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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Z09 |
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管理番号 | 1091853 |
審判番号 | 不服2000-21049 |
総通号数 | 51 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-11-27 |
確定日 | 2004-01-05 |
事件の表示 | 平成11年商標登録願第 91078号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「トータルアイケア」の片仮名文字を標準文字とし、第9類「眼鏡,眼鏡の部品及び附属品」を指定商品として、平成11年10月7日に登録出願されたものである。 2 原査定の理由 本願商標は、「全体にかかわる」の意味の「トータル」の文字と「目」に通ずる「アイ」の文字と「世話、看護」の意味の「ケア」の文字とを連綴してなる「トータルアイケア」の片仮名文字のみよりなるものであるところ、これを本願指定商品について使用するときは、「全体的に目の世話、看護」を目的とする商品、またその機能を備えた商品であることを認識させる以上に格別顕著なところ(独占適応性)がなく、需要者が何人かの業務にかかる商品であるかを認識することができないものというべきである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。 3 当審の判断 (1)本願商標は、前項1のとおり「トータルアイケア」の片仮名文字からなるところ、その後半部の「アイ」の文字は英語の「eye」を語原として「目」又は「目の、目に関する」を意味し、「ケア」の文字は英語の「care」を語原として「世話、保護」を意味するほか「世話・保護・介護・看護など、医療的・心理的援助を含むサービス」をも意味し、身体の部位等を表す語に連結して「○○ケア」とした場合には「○○の世話・保護・治療等、健康の維持又は病的な状態を回復させること」を意味するものとして用いられることの多い語としてそれぞれ親しまれているところである。そして、その文字に「アイ」の文字(語)を「アイケア」と連結した場合には、「目の世話・保護・治療等の健康維持又は病的な状態を回復させること」の意味合いを理解させるものといえる。また、その商標の前半部の「トータル」の文字は、英語の「total」を語原として「合計、全体」等を意味するほか、「トータル」の語と他の語を連結した場合には、例えば、以下の用例のように、概ね「全体として扱うさま」を意味する語として用いられていることが多く、本願商標のように「トータル」の語に上記の「アイケア」の語を連結し「トータルアイケア」とした場合には、「目の世話・保護・治療等、目についての健康の維持又は病的な状態を回復させることを全体的に扱うさま」を意味するものと容易に理解させるとみられるものである。 <「トータル」の語の用例> 株式会社三省堂2002年11月1日発行の「コンサイスカタカナ語辞典」には、以下のカタカナ語が掲載されているのが認められる。 a)「トータル・ケア[total care]」:全人的治療。病気の治療だけでなく、生活の質や精神面にまで医療活動を及ぼすもの。 b)「トータル・コーディネート[total coordinates]」:服だけでなくアクセサリーや靴など服装全体の調和を考慮したコーディネート。また身につけるものを一つのブランドの製品で統一すること。 c)「トータル・プロダクト[total product]」:商品を、それにまつわる諸要素、たとえば品質・サービス・包装・便利さ・雰囲気などを含めた総体としてとらえた場合の呼び名。 (2)そして、これらの語が用いられているインターネット情報をみると、例えば、以下のものがある。 a)「ケンコーコム」の健康メガショップにおける「健康機器」中に「アイケア用品」の項目が設けられ、そのウェブサイトでは、商品「洗眼器」(目を洗浄する液剤と器具)、「花粉症用メガネ」を掲載している(http://kenko.com/product/cat/cat_050508.html)。 b)コンタクトレンズ製品、眼科手術用機器を取り扱う企業(ボシュロム・ジャパン)のCompany Policyの記事の中で、「アイケア製品や視力矯正等を通じて日本の消費者の方々に1972年以来サービスを提供して参りました。」等と記載している(http://www.bausch.co.jp/company/policy.html)。 c)「静岡新聞 雇用・経済ニュース」2002年12月5日朝刊の眼鏡・コンタクトレンズを販売する会社が新本店を開店した記事によると、眼鏡売り場としては県内(静岡県を指す。)最大規模となること、そして、「新本店は『トータルアイケアショップ』を基本コンセプトに一階の眼鏡販売、二階はコンタクト販売とテナントとして診療所『伝馬町眼科クリニック』を展開し、アイケアに関する幅広いニーズに応ずる。」等と記載している(http://www3.sbs-np.co.jp/news/news02/news121.html)。 d)眼科用医薬品(日本アルコン)を紹介するウェブサイトによると、「アルコンは、・・眼科用医薬品を開発するとともに、医薬品のみならず、眼科治療全般にわたるトータルアイケアの考えに基づいた学術情報をお届けするために、積極的に活動を続けています。」等と説明している(http://www.alconlabs.com/media2/jp/c_about_alcon/Corporate/P-02.pdf)。 それらの情報よりすると、「アイケア」は、コンタクトレンズや普通の眼鏡また眼科用医薬品や眼科に関係する治療用の機械器具等を取り扱う業界においては、目の健康維持、保護、病気の治療に関係する商品についてその用途又は商品の分野を表す表現として用いられ、また「トータルアイケア」は、それらに関係する商品を全体的(トータル的)に扱う場合の表現として用いられていることが窺える。 (3)してみると、本願商標を使用する商品(指定商品)が目の矯正、保護等に使用されるコンタクトレンズ、普通眼鏡、サングラス等の眼鏡やその部品及び附属品であり、その指定商品との関係では、「トータルアイケア」の文字は、「目の世話・保護・治療等、目についての健康の維持又は病的な状態を回復させる全体的(トータル的)なもの」を意味するものと認められる。 (4)そうしてみると、「トータルアイケア」の文字からなる本願商標をその指定商品について使用するときは、その商標は、その商品が目の世話・保護・治療等、目についての健康の維持又は病的な状態を回復させる全体的(トータル的)なもの又はその一環をなすものであることを表しているもであり、その商品の用途、品質を表示しているものと理解、認識され、その商標のみによっては自他商品を識別する標識として機能し得るものであるとみることはできない。 (5)一方、請求人は、本願商標中の「アイ」の文字は、「私」を意味する英語の「I」や、漢字「愛」等の表音としても理解されるものであるから、これを英語の「eye」(目)の表音のみに限定し、本願商標を「目に係る商品」とすることはできないこと、また登録例を挙げて、本願商標は、全体として一つの造語を表したものである旨主張しているが、本願商標は、上記で述べたとおり、使用する商品(指定商品)が目に使用する「眼鏡、眼鏡の部品及び附属品」であることを考慮すれば、「アイ」の文字は「目」を意味する語と理解されるものとみるのが合理的であり、また、本願商標に接する取引者・需要者が上記で述べたとおり理解、認識するものであるとすると、本件における判断に当たって、請求人列挙の登録例に左右されるのは適当でないので、この請求人の主張は採用することができない。 (6)したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものといわなければならない。 なお、原査定は、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する旨認定しているが、同第3号と同第6号とは、自他商品の識別標識として機能しないものは登録を受けることができないとする商標登録の要件に関する同じ趣旨の条項と解されるから、当審において、本願商標を同第3号に該当するものと判断しても、請求人(出願人)には既に意見書(自他商品の識別力の有無について)を提出する機会が与えられているので、あらためて拒絶の理由を通知することなく判断した。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-09-25 |
結審通知日 | 2003-10-03 |
審決日 | 2003-11-07 |
出願番号 | 商願平11-91078 |
審決分類 |
T
1
8・
16-
Z
(Z09)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中村 謙三、柳原 雪身 |
特許庁審判長 |
宮下 正之 |
特許庁審判官 |
平山 啓子 宮川 久成 |
商標の称呼 | トータルアイケア |