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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 109
管理番号 1091838 
審判番号 取消2002-30921 
総通号数 51 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-03-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2002-08-02 
確定日 2004-01-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第1676408号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1676408号商標の指定商品中「バルブ,管継ぎ手及びそれらの類似商品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1676408号商標(以下、「本件商標」という。)は、「DIMETRICS」の欧文字を横書きしてなり、昭和55年10月9日に登録出願、平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表に基づく区分による第9類(以下、「旧第9類」という。)「電気溶接機、その他本類に属する商品」を指定商品として、同59年4月20日に設定登録され、その後、平成6年10月28日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べた。
請求人の調査するところによれば、本件商標は指定商品中の「バルブ、管継ぎ手及びそれらの類似商品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者により使用されている事実は見出せなかった。また、本件商標について、専用使用権通常使用権の登録もされておらず、これらの者による使用の事実も見出せない。
よって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、請求の趣旨どおりの審決を求める。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出した(なお、被請求人は、証拠方法を甲号証として表示しているが、それぞれ対応する乙号証の表示をもって扱った)。
被請求人は、本件商標をその指定商品中の「バルブ、管継ぎ手及びそれらの類似商品」について現実に使用している。
被請求人の我が国におけるディストリビューターである愛知産業株式会社(本社 東京都品川区北品川5丁目5番12号)の発行するパンフレットにおいて、その指定商品であるバルブおよび管継ぎ手の写真の下部に「DIMETRICS」の商標が大書されている(乙第1号証)。同じく、愛知産業が発行するパンフレットにおいて、バルブや管継ぎ手を溶接するためのシステムの写真の上部において「DIMETRICS」の商標が大書されている(乙第2号証)。かかるシステムは、請求人が取消を求める商品である「それらの類似品」の範ちゅうに入るものである。さらに、愛知産業株式が発行する「主要製品案内」なる冊子において、商品「溶接用溶け込みフラックス」について「DIMETRICS」の商標が使用されている(乙第3号証)。溶接溶け込みフラックスがバルブや管継ぎ手について使用されることは明かであるため、かかる商品も請求人が取消を求める商品である「それらの類似品」の範ちゅうに入るものである。
以上より、本件商標は、その指定商品中の「バルブ、管継ぎ手及びそれらの類似商品」について、現実に使用されていることは明白である。
なお、被請求人は、愛知産業の他の国内ディストリビューターを通じて、現在鋭意追加の使用証拠を収集しているものであり、近日中にこれを補充する予定である。

4 当審の判断
被請求人が提出した乙各号証によれば、乙第1号証は、被請求人の日本総代理店である愛知産業株式会社が1998年4月頃に制作したものと認められる「TUBE WELDER/AUTOMATIC TUBE WELDING SYSTEM」と題する製品パンフレットであり、同印刷物の表紙には、溶接機器及び各部位並びに施工状態を示す5コマの写真が掲載されており、同2枚目には「ダイメトリックスのチューブウェルダー/コンパクトで丈夫な水冷式溶接ヘッド」のタイトルの下、溶接機器のヘッド部分の製品仕様が解説図とともに表示されており、いずれの頁にも「Dimetrics」の表示がなされている。
乙第2号証は、同じく愛知産業株式会社が2000年9月頃に制作したものと認められる「Centaur(TMの文字が小さく表示されている)/携帯型 150PTW/コンピューター制御付チューブ溶接システム」と題する製品パンフレットであり、同印刷物には、該チューブ溶接システムの製品仕様について詳細な解説がなされており、上部には「DIMETRICS,INC.」の表示がなされている。
乙第3号証は、同じく愛知産業株式会社が制作した「主要製品案内」と題する冊子の抜粋であって、1枚目は各種取扱製品が掲載されている目次であり、同2枚目は「LDW-LFX catalyst/TIG溶接用深溶け込みフラックス」のタイトルの下、瓶入りのフラックス(溶接用剤)の写真及びその使用状態の写真とともにその製品を紹介する記事が掲載されており、頁右上部には「DIMETRICS.」の表示がなされている。
しかして、乙第1号証の製品パンフレットは、上記のとおり、その表題が「TUBE WELDER/AUTOMATIC TUBE WELDING SYSTEM」となっているように、そもそも、チューブ溶接機、溶接ヘッドあるいはチューブ溶接システムに関するパンフレットと認められるものであり、現に、パンフレットに掲載されている商品の写真は、いずれも溶接機、溶接ヘッド類に関するものである。
この点について、被請求人は、バルブ及び管継ぎ手の写真の下部に本件商標が大書されている旨述べているが、該写真は、管とバルブ又は管継ぎ手とを溶着している状態の写真であって、当該チューブ溶接機による施工の一例を紹介しているものとみるのが相当であり、バルブ又は管継ぎ手自体を商品として提供することを目的として掲載されているものとは認められない。
また、乙第2号証の製品パンフレットは、その表題が「携帯型 150PTW/コンピューター制御付チューブ溶接システム」となっているように、紹介されているのは、コンピューター・プログラミングにより溶接条件を設定・可変・転送し得るようなシステムを備えた携帯型のチューブ溶接機器類とみられるものである。そして、その用途欄には「管継ぎ手とリング」の文字も記載されているが、これは、同溶接機器類の用途の一例として記載されているにすぎないものであり、管継手・リング自体を商品として紹介している訳でないことは、乙第1号証の場合と同様である。
この点について、被請求人は、かかるシステムは、取消請求に係る商品の「類似品」の範ちゅうに入るものである旨主張している。
しかしながら、商品の表現がどのようなものであるにしても、溶接に関する機械器具と認められる商品は、旧第9類所属の「金属加工機械器具」の概念における「溶接または溶断機械器具」に属する商品であって、専ら、生産又は加工工場等で各種の金属製品を製造し又は加工するため用いられる機械器具であるのに対して、取消請求に係る「バルブ、管継ぎ手及びそれらの類似商品」は、旧第9類所属の「機械要素」に属する商品であって、多くの機械器具類に応用・利用可能ないわゆる汎用性のある機械部品であり、両商品は、その用途・構造又は機能・性質等を著しく異にする互いに異種・別個の商品であるから、この点についての被請求人の主張は採用できない。
さらに、乙第3号証の主要製品案内によれば、愛知産業株式会社が「溶接機及び溶断機」、「溶接治具」、「加熱機器,工業熱処理炉」、「産業工作機械・研機」、「測定機器」及び「溶材他消耗品」を取り扱っていることは認められるが、該製品案内には「バルブ、管継ぎ手及びそれらの類似商品」に関する記載は見いだせない。
この点について、被請求人は、「溶材他消耗品」中の「ウェルディング・カタリスト」に包含されている「TIG溶接用深溶け込みフラックス」なる商品を挙げ、該商品はバルブ、管継ぎ手の「類似品」の範ちゅうに入るものである旨主張している。
しかしながら、「TIG溶接用深溶け込みフラックス」なる商品は、「catalyst」の文字を含む表題のもとに表示され、説明文中にも「catalyst/触媒の意味ですが、・・・」と記載されているように、専ら、溶接効率を促進させるための溶接用剤(溶接助剤)とみられる化学剤であり、該商品は、元来、本件商標の指定商品中に含まれる性質のものではなく、機械要素であるバルブ、管継ぎ手の「類似商品」の範ちゅうに属する商品でないことも明らかである。
以上のとおり、乙第1号証ないし同第3号証において示されている商品は、コンピューター制御機能を備えたチューブ溶接機、溶接ヘッドあるいは溶接用剤に関するものであって、いずれも本件取消請求に係る商品とは全く異種・別個の商品というべきものであるから、これら乙各号証をもってしては、本件審判の取消対象商品である「バルブ、管継ぎ手及びそれらの類似商品」について本件商標の使用を証明したものとはいえない。
なお、被請求人は、答弁書において、追加の証拠を収集中であり、近日中に補充する予定である旨述べているが、答弁書の提出時から7ヶ月余経過するも、追加の証拠は提出されていない。
してみれば、被請求人提出の乙各号証によるも、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、使用権者のいずれによっても、その請求に係る商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、指定商品中の請求に係る「バルブ、管継ぎ手及びそれらの類似商品」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-09-02 
結審通知日 2003-09-05 
審決日 2003-09-19 
出願番号 商願昭55-81548 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (109)
最終処分 成立  
前審関与審査官 寺島 義則 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 井岡 賢一
柳原 雪身
登録日 1984-04-20 
登録番号 商標登録第1676408号(T1676408) 
商標の称呼 ダイメトリックス、ディメトリックス 
代理人 勝部 哲雄 
代理人 佐藤 一雄 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 
代理人 宇井 正一 
代理人 石田 敬 

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