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審決分類 審判 全部無効 観念類似 無効としない Z07
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z07
審判 全部無効 称呼類似 無効としない Z07
管理番号 1095029 
審判番号 無効2000-35356 
総通号数 53 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-05-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-07-03 
確定日 2004-03-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第4342210号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件審判請求に係る登録第4342210号商標(以下「本件商標」という。)は、「CUBY」の欧文字を標準文字とし、平成10年3月10日に登録出願、第7類「化学機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,包装用機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),農業用機械器具,機械式の接着テープディスペンサー,自動スタンプ打ち器,芝刈機,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」及び第12類「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片,乗物用盗難警報器」を指定商品として、平成11年12月10日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第35号証(枝番を含む。)を提出している。
本件商標は、請求人の登録商標と類似するものであり、かつ指定商品も同一又は類似のものであり、商標法第4条第1項第11号に該当し、また、本件商標をその指定商品に使用するときは、該商品が請求人の業務に係る商品であるかの如く混同を生じさせるおそれがあり、同法同条項第15号に該当するにもかかわらず登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき無効とされるべきものである。
1.商標法第4条第1項第11号について
請求人は、商標法第4条第1項第11号に関し、つぎの登録商標を引用する。〔なお、下記(1)のa)ないしf)の引用商標1ないし6を一括して「各引用商標」という場合がある。〕
(1)引用商標
a)登録第1521462号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、昭和48年4月17日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載されている商品を指定商品として、同57年6月29日に設定登録され、その後、平成4年9月28日に商標権の存続期間の更新登録がされている。該商標権については、その一部取消しの審判が請求された結果、その一部の指定商品の登録を取り消す旨の確定した審決の登録が平成13年8月8日にされている。
b)登録第1544380号商標(以下「引用商標2」という。)は、「KEWPIE」の欧文字よりなり、昭和53年3月8日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載されている商品を指定商品として、同57年10月27日に設定登録され、その後、平成5年5月28日及び同13年1月24日に商標権の存続期間の更新登録がされている。
c)登録第1521488号商標(以下「引用商標3」という。)は、「キューピー」の片仮名文字よりなり、昭和50年6月20日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載されている商品を指定商品として、同57年6月29日に設定登録され、その後、平成4年9月28日及び同14年7月2日に商標権の存続期間の更新登録がされている。
d)登録第4275748号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、平成10年2月20日に登録出願、第7類に属する商標登録原簿に記載されている商品を指定商品として、同11年5月21日に設定登録されたものである。
e)登録第2676130号商標(以下「引用商標5」という。)は、「キューピー」の片仮名文字よりなり、平成4年3月31日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載されている商品を指定商品として、同6年6月29日に設定登録されたものである。
f)登録第4278360号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、平成10年2月20日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載されている商品を指定商品として、同11年5月28日に設定登録されたものである。
(2) 本件商標と各引用商標との類似について
本件商標は、第1の項で述べたとおり、「CUBY」の文字を書してなるものであり、その構成中の「CU」の文字の部分は、我が国で広く普及している英語では、「キュー」と発音する用例が多いことからすれば、本件商標よりは英語読み風に「キュービー」の称呼を生じるものである。
これに対し、引用商標1ないし6は、上記(1)で説明したとおりの構成よりなるものであるから、これらの各引用商標からは、その構成上「キユーピー」の称呼が生じること明らかである。
そこで、本件商標より生じる称呼「キュービー」と各引用商標より生じる称呼「キューピー」とを比較するに、「ビ」と「ピ」の音に差異を有し、その異なる「ビ」と「ピ」の音は、その子音である「b」と「p」とは共に両唇で調音する破裂音であって、その調音方法が近似し、かつ母音「i」を共通にする近似する音であるばかりでなく、共に長音を伴うものであることを併せ考えれば、極めて近似した音として聴取されるというべきものである。
そうしてみると、両称呼は短い音構成であるとしても、それぞれを一連に称呼するときは、「ビ」と「ピ」の音の差異は明瞭には聴別し得ないというのが相当であることから、本件商標と各引用商標とは、その称呼において互いに相紛らわしい類似の商標というべきものである。
称呼上の類似に関する請求人の主張については、甲第8号証ないし同甲第17号証等の審判事件の審決においても同様に判断されている。また、甲第18号証の異議決定から見ても、請求人の主張は極めて妥当なものである。
また、本件商標の指定商品とそれらの各引用商標の指定商品とは同一又は類似の商品である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
請求人は、以下の登録商標を引用して、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張している。
(1)引用商標
a)登録第595694号商標(以下「引用商標7」という。)は、 別掲(3)に示すとおりの構成よりなり、昭和35年5月31日に登録出願、第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として、同37年8月24日に設定登録され、その後、この商標権は4回にわたり存続期間の更新登録がされ現に有効に存続している。また、該商標権には、防護標章登録第1号ないし第41号がそれぞれ登録されている。
b)登録第832283号商標(以下「引用商標8」という。)は、「キューピー」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和41年8月11日に登録出願、第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として、同44年9月24日に設定登録され、その後、この商標権は3回にわたり存続期間の更新登録がされ現に有効に存続している。また、該商標権には、防護標章登録第1号ないし第32号がそれぞれ登録されている。
(2)請求人の商標の著名性について
請求人は、大正8年(1919年)に設立された会社であり、大正14年に我が国初の国産マヨネーズの製造を開始し、「キユーピー」「KEWPIE」の文字及び「キューピー人形の図」よりなる商標を付して発売してより今日に至るまで、商標の書体、形態に多少の変更を加えつつも、一貫してこの商標を使用し続けてきた(甲第19号証)。
そして、戦後の国民の食生活の欧風化に伴い、欧風食に合うマヨネーズが爆発的に売れるようになったことにより、「キューピー」、「KEWPIE」、「キューピー人形の図」の商標は日本全国に知れ渡るに至ったものである。
請求人は、「キューピー」、「KEWPIE」「キューピー人形の図」の商標を付したマヨネーズが全国的なシェアを獲得するに至ったことから、昭和32年には社名を「キユーピー株式会社」に変更し、以来、今日までその社名を使用し続けてきた。
また、請求人は、マヨネーズのみならず各種ドレッシング、ミートソース、タルタルソース、マスタード等の調味料、ベビーフード、卵加工品等の加工食料品にも「キューピー」、「キューピー人形の図」の商標(甲第4号証)を付して発売し、これらが全国的な規模で売れたこと、そして、これらの商品には全て製造者としての「キューピー株式会社」の商号が表示されていたことから、本件商標の出願の前までには「キューピー」といえば直ちに上述の商品の商標、或いは請求人を指称するものと認識されるほどに広く知られるに至っていたものである。
このような請求人の新商品開発、製造・販売及び商品宣伝の努力により、引用商標7が著名となったことから、防護標章登録が第1号ないし第41号(甲第20号証の1ないし41)として登録が認められているものである。
また,引用商標8については、防護標章登録第1号ないし第31号(甲第21号証の1ないし31)として登録が認められ、商品及び役務の全分野にわたり防護標章の登録が認められている程の著名性を獲得しているものである。
上述したことからすれば、引用商標7及び8は、本件商標の出願の日前には極めて著名であったといわなければならないものである。
(3)請求人及びその関連会社の業務の多様性について
(ア)請求人は、マヨネーズを中心としてドレッシング、ミートソース、タルタルソース等の調味料を主として製造、販売し、そして、業務用の錦糸卵、液卵、乾燥卵等の卵製品及びカルシウム強化食品等のヘルスフ一ド、さらに昭和57年頃よりファインケミカル製品(化学品、医薬品原料)、食品添加物(卵殻カルシウム)の製造、販売を開始し、この商標についても広く知られているものである(甲第19号証)。
さらに、請求人は、自社の各種食品製造機械器具を開発してきた技術を生かして、総菜製造装置、連続殺菌装置、割卵機、炊飯装置、輸液一貫製造装置、立体自動倉庫、業務用缶処理装置、サラダ充填機、サラダミキサー、加湿機、ISO・HACCP対応用フットキーシステム、蒸煮装置等のフードエンジニアリングの分野及び医薬品(輸液)の点滴用ソフトバッグの製造・充填シールのエンジニアリングの分野、葉菜類、イチゴ、キュウリ等の工場生産による水耕栽培の分野にも進出し、これが新聞において大きく取り上げられ、広く知られるに至っているものである(甲第19号証、同第22号証ないし同第33号証、同第34号証の1ないし3、甲第35号証の1ないし27)。そして、これらの装置、機械についても引用商標1ないし6を使用しているものである。
(イ)請求人は、キューピー卵(株)、(株)全農・キューピー・エッグステーンョン、キューピー醸造(株)、キューピータマゴ(株)等の「キユーピー」の文字を商号の一部に用いた関連会社のみならず、家畜の飼育、加工会社等の多くの関連会社を有している(甲第19号証)。
(4)本件商標を使用した場合の混同のおそれについて
本件商標は、上述した通り、引用商標1ないし6とは類似の商標であること、請求人の使用する引用商標7及び8は、あらゆる商品、役務の分野において、防護標章の登録が認められていること、請求人及びその関連会社の業務は、食品、酪農、化学品,農業といった広範な商品の分野のみならず、フードエンジニアリングの分野における機械、装置の製造、医薬品(輪液)の点滴用ソフトバッグの製造・充填シールのエンジニアリングの分野にも広がっているものであること等を総合勘案すると、本件商標をその指定商品に使用するときは、その商品が請求人若しくは請求人の関連会社の業務に係る商品であるかの如く混同を生じさせるおそれがあるといわざるを得ないものである。
(5)したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第18号証(枝番を含む。)を提出している。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)請求人は、本件商標「CUBY」からは「キュービー」の称呼が生じると主張しているが、「CU」の文字部分は、「キュ」と発音する用例よりも、例えば、日本人にも極めて馴染みの深い語である、「CUB SCOUT」(カブ スカウト、乙第1号証)、「CUFFS」(カフス)、「CULT」(カルト)、「CULTIVATION」(カルチベーシヨン)、「CULTURE」(カルチャー)、「CUP」(カップ)、「CUT」(カツト)等からして「カ」或いは「カッ」と発音する用例の方が遥かに多い。その他日常生活の中には「SUPER CUB」(スーパーカブ、オートバイの商標、超ロングセラー商品となっている。乙第2号証及び同第3号証)、「CHICAGO CUBS」(シカゴ・カブス、メジャーリーグの名門チームの一つの名称、乙第4号証)の例があり、これらの例は、共に、一時的なブームにのったようなものではなく、相当以前から今日までの間、衰えることなく継続してきているものである。
(2)そこで、本件商標の構成についてみると、本件商標は欧文字の「CUBY」から成り、同語は英語等において成語として存在する語ではないが、「CU」を「カ」又は「カッ」と発音される用例が遙かに多いこと、また、英語の「CUBBY」語は「カビー」と片仮名文字で表され、本件商標は、この英語「CUBBY」と比べると「B」の1文字が少ないが、英語では「BB」の2文字でも「B」の1文字でも発音は同じであることが多い(乙第5号証)こと、また、本件商標は、「カブ」と発音され親しまれている「CUB」の語に「Y」の文字が付け加えられたともみられる「CUBY」の文字から成ることからして、本件商標は、「カビー」と称呼されるとみるのが極めて自然である。
仮に、「CUBY」を「キュービー」と発音されるとするならば、「Y」の文字の附加によって、「CU」部分の発音を「カ」から「キュー」に変化することになり、この発音の変化は、英語の用法からして極めて不自然なことである。英語においては、語尾に「Y」の文字が附加されても、前部の発音は変化しないのが通常である。
(3)一方、引用商標1ないし6からは、全て「キューピー」の称呼が生じる。
そこで、本件商標から生じる自然な称呼「カビー」と、各引用商標から生じる称呼「キューピー」とを比較すると、それぞれ短い音数の両称呼には共通する称呼音が全く存在しないので、両称呼は明らかに非類似の称呼である。
(4)なお、引用商標1ないし3の出願日前に、指定商品において類似する本件商標と同一の構成文字よりなる商標(出願日昭和38年7月11日、設定登録日昭和39年9月29日、商標権存続期間満了日昭和59年9月29日)及び「HONDA・CUBY・」の文字を含む商標(出願日昭和39年3月3日、設定登録日昭和40年8月30日、商標権存続期間満了日昭和60年8月30日)の登録が非類似商標として請求人と別人の名義で登録になっていた。これは、引用商標1ないし3が登録されたのは、「CUBY」の文字から「キュービー」の称呼は生じないと認められたからこそである。
したがって、これらの事実からしても、本件商標は、引用商標1ないし3、及び同様に「キューピー」の称呼が生じる引用商標4ないし6とは、いずれも称呼上非類似であるとみなければならないことは明らかである。
(5)したがって、本件商標と各引用商標とは、外観上及び観念上はもちろん称呼上も非類似である。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとの請求人の主張には理由がない。
2 商標法第4条第1項第15号について
請求人は、本件商標がその指定商品に使用された場合、該商品の出所の混同を生じさせるおそれがあると主張している。
(1)しかし、前項1の記載から明らかなとおり、本件商標は、引用商標1ないし6と外観、観念、称呼のいずれの点においても類似しないものであり、さらに、本件商標は、「キューピー人形の図形」のみからなる引用商標7とは勿論のこと、片仮名文字「キューピー」からなる引用商標8とも、外観、観念、称呼のいずれの点においても類似するものでない。
してみると、本件商標が商標法第4条第1項第15号の規定に該当するとする請求人の主張の理由として請求人が挙げている前提を欠くものである。
(2)引用商標7及び8の防護標章に類似する乙第9号証ないし同第18号証の商標(旧第1類、同第4類、第42類等)は、当該防護標章の登録後に登録になっている事実からしても、本件商標をその指定商品に使用しても、該商品が、請求人又は請求人の関連会社の業務に係るものであるかのごとく誤認されるおそれがないことは明らかである。
(3)以上のとおり、請求人の本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとの主張にも理由がない。
したがって、請求人の本審判請求には全て理由がなく、本審判請求は成り立たない。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、第1の項で述べたとおり「CUBY」の欧文字からなるところ、その商標から生じる称呼についてみるに、その欧文字綴りに相当する特定の読みをもつ親しまれた既成の語を見出すことのできない造語からなるものである。
ところで、親しまれた発音がなくその読みが特定されない欧文字については、わが国の需要者における欧文字綴りに対する一般的知識程度を考慮して、その商標における称呼を判断すべきものであるところ、わが国の一般的知識程度よりすると、ローマ字又は英語における発音に倣い読まれるのが経験則である。
そこで、「CUBY」の欧文字からなる本願商標についてみるに、その構成中の「CU」の文字部分は、被請求人が主張するように「カ」又は「カッ」と発音される場合があるとしても、「cube」を「キュービー」、「cuba」を「キューバ」、「cubic」を「キュービック」、「cute」を「キュート」等「cu・・」を「キュー・・」と発音されている事例があることよりすると、本件商標は、その文字に相応して「カビー」と称呼される場合があるとしても、「キュービー」と称呼されることも決して少なくないものとみるのが相当である。そして、本件商標は、特定の観念を生じない造語と認められる。
これに対し、引用商標1は、その構成別掲(1)のとおり、「QP」の欧文字と「キューピー」の片仮名文字を組み合わせたものであり、引用商標2、3及び5は、「キューピー」の片仮名文字又は「KEWPIE」の欧文字からなるものであり、また、引用商標4及び6は、キューピー人形の図形の上段に「キューピー」の文字、そしてその図形の下段に「KEWPIE」の欧文字をそれぞれ配した構成からなるなるものであり、いずれの引用商標も、「キューピー」の片仮名文字又は「KEWPIE」の欧文字を含むもので、それらの文字から「キューピー」の称呼を生じ、かつキューピー人形(一般的に、引用商標4の構成中にある図形に表されているような、目は丸く大きく、頭の頂上が尖っている等の特長を有するキューピットの人形)を指称し又は想起させるもので、そのようなキューピー人形の観念を生じる商標といえる。
そこで、本件商標と引用商標1ないし6より生じる称呼についてみるに、前者からは「キュービー」の称呼を生じ、後者からは「キューピー」の称呼を生じるところ、後半部分に「ビ」と「ピ」の音が相違するもので、全体が比較的短い音構成であり、両音共に強く響く破裂音であり、有声音と無声音の差異があり、相違する称呼となっている。
また、観念上よりみるに、本件商標は、特定の観念を生じないのに対し、引用商標1ないし6は、いずれもキューピー人形を指称し、又は想起させ、「キューピー人形」の観念を生じさせるので、両商標は観念上明確に区別し得るものである。
そして、外観上よりみるに、本件商標と引用商標1ないし6とは、それぞれ前記で述べたとおりの構成であることより、その構成上の相違によって、外観上、判然と識別しうる差異があるものといえる。
してみると、本件商標と引用商標1ないし6とは、称呼においては、「キュービー」と「キューピー」との差異があり、その称呼が比較的近似するとしても、引用商標1ないし6がキューピー人形を明確に観念させ、また欧文字部分が「CUBY」と「KEWPIE」とその綴りが全て相違するものであり、外観全体も明確に異なるので、それらの違いより両商標の印象が著しく異なり、相紛らわしいものということはできず、十分区別し得るものとみるのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標1ないし6とは、その外観、称呼及び観念を総合勘案するに、類似する商標ということはできない。
したがって、本件商標は、引用商標1ないし6との指定商品の類否について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
2 商標法第4条第1項第15号について
請求人は、マヨネーズ等(調味料)についてキューピー人形の図形からなる商標(引用商標7)及び「キューピー」の文字からなる商標(引用商標8)、さらに「KEWPIE」の文字からなる商標(以下、これらを一括して「キューピー商標」という。)を永年使用して需要者の間に広く知られているものであることから、キューピー商標と類似する本件商標を他人が使用するときは、その商品の出所について混同を生じるおそれがある旨主張しているのでその点について検討する。
キューピー商標がマヨネーズ等(調味料)について請求人に係る商標として需要者の間に広く認識されているとしても、それらのキューピー商標は、別掲(3)のとおりの構成からなるキューピー人形の図形、「キューピー」の文字、「KEWPIE」の欧文字からなるものであり、いずれのキューピー商標からも「キューピー」の称呼を生じ、「キューピー人形」の観念を明確に看取させるものといえる。そして本件商標とキューピー商標とは、前項1で述べたとおり、引用商標1ないし6と同様に、類似しない明確に区別できるものであり、さらに本件商標が「CUBY」の欧文字からなる造語の商標であるのに対し、キューピー商標は「キューピー」「KEWPIE」の文字からなり、又はキューピー人形の図形からなることからして、いずれもキューピー人形を指称し又は想起させる別異の商標といえるものである。
そして、キューピー商標を使用して需要者の間に広く知られている商品であるマヨネーズ等(調味料)と、本件商標の指定商品である各種機械器具や乗物用の動力機械等とは、その商品分野が相違し、原材料や用途が異なり、また生産者、販売者を異にすることから、その商品の取引系統が相違する関連性のない商品といえる。
なお、請求人は、キューピー商標と類似する引用商標1ないし6を本件商標の指定商品について使用している旨主張しているが、キューピー商標及び引用商標1ないし6が本件商標の指定商品における取引者、需要者の間に広く知られているとは認められれないものである。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用したとしても、請求人の「キューピー商標」を連想し、想起させることのないものとみるのが相当である。
他に、両商標の間で出所の混同を生じるおそれのある特段の事情があるとは認められない。
したがって、本件商標は、その指定商品について使用をしたとしても、請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとみることはできないので、商標法第4条第1項第15号に該当するものということはできない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、上記法条に違反して登録されたものということはできないので、その登録は同法第46条第1項の規定により無効にすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)引用商標1(登録第1521462号商標)


(2)引用商標4及び6
(登録第4275748号商標及び登録第4278360号商標)


(3)引用商標7(登録第595694号商標)

審理終結日 2003-12-26 
結審通知日 2004-01-07 
審決日 2004-02-12 
出願番号 商願平10-19925 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (Z07)
T 1 11・ 263- Y (Z07)
T 1 11・ 262- Y (Z07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邉 健司 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 宮川 久成
平山 啓子
登録日 1999-12-10 
登録番号 商標登録第4342210号(T4342210) 
商標の称呼 キュビー、キュービー、カビー 
代理人 佐藤 一雄 
代理人 北村 修一郎 
代理人 小泉 勝義 
代理人 矢崎 和彦 

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