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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z11 |
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管理番号 | 1088484 |
審判番号 | 不服2000-18037 |
総通号数 | 49 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-11-13 |
確定日 | 2003-10-27 |
事件の表示 | 平成11年商標登録願第 97841号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、「フルスライドキャビネット」の片仮名文字と「FULL SLIDE CABINET」の欧文字を上下二段に書してなり、第11類「加熱器,調理台,流し台」を指定商品として、平成11年10月28日に登録出願されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、『完全に、いっぱいの』の意味の英語『FULL』の文字と『滑って進む』の意味の英語『SLIDE』の文字と『戸棚、収納家具』を意味する英語『CABINET』の文字とを連綴してなる『FULL SLIDE CABINET』の欧文字及びその表音をみられる『フルスライドキャビネット』の片仮名文字のみよりなるものであるから、これを本願指定商品にについて使用するときは、看者をして、いっぱいにスライドして(開閉する)出し入れできる収納棚であることを認識させる以上に顕著なところ(独占適応性)がなく、単に商品の形状、機能、品質を表すにすぎないものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。 第3 当審の判断 1.本願商標は、前記したとおり、「フルスライドキャビネット」の片仮名文字と「FULL SLIDE CABINET」の欧文字を書してなるものであるところ、その構成中の「フルスライドキャビネット」は、下段に書された「FULL SLIDE CABINET」の片仮名表記と理解されるものである。 そして、「FULL」(フル)の文字部分は、「いっぱいの」などを意味する英語として、我が国において知られていることは、例えば、「フルスピード」、「フルベース」などの用例から認めることができる。また、「SLIDE」(スライド)の文字部分は、「スライドファスナー」などの用例のように、「滑ること。滑らせること。」などを意味する英語として、我が国において知られているものである。さらに、「CABINET」(キャビネット)は、家具等を取り扱う業界のみならず、流し台、調理台等を取り扱う業界においても、「物を収納する戸棚」などを指称する語として普通に使用されているものである。 そうすると、本願商標は、構成する文字全体をもって、「いっぱいにスライドさせることができるキャビネット」なる意味合いを表したと認識させるものである。 2.当審において行った職権による証拠調べによれば、以下のとおり、家具や流し台、調理台等を取り扱う業界で、「フルスライド」の語が家具等に取り付けられた引き出しについて、簡単に目一杯スライドさせることができ、奥の方まで有効に使用することが可能な商品を表示するためのものとして、普通に使用されている事実が認められる。 (1)2000年7月13日付け日刊工業新聞(21頁)に、「サンウエーブ、化粧用・洗濯用2タイプ用意した洗面化粧台を発売」の見出しのもと、「洗面化粧台下のキャビネットは2段式で上部に無駄な空きができにくく収納量が多い。奥行きいっぱいまで引き出せるフルスライド式のため出し入れがスムーズ。」なる記載がある。 (2)2001年8月1日、ニューハウス出版株式会社発行「ニューハウス/NewHOUSE」(15頁)のシステムキッチンの広告には、「キッチンワークって、モノの出し入れの連続かもしれません。この面倒な出し入れを、もっとラクにしたい。・・・高さのゾーンごとに『納める・取り出す・引き出す』という収納動作の一つひとつを見つめ直し、出し入れの作業がスムースで収納力たっぷりのキッチンプランを実現させました。」などの説明文とともに、「引き残しがないフルスライド/スライド調味料ラック」の記載がある。 (3)「ウエヤブ家具」のホームページ(http://ueyabu.gr.jp/dining/diningc/1.htm)の「食器棚・レンジ台・ワゴン in Dining Room」には、「Hailman/ハイルマン」の表示のもと、「収納しものがすぐに見つかる回転扉とフルスライド式引き出し。」の記載がある。 (4)「INAX」のホームページ(wysiwyg://332/http://my.inax.co.jp/powderroom/series_03.html)の「INAXの洗面化粧室」には、「選べる収納/フルスライドタイプ」として、「従来活かせなかったけこみ部分までしっかり収納に使ってるため、見た目以上の収納力です。」の記載がある。 (5)「MICADO」のホームページ(wysiwyg://325/http://www.micado-kitchen.com/products/kitchen/cena/cena.html)の「システムキッチン/CENA」には、「ASプラン/Sプラン フルスライド収納」の表示のもと、「フルスライドで出し入れしやすく、収納力も高めるスペアストッカーを組み込んだプランです。」、「[フルスライド収納]大きなお鍋なども余裕で収納でき、奥にしまった物の出し入れもスムーズです。」の記載がある。 (6)「CLEVERLY HOME ITEM NAVI」(http://www.cleverlyhome.com/item-navi/item_08.html)の「システムキッチン」には、「オリジナルシステムキッチン/クリナップ株式会社」の表示のもと、「フルスライド収納で、しまいやすく出しやすいキッチン」の記載がある。 (7)2001年1月29日付け日刊工業新聞(27頁)に、「エス・バイ・エル、代理店向けフル装備仕様の新住宅を発売」の見出しのもと、「主婦層から人気の高いフルスライド式のキッチンや・・を標準で装備・・」の記載がある。 3.また、前記2.と同様に、当審において行った職権による証拠調べによれば、「フルスライド」の語は、業務用の棚を取り扱う業界においても、以下のように使用されている事実がある。 (1)1991年2月22日付け日刊工業新聞(11頁)に、「ビソ、スライド式の小型重量棚3機種発売」の見出しのもと、「収納棚がフルスライド式のため、クレーンなどが届かない壁際や作業上の隅に設置しても、棚をスライドさせるだけで金型を容易に取り出すことができるというもの。」の記載がある。 (2)有限会社サカニワ工業のホームページ(http://www.otacci.or.jp/〜skworld/index.html)の「スライダーシリーズの主な特長」の表示のもと、「フルスライドタイプ」として「スライド棚を最後部まで引き出せるフルスライドタイプですので、前後においた製品でも、後部の製品をそのまま楽に吊り出せます。」の記載がある。 4.前記1.ないし3.で認定した事実を総合すれば、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、その取引者、需要者に「家具等に取り付けられた引き出しについて、簡単に目一杯スライドさせることができ、奥の方まで有効に使用することが可能な商品」なる意味合いをもって、商品の品質を表示したものと理解させるにとどまるものと認められるから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨認定、判断した原査定は、妥当であって、取り消す理由はない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-08-05 |
結審通知日 | 2003-08-08 |
審決日 | 2003-09-01 |
出願番号 | 商願平11-97841 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(Z11)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中村 謙三、柳原 雪身 |
特許庁審判長 |
茂木 静代 |
特許庁審判官 |
瀧本 佐代子 井岡 賢一 |
商標の称呼 | フルスライドキャビネット、フルスライド |
代理人 | 田中 宏 |