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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 111 |
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管理番号 | 1088539 |
審判番号 | 取消2001-30488 |
総通号数 | 49 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-01-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2001-04-27 |
確定日 | 2003-11-26 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1693428号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1693428号商標の指定商品中、第11類「電気通信機械器具」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第1693428号商標(以下「本件商標」という。)は、「SOLUS」の欧文字を書してなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、昭和56年12月4日に登録出願、同59年6月21日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定商品のうち「電気通信機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 (2)答弁に対する弁駁 (ア)取消請求に係る指定商品の使用について 被請求人は、本件商標を、本件審判請求に係る指定商品「電気通信機械器具」に使用している旨主張し、乙第1号証(納品書)及び乙第2号証(解説・手引・文法・操作書)を提出している。 しかしながら、乙第1号証の「品名」の欄には「SOLUS」の表示が見受けられるものの、当該商品がどのような商品であるかを確定することができない。 乙第1号証は、被請求人である株式会社日立製作所のソフトウエア事業部技術部技術課に係る書類であり、同書類に係る商品が既納入のバージョンに替わるものである旨記されていることからも、当該商品はコンピュータソフトウエアであると推測される。 しかしながら、仮にコンピュータソフトウエアであるとしても、コンピュータソフトウエアは「電子応用機械器具」の範疇に属する商品であることは明らかであり、決して「電気通信機械器具」の範疇に属する商品ではない。 また、乙第2号証に係る内容部分は、「1.SOLUSとは」と題された項目のうち、当該商品の特長に関する「1.2 SOLUSの特長」(4ページ及び5ページ)の箇所しか提出されていないが、乙第2号証に係る表紙及び最終ページと思われる部分に、それぞれ当該商品に関して「プログラムプロダクト」との表示があることからも、当該商品はコンピュータソフトウエアであると考えられる。 なお、被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証を提出し、当該商品は、「電子応用機械器具」の要素があるにしても、同時に「電気通信機械器具」としての要素も併せ持つ旨主張しているが、同主張を裏付けるような証拠は何ら提出されていない。 (イ)被請求人の提出する証拠について (a)乙第1号証について 被請求人は、日本電子計算株式会社宛の納品書(写)を乙第1号証として提出しており、同書類には、「平成13年4月5日」の日付が表示されている。 しかしながら、乙第1号証に係る書類が実際に前記日付に作成されたことは何ら客観的に証明されていない。 また、標章の「使用」に関して、商標法第2条第3項第7号は「商品又は役務に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し、又は頒布する行為」と規定している。 しかしながら、乙第1号証に係る納品書には、日本電子株式会社の受領印が押されていないこととも相挨って、乙第1号証に係る書類がいつ展示され又は頒布されたかが何ら客観的に証明されていない。 よって、乙第1号証は、そもそも本件商標の使用及びその使用時期について何ら証明するものではない。 (b)乙第2号証について 被請求人は、乙第2号証に係る書類がいつ展示され又は頒布されたかに関して一切証明していない。 よって、被請求人は、本件商標を平成7年5月から継続して使用している旨主張しているが、乙第2号証では、被請求人の当該主張は一切証明されていない。 また、乙第2号証に係る書類の最終ページと思われる部分には、第1版から第7版に係る「平成7年5月」等の年月の記載が見受けられる。 しかしながら、そのような記載のみをもってしては、それら記載に係る日付が客観的に証明されているとはいえない。 なお、乙第2号証には、本件商標権者である被請求人「株式会社日立製作所」の表示は一切見受けられない。 (3)以上により、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、その指定商品中「電気通信機械器具」について使用した事実を立証していない。 3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判請求は、成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出している。 (1)被請求人は、本件商標を、取消請求に係る商品に使用している。 すなわち、乙第1号証(取引書類「送品ご案内状」)及び乙第2号証(解説・手引・文法・操作書「SOLUS解説・運用」)に示すとおり、被請求人は、本件商標をその指定商品について、遅くとも平成7年5月以来、現在に至るまで継続して使用している。 当該商品は、「電子応用機械器具」の要素があるとしても、一方で、システム間の通信に関わるものであるから、同時に「電気通信機械器具」としての要素をも併せ持つものである。このように二面性を有する商品である場合には、当該二つの商品について登録商標が使用されているものとして扱っても差し支えないというべきである(昭和57年(行ケ)第67号)。 付言するならば、本件商標の指定商品から取消請求に係る商品「電気通信機械器具」を取り消しても、その商品は残余の「電子応用機械器具」とはなお類似の関係にあり、商標権の取得ができないばかりでなく、使用において禁止権が及ぶから、これを取り消す利益はない。 (2)以上により、本件商標は、被請求人により本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品について使用されているから、本件審判請求は答弁の趣旨のとおり審決されるべきものである。 4 当審の判断 被請求人の提出に係る証拠を徴するに、乙第1号証は、被請求人である株式会社日立製作所のソフトウエア事業部技術部技術課から、日本電子計算株式会社への「送品御案内状」(平成13年4月5日付け)であるところ、該案内状には「送案番号:11405015」、「2.品名」の欄には、「S-1197-11 SOLUS」「02-02」、「MP5600/160EX MP5600/180EX」、「既納入02-01」及び「3.数量」の欄には「1式 カートリッジテープ(外付型)(数量)2」、「添付資料(数量)2」との記載を認めることができる。 また、乙第2号証は、「SOLUS 解説・運用」という表題の「解説・手引・文法・操作書」(以下「操作書」という。)であるところ、該操作書の表紙には、被請求人の略称と認められる「HITACHI」の文字、「プログラムプロダクト」「VOS3」「装置共用機能SOLUS」の記載及びその最終ページには「このマニュアルは、次のプログラムプロダクトの発行によって、第6版(6190-3-336-50)の内容を変更したものです。S-1197-11 SOLUS 02-02(適用OS:VOS3/FS,及びVOS3/AS)」、「平成13年3月(第7版)」との記載がされていることが認められる。 しかして、上記乙第1号証及び乙第2号証をみるに、これよりは、本件商標と社会通念上同一と認められる「SOLUS」の商標を付された、被請求人の取り扱いに係る乙第2号証で解説されてなる商品「S-1197-11 SOLUS」(以下「本件商品」という。)が、平成13年4月5日付けで「送品ご案内状(送案番号:11405015)」により被請求人から日本電子計算株式会社に納入されたことを認めることができる。 しかしながら、乙第2号証の操作書には、「プログラムプロダクト」の表示がされているところ、この「プログラムプロダクト(program product)」は、「コンピュータに処理をさせるためのプログラム」を意味する語(日外アソシェーツ株式会社発行「英和コンピュータ用語大辞典第2版」)であり、また、乙第1号証の「送品御案内状」には「既納入のバージョンに替えてご送付いたしました」、或いは、送品された物品の表示が「カートリッジテープ」と表示されていること等からみて、本件商品は「電子計算機用プログラムを記憶させた記録媒体」と認めることができる。 この点につき、被請求人は、本件商品は、「電子応用機械器具」の要素があるとしても、一方でシステム間の通信に関わるものであるから、同時に「電気通信機械器具」としての要素をも併せ持つものである旨述べているが、提出された乙各号証からは、被請求人の述べる如く本件商品が「システム間の通信に関わるもの」、すなわち「電気通信機械器具」の一部として機能する要素を有するものであることを確認することができないばかりでなく、他にかかる主張を認めるに足る証拠の提出は見当たらない。 そうすると、本件商品は、「電子応用機械器具」の範疇に属する「電子計算機用プログラムを記憶させた記録媒体」といわざるを得ないから、これをもってしては、取消請求に係る商品「電気通信機械器具」について本件商標を使用した事実を立証する証拠とは認められない。 してみれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品中の取消請求に係る商品「電気通信機械器具」について、使用していたものと認めることはできない。 したがって、本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具」については、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-09-25 |
結審通知日 | 2003-09-30 |
審決日 | 2003-10-15 |
出願番号 | 商願昭56-100551 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(111)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 金子 茂 |
特許庁審判長 |
柴田 昭夫 |
特許庁審判官 |
鈴木 新五 梶原 良子 |
登録日 | 1984-06-21 |
登録番号 | 商標登録第1693428号(T1693428) |
商標の称呼 | ソラス、ソルス |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 作田 康夫 |