共済」を直接的に、かつ、強く表示するという特異性が存在する。 以上のように、文字部分において、本件商標は一体性の強い「かもめほけん」の商標であり、引用A商標は「かもめ」を要部とする商標である点で明らかに異なり、明瞭に区別して認識される。 (ウ)この点につき請求人は、『…「ほけん」は、本件商標に係る指定役務との関係上、役務の質(内容)を表示するもの、又は役務の普通名称と言えるものであって、それ自体、自他役務識別力を有しないものである。』と主張し、また、『本件商標の平仮名文字「かもめほけん」は、その構成中「かもめ」部分が独立して自他役務識別標識として機能し得るものであって、そこから「カモメ」(鴎)の称呼、観念を生ずるものである。』と主張する。 しかし、請求人のこの主張は、本件商標の一連の文字列からなる「かもめほけん」の商標には適合しない。 この主張は、先ず、本件商標の「かもめほけん」を「かもめ」部分と「ほけん」部分に分離することを前提とするが、平仮名で一連に表わした「かもめほけん」をこのように分離することが困難であることは前記したとおりである。 さらに、このように分離した平仮名「ほけん」の部分を役務「保険」と認識するためには、これを漢字の「保険」に置き換え、観念的に役務「保険」と理解するという知的操作を行なった結果、到達できるところである。 このように、本件商標「かもめほけん」の文字部分が役務としての「保険」を認識させる表示性は、きわめて間接的であり弱い。 (エ)この点、引用A商標「かもめ共済」は、「共済」の部分を漢字で表わして役務「共済」を直接、積極的に表示した結果、「かもめ」部分が独立して自他役務識別標識として機能し、そこから「カモメ」(鴎)の称呼、観念が直接に生ずる点が本件商標の場合と著しく異なる。 (3)図形の存在について 本件商標と引用A商標とは、図形の有無による顕著な相違があることは一見して明らかである。 本件商標の図形は、翼端部を黒く染めて両翼を広げた「かもめ」の様な鳥の図形であり、その大きさは、6文字でなる「かもめほけん」の文字部分と対比して、縦方向では4倍以上の寸法を有するかなり大きな図形である。 そして、その鳥の尾に近接して、横長に配置された一連の文字群を従えているという、図形と文字群の一体性を表出した独特の図案からなるものでデザイン的にもユニークな印象を与えており、また、その手書きのような書体と、柔らか味のある鳥の図形との融合性から、全体的にソフトな印象を与えているものである。 その結果、本件商標は、仮名漢字混じりの標準文字からなり図形のない引用A商標とは、一見して外観、印象が顕著に異なる。 なお、請求人は、本件商標において『図形からも、「カモメ」(鴎)の称呼、観念を生じ得るものである。』と主張しているが、上記鳥の図形は、かもめを表わしたものと認識できるとしても、この図形自体から直ちに、「かもめ」の称呼が確かに生ずるというものではない。 (4)「保険」と「共済」について 本件商標の指定役務において第36類「生命保険契約の締結の媒介、生命保険の引受け、損害保険契約の締結の代理、損害保険に係る損害の査定、損害保険の引受け、保険料率の算定」(類似群コード 36C01)とは、いわゆる商品としての保険を取り扱う役務であり、一方「共済」の中には「保険」関連の業務を含むから、「共済」と「保険」を役務として見た場合には、互いに一部重複した関係にはある。 しかし、これらは同一の業務(役務)ではなく、概念を異にするものであるから、本件商標と引用A商標の類似関係の判断に当って、「保険」と「共済」とを観念が同一であると言うことはできず、この観点から両商標を類似と認定することは出来ない。 (5)以上のように、本件商標と引用A商標との間には種々の相違点が存在し、両商標を全体的に見て総合判断した場合にも、本件商標の指定役務の取引場面において明瞭に区別され、両商標が識別標識として混同することはない。 なお、引用A商標についての上記のような相違点は、引用B商標(登録第4340181号「かもめの共済」)についても該当する。 (6)以上のように本件商標と引用A商標及び引用B商標とは互いに類似しないから、請求人主張の商標法第46条第1項第1号(同第4条第1項第11号)の無効理由は存在せず、本件審判の請求は、棄却されるべきである。 第5 当審の判断 本件商標は、別掲のとおり図形と文字の組み合わせよりなるところ、その構成中の文字部分は「かもめほけん」と平仮名文字で表されているとしても、容易に「かもめ」の語と「ほけん」の語よりなるとみられるものであって、その「ほけん」の語は、本件商標の指定役務との関係において、役務の質を表示するものといえる「保険」を直ちに想起するものといわざるを得ないから、本件商標は、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、これに接する取引者、需要者は前半部の「かもめ」の文字部分に着目し、鴎と思しき図形部分と相俟って、これより生ずる「カモメ」(鴎)の称呼及び観念をもって取引にあたることも決して少なくないものとみるのが相当である。 そうすると、本件商標は、その構成文字部分に相応して、「カモメホケン」の一連の称呼を生ずるほか、「かもめ」の文字部分に相応して、「カモメ」(鴎)の称呼及び観念をも生ずるものといわなければならない。 他方、引用A商標は、上記のとおり「かもめ共済」の文字を書してなるところ、その構成中「共済」の文字部分は、本件商標の指定役務との関係において、役務の質を表示するものといえるから、引用A商標は、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、これに接する取引者、需要者は前半部の「かもめ」の文字部分に着目して、これより生ずる「カモメ」(鴎)の称呼及び観念をもって取引にあたることも決して少なくないものとみるのが相当である。 そうすると、引用A商標は、その構成文字に相応して、「カモメキョーサイ」の一連の称呼を生ずるほか、「かもめ」の文字部分に相応して、「カモメ」(鴎)の称呼及び観念をも生ずるものと認められる。 してみれば、本件商標と引用A商標とは、外観について考慮するとしても、「カモメ」(鴎)の称呼及び観念を共通にする類似の商標であり、かつ、本件商標の指定役務は、引用A商標の指定役務と同一又は類似する役務と認められる。 なお、被請求人は、「『かもめほけん』の文字部分は、その全体を一体のものとして外観上認識され、また称呼されるものであり、これを『かもめ』部分と『ほけん』部分とに分離して視認あるいは称呼されるべき必然性はない。」旨主張しているが、本件については、上記認定のとおりあるから、この点に関する被請求人の主張は採用の限りでない。 したがって、本件商標は、引用B商標との類否について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当するものであって、その登録は同法条の規定に違反してされたものといわざるを得ないから、商標法第46条第1項により、これを無効とすべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
審理終結日 | 2004-02-27 |
結審通知日 | 2004-03-03 |
審決日 | 2004-03-16 |
出願番号 | 商願2001-79551(T2001-79551) |
審決分類 |
T
1
11・
262-
Z
(Z36)
T 1 11・ 263- Z (Z36) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 岩本 和雄 |
特許庁審判長 |
滝沢 智夫 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 小林 薫 |
登録日 | 2002-09-20 |
登録番号 | 商標登録第4605390号(T4605390) |
商標の称呼 | カモメホケン、カモメ |
代理人 | 土橋 皓 |
代理人 | 古関 宏 |