• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 110
管理番号 1088521 
審判番号 取消2002-30282 
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-01-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2002-03-15 
確定日 2003-11-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第1679086号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1679086号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1679086号商標(以下「本件商標」という。)は、「Vasofix」の欧文字を横書きしてなり、昭和55年11月19日登録出願、第10類「医療器械器具」を指定商品として、同59年4月20日に設定登録され、その後、平成6年9月29日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1.請求の理由
本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより、過去3年間に、その指定商品について使用された事実がない。したがって、本件商標は、商標法第50条第1項によりその登録は取り消されるべきである。
2.答弁に対する弁駁
(1)乙第1ないし4号証は、医療用具輸入承認申請書とその承諾書であるが、いずれもそれ自体輸入の事実を示すものではない。
(2)乙第5号証は、エースクラップ ジャパン株式会社(以下「エースクラップ ジャパン」という。)の医療用具輸入販売業許可証であり、この書面も輸入の事実を示すものではない。乙第6号証は、医療用具の一般的名称と分類を示す一般刊行物にすぎない。
(3)乙第7、8号証は、「VASOFIX」商標による製品の英文カタログであるが、上記書面のみでは上記製品の取引があった事実を証するものとはいい難い。
(4)被請求人は、本件商標を使用する商品、すなわち「留置針」は、一般市場で取り引きされるものではないと述べているが、一般市場で取り引きされない商品に商標を付したとしても、商標の使用があったとはいえない。被請求人は本件商標の使用はなかったことを自白したものといわざるをえない。
(5)以上のとおり、乙各号証によっては、本件商標が、審判請求の登録の日前3年以内に、日本国内において、商標権者又はその使用権者のいずれかによって使用された事実は立証されていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
1.使用の事実
(1)本件商標は、「留置針」に使用しており、輸入・販売に際し薬事法に基づき昭和56年12月18日に、「医療用具輸入承認申請書」を提出し、同57年10月28日に承認番号(57B輪)第1438号の下、承認された(乙第1、2号証)。
さらに、平成7年8月3日に、「医療用具輸入品目追加許可申請書」を提出し、これは同年11月6日に許可が下された(乙第3、4号証)。
その後、「留置針」の輸入販売は、ビー・ブラウン ジャパン株式会社(以下「ビー・ブラウン ジャパン」という。)を吸収合併したエースクラッブ ジャパンにより行われており(乙第5号証)、また、この「留置針」は、医療用具中「処置用機械器具」の注射器具及び穿刺器具に分類されるものである(乙第6号証)。
(2)本件商標の使用を証するものとして、被請求人作成の商品パンフレット及びカタログ(抜粋)を提出する(乙第7、8号証)。
「留置針」は、その特殊性から一般市場で取引きされるものではなく、主に病院において購入使用されるもので、そのセールス活動においてはパンフレット、カタログと商品現物をもってなされ、販売量もそれほど多くはないため、和文のパンフレット、カタログが別途作成されることはなく、特に購入者は商品の専門家でもあるため商品自体とその説明により決定される。
2.むすび
以上により、本件商標は、薬事法に基づき「留置針」につき正当に使用されている。

第4 当審の判断
1.乙各号証によれば以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証(医療用具輸入承認申請書)によれば、東京都三鷹市に所在の株式会社山本商会は、昭和56年12月18日に厚生大臣に対して、名称を「留置針セット(バソフィックス留置針)」とし、「輸入先販売名」を「VASOFIX及びVASOFIX IN」とする注射針及び穿刺針に関する「医療用具輸入承認申請書」を申請した。その輸入先国及び製造業者名は、「西ドイツ B.BRAUN MELSUNGEN AG」及び「マレイシア B.BRAUN MEDICAL INDUSTRIES SDN.BHD.」とするものである。
(2)乙第2号証(医療用具輸入承認書)によれば、上記(1)の申請書は、昭和57年10月28日に承認された(承認番号(57B輸)第1438号)。
(3)乙第3号証(医療用具輸入品目追加許可申請書)によれば、文京区湯島に所在のビー・ブラウン ジャパンは、平成7年8月3日に厚生大臣に対して、上記(2)で承認された医療用具に関して、医療用具輸入品目追加許可を申請した。
(4)乙第4号証(医療用具輸入品目追加許可書)によれば、上記(3)の申請書は、平成7年11月6日に許可された。
(5)乙第5号証(医療用具輸入販売業許可証)によれば、栃木県知事は、平成13年12月25日にエースクラップ ジャパンに対して、許可された医療用具輸入販売業者であることを証明した。その主な内容は、営業所を栃木県都賀郡都賀町に所在のビー・ブラウン ジャパン栃木工場とし、有効期間を平成14年1月4日から平成19年1月3日までとするものであって、医療用具輸入販売業許可品目の一つに、販売名称を「バソフイックス留置針」とする注射針及び穿刺針が含まれている。
(6)乙第6号証(医療用具の一般的名称と分類)によれば、注射器具及び穿刺器具は、医療用具中の処置用機械器具の範疇に属する商品と認められる。
(7)乙第7号証(英文による商品パンフレット)には、「B.BRAUN」の文字のもと、「VASOFIX」の文字とともに注射器の写真などが掲載されているが、発行年月日は不明である。
(8)乙第8号証(英文による商品カタログ)には、乙第7号証と同様に、「B.BRAUN」の文字のもと、注射器の図と「Vasofix」の文字が掲載されているが、発行年月日は不明である。
2.前記1.で認定した事実を総合すると、被請求人は、本件商標の指定商品中の「注射器及び穿刺針」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることは窺えるとしても、本件商標を使用した該「注射器及び穿刺針」が、本件審判の請求の登録前3年以内に、実際にわが国に輸入され、市場において継続して取引に資されたと認めるに足りる証拠は見出せない。
すなわち、乙第1号証ないし乙第5号証における昭和56年12月18日付け医療用具輸入承認申請書、これに対する昭和57年10月28日付け医療用具輸入承認書、平成7年8月3日付け医療用具輸入品目追加許可申請書、これに対する平成7年11月6日付け医療用具輸入品目追加許可書及び有効期間を平成14年1月4日から平成19年1月3日までとする平成13年12月25日付け医療用具輸入販売業許可証は、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の輸入販売業については、厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、これを業としてすることはできない旨規定する薬事法(第22条第1項)上の規定を遵守した行為であり、いわば医療用具の輸入販売をするために必要な条件を満たす行為にすぎないものであって、薬事法上の条件が満たされたことのみをもって、本件商標を「注射器及び穿刺針」について実際の市場の流通過程において使用されたものということはできない。
そして、被請求人は、本件商標を使用した「注射器及び穿刺針」が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内に輸入された事実を証明する証拠、日本国内で実際に取引があったことが認められる証拠の提出を求めた平成15年3月10日付け審尋に対し、何らの回答をなさないものである。
そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標ないし本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることを証明したものということはできず、また、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないというべきである。
3.以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-07-01 
結審通知日 2003-07-04 
審決日 2003-07-15 
出願番号 商願昭55-93410 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (110)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井戸 健助鈴木 新五 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 瀧本 佐代子
井岡 賢一
登録日 1984-04-20 
登録番号 商標登録第1679086号(T1679086) 
商標の称呼 バソフィックス、ベーソフィックス、バソ、ベーソ 
代理人 加藤 義明 
代理人 小沢 慶之輔 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ