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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 Z182425 審判 一部申立て 登録を維持 Z182425 審判 一部申立て 登録を維持 Z182425 審判 一部申立て 登録を維持 Z182425 |
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管理番号 | 1095221 |
異議申立番号 | 異議2001-90299 |
総通号数 | 53 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2004-05-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-04-19 |
確定日 | 2004-04-14 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4447520号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4447520号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4447520号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成12年3月2日に登録出願され、「MARTINIQUE」(標準文字)の欧文字を横書きしてなり、商品の区分第18類、第24類及び第25類の商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成13年1月19日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立の理由の要旨 (1)商標法第3条第1項第3号について 本件商標は、欧文字「MARTINIQUE」を一連に書してなるが、これは、中央アメリカ西インド諸島にあるフランス領マルチニーク諸島を示す語と同一である(甲第2号証)。 「Martinique」は、フランス語の発音で、「マルテイニーク」、「マルチニク」、「マルチニーク」などと片仮名表記されるが、英語では「マーティニック」と発音される。 コンサイス外国地名辞典は、フランス式の「マルティニク」を表記し、砂糖、ラム酒、カカオ、バナナなどを輸出し、フランス皇帝ナポレオンの妻ジョゼフイーヌが生まれた地であることを紹介している(甲第3号証)。また、ランダムハウス英和大辞典は、英語の発音記号と訳語として「マルテイニーク」を載せている(甲第4号証)。いずれにしても、フランス領マルチニーク諸島は、フランス本土から離れているために、独立して指称される場合が多く、日本においても良く知られた地名となっている。例えば、インターネットのヤフー(Yahoo)で「MARTINIQUE」を検索すると約3200件ものサイトがヒットする。この中には、地球の歩き方、JTB、といった旅行関係のサイトを始めとして、郵便貯金ホームページや、KDDIの国際電話サービス、書籍販売の「amazon.com」などのサイトが含まれる(甲第5号証)。従って、「MARTINIQUE」が、日本において良く知られた地名であることは明らかである。 特許庁の審査基準によれば、「国家名、著名な地理的名称(行政区画名、旧国名、外国の地理的名称を含む)」は、原則として、産地又は販売地を表示するもとのされ、商標法第3条第1項第3号に該当する。 実際に著名な地名の登録性が問題となった事件には、アメリカの州の名前 である「GEORGIA」が最高裁で産地表示とされたのを始めとして、「ミシガン」「フロリダ」も審判で拒絶されていることは、特許庁において顕著な事実である。また、本件と同様、島の名称では、「BALI」「JAVA」が拒絶となっている。 以上、これまでの審決、判決例からも、本件商標は、一私人の独占的使用には適さず、広く使用を開放すべきものである。 (2)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、欧文字「MARTINIQUE」を一連に書して成り、これより「マーティニーク」の称呼が生ずる。 これに対して、登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、「matinique」の文字を書してなり、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)その他本類の属する商品」を指定商品としてなる登録第1512900号商標及び「Matinique」の文字を書してなり、第25類「被服(和服を除く)、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」を指定商品としてなる登録第3229811号商標(以下、まとめて「引用商標」という。)を引用する。 引用商標は、その構成文字に相応して「マティニーク」又は「マチニーク」の称呼が生じる。本件商標から生じる称呼 「マーテイニーク」と引用商標の称呼「マテイニーク」は、語頭に続く長音の有無の相違のみである。特許庁の審査基準においても、二つの商標の称呼の相違が長音の有無でしかない場合、両称呼は類似する。また、本件商標と両引用商標は、欧文字を一連に書した態様において一致しており、中間の「r」の有無が異なるのみであり、外観においても類似する。 従って、本件商標と引用商標は、総合的に判断して、極めて類似する。更に、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と抵触する。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号について 申立人の提出した甲第2号証ないし同第4号証によれば、「Martinique」は、フランスの海外県をなす島で西インド諸島東部ウインドワード諸島中部に位置していること、同第5号証によれば、フランス領マルチニークは「熱帯のパリ」とも呼ばれ、言葉はもちろんのこと、町並み、食べ物、生活などのあらゆる面でフランス的な香りを感じさせる。……この島に魅せられた画家ゴーギャンは、タヒチに渡る前の8年間をこの島で過ごしたこと、主産業はサトウキビ、バナナなどの農業で、砂糖やラム酒に加工されて輸出されている。……フランス本国からの投資で観光産業も進められていること、の記載が認められる。 これらのことから、「Martinique」は、西インド諸島にある一つの島で、観光産業も押し進められているものの、主産業としては、サトウキビ、バナナなどの農業が中心で、砂糖、ラム酒などの輸出も行っていることが認められる。 しかしながら、申立人提出の書証に基づく限り、我が国において、「Martinique」なる地名は、一般に親しまれた地名ともいえず、仮に、地名として認識する者がいるとしても、それは本件商標の指定商品に係わる平均的な取引者、需要者でなく例外に属する者といわなければならない。 そうとすれば、本件商標は、特定の観念を有しない一種の造語とみるのが相当である。 加えて、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、本件商標が商品の産地、販売地を表示するものとして普通に使用されている事実は発見できない。 してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、取引者・需要者は、本件商標を商品の産地・販売地を表示したというよりは、むしろ一種の造語を表示したものとして理解し認識するものとみるのが相当であるから、結局、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたということができない。 (2)商標法第4条第1項第11号について 本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、「MARTINIQUE」の欧文字を書してなるところ、該文字は、特定の語義をもって広く親しまれた語ともいえないことから、称呼に当たっては英語が最も普及している我が国の現状を考慮すると、一般的には、これを英語風読みをもって取引に資する場合も決して少なくないところであるが、申立人が提出した甲第2号証ないし同第5号証によれば、「Martinique」の表音文字としては、「マルティニーク」「マルティニク」「マーティニーク」「マルチニーク」と表記されていること、商標権者が提出した資料9,10,11、12,13,14,16,18,20,22,26及び27によれば、「MARTINIQUE」の文字の直近に「マルティニーク」の片仮名文字を付記して宣伝広告していることが認められる。 してみると、上記事実を総合勘案すれば、本件商標は、その構成文字に相応して幾つかの読み方が可能であるものの、実際の商取引の場において、「マルティニーク」の称呼もって取引に当たっているものと認められる。 したがって、本件商標は、「マルティニーク」の称呼のみが生ずものと判断するのが相当である。 他方、引用商標は、その構成文字に相応して「マティニーク」「マチニーク」の称呼が生じるものである。 そこで、両商標の称呼についてみるに、本件商標から生ずる「マルティニーク」の称呼と引用商標から生ずる称呼の一つ「マティニーク」とを比較すると、両称呼は、第2音目の「ル」音の有無に差異がある。そして、「ル」音は、有声の弾音であって明瞭に発音されることから、該差異音の称呼全体に与える影響は大きく、それぞれ一連に称呼するときは、語調語感が異なり称呼上十分聴別し得るものである。更に、「マルティニーク」の称呼と引用商標から生ずるもう一つの称呼「マチニーク」とを比較すると、両称呼は、「ルティ」の音と「チ」の音の明らかな差異があり、該差異音の称呼全体に与える影響は極めて大きく、それぞれ一連に称呼するも十分聴別できるものである。 次に、両商標の外観についてみるに、両商標は、その構成文字中比較的印象に残りやすい前部の第3番目に位置する「R」の文字の有無という顕著な差異があるから外観については判然と区別し得るものである。 更に、観念においても、本件商標は、特定の観念を有しない一種の造語とみるのが相当であるから引用商標と比較することができない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても類似するものでないから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたということができない。 (3)まとめ 本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2004-03-26 |
出願番号 | 商願2000-19555(T2000-19555) |
審決分類 |
T
1
652・
13-
Y
(Z182425)
T 1 652・ 262- Y (Z182425) T 1 652・ 263- Y (Z182425) T 1 652・ 261- Y (Z182425) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山口 烈 |
特許庁審判長 |
佐藤 正雄 |
特許庁審判官 |
山本 良廣 宮川 久成 |
登録日 | 2001-01-19 |
登録番号 | 商標登録第4447520号(T4447520) |
権利者 | 株式会社メル・ローズ |
商標の称呼 | マルチニク、マルティニク、マーチニク、マーティニク |
代理人 | 中山 健一 |
代理人 | 鳥羽 みさを |
代理人 | 村木 清司 |
代理人 | 松嶋 さやか |
代理人 | 佐々木 功 |
代理人 | 松原 伸之 |
代理人 | 川村 恭子 |
代理人 | 橋本 千賀子 |